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地域密着型通所介護の概要からサービス内容まで徹底解説!

2024-10-30

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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近年では、要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい生活を続けることが出来るように、医療や介護などの体制が整えられてきています。

地域密着型通所介護もその1つで、地域に住みながら必要な介護サービスを受けることができます。この記事では、地域密着型通所介護についてサービス内容や費用負担について詳しく解説します。地域密着型通所介護の利用を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。

地域密着型通所介護とは?

地域密着型通所介護とは、在宅生活をしている要介護高齢者を対象とした通所介護サービスです。在宅生活における社会的孤立感の解消、心身機能の維持、利用者家族の介護負担を軽減することを目的に、2016年から開始されました。

地域密着型通所介護では、利用者が小規模なデイサービスセンターなどに通いながら、入浴・排せつ・食事などの日常生活動作の介助や、生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認、その他日常生活上の世話、心身機能の維持・向上のための機能訓練やレクリエーションといったサービスを日帰りで受けることができます。

地域密着型通所介護の対象者

地域密着型通所介護の対象者は、以下の3つを全て満たしている必要があります。

  1. 原則65歳以上であること。あるいは40~64歳で特定疾病による要介護認定を受けている人。
  2. 要介護1以上の要介護認定を受けていること。
  3. 事業所と同一の市区町村に住民票があること。

厚生労働省によると、地域密着型通所介護の利用者の内訳は、要介護1で38.9%、要介護2で31.2%、要介護3で16.6%、要介護4で8.8%、要介護5で4.5%となっており、要介護1,2で自立された方の利用が半数以上を占めています。

参考:厚生労働省 「01_通所介護・地密通所・認知症通所 (mhlw.go.jp)

また、原則は65歳以上ですが、特定16疾病により要介護認定を受けた40〜64歳も地域密着型通所介護サービスを利用可能です。特定16疾病は以下の表のとおりです。

1.末期がん9.脊柱小脳変性症
2.関節リウマチ10.早老症(ウェルナー症候群等)
3.筋委縮性側索硬化症(ALS)11.多系統萎縮症(シャイ・ドレーガー症候群等)
4.後縦靭帯骨化症12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
5.骨折を伴う骨粗しょう症13.脳血管疾患(脳出血、脳梗塞等)
6.初老期における認知症14.閉塞性動脈硬化症
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病15.慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎等)
8.脊髄小脳変性症16.両膝の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

地域密着型通所介護と通常の通所介護(デイサービス)との違いは?

地域密着型通所介護と通常の通所介護との違いは、定員数、対象者、管轄、費用の点にあります。表にまとめましたのでご覧ください。

地域密着型通所介護通所介護(デイサービス)
利用定員少ない(18人以下)多い(19人以上)
対象者事業所がある地域に住んでいる人が利用できる住所に関係なく利用できる
管轄市区町村都道府県
費用通所介護より高い安い

地域密着型通所介護は、通常のデイサービスよりも費用が高かったり、利用者も限られます。

しかし、各地域の特性を生かしたサービスを受けることができたり、利用者のニーズに合わせた柔軟な対応をしてもらえたりと、小規模ならではサービスが提供されます。自宅にいるようなアットホームな雰囲気で過ごせることも特徴です。

地域密着型通所介護のサービス内容は?

地域密着型通所介護のサービス内容は、通常の通所介護(デイサービス)とほとんど違いはありません。日常生活動作の介助や健康状態の確認、心身機能の維持・向上のための機能訓練などのサービスを提供します。

