介護をしている方で、日々の介護負担が大きくなることに悩んでいる方も多いでしょう。特に、在宅介護を続けていると、社会から孤立してしまう場合もあるため、誰に相談したらよいのかわからなくなってしまう方もいます。介護疲れを感じている方は、できるだけ速やかに専門家へ相談することが大切です。
この記事では、介護疲れを感じている方が相談すべき窓口の種類と、介護疲れを解消する対処方法について詳しく解説します。
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1人で母親の介護を続けていたAさん。最初は、大きな負担を感じることなく介護をしていたのですが、次第に疲れが蓄積してしまい、介護を続けることに限界を感じ始めていました。毎日過度なストレスを抱えていたAさんは、ダメだとわかっていながら母親に対して大声を出したり、母親の話を無視したりすることもあります。
Aさんは、そんな毎日を変えなければいけないと思いながらも、自分でもどうしたらいいのかわからなくなっていたのです。最終的にAさんは体調を崩してしまいましたが、本人は「まだ介護サービスを使うほどではない」と感じており、誰に相談すべきかわからずに悩んでいました。この場合は、誰に相談するのがよいのでしょうか。
自宅で介護をしている方の中には、「まだ自分で面倒を見られるから」と考えて、介護サービスの利用までに時間がかかる方もいます。しかし、自分でも気付かないうちに疲弊してしまっていることも多いため注意しましょう。介護負担が軽い方を支援するサービスも数多くあります。
まずは、介護の専門家へ相談して、使えるサービスがないか確認してみましょう。また、介護サービスを利用せずに、日頃の悩みを相談するだけでも構いません。まずは、市役所の相談窓口や地域包括支援センターなどへ問い合わせて相談してみることをおすすめします。
介護疲れに関する相談窓口は、地域の中に複数あります。介護について悩んでいる際には、介護の程度にかかわらず、まずは相談してみることが大切です。ここでは、介護に関する相談を受け付けている施設のうち、代表的な相談窓口を紹介します。介護に関係することであれば、遠慮なく相談に行きましょう。
市区町村役場には、介護保険や福祉サービスに関する窓口があり、そこで介護に関する相談も受け付けています。市区町村役場は、介護保険の申請や各種福祉制度の利用に関する手続きをおこなう場所でもあるため、そのまま介護保険の申請までおこなえます。
また、介護や福祉に関する情報が集まる場所でもあるため、相談者に応じて適切な情報提供をおこなうことも市区町村役場の役割です。どこに相談していいのか迷ったら、まずは市区町村役場に相談に行くとよいでしょう。
地域包括支援センターとは、高齢者の生活を包括的に支援するための機関です。介護サービスの利用や地域の支援機関との連携、介護者の精神的サポートなど幅広く対応しており、具体的な対策を提案してくれます。また、ケアマネジャーも在籍しており、場合によっては担当のケアマネジャーが介護保険に関する手続きを代行してくれることもあります。
近隣の介護施設に関する情報も持っているため、近くで利用できる介護サービスを探している場合にも最適な相談先です。
居宅介護支援事業所は、在宅介護をしている家庭向けの支援をおこなっている事業所です。ケアマネジャーが在籍しており、介護プランの作成や介護サービスの調整をおこなう役割を担っています。一般の方からの介護相談も受け付けており、介護保険サービスの内容などを説明してもらえます。また、近隣の介護施設に関する情報も幅広く持っているため、近くで条件にあった施設を探している場合にも相談するとよいでしょう。
社会福祉協議会は、高齢者に限らず、幅広く地域の福祉活動を支える団体です。介護者向けの相談窓口も設置しているため、介護疲れを感じた際には気軽に相談するとよいでしょう。また、地域で利用可能な福祉サービスや支援グループに関する情報を持っていることもあり、介護者同士の交流の場を提供したり、ボランティアを派遣したりなどの活動もおこなっています。
医療機関で介護に関する相談もできます。一部の医療機関には、医療ソーシャルワーカーが在籍しており、医療と介護の連携をおこなっています。退院後に在宅で安心して過ごせるように、地域の介護施設と連携するのが医療ソーシャルワーカーの役割です。
医療ソーシャルワーカーが在籍する医療機関を利用している場合は、医療機関に相談してみると、適切な介護サービスや支援制度などを紹介してもらえる可能性があります。
