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自分らしい生活を助ける自助具の選び方を大公開!!

2024-10-15

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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身体に障がいがあるなどが理由で、日常生活に影響がある利用者でも、食事・トイレ・入浴などの動作くらいはできる限り自分自身でおこないたいと思うはず。

そんな希望に対して、活躍するのが自助具です。自助具を使用すれば、今までおこなうのが難しかった動作も自分自身でおこなえるかもしれません。

今回は、さまざまな場面で使用できる自助具を紹介するだけでなく、使用するメリットや、選び方までを大公開します。ぜひ、最後までお読みください。

体の不自由な方の自立を助ける自助具とは?

自助具には決まった定義はないものの、一般的には障がいや病気などによる麻痺、加齢に伴う身体機能の低下を補うための道具や装置のことをいいます。

自助具はできる限り自分自身で動作がおこなえるように食事・入浴・家事・更衣・排泄など、さまざまな場面で使用されています。

うまく自助具を取り入れることで、できないと諦めていた動作や、他者に頼っていたことも自分自身でできるようになり、日常生活での自立度を高める効果が期待されています。

自助具と福祉用具の違い

自助具とよく似た言葉で福祉用具があります。なお、福祉用具は以下のように定義されています。

「福祉用具」とは、心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者の機能訓練のための用具並びに補装具をいう。

引用:厚生労働省「福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律」

このことから、自助具は福祉用具の内において、身の回りの動作をなるべく自分でおこなうように補助するものになります。

自助具を使用するさまざまな場面を紹介

ここからは、実際に自助具を使用するさまざまな場面を紹介します。

食事をとるとき

食事をとるといっても、お箸・スプーン・フォーク・皿など、さまざまな道具を使用すると思います。ここでは、食事をとるときに使用する主な自助具を紹介します。

お箸

自助具のお箸には以下のような種類があります。

種類特徴
バネ箸

ピンセット型やお箸の頭にクリップのようなものが付いているタイプがあります。
クリップタイプの場合は、取り外しが簡単なため、現在のお箸でも使用できます。また、重さも非常に軽いため、取り付けても動作が制限される心配もありません。
お箸の特徴として、開く方向に対してバネが効くため、開きやすいメリットがありますが、その一方で、握る際に抵抗感があるため、力の調整に注意が必要です。

矯正型自助箸

子どものトレーニング箸のように、親指と人差し指を使って箸の開閉をおこないます。
バネ箸より開閉が簡単にできますが、重さが普通のお箸と比べても少し重いため使用する際は注意が必要です。

グーパー程度ができるものの、細かい指の動きができないような場合は、お箸を持っている感覚や、握ったり開いたりしている感覚を持ちやすいため、矯正型自助箸を使用しましょう。

一方、指先の動きにぎこちなさや動かしにくさが残っている場合は、お箸の開閉を補助してくれて、指先を使う練習にもなるため、バネ箸がおすすめです。

スプーン

自助具の中でも自助スプーンは種類が多いのが特徴です。今回は、その中でも主な自助スプーンを紹介します。

種類特徴
太柄のスプーン

市販のスプーンにスポンジ状の柄が挿せるタイプのものや、スプーンとスポンジ部分が一体となっており、先が曲がっているタイプがあります。
スプーンの特徴として先が曲がっているため、食事をすくった時や、口へ運ぶ時に腕をあまり動かす必要がありません。

カフタイプのスプーン持ち手の部分を「カフ」といい、手の平に巻いて固定することで、スプーンを握ることができない場合でも、肘の曲げ伸ばしや、肩の上げ下げをするだけでスプーンを操作できます。

食器

食器には以下のような自助具があります。

種類特徴
自助食器

皿の形状が片方だけ深くなっているだけでなく、すくい上げる際に引っかけやすい構造となっています。
また、皿自体も滑らないように、底には滑り止めマットが付いているため、食べこぼしを減らすこともできます。

取っ手付きのおわんおわんに取っ手が付いていることで、片手で持ち上げてお味噌汁などの汁物を飲むことができます。

身なりを整えるとき

身だしなみを整える動作として、手洗い、髪を整える・顔を洗う・爪を切るなどがありますが、ここでは主要な動作に対しての自助具を紹介します。

種類特徴
固定式手洗いブラシ洗面台に吸盤を付け固定させることで、手や指が動かしにくくても石鹸が動く心配がないため、キレイに手を洗うことができます。
歯ブラシ自助具

歯磨きをする際に、うまく歯磨き粉を付けられないなどの場面があります。
そんな時は、コップと一体型になった自助具の歯ブラシがおすすめ。
コップを一体化しているため、歯磨き粉を付ける際に、不安定になる心配や、歯磨きした後、すぐにうがいもできます。

爪切り自助具

片手で爪切りをおこなうための自助具です。
麻痺などがあっても、自分で爪を切ることができ、麻痺側はいつも通り切る、麻痺していない側は自助具を使用するなど工夫します。
しかし、足の爪を切る際や、麻痺が重度の場合は、無理はせずに専門家へ依頼しましょう。

着替えるとき

着替えは上下に分かれるため、それぞれに以下のような自助具があります。

種類特徴
ボタンエイド

ボタンを通す動作は両手の指先が使えない非常に難しい動作です。特に片麻痺で手や指先が動かしにくい場合は、どうしても時間がかかってしまいます。
しかし、ボタンエイドを使用すれば、ボタンを留めるために、簡単にボタン穴に差し込み、ボタンを引き出してかけることができます。

