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【2024年改定対応】退院退所加算の算定要件と算定手順までを徹底解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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居宅介護支援における退院退所加算は、医療機関・介護施設などを退院・退所することで在宅での生活を行う利用者に対して行われる加算です。情報の提供を受け介護サービスなどの調整を行うことを評価するために設けられています。

本記事では退院退所加算について詳しく解説しています。本記事を参考に退院退所加算の算定を検討しましょう。

目次

退院退所加算とは?

退院退所加算とは医療機関もしくは介護施設を退院・退所し、自宅等に戻って在宅生活に移行する利用者についての加算です。加算方法は入院入所中の情報を元に介護サービスの調整などを行うことで加算がされます。ここでは退院退所加算の概要から、加算対象外になる場合などについて詳しく見ていきましょう。

退院退所加算の概要は?

退院退所加算は医療機関を退院、もしくは介護施設等を退所するなどにて自宅に戻り在宅生活を送る利用者について、入院中や入所中の情報提供を受け、介護サービスの調整等を評価する加算として設けられています。

令和3年度の介護報酬改定では退院退所加算の面談方法の一つとして、テレビ電話などを活用することが認められました。また、算定要件の一つであるカンファレンスにおいて、福祉用具貸与が見込まれる場合に必要に応じて福祉用具専門相談員などが参加することが明確化されました。

退院退所加算の種類と単位数は?

居宅介護支援における退院退所加算には5つの種類があります。5つの種類とともにその単位数を見ていきましょう。

  • 退院退所加算(Ⅰ)イ:450単位
  • 退院退所加算(Ⅰ)ロ:600単位
  • 退院退所加算(Ⅱ)イ:600単位
  • 退院退所加算(Ⅱ)ロ:750単位
  • 退院退所加算(Ⅲ):900単位

退院退所加算は入院もしくは入所期間中に1回を限度とし、算定できます。それぞれの退院退所加算は併算定することができないため、注意が必要です。

退院退所加算の算定対象施設は?

退院退所加算の算定対象施設は、次に挙げる医療機関や介護施設です。

  1. 病院
  2. 診療所
  3. 介護老人福祉施設
  4. 介護老人保健施設
  5. 介護療養型医療施設
  6. 介護医療院
  7. 地域密着型介護老人福祉施設

ここで挙げた医療機関や介護施設が算定対象となります。

退院退所加算の算定が対象外になる場合とは?

退院退所加算は医療機関等だからといって全て対象となるわけではありません。中には対象外となるケースもあります。ここでは対象外となる場合を見ていきます。

  • 居宅介護支援において初回加算が算定される場合
  • 介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設において、在宅・入所相互利用加算を算定する場合

上記のケースに該当すると退院退所加算の算定対象外となるため、算定できるかしっかり確認しましょう。

退院退所加算の各種算定要件は?

ここでは退院退所加算のそれぞれの算定要件を見ていきます。それぞれの要件は表に簡単にまとめますので、表とともに算定要件を見てください。

退院退所加算(Ⅰ)イの算定要件

算定要件は以下の通りです。

  • 退院もしくは退所するにあたり、医療機関などの職員と面談を行うこと。なお面談は直接対面ではなくテレビ電話などを活用してもよい
  • 医療機関などの職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス以外」の方法によって、「1回」受けていること
  • 必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整を行っていくこと

この3つの要件を満たすことで算定されます。

退院退所加算(Ⅰ)ロの算定要件

こちらの算定要件は以下の通りです。

  • 退院もしくは退所するにあたり、医療機関などの職員と面談を行うこと。なお面談方法はビデオ通話などの活用もOK
  • 医療機関等の職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス」によって、「1回」受けていること
  • 必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整をおこなっていること

情報提供をカンファレンスかカンファレンス以外によっておこなうかにより、加算(Ⅰ)のイとロは異なっています。

退院退所加算(Ⅱ)イの算定要件

算定要件は以下の3つです。

  • 退院退所にあたり、医療機関などの職員と対面やテレビ電話などを活用し面談を行うこと
  • 医療機関などの職員から利用者にかかる情報提供を「カンファレンス以外」の方法で「2回」以上受けていること
  • 必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅サービスや地域密着型サービスの調整を行っている

