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居宅介護支援の特定事業所加算とは?

【2024年改定対応】居宅介護支援の特定事業所加算とは?算定要件や注意点を解説

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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特定事業所加算は、質の高いケアマネジメントを提供する事業所を評価する加算です。事業所の収益をあげ、経営を安定させるためにも、経営者であれば取得を目指したい加算といえるでしょう。

今回は、居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について、区分ごとに解説します。

なお、
訪問介護の特定事業所加算についてはこちらの記事を参考にしてください。

関連記事

【2024年改定対応】訪問介護の特定事業所加算とは?メリットや算定要件を解説

介護報酬改定で居宅介護の特定事業所加算が見直しに!変更のポイントは?

居宅介護支援の特定事業所加算は、2024年の介護報酬改定にて単位数や算定要件に見直しが行われる予定です。見直しのポイントは以下となります。

  • 多様化・複雑化する課題に対応するため「特定のテーマに関する事例検討会・研修などに参加していること」が算定要件に追加
  • 介護支援専門員の専任要件について、介護予防支援や総合相談支援事業を行う場合に兼務が可能であることを明確化
  • 運営基準減算に関わる算定要件を削除
  • 介護支援専門員が取り扱う1人当たりの利用者数に関する算定要件を見直し

詳細な変更点については本記事内にて解説しているので参考にしてください。

また、2024年の介護報酬改定について情報を得たい方は以下の記事もあわせてご確認ください。

関連記事

【2024年介護報酬改定】改定ポイントまとめ|最新情報を元に一覧で徹底解説

特定事業所加算とは

特定事業所加算とは、一定の条件を満たして質の高い介護サービスを提供している介護事業所を評価する制度のことです。介護保険法に基づき、訪問介護サービスと居宅介護支援にて適用されています。

特定事業所加算を取得している事業所には、要件の達成区分に応じて手当が支払われます。より多くの要件を満たしている事業所ほど、加算単位も大きくなり、手当として支給される額が大きくなるという仕組みです。

居宅介護支援における特定事業所加算の単位数・算定要件

以下で紹介する加算率や算定要件は、2024年4月1日施行予定の介護報酬改定による変更点を反映したものになります。
現行の算定要件と異なる場合がございますのでご注意ください。
また2024年4月1日の介護報酬改定に伴う変更点は赤字で記載を行っています。

居宅介護支援における特定事業所加算の単位数と算定要件は以下の通りです。 それぞれの加算を取得するためには、区分に応じた算定要件を満たすことが求められます。

加算区分単位数
特定事業所加算(Ⅰ)519
特定事業所加算(Ⅱ)421
特定事業所加算(Ⅲ)323
特定事業所加算(A)114

※単位数は1ヵ月あたり

特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件

ここからは加算区分別に算定要件を確認していきましょう。

居宅介護支援における特定事業所加算の4つの区分のうち、もっとも算定要件が厳しいのが、特定事業所加算(Ⅰ)です。取得が難しいからこそ、加算単位数も1ヵ月あたり519単位と、4つの区分の中でもっとも大きな手当が得られます。

特定事業所加算(Ⅰ)を取得するためには、次の13の要件を満たしていることが求められます。

  1. 専ら指定居宅介護支援の提供に当たる常勤の主任介護支援専門員を2名以上配置していること*¹
  2. 専ら指定居宅介護支援の提供に当たる常勤の介護支援専門員を3名以上配置していること*¹
  3. 利用者に関する情報又はサービス提供に当たっての留意事項に係る伝達等を目的とした会議を定期的に開催すること
  4. 24時間連絡できる体制を確保し、かつ、必要に応じて利用者等の相談に対応する体制を確保していること
  5. 算定日が属する月の利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護3、要介護4及び要介護5である者の占める割合が100分の40以上であること
  6. 当該指定居宅介護支援事業所における介護支援専門員に対し、計画的に研修を実施していること
  7. 地域包括支援センターから支援が困難な事例を紹介された場合においても、当該支援が困難な事例に係る者に指定居宅介護支援を提供していること
  8. 家族に対する介護等を日常的に行っている児童や、障害者、生活困窮者、難病患者等、高齢者以外の対象者への支援に関する知識等に関する事例検討会、研修等に参加していること
  9. 居宅介護支援費に係る特定事業所集中減算の適用を受けていないこと*²
  10. 指定居宅介護支援事業所において指定居宅介護支援の提供を受ける利用者数が当該指定居宅介護支援事業所の介護支援専門員1人当たり45名未満満(居宅介護支援費(Ⅱ)を算定している場合は50名未満)であること
  11. 介護支援専門員実務研修における科目「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」等に協力又は協力体制を確保していること*³
  12. 他の法人が運営する指定居宅介護支援事業者と共同で事例検討会、研修会等を実施していること
  13. 必要に応じて、多様な主体により提供される利用者の日常生活全般を支援するサービス(介護給付等対象サービス以外の保健医療サービス又は福祉サービス、当該地域の住民による自発的な活動によるサービス等をいう)が包括的に提供されるような居宅サービス計画を作成していること

