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振替加算とは?対象者や金額、手続き方法について徹底解説!

2023-02-16

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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年金は国民に広く知られている制度ですが、振替加算という制度を知らない方は多いのではないでしょうか。

厚生年金保険の加入者が年金を受け取る年齢になった時点で、家族構成や年齢など一定の条件を満たしている場合、振替加算の制度によって通常より多くの年金が支給されます。

ただし、手続きや届出を行わないと振替加算を受給できない場合もあるので注意が必要です。

本記事では、振替加算の概要や対象者、届出が必要になるケースを中心に解説していきます。

振替加算とは

厚生年金保険に20年以上加入している夫(妻)が65歳になった時点で65歳未満の配偶者を扶養している場合、夫(妻)には通常の老齢厚生年金に加えて加給年金が支給されます。

しかし、加給年金の対象となる妻(夫)が65歳になった時点で加給年金の支給は停止されます。

その代わり、65歳になった妻(夫)に老齢基礎年金が支給される際に、一定の基準によって決められた金額が加算されます。

これが振替加算と呼ばれる制度です。

振替加算の金額は生年月日によって変わりますが、生涯受け取ることができる年金です。

振替加算の対象者

振替加算の対象となるのは、振替加算の対象になる妻(夫)が老齢基礎年金を受け取れる満65歳に到達した時点で、扶養者である夫(妻)の加給年金の対象となっており、さらに一定の条件を満たしている方です。

定められた条件について、以下にまとめました。

・生年月日が大正15年(1926年)4月2日~昭和41年(1966年)4月1日までであること

・老齢基礎年金以外に老齢厚生年金や退職共済年金を受給している場合、厚生年金保険や共済組合などの加入期間が合計20年未満であること

・共済組合などの加入期間を除き、35歳以降(夫は40歳以降)の厚生年金の加入期間が以下の表未満であること

生年月日

加入期間

昭和22年4月1日以前

180月(15年)

昭和22年4月2日~昭和23年4月1日

192月(16年)

昭和23年4月2日~昭和24年4月1日

204月(17年)

昭和24年4月2日~昭和25年4月1日

216月(18年)

昭和25年4月2日~昭和26年4月1日

228月(19年)