地域密着型通所介護のサービス内容

  1. 入浴介助
    自宅での入浴は転倒などの危険を伴います。サービスを利用することで利用者の要望や身体状況に合わせて、施設内で安全に入浴ができます。車いすのままや寝た状態で入浴できる機械浴槽が設置されている事業所もあります。
  2. 食事介助
    利用者に合わせて栄養バランスのとれた食事が提供されます。地域密着型通所介護では、定員が少ない分、カロリーや成分の制限、アレルギー、嗜好や体調など利用者や家族の要望に応えることができます。咀嚼や嚥下が困難な場合には、介護職員による食事介助がおこなわれます。
  3. 排せつ介助
    利用者自身で排せつが難しい場合には、介護職員がトイレへの誘導、排せつの手伝い、おむつ交換などを行います。
  4. 機能訓練
    日常生活に必要な動作の獲得・改善を目指して、利用者の身体状況やニーズに合った機能訓練(歩行訓練、口腔体操、脳のトレーニングなど)を行います。
  5. レクリエーション
    集団体操やカラオケ、脳トレなど、利用者が楽しんで行える活動を行います。機能訓練の一環として行われる場合もあるようです。レクリエーションには、ストレス発散や利用者同士の交流を深めるというメリットもあります。
  6. 送迎
    施設職員が自宅と施設の送迎をおこないます。車いすの利用者の車の乗降もサポートします。事業所によって送迎範囲が定められているため、範囲を超えると家族による送迎が必要な場合もあります。
  7. 健康管理や服薬サポート
    地域密着型通所介護の事業所には、看護師が常駐しています。血圧や体温などのバイタルチェックを行い健康状態を確認してくれます。
    必要に応じて、服薬のサポートや、インスリン注射などの医療的なケアをおこないます。その他にも、生活上の健康に関することの相談もできます。
  8. 延長サービス
    施設の営業時間内であれば、利用時間の延長が可能です。利用者の家族に急用が入り、急に利用したい場合、仕事などの都合で帰宅の時間を遅くしたい、など利用者や家族の希望に合わせた対応ができます。

地域密着型通所介護の職員体制

地域密着型通所介護サービスを提供するために必要な職員は以下の通りです。

職種配置基準資格要件
管理者常勤専従で1人
生活相談員専従で提供日毎の勤務時間数をサービス提供時間数で割った数が1人以上社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、介護支援専門員
看護職員単位ごとに専従で1人以上看護師、准看護師
介護職員
  1. サービス提供時間に応じて専従で次の数以上
    ・利用者が15人まで:1人以上
    ・利用者が15人以上:1人+15人を超えた人数を5で割った数を加えた数以上
  2. 常時1人以上となるように配置
機能訓練指導員1人以上理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩かっさーじ指圧師、はり師又はきゅう師
生活相談員又は介護職員のうち1人以上は常勤

※定員10人以下の事業所の場合:看護師または介護職員のいずれか1人の常勤配置で可。

地域密着型通所介護の利用者負担費用は?

地域密着型通所介護の費用は、1回ごとに料金がかかります。利用料金は、要介護認度とサービスの提供時間に応じて異なります。

介護保険が適用されるため、利用者負担は原則として1割ですが一定以上の収入がある方は2割又は3割負担となる場合があります。また、支給限度額を超えた金額は自己負担となります。要介護度とサービスの提供時間別に負担額をまとめましたので以下の表をご覧ください。なお、国が定める基準に基づきつつも、費用は地域によって若干異なります。

  • 3時間以上4時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1416円832円1,248円
    要介護2478円956円1,434円
    要介護3540円1,080円1,620円
    要介護4600円1,200円1,800円
    要介護5663円1,326円1,989円
  • 4時間以上5時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1436円872円1,308円
    要介護2501円1,002円1,503円
    要介護3566円1,132円1,698円
    要介護4629円1,258円1,887円
    要介護5695円1,390円2,085円
  • 5時間以上6時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1657円1,314円1,971円
    要介護2776円1,552円2,328円
    要介護3896円1,792円2,688円
    要介護41,013円2,026円3,039円
    要介護51,134円2,268円3,402円
  • 6時間以上7時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1678円1,356円2,034円
    要介護2801円1,602円2,403円
    要介護3925円1,850円2,775円
    要介護41,049円2,098円3,147円
    要介護51,172円2,344円3,516円
  • 7時間以上8時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1753円1,506円2,259円
    要介護2890円2,670円3,560円
    要介護31,032円2,064円3,096円
    要介護41,172円2,624円3,936円
    要介護51,312円3,519円4,691円
  • 8時間以上9時間未満
    要介護区分自己負担額
    1割負担2割負担3割負担
    要介護1783円1,566円2,349円
    要介護2925円1,850円2,775円
    要介護31,072円2,144円3,216円
    要介護41,225円2,450円3,675円
    要介護51,365円2,730円4,095円

まとめ

地域密着型通所介護は、小規模での通所介護サービスです。各地域の特性を生かしながら、利用者一人ひとりのニーズに寄り添った柔軟で手厚いサポートが強みです。施設への入所よりも自宅での生活を送りたい方は、ぜひ地域密着型通所介護の利用をご検討ください。

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