*¹:利用者に対する指定居宅介護支援の提供に支障がない場合は、当該指定居宅介護支援事業所の他の職務と兼務をし、又は同一敷地内にある他の事業所の職務と兼務をしても差し支えない
*²:運営基準減算に関する記述が削除(2024年4月1日以降)
*³:平成28年度の介護支援専門員実務研修受講試験の合格発表の日から適用

実務経験や知識の豊富な人材を揃えているのみならず、より介護度の高い利用者にも積極的に介護サービスを提供しているかどうかが大きな評価ポイントとなっていることがうかがえます。

特定事業所加算(Ⅱ)の算定要件

特定事業所加算(Ⅱ)を取得するためには、特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件のうち要件5を除く12の要件を満たしていることが必要です。

ただし、要件1における主任介護支援専門員の配置人数は1名以上となり要件が緩和されています。この点において特定事業所加算
(Ⅰ)よりは要件を達成しやすいといえるでしょう。

特定事業所加算(Ⅲ)の算定要件

特定事業所加算(Ⅲ)を取得するためにも、特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件のうち要件5を除く12の要件を満たしていることが必要です。

ただし、要件1における主任介護支援専門員の配置人数は1名以上、要件2における介護支援専門員の配置人数は2名以上となり要件が緩和されています。

特定事業所加算(A)の算定要件

特定事業所加算(A)は、2021年4月の介護報酬改正により新設された新しい区分です。特定事業所加算(A)の取得によって加算される単位数は1ヵ月あたり114単位と、ほかの3つの区分と比較して大きくはありません。しかし、そのぶん取得しやすい要件が設けられています。

特定事業所加算(A)を取得するためにも、特定事業所加算(Ⅰ)の算定要件のうち要件5を除く12の要件を満たしていることが必要です。ただし、このうち要件4・6・11・12についてはほか
の事業所と連携することにより要件を満たすことが可能となります。また、要件1における主任介護支援専門員の配置人数は1名以上、要件2における介護支援専門員の配置人数は常勤・非常勤がそれぞれ1名以上となり要件が緩和されています。

特定事業所加算(A)の区分が新たに設けられた背景には、小規模な事業所でも特定事業所加算を取得しやすくすることで、地域の介護サービスの質を向上させていきたいという厚生労働省のねらいがあります。特定事業所加算(A)を取得することで、事業所間で協力して地域の介護課題に向き合うきっかけにもなるでしょう。

居宅介護支援における特定事業所加算を取得する際の注意点

    特定事業所加算を取得し、実際に加算を得るには、各市区町村に届出を行い承認を得ることが必要です。この際、介護支援相談員の在籍状況や、1年間の会議の予定表、直近3ヵ月の介護給付費請求書など、各要件を満たしていることを示す根拠書類の提出が求められます。必要となる根拠書類の内容やフォーマットは市区町村によって異なるため、各自治体のWebサイトなどで確認するようにしてください。 

    なお、特定事業所加算(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)・(A)を併せて算定することはできません。また、年度の途中であっても算定要件を満たさなくなった場合などは変更の手続きが必要です。

    まとめ

    居宅介護支援における特定事業所加算の算定要件について解説しました。

    特定事業所加算の取得によって収益が増えれば、職員の給料へ反映させたり設備を新しくしたりなど、自由に使える資金も増えます。結果として人材の定着につながり、経営の改善も期待できます。また、利用者からより信頼を得られるのも大きなメリットです。とくに2021年に新設された特定事業所加算(A)は、小規模な事業所でも取得しやすくなっているため、算定要件を確認のうえ取得を検討してみてください。

    お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

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