近年では、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることが出来るように、医療や介護などの体制が整えられてきています。
地域密着型通所介護もその1つで、地域に住みながら必要な介護サービスを受けることができます。この記事では、地域密着型通所介護についてサービス内容や費用負担について詳しく解説します。地域密着型通所介護の利用を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
地域密着型通所介護とは、在宅生活をしている要介護高齢者を対象とした通所介護サービスです。在宅生活における社会的孤立感の解消、心身機能の維持、利用者家族の介護負担を軽減することを目的に、2016年から開始されました。
地域密着型通所介護では、利用者が小規模なデイサービスセンターなどに通いながら、入浴・排せつ・食事などの日常生活動作の介助や、生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認、その他日常生活上の世話、心身機能の維持・向上のための機能訓練やレクリエーションといったサービスを日帰りで受けることができます。
地域密着型通所介護の対象者は、以下の3つを全て満たしている必要があります。
- 原則65歳以上であること。あるいは40~64歳で特定疾病による要介護認定を受けている人。
- 要介護1以上の要介護認定を受けていること。
- 事業所と同一の市区町村に住民票があること。
厚生労働省によると、地域密着型通所介護の利用者の内訳は、要介護1で38.9%、要介護2で31.2%、要介護3で16.6%、要介護4で8.8%、要介護5で4.5%となっており、要介護1,2で自立された方の利用が半数以上を占めています。
参考:厚生労働省 「01_通所介護・地密通所・認知症通所 (mhlw.go.jp)」
また、原則は65歳以上ですが、特定16疾病により要介護認定を受けた40〜64歳も地域密着型通所介護サービスを利用可能です。特定16疾病は以下の表のとおりです。
1.末期がん | 9.脊柱小脳変性症 |
2.関節リウマチ | 10.早老症(ウェルナー症候群等) |
3.筋委縮性側索硬化症(ALS) | 11.多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群等) |
4.後縦靭帯骨化症 | 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 |
5.骨折を伴う骨粗しょう症 | 13.脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等) |
6.初老期における認知症 | 14.閉塞性動脈硬化症 |
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病 | 15.慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等) |
8.脊髄小脳変性症 | 16.両膝の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症 |
地域密着型通所介護と通常の通所介護との違いは、定員数、対象者、管轄、費用の点にあります。表にまとめましたのでご覧ください。
地域密着型通所介護 | 通所介護(デイサービス) | |
利用定員 | 少ない(18人以下) | 多い(19人以上) |
対象者 | 事業所がある地域に住んでいる人が利用できる | 住所に関係なく利用できる |
管轄 | 市区町村 | 都道府県 |
費用 | 通所介護より高い | 安い |
地域密着型通所介護は、通常のデイサービスよりも費用が高かったり、利用者も限られます。
しかし、各地域の特性を生かしたサービスを受けることができたり、利用者のニーズに合わせた柔軟な対応をしてもらえたりと、小規模ならではサービスが提供されます。自宅にいるようなアットホームな雰囲気で過ごせることも特徴です。
地域密着型通所介護のサービス内容は、通常の通所介護(デイサービス)とほとんど違いはありません。日常生活動作の介助や健康状態の確認、心身機能の維持・向上のための機能訓練などのサービスを提供します。
地域密着型通所介護サービスを提供するために必要な職員は以下の通りです。
職種 | 配置基準 | 資格要件 |
管理者 | 常勤専従で1人 | |
生活相談員 | 専従で提供日毎の勤務時間数をサービス提供時間数で割った数が1人以上 | 社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、介護支援専門員 |
看護職員 | 単位ごとに専従で1人以上 | 看護師、准看護師 |
介護職員 |
| |
機能訓練指導員 | 1人以上 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩かっさーじ指圧師、はり師又はきゅう師 |
生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤 |
※定員10人以下の事業所の場合:看護師または介護職員のいずれか1人の常勤配置で可。
地域密着型通所介護の費用は、1回ごとに料金がかかります。利用料金は、要介護認度とサービスの提供時間に応じて異なります。
介護保険が適用されるため、利用者負担は原則として1割ですが一定以上の収入がある方は2割又は3割負担となる場合があります。また、支給限度額を超えた金額は自己負担となります。要介護度とサービスの提供時間別に負担額をまとめましたので以下の表をご覧ください。なお、国が定める基準に基づきつつも、費用は地域によって若干異なります。
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 416円 | 832円 | 1,248円 |
要介護2 | 478円 | 956円 | 1,434円 |
要介護3 | 540円 | 1,080円 | 1,620円 |
要介護4 | 600円 | 1,200円 | 1,800円 |
要介護5 | 663円 | 1,326円 | 1,989円 |
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 436円 | 872円 | 1,308円 |
要介護2 | 501円 | 1,002円 | 1,503円 |
要介護3 | 566円 | 1,132円 | 1,698円 |
要介護4 | 629円 | 1,258円 | 1,887円 |
要介護5 | 695円 | 1,390円 | 2,085円 |
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 657円 | 1,314円 | 1,971円 |
要介護2 | 776円 | 1,552円 | 2,328円 |
要介護3 | 896円 | 1,792円 | 2,688円 |
要介護4 | 1,013円 | 2,026円 | 3,039円 |
要介護5 | 1,134円 | 2,268円 | 3,402円 |
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 678円 | 1,356円 | 2,034円 |
要介護2 | 801円 | 1,602円 | 2,403円 |
要介護3 | 925円 | 1,850円 | 2,775円 |
要介護4 | 1,049円 | 2,098円 | 3,147円 |
要介護5 | 1,172円 | 2,344円 | 3,516円 |
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 753円 | 1,506円 | 2,259円 |
要介護2 | 890円 | 2,670円 | 3,560円 |
要介護3 | 1,032円 | 2,064円 | 3,096円 |
要介護4 | 1,172円 | 2,624円 | 3,936円 |
要介護5 | 1,312円 | 3,519円 | 4,691円 |
要介護区分 | 自己負担額 | ||
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
要介護1 | 783円 | 1,566円 | 2,349円 |
要介護2 | 925円 | 1,850円 | 2,775円 |
要介護3 | 1,072円 | 2,144円 | 3,216円 |
要介護4 | 1,225円 | 2,450円 | 3,675円 |
要介護5 | 1,365円 | 2,730円 | 4,095円 |
地域密着型通所介護は、小規模での通所介護サービスです。各地域の特性を生かしながら、利用者一人ひとりのニーズに寄り添った柔軟で手厚いサポートが強みです。施設への入所よりも自宅での生活を送りたい方は、ぜひ地域密着型通所介護の利用をご検討ください。