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【2024年改定対応】認知症専門ケア加算とは?算定要件と必要な研修について徹底解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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認知症の高齢者は増加傾向にあり、厚生労働省が発表した「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」では、2012年に462万人だったのに対し、2025年には730万人まで大幅に増加すると推測されています。

こうした背景から、認知症の知識が豊富で適切な対応ができるスタッフを配置している介護事業所を評価するため、認知症専門ケア加算が設置されました。今回は、認知症専門ケア加算が算定される要件や必要な研修について詳しく解説します。

2024年の介護報酬改定で認知症専門ケア加算が見直しに!気になる変更点は?

認知症専門ケア加算について、認知症高齢者の重症化の緩和や日常生活自立度Ⅱの者に対して適切に認知症の専門的ケアを行うことを評価する観点から、利用者の受入れに関する要件を見直しが行われる見込みです。

主な変更の対象となる介護サービスは以下です。

  • 訪問介護
  • 訪問入浴介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 夜間対応型訪問介護

改定後の報酬区分や算定要件については、本記事内にて解説しているのであわせてご確認ください。

また、2024年の介護報酬改定について情報を得たい方は以下の記事もあわせてご確認ください。

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【2024年介護報酬改定】改定ポイントまとめ|最新情報を元に一覧で徹底解説

認知症専門ケア加算とは

認知症専門ケア加算は、認知症のケアができるスタッフを配置している介護サービスの事業所が算定できるものです。スタッフは介護経験があり、自治体や国に指定された専門的な研修を受けているなど定められた要件を満たしている必要があります。

認知症専門ケア加算の対象となる介護サービス

以下の介護サービスは、加算の対象です。

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 介護療養型医療施設
  • 介護医療院
  • 短期入所生活介護短期入所療養介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 認知症対応型共同生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

認知症専門ケア加算の介護サービス別単位数

加算で算定される単位数は、以下の通りです。

加算区分単位数(1日あたり)
認知症専門ケア加算(Ⅰ)3単位
認知症専門ケア加算(Ⅱ)4単位

認知症専門ケア加算の算定要件

認知症専門ケア加算(I)と(II)の2つの要件があり、それぞれを満たしている必要があります。詳しく見ていきましょう。

以下で紹介する加算率や算定要件は、2024年4月1日施行予定の介護報酬改定による変更点を反映したものになります。
現行の算定要件と異なる場合がございますのでご注意ください。
また2024年4月1日の介護報酬改定に伴う変更点は赤字で記載を行っています。

認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件

認知症専門ケア加算(Ⅰ)の算定要件は、以下の4点です。

  • 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が利用者の2分の1以上
  • 認知症介護実践リーダー研修等修了者を認知症高齢者の日常生活自立度以上の者が20人未満の場合は1以上、 20人以上の場合は1に、当該対象者の数が19を超えて10又は端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置
  • 認知症高齢者の日常生活自立度以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
  • 当該事業所の従業者に対して、認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催

認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件

認知症専門ケア加算(Ⅱ)の算定要件は、以下の5点です。

  • 認知症専門ケア加算(Ⅰ)のイ・エの要件を満たすこと
  • 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者が利用者の100分の20以上
  • 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の者に対して、専門的な認知症ケアを実施した場合
  • 認知症介護指導者研修修了者を1名以上配置し、事業所全体の認知症ケアの指導等を実施
  • 介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、研修を実施又は実施を予定

認知症専門ケアに関する専門的な研修とは?

認知症専門ケアに関する専門的な研修とは、以下の3つの研修を指します。

  1. 認知症介護実践リーダー研修
  2. 認知症介護指導者養成研修
  3. 認知症看護に関する適切な研修

詳しい内容を解説します。

1.認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践リーダー研修では、講義と演習、実習(他施設と自施設)を行います。

  • 講義と演習 8~10日間ほど
  • 他施設での実習 複数の実習先から1ヶ所を選ぶ(3~5日間ほどの実習)
  • 自施設での実習 利用者への対応を自ら設定し、課題に取り組む(4週間の実習)

自施設で課題に取り組むことで、日常的な介護にすぐに活かせる実践的な学びが得られます。

2.認知症介護指導者養成研修

認知症介護指導者の養成研修では、施設で実際に研修の企画や立案をします。専門的な知識や技術を持った指導者としての活躍が目的です。実際に研修の企画を考えるなど、実践的に学んで指導者としての学びを深めます。

そのため、認知症対応施設での管理者クラスに向けての指導や、認知症介護実践者研修等の講師を行えるようになります。

3.認知症看護に関する適切な研修

下記の課程や研修を終えている看護師は、認知症看護に関する必要な研修を受けたとみなされます。したがって、加算の算定要件に含まれます。

  • 日本看護協会認定看護師教育課程「認知症看護」の研修
  • 日本看護協会認定の看護大学院にて専門看護師教育課程「老人看護」および「精神看護」
  • 日本精神科看護協会が認定している「精神科認定看護師」

認知症専門ケア加算に関するQ&A

認知症専門ケア加算に関するよくあるQ&Aをまとめました。

配置するスタッフは、専門的な研修を受ける他に常勤等の条件がありますか?

常勤等の条件はありません。

しかし、加算される要件を満たすために行う認知症介護に関する研修を事業所内で実施しなければなりません。そのためには、加算対象の事業所のスタッフであることが必要なので注意してください。

算定するためには認知症介護実践リーダー研修を受けた者に加えて、認知症介護指導者養成研修を受けた者の配置も必要ですか?

必要ありません。

「認知症介護指導者養成研修」と「認知症介護実践リーダー研修」の両方を受けた者、もしくは「認知症看護に関する適切な研修」を受けた者が該当します。どちらか1名を配置すると、加算の対象者が20名未満の場合は、認知症専門ケア加算(Ⅱ)を算定できます。

研修を受けた者であれば、管理者でも認知症介護指導者に該当しますか?

職務や資格等については問われません。認知症の介護指導者研修を受けて、事業所にて認知症ケアの実施を行っていることがポイントです。

まとめ

今回は、認知症専門ケア加算について算定のための要件や必要な研修などをまとめてご紹介しました。

認知症の高齢者は年々増加しているので、これからの時代はますます質の高い認知症ケアが医療や介護の現場で必要とされるようになります。

事業所全体で質の高いケアを行うためには、認知症を正しく理解しているスタッフの配置を積極的に行うことと、介護スタッフの育成や指導をすることが大切です。

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについて、わかりやすくまとめました。
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