この条件を満たすことで算定を受けられます。

退院退所加算(Ⅱ)ロの算定要件

算定要件は以下の通りです。

  • 退院退所にあたり、医療機関などの職員と対面やテレビ電話などを活用し面談を行うこと
  • 医療機関などの職員から利用者の情報提供を「2回」以上受け、さらにそのうちの「1回」以上は「カンファレンス」であること
  • 必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅もしくは地域密着型サービスの調整を行っている

加算(Ⅱ)のイとロの違いは、カンファレンス以外2回以上か、そのうちカンファレンスを1回以上受けているかにあります。

退院退所加算(Ⅲ)の算定要件は?

算定要件は次の通りです。

  • 退院もしくは退所にあたり、医療機関等の職員と対面やビデオ通話などで面談を行うこと
  • 医療機関等の職員から利用者にかかる情報提供を「3回」以上受け、そのうち「1回」以上はカンファレンスによること
  • 必要な情報を元にケアプランを作成し、居宅もしくは地域密着型サービスの調整を行うこと

このようにそれぞれの算定方法には違いがみられます。その違いを簡潔にするために下記の表を作成しましたので、参考にしてみてください。

算定要件(Ⅰ)イ(Ⅰ)ロ(Ⅱ)イ(Ⅱ)ロ(Ⅲ)
医療機関等の職員との面談
情報提供の回数1回1回2回2回3回
うち、カンファレンスによる回数不要1回不要1回1回
居宅サービス等の調整

退院退所加算の算定要件におけるカンファレンスとは?

退院退所加算の算定要件におけるカンファレンスとは、入院もしくは入所者等への援助および居宅介護支援事業者に対する情報提供を行うために実施される会議のことをいいます。ただしその会議は従業者及び入所者又はその家族が参加するものに限るとされています。ここでは病院などの場合6つの施設とカンファレンスの注意点についてみていきましょう。

病院および診療所の場合は?

診療報酬の算定方法別表第一医科診療報酬点数表の退院時共同指導料2の注3の要件を満たすものとされています。また退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士などが参加するものと定められています。

介護老人福祉施設の場合は?

指定介護老人福祉施設の人員や設備及び運営に関する基準第7条第6項及び第7項に基づいて、入所者への援助及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたって実施された場合の会議のことを指します。ただし基準第2条に掲げる介護老人福祉施設に置くべき事業者及び入所者又はその家族が参加するものに限るとされています。その他に退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士なども参加することと決められています。

介護老人保健施設の場合は?

介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第8条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供等を行うにあたって実施される場合の会議のことを指します。ただし基準第2項に掲げる介護老人保健施設に置くべき従業員及び入所者又はその家族が参加するものに限ります。
また退所後福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士などが参加するものともされています。

介護療養型医療施設の場合は?

健康保険等の一部を改正する法律附則第130条の2第1項規定によりなおその効力を有するとされた指定介護療養型医療施設の人員、設備及び運営に関する基準第9条第5項に基づき、患者に対する指導及び居宅介護支援事業者に対する情報提供を行うにあたり実施される会議のことを指します。ただし基準第2項に掲げる介護療養型医療施設に置くべき従業員及び患者又はその家族が参加するものに限ります。また退院後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士などが参加することとも定められています。

介護医療院の場合は?

介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準第12条第6項に基づき、入所者への指導及び居宅介護支援事業所に対する情報提供を行うにあたって実施された場合の会議のことを指します。また退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は必要に応じ、福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士などが参加することも決められています。

地域密着型介護老人福祉施設の場合は?

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準第134条第6項及び第7項に基づき、入所者への援助及び居宅介護支援事業者への情報提供を行うにあたって実施された会議のことを指します。ただし基準第131条第1項に掲げる地域密着型介護老人福祉施設に置くべき従業員及び入所者又はその家族が参加するものに限ります。また退所後に福祉用具の貸与が見込まれる場合は、必要に応じて福祉用具専門相談員や居宅サービスを提供する作業療法士などの参加も規定されています。

カンファレンスを行うにあたっての注意点は?

