「訪問介護はどんな仕事内容なの?」「訪問介護員の1日のスケジュールは?」
このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか。
訪問介護員(ホームヘルパー)の業務の幅はとても広いので、全ての仕事内容を把握することは難しいかと思います。
仕事内容がわかっても、具体的にどのような働き方をするのかイメージがつきにくいかと思います。
そこで、この記事では訪問介護員の仕事内容や、1日のスケジュールなどを表にして、それぞれについて詳しく解説しています。
訪問介護全体について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
【2022年最新版】訪問介護とは?サービス内容や受け方、費用についてご紹介!
目次
訪問介護員は介護を必要とする方の居宅に訪問し、私生活の援助を行う介護員を指します。
介護保険法に基づいた訪問介護を提供する者であり、ホームヘルパーとも言われています。
この訪問介護員になるためには「介護福祉士」「介護員養成研修修了者」「介護職員初任者研修修了者」などの資格を取得する必要があり、誰でもすぐにできる仕事ではありません。
身体介護とは、利用者の体に直接触れて、私生活の援助を行う業務になります。
具体的には食事介助、入浴介助、身体、身体整容、更衣介助、外出介助、体位変換、排泄介助、歩行介助、清拭などがあり、利用者によって行う業務の幅は異なってきます。
業務 | 内容 |
食事介助 | 調理・摂食・口腔ケアなど食事をとる際に行う支援 |
入浴介助 | 入浴の準備・全身又は部分浴など入浴の際に行う支援 |
身体整容 | 衣服の着脱・清拭など着替えの際に行う支援 |
更衣介助 | 衣服の着脱の際に行う支援 |
外出介助 | 通院などの必要な外出の際に行う支援 |
体位変換 | 寝返り介助など血行障害や床ずれを予防する際に行う支援 |
排泄介助 | トイレの介助・おむつ交換・着脱・始末など排せつの際に行う支援 |
歩行介助 | 歩行・車いすでの移動介助など一人での移動が難しい場合に行う支援 |
清拭 | 体を拭くなど入浴ができな場合に行う支援 |
また利用料金は所要時間によって異なります。
所要時間 | サービス料金 | 保険により給付される金額 | 利用者負担額 |
20 分以上 30 分未満 | 2,813円 | 2,532円 | 281円 |
30 分以上 1 時間未満 | 4,449円 | 4,004円 | 445円 |
1時間以上1時間30分 | 6,460円 | 5,814円 | 646円 |
1時間30分以上2時間 | 8,294円 | 7,465円 | 829円 |
2時間以上2時間30分 | 9,215円 | 8,293円 | 922円 |
生活援助とは、私生活での家事全般を援助する業務になります。
具体的には、掃除、ゴミ出し、アイロンがけ、洗濯、料理、買い物、ベットメイクなどがあり、利用者の生活スタイルによって業務内容は異なってきます。
業務 | 内容 |
掃除 | 家の掃除 |
ゴミ出し | 収集日に合わせてゴミ出し |
アイロンがけ | 衣類のアイロンがけ |
洗濯 | 衣類の洗濯・収納など |
料理 | 献立を考える、料理、片付けなど |
買い物 | 生活用品の買い出し代行 |
ベッドメイク | シーツの交換・布団の上げ下げなど |
また利用料金は所要時間や行うサービス、地域によって異なります。
所要時間 | サービス料金 | 保険により給付される金額 | 利用者負担額 |
20 分以上 45 分未満 | 2,094円 | 1,885円 | 209円 |
45 分未満 | 2,584円 | 2,326円 | 258円 |
身体介護と生活援助の両方を希望する方は以下のプランがあります。
所要時間 | サービス料金 | 保険により給付される金額 | 利用者負担額 |
身体30分 生活20分 | 3,584円 | 3,226円 | 358円 |
身体30分 生活45分 | 4,356円 | 3,920円 | 436円 |
身体30分 生活60分 | 5,127円 | 4,614円 | 513円 |
身体60分 生活20分 | 5,220円 | 4,698円 | 522円 |
身体60分 生活45分 | 5,992円 | 5,393円 | 599円 |
身体90分 生活20分 | 7,231円 | 6,508円 | 723円 |
身体90分 生活45分 | 8,003円 | 7,203円 | 800円 |
通院介護とは、病院や施設に通院している利用者さんの介助を行う業務になります。
具体的には、乗降介助、通勤前の準備、受診手続き、外出介助、見守り介助、屋内外の移動介助などがあり、利用する交通機関や通院場所などによって業務は異なります。
業務 | 内容 |
乗降介助 | 通院の際に利用者を病院まで送迎する |
通勤前の準備 | 通勤する前に必要なものの準備をする |
受診手続き | 病院の受付にて受診手続きを行う |
外出介助 | 交通機関を使う場合に乗降の介助、移送中の利用者の状態を見る |
見守り介助 | 利用者が心身状態や認知症の場合、常に見守りや介助 |