ソックスエイド

足先まで手を伸ばすことが難しいため、靴下を履くことができない場合にサポートする自助具です。
ソックスエイドを利用すれば、前にかがめない、足が上がらないなどの問題があっても簡単に靴下を履くことができます。

トイレをするとき

トイレ動作は、バランスを崩しやすいため転倒の危険性が高い動作です。しかし、以下の自助具を使用すれば、安全にトイレ動作が可能になるはずです。

種類特徴

片手で切れるペーパーフォルダー

トレイ動作で、トイレットペーパーを片手で切ることは非常に難しい動作の1つです。
そのような場合は、トイレットペーパーの切り口が下向きタイプのものを導入しましょう。
こちらを使用すれば、片手でも簡単にトイレットペーパーを切れます。
また、切り口が下向きタイプであれば、トイレットペーパーを置くだけで使用できるため、トイレットペーパーの芯に棒を刺す必要もありません。

おしりふき棒

トイレ動作の中で、お尻に手を回す動作はバランスを崩しやすいため転倒リスクが高くなります。
そんな時におしりふき棒を使用すると、バランスを崩さずに、お尻を拭くことができます。

お風呂に入るとき

お風呂に入るときの動作でも、特に洗体動作に問題を抱えている場面が多く見られます。そんな場合は以下のような自助具がおすすめです。

種類特徴
ループ付きタオル

麻痺などにより片手が使いにくく、両手でタオルを動かす動作が難しい場合は、背中の洗体動作が困難です。
そんな時は、麻痺側の手に輪を通して、タオルを背中に当てることで、背中が洗えるループ付きタオルを使用すると、手が不自由でもキレイに体を洗うことができます。

片手用シャンプーシャンプーの口にチューブがついたタイプで、片手でシャンプーを出すことができます。

自助具のメリット

ここまで、さまざまな場面で使用する自助具を紹介しました。実際に自助具を使用することで以下のようなメリットがあります。

自立した生活につなげることができる

自助具を使用することで、今までおこなうことが難しかった動作もできるようになります。

今まで避けていた動作をおこなうようになれば、日常生活に活気が出るはずです。また、介護者の助けがないとできなかった動作も、自分自身でできるようになります。もちろん、自助具を使用するからといって、すべての動作が自分自身でおこなえることはなく、介助者の助けは必要です。

しかし、できる限り身の回りの動作くらいは自分自身でおこないたい利用者も多いはず。そのような利用者に対して、自助具は自立支援を促す有効な手段の1つです。

介護者の負担を軽減できる

自助具を使用して、身の回りのことができるようになれば、利用者だけでなく介助者の負担も軽減できます。

介助者が家族で介助が1日中必要な場合は、介助疲れで悩んでいる場合もあるはずです。そんな場合、自助具をうまく使い、自分自身でできる動作が増えれば、負担が軽減され、心身ともにゆとりをもって介助をおこなえるはずです。

自助具の選び方のポイント

自助具の種類やメリットは理解できたと思いますが、実際にどのような自助具を選んだらいいのか悩む場合もあるはずです。ここでは、実際に自助具を選ぶ際のポイントについて紹介します。

自分の身体機能や目的にあったものを選ぶ

自助具は自分の身体機能や目的にあったものを選びましょう。例えば、実際に自助具を手に持ってみて、重い・使いにくいなどと感じるものや、使用して痛みを感じるものは避けましょう。

また、利用者によって困っている動作は異なるはずです。そのため、自分が困っている動作を補ってくれる自助具を選ぶことが重要です。

作業療法士に聞いてみる

さまざまな専門職の中でも作業療法士は自助具について、豊富な知識があるため、それぞれの自助具が、どのように利用者に役立つのかなどを評価してくれるはず。

自助具を今まで使用していなかった場合、どのようなものが良いのか分からないことは多いと思いますが、専門職の作業療法士に一度聞いてもらうだけで悩んでいることも解決できるはずです。

自助具を購入できる場所

自助具は、介護用品ショップ・福祉機器を取り扱っている店舗や、百貨店・スーパー・ドラッグストアだけでなくインターネットなどの通信販売サイトから購入可能です。

このように最近では、さまざまな場所で簡単に自助具を購入できるようになっています。

自助具は手作りできるモノもある

最近では簡単に自助具を購入できるようになりましたが、値段が思っていたより高くなる場合があります。

そんな時は、自助具の手作りも検討しましょう。複雑な構造の場合は作るのが難しいですが、ちょっとした自助具であれば、自分で手作りできるかもしれません。

値段も100均でできるなど簡単に試すことができるので、気になる場合は一度試してみましょう。

自助具を使用して日常生活の自立度を向上させよう

自助具は、日常生活における困難な動作を補い、自立度を高めるものです。食事・トイレ・入浴など、普段の動作に対して、自助具を取り入れることで、自分でできる範囲が広がり、生活の質が大きく向上するはずです。

また、自助具を使用することは、利用者だけでなく、介護者への負担軽減も期待できるため、今まで以上にゆとりを持った介助が可能になるかもしれません。

ぜひ、今回の内容を参考に自分自身にとって必要な自助具を一度使用してみましょう。

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