参考:日本年金機構

振替加算の対象とならない配偶者

振替加算は支給要件に該当しない方には支給されないため、事前に確認しておくことが大切です。

振替加算の対象とならない場合は以下の通りです。

・扶養者である夫(妻)の厚生年金・共済年金の加入期間が20年未満の場合

・夫(妻)の厚生年金・共済年金の加入期間が20年以上であっても、配偶者の妻(夫)も厚生年金・共済年金に20年以上加入している場合

・配偶者の妻(夫)が一定額以上の厚生年金を受給している場合

・夫婦どちらかの年齢が65歳未満の場合

振替加算の対象となるには、扶養者である夫(妻)の加給年金の対象となっていることが要件の1つです。

しかし、配偶者の妻(夫)が年上で加給年金の対象から外れている場合は、届出を行うことで振替加算を受給できることがあります。

振替加算の金額

振替加算の金額は、生年月日によって変わります。

昭和61年(1986年)4月1日に59歳以上の方が受給できるのは、加給年金と同額です。

それ以降は年齢が低くなるごとに減額していき、昭和61年(1986年)4月1日の時点で19歳以下の方はゼロとなるよう定められています。

それぞれの生年月日で受給できる金額について以下にまとめました。

生年月日

年額

生年月日

年額

~昭和2年4月1日

22万3,800円

昭和20年4月2日~昭和21年4月1日

11万333円

昭和2年4月2日~昭和3年4月1日

21万7,757円

昭和21年4月2日~昭和22年4月1日

10万4,515円

昭和3年4月2日~昭和4年4月1日

21万1,939円

昭和22年4月2日~昭和23年4月1日

9万8,472円

昭和4年4月2日~昭和5年4月1日

20万5,896円

昭和23年4月2日~昭和24年4月1日

9万2,429円

昭和5年4月2日~昭和6年4月1日

19万9,853円

昭和24年4月2日~昭和25年4月1日

8万6,611円

昭和6年4月2日~昭和7年4月1日

19万4,035円

昭和25年4月2日~昭和26年4月1日

8万568円

昭和7年4月2日~昭和8年4月1日

18万7,992円

昭和26年4月2日~昭和27年4月1日

7万4,525円

昭和8年4月2日~昭和9年4月1日

18万1,949円

昭和27年4月2日~昭和28年4月1日

6万8,707円

昭和9年4月2日~昭和10年4月1日

17万6,131円

昭和28年4月2日~昭和29年4月1日

6万2,664円

昭和10年4月2日~昭和11年4月1日

17万88円

昭和29年4月2日~昭和30年4月1日

5万6,621円

昭和11年4月2日~昭和12年4月1日

16万4,045円

昭和30年4月2日~昭和31年4月1日

5万803円

昭和12年4月2日~昭和13年4月1日

15万8,227円

昭和31年4月2日~昭和32年4月1日

4万4,760円

昭和13年4月2日~昭和14年4月1日

15万2,184円

昭和32年4月2日~昭和33年4月1日

3万8,717円

昭和14年4月2日~昭和15年4月1日

14万6,141円

昭和33年4月2日~昭和34年4月1日

3万2,899円

昭和15年4月2日~昭和16年4月1日

14万323円

昭和34年4月2日~昭和35年4月1日

2万6,856円

昭和16年4月2日~昭和17年4月1日

13万4,280円

昭和35年4月2日~昭和36年4月1日

2万813円

昭和17年4月2日~昭和18年4月1日

12万8,237円

昭和36年4月2日~昭和41年4月1日

1万4,995円

昭和18年4月2日~昭和19年4月1日

12万2,419円

昭和41年4月2日~

昭和19年4月2日~昭和20年4月1日

11万6,376円

参考:日本年金機構

振替加算の手続き

振替加算を受給するためには、妻(夫)が年金を請求する際に、日本年金機構へ裁定請求書を提出する必要があります。

裁定請求書には、必ず以下の情報を記入する必要があります。

・扶養者である夫(妻)の年金証書の基礎年金番号と年金コード

・夫(妻)の氏名および生年月日

正確に記入されていない場合、振替加算が支給されないため注意しましょう。

振替加算の届け出が必要なケース

扶養者の夫(妻)より配偶者の妻(夫)が年下である場合、妻(夫)が65歳になった時点でほぼ自動的に振替加算が妻(夫)の年金に加算されます。

しかし、配偶者の妻(夫)が扶養者の夫(妻)よりも年上の場合は、届出を行わないと振替加算が支給されません。

定められた要件を満たしている年上の妻(夫)が振替加算を受給するためには、扶養者の夫(妻)が65歳になった時に、「国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届(様式222号)」を下記の必要書類と併せて年金事務所に提出する必要があります。

・戸籍謄本

・世帯全員の住民票

・妻自身の所得証明書

配偶者の妻(夫)が年上である場合はすでに老齢基礎年金が支給されているため、振替加算の届出を忘れてしまう可能性があります。

届出忘れを防ぐためにも、妻(夫)が老齢基礎年金の手続きを行う際に上記の必要書類を提出しておきましょう。

書類が提出されていると、振替加算が受給できる年齢になった際に年金事務所から手続きを促す通知と届出様式が郵送されるため、スムーズに手続きできます。

まとめ

振替加算は、知らないまま放置しておくと支給されない場合があるので注意が必要です。

しかし、正しく手続きや届出を行えば生涯受け取れる年金であるため、老後の生活を送るうえで大きな支えになります。

振替加算についてわからないことがある方は年金事務所に相談し、対象者である場合は確実に受け取れるようにしましょう。

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