屋内外の移動介助 | 院外の移動時に必要な介助 |
訪問介護員にはできないこと、してはいけないこともあります。
例えば、医療行為はいくつかの条件をクリアしていなければ、法的に実施が認められていません。
また、生活援助の対象外となるしてはいけない行動もあるので、しっかりと確認しておきましょう。
具体的には、以下のようなものがあります。
医療行為に該当すること (してはいけないこと) | 摘便 |
インシュリン注射 | |
血糖値測定 | |
服薬の指示 | |
医療行為に該当しないこと (してもよいこと) | 体温計測 |
血圧測定 | |
軽傷への薬の塗布 | |
湿布を貼る | |
目薬をさす | |
坐薬を入れる | |
市販の浣腸をする | |
医師や薬剤師に処方された薬を飲ませる | |
人工肛門の管理補助 | |
導尿の補助作業 |
生活援助に該当すること (してもよいこと) | 掃除 |
ゴミ出し | |
アイロンがけ | |
洗濯 | |
料理 | |
買い物 | |
ベットメイク | |
生活援助に該当しないこと (してはいけないこと) | 利用者が使用する居室以外の掃除 |
来客の応接 | |
大掃除や庭掃除などの家事の範疇を超える掃除 | |
ペットの世話や金銭 | |
財産管理 |
さらに生活援助を行うには以下の条件があり、これらの条件を満たしていなければ、そもそも生活援助を行うことはできません。
生活援助を行うための条件 |
利用者が一人暮らしの場合 |
利用者の家族等が障害や疾病を持っている場合 |
家族等に障害や疾病がないが、やむを得ない事情よって家事が困難な場合 |
利用者に同居家族がいる場合でも、適切なアセスメントや介護支援専門員の課題抽出により、サービスを受けないと生活することが難しいと判断された場合は生活援助を受けることができます。
訪問介護は事業所によって多少スケジュールは変わるので、いくつかスケジュール例を紹介していきます。
本業で働く男性の例(正社員)
タイムスケジュール | 業務の内容 | 業務の詳細 |
7:30~8:30 | 家事 | ・朝食の準備 ・身支度 |
8:30~9:00 | 事業所に出勤 | ・事業所に出勤する ・当日の訪問者を確認する |
9:00~9:15 | Aさん宅に移動 | |
9:15~10:15 | 生活援助 | ・掃除 ・洗濯 ・食事の準備、片付け |
10:15~10:30 | Bさん宅に移動 | |
10:30~12:00 | 身体介護と通院介助 | ・排泄介助 ・食事介助 ・病院への送迎 |
12:00~12:30 | 事業所に戻る | |
12:30~13:30 | 休憩時間 | |
13:30~13:45 | Cさんの自宅に移動 | |
13:45~14:45 | 身体介護 | ・入浴介助 ・排泄介助 |
14:45~15:00 | Dさんの自宅に移動 | |
15:00~16:30 | 身体介護と生活援助 | ・買い物代行 ・洗濯 ・排泄介助 ・入浴介助 |
16:30~16:45 | 事業所に戻る | |
16:45~17:30 | 事務作業 | ・記録や報告、引き継ぎを行う |
17:30 | 退勤して帰宅 |
この方は本業で訪問介護を行っており、フルタイムで勤務しています。
専業主婦の女性の例(パート・アルバイト)
タイムスケジュール | 業務の内容 | 業務の詳細 |
8:00~9:45 | 家事 | ・朝食の準備 ・夫の見送り ・身支度 |
9:45 | Aさん宅に出勤 | |
10:00~11:00 | 生活援助 | ・トイレと浴室の清掃 ・昼食の準備 |
11:00~11:15 | Bさん宅に移動 | |
11:15~12:00 | 生活援助 | ・キッチンの清掃 ・洗濯 ・昼食の準備 |
12:00~14:00 | 自宅に戻る | ・昼食 ・家事 |
14:00~14:30 | Cさん宅に出勤 | |
14:30~16:00 | 身体介護と生活援助 | ・寝室の清掃 ・買い出し ・排泄介護 ・入浴介護 |
16:00~16:15 | Dさん宅に移動 | |
16:15~17:00 | 身体介護 | ・食事介護 ・排泄介護 |
17:00 | 退勤 |
この方は専業主婦として、自宅での家事などはありますが、子供はおらず夫と2人だけで暮らしているため、時間には余裕があります。
パート・アルバイトでも時間があればフルタイムで働くことができますが、給与や選べる業務範囲が正社員と異なります。
副業で働く男性の例(パート・アルバイト)
タイムスケジュール | 業務の内容 | 業務の詳細 |
6:00~7:00 | 家事 | ・朝食の準備 ・身支度 |
7:00 | 本業へ出勤 | |
7:30~16:30 | 本業の勤務 | |
16:30 | 退社 | |
17:30 | Aさん宅に出勤 | |
18:00~20:00 | 身体介護 | ・食事介護 ・排泄介護 ・入浴介護 ・着替え介護 |
20:00 | 退勤 |
この方は会社員として働いていますが、早朝から夕方にかけて勤務するスタイルであり、夕方から夜にかけて少し時間があります。
このように、副業で行う場合は業務量は少なく、時給の高さや時間に制限があることから身体介護を行う場合が多いです。
