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口腔連携強化加算

【2024年改定対応】口腔連携強化加算とは?算定要件や必要な準備について解説

2024-03-29

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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2024年の介護報酬改定で新設されたは、口腔連携強化加算は、介護事業所と歯科医院との連携を強化することを目的とした加算です。

口腔連携強化加算の取得に向けて、算定要件や算定単位数などを詳しく知りたい介護施設経営者も多いのではないでしょうか。

この記事では、口腔連携強化加算の算定要件や単位数について詳しく解説します。また、この記事を読むことで、加算取得に向けて今からできることもわかります。

口腔連携強化加算とは?

訪問看護における口腔連携強化加算とは、歯科専門職と連携し口腔衛生状態や口腔機能の評価をおこない、歯科医療機関やケアマネジャーへ情報提供をすることで算定できる加算です。
算定回数は月に1回までとなっています。

口腔連携強化加算の算定要件

厚生労働省の資料「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」によると、口腔連携強化加算の算定要件として、2つの事項が示されています。

【口腔連携強化加算の算定要件】

  • 口腔の健康状態の評価を看護師等が実施した利用者の同意を得て歯科医療機関とケアマネジャーに口腔の健康状態の評価結果の情報を提供していること

  • 診療報酬の「歯科点数表区分番号C000」に記載の「歯科訪問診療料の算定の実績」がある歯科医療機関の歯科医師または歯科医師の指示を受けた歯科衛生士が、訪問看護事業所の職員からの相談等に対応する体制を確保し、その旨を文書等で取り決めていること

  • 次のいずれにも該当しないこと

    • 他の介護事業所が同一利用者に対して、口腔・栄養スクリーニング加算を算定している(栄養状態のスクリーニングをおこない、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)を算定している場合を除く)

    • 指定居宅療養管理指導事業所が歯科医師、歯科衛生士がおこなう居宅療養管理指導費を算定している(初回の居宅療養管理指導をおこなった月を除く)

    • 他の介護事業所が同一利用者に対して口腔連携強化加算を算定している

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」

口腔連携強化加算の算定要件には「情報提供」と「相談体制の確保」という2つのポイントがあります。

情報提供

歯科医療機関やケアマネジャーに対する情報提供を実施することが求められます。情報提供をする際には、施設の職員が口腔の健康状態を評価する必要があるため、評価方法や記録方法などを理解しておくことが重要です。

2024年3月時点では、情報提供の頻度や回数に関する詳しい情報が開示されていません。今後、詳細な情報が公開される可能性はあるため、厚生労働省の最新情報に注意しておきましょう。

相談体制の確保のポイント

必要に応じて相談できる歯科医療機関と連携することが求められています。ただ連携するだけでなく、具体的な連携内容を示した文書を取り交わす必要がある点には注意しましょう。

口腔連携強化加算を算定できる施設

厚生労働省の資料「令和6年度介護報酬改定の主な事項について」では、口腔連携強化加算を算定できる対象施設として以下の6施設が記載されています。

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • 訪問リハビリテーション
  • 短期入所生活介護
  • 短期入所療養介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護

口腔連携強化加算の単位数

口腔連携強化加算の単位数:50単位/回

利用者の同意を得た後に、歯科医療機関やケアマネージャーに口腔の健康状態を評価した情報を提供することで、1人につき1ヵ月に1回算定できます。

口腔連携強化加算の評価に関する留意点

口腔連携強化加算を算定するためには、事業所で利用者の口腔の健康状態について評価する必要があります。

厚生労働省の資料「介護保険最新情報vol.1217リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」では、事業所で実施する評価内容として以下の10項目が挙げられています。

  1. 開口
  2. 歯の汚れ
  3. 舌の汚れ
  4. 歯肉の腫れ、出血
  5. 左右両方の奥歯でしっかりかみしめられる
  6. むせ
  7. ぶくぶくうがい
  8. 食物のため込み、残留
  9. その他
  10. 歯科医師等による口腔内等の確認の必要性

上記の10項目のうち「その他」以外の項目は2つの選択肢から選ぶ方式になっているため、比較的容易に評価を実施できます。

評価内容を記載する様式は、別紙様式6(訪問系)と別紙様式11(施設系)があり、それらの書類を連携先の歯科医療機関やケアマネジャーに提出することで連携強化を図ります。様式は厚生労働省の公式サイトからダウンロード可能です。

口腔連携強化加算の算定に向けての準備は?

今後、口腔連携強化加算の算定を検討している場合、今から準備を進めていくことでスムーズに加算を算定できます。ここでは、口腔連携強化加算の算定に向けて準備すべきことについて詳しく解説します。

歯科医療機関と提携する

口腔連携強化加算を算定するためには、歯科医療機関と連携して、施設従業員からの相談等に対応してもらえる体制を構築しておく必要があります。そのため、口腔連携強化加算の算定に向けて、提携できる歯科医療機関を探しておくとよいでしょう。

2023年3月時点では、提携先となる歯科医療機関の条件として「歯科点数表区分番号C000に掲げる歯科訪問診療料の算定実績がある歯科医療機関」という内容が含まれています。

周辺の歯科医療機関の中で、訪問診療を行っている歯科医院を探し、連携できないか相談するとよいでしょう。ただし、連携する際には必ず文書で提携内容を残し、施設の従業員からの相談に対応してもらえる旨を記載することも必要です。

口腔機能評価を実施する準備を始める

口腔連携強化加算を算定するためには、事業所内で職員が口腔機能評価を実施する必要があります。口腔の健康評価を実施していない事業所は、早めに口腔機能評価を始めておくとよいでしょう。

また、厚生労働省では実際に口腔連携強化加算で使用する評価用紙も公開しています。それらの用紙を使って、算定する前から実際に利用者の口腔評価を実践していくのもよいでしょう。

加算を算定する前から口腔評価を実践していることで、スムーズに口腔連携強化加算を算定できます。特に、口腔に関する専門知識を持った職員が少ない施設では、口腔の健康管理に関する勉強会を開催するのもおすすめです。

まとめ:施設内外で準備を進めて口腔連携強化加算を算定しよう

口腔連携強化加算とは、介護施設と歯科医療機関との連携を強化するため、2024年介護報酬改定で新設される加算です。

口腔連携強化加算を算定するためには、事業所の職員が口腔の健康に関する評価を実施することと、事業所職員が相談できる歯科医療機関と提携する必要があります。

それらの算定要件を満たすためには、施設内では実際に口腔機能評価を始めて、施設外では提携先の歯科医療機関を探すことから始めるとよいでしょう。スムーズに口腔連携強化加算を算定するため、加算取得の前に事業所内外で準備を進めることをおすすめします。

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