介護疲れを感じる原因は、個人の状況によって異なりますが、大きく分類して以下の3つに分けられます。
- 精神的負担が大きい
- 身体的負担が大きい
- 経済的負担が大きい
これらの原因によって、もしくは複数の原因が影響し合うことで介護疲れを感じてしまいます。ここでは、介護疲れを感じる原因について詳しく解説します。
介護者は、介護に関するストレスを抱えやすく、孤独感や不安などによって精神的な負担が大きくなる傾向があります。特に、認知症や行動障害のある高齢者の介護では、意思疎通が難しく、問題行動への対応でストレスが蓄積しやすくなるでしょう。さらに、家族の介護に対する感情的な葛藤や、他の家族との役割分担の不均衡などによって、精神的な疲弊が重なることもあります。
介護者が直接的な身体介護をおこなう場合、特に身体的負担が大きくなります。介護の中でも、入浴や排泄の介助、高齢者の移乗、夜間の見守りなどは特に体力が必要です。長期にわたって身体的な介護が続くと、身体的な疲労が蓄積していきます。
また、24時間介護が必要な場合、介護者が休む暇がなく、睡眠不足や体調不良によって介護者が健康を損ねる場合もあるため注意が必要です。
介護にかかる費用が、家計に大きな負担を与えることもあります。介護サービスの利用料や、医療費、施設費用によって家計を圧迫してしまう場合もあるでしょう。さらに、介護のために仕事を辞めたり、勤務時間を減らしたりする場合、介護者の収入が減少します。介護費や医療費の負担増大と収入の減少が同時に発生することで、さらに経済的負担が増大するのです。
介護者自身の生活が自立していなければ、介護を継続できなくなってしまうため、介護による経済的負担の問題には注意しなければいけません。
介護疲れを解消するためには、以下の3点に注意するとよいでしょう。
- 原因を整理する
- 利用できる支援制度が積極的に使う
- 1人で解決しようとしない
介護負担が大きくなっている場合、まずは原因を特定することが大切です。原因に応じて適切なサービスを活用する意識を持つと、無理なく介護を続けられるでしょう。ここでは、介護疲れを解消するための留意点について詳しく解説します。
介護疲れを解消するためには、まず介護疲れに影響を及ぼしている原因を整理することが重要です。精神的や身体的、経済的な側面から、ストレスの大きな原因となっている事象を明確にすることで、解決策が見つかりやすくなります。精神的な負担が大きくなっているのであれば、その原因がどこにあるのか考えてみましょう。
例えば、深夜の介護負担が大きく、睡眠不足になっていることが大きなストレスに感じている場合もあります。その場合は、数日に一回はショートステイを利用して、睡眠時間を確保するなどの対策をおこないましょう。また、他者に相談する際にも、自分が直面している問題の原因がわかっていると、より具体的なアドバイスをしてもらいやすくなります。
介護疲れを感じている方は、利用できる支援制度を積極的に活用することが大切です。特に、介護保険制度は様々な介護サービスを原則1割負担で利用できるため、積極的に活用しましょう。また、住宅改修の補助金など、自治体単位で独自の支援制度をおこなっている場合もあります。しかし、そうした支援制度は、実際に相談に行かなければ紹介してもらえないことが多いので積極的に相談をしましょう。
各自治体で利用できる支援制度を有効活用するためにも、相談窓口へ積極的に相談に行くことが大切です。
介護疲れを感じている方は、1人で解決しようと考えないことを心がけましょう。介護施設で働く専門スタッフでも、基本的にはチームで1人のケアをおこなっています。介護の専門家でもチームで動いているのですから、介護に詳しくない方が1人で悩んでいても、問題を解決できない可能性は高いでしょう。
専門家からアドバイスを受けることで、介護負担を軽減するアイデアを教えてもらったり、適切な解決策を見つけやすくなったりします。介護疲れを感じたら、積極的に地域の相談窓口へ行き、解決へ向けたアドバイスをもらいましょう。
介護疲れを感じた方は、まず信頼できる人や専門の相談窓口に相談することが大切です。介護負担が軽い方でも問題ありません。まずは、相談に行くことで、適切な支援制度やサービスを紹介してもらえる可能性があります。
介護に関する相談窓口は、市区町村役場や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などがあります。どの相談窓口でもよいので、まずは相談することで、問題に応じた適切なサービスを紹介してもらえるでしょう。