注意点として次のものがあげられます。

  • 同一日に必要な情報提供を複数回受けた場合やカンファレンスに参加したとしても、1回としてカウントされる
  • 初回加算を算定する場合は算定不可
  • 介護老人福祉施設などの場合、在宅・入所相互利用加算を算定する場合は算定不可
  • カンファレンス参加の場合、日時、開催場所、出席者、内容の要点等について、居宅サービス計画等に記録し、利用者やその家族に提供した文書の写しを添付する必要がある

以上4点が注意点ですので、しっかりと把握しておきましょう。

退院退所加算の算定における注意点

退院退所加算の算定における注意点は5つあります。

  1. 利用者や家族が参加する医療機関等の職員との面談において、テレビ電話などを活用する場合、その利用を利用者や家族から同意を得る必要がある
  2. テレビ電話を活用する場合は個人情報保護委員会・厚生労働省が定めるガイダンスやガイドラインを遵守することが求められる
  3. 同一日に必要に応じて複数回情報提供を受けた場合やカンファレンスに参加した場合は1回として算定される
  4. 原属として退院・退所前に情報を得ることが望ましいが、退院後7日以内に情報を得た場合でも算定できる
  5. カンファレンスに参加した場合、日時や開催場所などを居宅サービス計画書などに記録し、利用者や家族に提供した文書の写しを添付する必要がある

ここにあげた注意点を元に退院退所加算の算定を受けるようにしていきましょう。

退院退所加算の算定手順は?

退院退所加算を算定するまでには次の流れがあります。

  1. 医療機関・介護施設などから退院又は退所の連絡を受ける
  2. 情報提供のために面談のスケジュールを組む※面談時にはテレビ電話等を利用するかを確認すること
  3. 情報提供のために面談を行う(カンファレンス・カンファレンス以外)
  4. ケアプランの作成、居宅サービスなどの調整を行う
  5. 利用者が退院・退所をすることで居宅サービス等の利用が開始される
  6. 退院退所加算の算定を行う

退院退所加算はこのような流れのもと、加算を行っていきます。

退院退所加算に関するQ&A

ここでは退院退所加算に関する主なQ&Aを紹介します。ここの項目を参考にし、疑問点を解消していきましょう。

「初回加算」と「退院退所加算」は両方同時に算定してよいのか?

結論から言うと、両方同時に算定はできません。

しかし初回加算と退院退所加算のどちらを優先するべきかという規定もありません。そのためそれぞれ要件を満たしている場合は、事業所がどちらを算定するか選択することができます。

カンファレンスに関する提供文章の具体例は?

具体例としてカンファレンスにかかる会議の概要や開催概要などが挙げられます。なおカンファレンスに参加した場合の記録については、居宅介護支援経過のほかにもサービス担当者会議の要点を活用することも可能です。

退院退所加算の評価対象となるカンファレンスの具体的な想定参加者は?

退所施設からの参加者として当該施設に配置されている介護支援専門員や生活相談員、支援相談員など利用者の心身の状況や置かれている環境を把握し、居宅介護支援事業者の介護支援相談員に必要な情報提供が行える人を想定しています。

病院に入院・退院し、その後老健に入所・退所した場合の算定方法は?

退院退所加算は入院又は入所期間中に3回まで算定可能です。ただし3回算定できるのは、そのうち1回についてカンファレンスに参加し、在宅での療養上必要な説明を行ったうえで居宅サービス計画を作成した場合に限ります。

「居宅サービス計画等」はどのような書類を指すの?

居宅サービス計画について、「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の指示について」において標準例として様式を示しているものもあります。しかし、当該様式の中であれば第5表の「居宅介護支援経過」の部分が想定されます。そのためそれ以外であれば内容を満たすメモ等であったとしての可能です。

まとめ

退院退所加算は「医療機関を退院」「介護施設等を退所」などで自宅に戻って在宅生活を送る利用者について入院中や入所中の情報提供を受けることで、介護サービスの調整等を評価する加算として設けられます。

カンファレンスに参加など規定はありますが、受けられる加算として重要なものです。この記事を参考に、退院退所加算を検討してみてはいかがでしょうか。

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