身体介護は、自分の身の回りのことができない方に対して、直接体を触れて行う介護のことです。
例えば、入浴、着替え、オムツ交換、トイレ誘導、排泄介助、食事介助などがあります。
生活援助は、家事全般ができない方に対して行う介護のことです。
例えば、買い物、料理、片付け、掃除などがあります。
さらに、身体介護の方が生活援助よりも労力を使うことから給与が身体介護の方が高くなっています。
募集内容には「生活援助のみ」「生活援助が多い」など記載に違いがあり、身体介護の業務がないと勘違いをして、応募するケースもあるので気をつけましょう。
訪問介護の給与は地域や勤務時間によっても異なりますが、東京都の求人だと正社員で20万〜25万円が相場となっています。
アルバイト・パートだと時給が1000~1500円程度となり、身体介護では1500円、生活援助では1200円など仕事内容による違いもあります。
また、昨今はこの時給に処遇系の加算が追加され、時給が100円から300円程度上がっています。
訪問介護員の給与についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
訪問介護の給料相場はどのくらい?正社員か非常勤で給与はどう違う?
訪問介護には介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級)が最低限必要になります。
しかし、無資格で面接に来た場合でも、研修が用意されており内定を出すところもあります。
生活援助従事者研修(旧ホームヘルパー三級)の取得者は生活援助しかできないので、訪問介護の仕事をすることはできません。
介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー二級)を取得することではじめて訪問介護の業務を行うことができます。
また、さらに上位の資格である介護福祉士実務者研修を取得するとなると、より深い介護の知識や技術が必要となり、介護職員初任者研修よりも難易度の高い研修となります。
訪問介護員は業務内容にもよりますが、比較的体力を使う仕事が多いです。
特に夜勤のある方だとワークライフバランスを保つことが難しく、若い方であれば高齢ヘルパーにできないような業務も任されることが多いです。
具体的に忙しい、しんどいと感じるタイミングとして「利用者に価値観や感覚を合わせなければいけないこと」「給与がなかなか上がらないこと」「様々な人とコミュニケーションをとらなければならないこと」などがあります。
実際に働いてみないとわからない部分はありますが、上記のスケジュールなども参考にしつつ、自分にもできそうか考えてみましょう。
訪問介護の忙しさが気になる方はこちらの記事を参考にしてください。
訪問介護の社員やパートの違いについて!1日何件訪問できるの?
訪問介護員の男女比は3:7程度だと言われています。
これは男性の求職者が少ないことや需要があまりないことが主な理由となっています。今のご高齢の方は、家事や介護は女性がするものというイメージが強いのでしょう。
また、短時間で働くこともできるので、子育て中の女性や時間のある主婦に人気が高く、女性の訪問介護員が多くなっています。
訪問介護員に向いている人の特徴として、以下の5つが挙げられます。
①コミュニケーション能力がある人
②責任感がある人
③些細なことに気づける人
④臨機応変に対応できる人
⑤健康で体力がある人
訪問介護員にどういう人が向いているのか詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
訪問介護を辞めてしまう理由として、以下の6つが挙げられます。
①給与に対する不満
②利用者との人間関係の悩み
③移動の負担
④一人で介護する時の責任・プレッシャー
⑤訪問先の環境が良くない
⑥ステップアップの為
訪問介護員を辞める理由について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
訪問介護を辞めた理由は?最初にするべきこと・対象方法を徹底紹介
訪問介護員のよくある悩みとして、以下の5つが挙げられます。
①介護保険適用外のサービスを頼まれてしまう
②残業がしんどい
③仕事内容が大変なのに、給料が割に合わない
④利用者が新型コロナの感染対策に協力してくれない
⑤利用者から理不尽なことを言われたり、ハラスメントを受けている
訪問介護員のよくある悩みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
今回は訪問介護員の仕事内容やできないサービス、1日のスケジュールなどについて解説してきました。
仕事内容は直接体に触れる「身体介護」、家事全般を行う「生活援助」、通院時に行う「通院介助」の大きく3つに分かれており、それぞれ料金体系も異なっています。
訪問介護員が特に気をつけなければいけないことが「医療行為」や「生活援助でない行為」を避けることです。
一見、大丈夫だろうと思う行為でも訪問介護の対象外であることがよくあります。
1日のスケジュールでは様々な勤務スタイルの紹介をしましたので、今の自分に近い状況の人がどのように働いているのか確認しておきましょう。