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再入所時栄養連携加算

再入所時栄養連携加算とは?算定要件や介護報酬改定の変更点を詳しく解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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近年の介護業界では今まで以上に栄養状態が重要視されています。その象徴として、2024年度の介護報酬改定はリハビリテーション・口腔・栄養が重点項目の1つとなりました。

しかし、その一方で施設などの入所者が医療機関に入院し、退院後に施設に再入所した場合、初回の入所時との栄養状態が大きく異なるという問題が生じています。

今回は、施設への再入所の際に少しでも栄養状態を低下させない目的で設けられた、医療・介護との連携加算である「再入所時栄養連携加算」について算定要件や介護報酬改定の変更点など詳しく解説します。ぜひ最後までお読みください。

再入所時栄養連携加算とは

入所者が医療機関に入院し、退院後に施設に再入所した場合、初回の入所時との栄養ケア計画の作成とは大きく異なることがあります。そのため、施設への再入所の際に少しでも栄養状態を低下させないことを目的に、施設の管理栄養士と病院の管理栄養士が、連携して栄養ケア計画を作成した場合に算定できる加算のことを「再入所時栄養連携加算」といいます。

この「再入所時栄養連携加算」は2018年度の介護報酬改定時に新しく創設されました。創設された理由として、医療施設の管理栄養士と介護施設の管理栄養士の連携が不十分なことが背景にあります。

2017年6月に厚生労働省が発表した「第153回 社会保障審議会(介護給付費分科会)」に記載されている栄養管理に関するアンケート結果によると、介護施設の管理栄養士が医療施設の管理栄養士と相談が必要と「よく思う」「時々思う」と回答した割合は85.1%と高めになっているにもかかわらず、実際に栄養管理に関する相談を「よくする」「時々する」と答えた施設は42.3%でした。

さらに、施設から医療施設に入院し、再度自施設に入所した利用者が1名以上いた施設の割合は97.7%、以前の入所時と比べて高度な栄養管理が必要となった再入所者が1名以上いた施設の割合は77.2%など多くの問題が指摘されました。

これらの問題から医療・介護での栄養部門の連携をより積極的に行い、利用者の栄養状態を少しでも低下させないことを目的にこの加算が創設されています。

再入所時栄養連携加算の対象事業者

再入所時栄養連携加算が取得できる施設形態は下記の通りです。

形態施設名
施設サービス介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
介護老人保健施設
介護医療院
地域密着型サービス地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

再入所時栄養連携加算の算定要件と加算単位数は?

再入所時栄養連携加算は、1人につき1回を限度に200単位加算され、「厚生労働大臣が定める特別食等を必要とする者」が対象者となっています。

なお、この特別食について厚生労働省は下記のように定義しています。

疾病治療の直接手段として、医師の発行する食事箋に基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する腎臓病食、 肝臓病食、糖尿病食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓病食、脂質異常症食、痛風食、嚥下困難者のための流動食、経管栄養のための濃厚流動食及び特別な場合の検査食(単なる流動食及び軟食を除く。)

引用:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

以前までは「二次入所において必要となる栄養管理が、一次入所の際に必要としていた栄養管理とは大きく異なる利用者」が対象者でしたが、2024年度の介護報酬改定で、栄養管理を必要とする利用者に切れ目なくサービスを提供する観点から、医療機関から介護保険施設への再入所者であって、特別食等などを提供する必要がある利用者が対象者として加えられました。

算定要件は、栄養に関する指導又はカンファレンスに同席し、医療機関の管理栄養士と連携して、二次入所後の栄養ケア計画を作成することで加算を算定できます。なお、カンファレンスの同席は、利用者・家族などの同意を得られればテレビ電話装置などのICTを活用して行うことも可能となりました。

再入所時栄養連携加算の算定率は?

再入所時栄養連携加算を算定している施設は下記からも少数であることがわかります。

形態施設名算定率
施設サービス介護老人福祉施設0.46%
介護老人保健施設0.90%
介護医療院0.10%
地域密着型サービス地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護0.24%

どの施設も算定率が1%以下のことからも、今まで以上に医療・介護の連携を密に行い、再入所時栄養連携加算を取得する重要性がわかります。

参考:厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)」(介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護)
   厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)」(介護老人保健施設)
   厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会(第221回)」(介護医療院)

2024年度の介護報酬改定はリハビリテーション・口腔・栄養が重点項目の1つ

2024年度の介護報酬改定は下記の4つのポイントで構成されています。

  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
  3. 良質な介護サービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保

この4つの項目で「2.自立支援・重度化防止に向けた対応」の中身が「高齢者の自立支援・重度化防止という制度の趣旨に沿い、多職種連携やデータの活用等を推進」することとなっており、その1つとして「リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的取組等」という項目が明記されました。

今まではリハビリテーション・口腔管理・栄養は1つずつの項目としてみられていましたが、リハビリ、栄養、口腔の取組は一体となって運用されることで、肺炎発症を減少できるなど、より効果的な自立支援・重度化予防につながることが期待できるため重点項目の1つとなりました。

今後、国内は高齢化が今まで以上に進み、2025年には65歳以上が30.3%で約3人に1人、75歳以上が18.1%で約5人に1人になるだけでなく、その割合は年々増加し、2055年には65歳以上が39.4%、75歳以上が26.1%になると厚生労働省が予測しています。

さらに高齢化に伴い、要介護度の人数も増加しており、2020年度の要介護(要支援)認定者数は約682万人であり、2035年まで増加し続け、2040年には988万人に達すると予想されています。

これらの予測からも今回の改定だけでなく、リハビリテーション・機能訓練、口腔、栄養の一体的な取組は今後も重要な項目であることがわかります。

参考:厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」
   厚生労働省「令和2年度 介護保険事業状況報告(年報)」
   内閣府「第1章 高齢化の状況(第1節6(1))」

まとめ:今まで以上に栄養の重要性は高くなる

近年の介護業界では、高齢者の健康維持と生活の質の向上を目的に栄養管理の重要性が高くなっていますが、その傾向は高齢化が進む国内ではよりその傾向は高まります。

しかし、現在は施設などの入所者が医療機関に入院し、退院後に施設に再入所した場合、初回の入所時との栄養状態が大きく異なるという問題が生じている一方で、適切な栄養状態の評価を行えば、肺炎発症を減少できるなど多くの良い効果があることがわかっています。

そのため、再入所時栄養連携加算の積極的な加算算定が重要になります。現在は全ての施設で算定率が1%以下と低い算定率ですが、今回の記事をきっかけに事業所での算定をぜひ一度検討しましょう。

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