家族や自分が認知症と診断された際に、認知症でも老人ホームに入居できるのか考えたことがある方は多くいます。高齢化社会も進み、認知症と診断を受ける方も多いです。結論としては認知症の方も老人ホームに入居することは可能です。
しかし、老人ホームに入居される際には老人ホーム選びや、制度などを知っておく必要もあります。この記事では老人ホームに認知症の方が入居する際に気をつけておくべき点に関して詳しく解説をしています。
気になる方は、ぜひ参考にしてみてください。
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認知症の方は大きな集団での生活が苦手な傾向があります。特別養護老人ホームは、原則要介護3以上の方を対象にしていますが、特例として要介護2以下でも要件を満たせ入居可能な場合もあります。また、身体介護が必要になっても対応できるように看護師も配置されていて、ある程度の医療的ケアも可能です。
有料老人ホームの種類は「介護付き」と「住宅型」の2つになります。介護付き有料老人ホームは介護職員の他にリハビリ職や看護師などの医療職が配置されています。24時間、職員が常駐しているので認知症の方にとっても心強い住居と言えます。施設によってレクリエーションにも力を入れており、認知症の進行緩和に努めているのも魅力です。
認知症対応の老人ホーム以外の高齢者施設は大きく分けて2つあります。
以下では、認知症対応の老人ホーム以外の高齢者施設について詳しく解説をしていますので、良ければ参考にしてみてください。
グループホームは認知症の方を対象とした地域密着型サービスの1つになります。入居条件は、認知症であることの他に65歳以上で要支援2以上であることとされています。他の施設との違いは入居者が専門職員の援助を受けつつ5人から9人のユニットで共同生活をするところです。
施設の中では、認知症の進行を遅らせたり、症状を安定させたりする目的で職員のサポートを受けながら、家事などの身の回りの生活を入居者主体でおこないます。
サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」と呼ばれる介護施設です。主に民間事業者が運営する障害を持たれている方も安心して住める賃貸住宅になります。日中は生活相談員が常駐し、安否確認をしてくれるので認知症を患っている利用者も安心して生活ができます。介護が必要な場合は外部の介護サービスと個別に契約をする必要があります。
認知症が進行すると正常な判断ができなくなり、危険な場面に出会うことが増えます。交通事故に遭遇してしまったり、火の扱いが分からなくなり火事を起こしてしまったり、常に介護者が見守っていないと危険な状況になることがあります。
しかし、介護者も終わりが見えない介護生活は精神的な不安も多くかかることが予想されます。介護者も余裕がなくなると、利用者にきつくあたってしまうこともあり悩まれる方も多いです。負担の感じ方は人それぞれ違いますので、介護が辛いと感じたら入居を考えるタイミングと考えていいでしょう。
今すぐ、入居を決断できなくても生活相談員に状況を相談してみるのもオススメです。
認知症の初期症状は物忘れや理解力の低下や怒りっぽくなるところから始まります。この症状は認知症に限らず、よくみられるケースなので、すぐに認知症だと見抜くことは難しいです。認知症かもしれないと思いだした時には症状が進み、自宅介護が難しくなる場合もあります。
無理に自宅介護を続けると利用者本人や家族にも大きなストレスがかかってしまうので、そんなタイミングで施設への入所を考えてもいいでしょう。
認知症に限らず、高齢者の介護には体力が必要です。利用者の足腰が弱っている場合は、排泄や入浴の介助で体を支えるため、力が必要になります。介護者が無理な介護を続けると腰が痛くなったり、疲労が溜まりやすくなったりします。
利用者の体も大事ですが、介護者の方が倒れてしまっては元も子もありません。まずは、介護者の体調を1番に考えて、今後のケアを考えることが大切です。
認知機能や身体的な能力に衰えを感じ、利用者が自宅での生活に不安を抱くケースもあります。常に見守られる介護者がいない、自宅での設備で過ごしにくい点があるなど、不安になる点は人それぞれです。
利用者の入居したいという思いに対し、家族が納得できない時もあるかもしれません。しかし、認知症で1番悩んでいるのは利用者本人なので、希望があれば検討してみることもいいでしょう。
施設によって異なりますが、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームでは24時間介護サービスが提供されています。在宅介護で24時間ケアをおこなうことは大変ですが、施設ではスタッフが何人もいるので、深夜にトラブルが起きた時にも安心です。
人と関わることは、日々の生活において脳の刺激にもなります。他の入居者や介護職員がいる場での生活は人との関わりを生むことが可能です。食事やレクリエーションでの関わりが脳への刺激となり、認知症への進行予防が期待されます。
介護施設の食事の献立は基本的に栄養士が考案しているものです。どの介護施設でも、栄養バランスのとれた食事が提供されることが特徴です。健康的な食生活を送ることが、症状改善にも繋がることもあります。
専門的ケアに加え、基本的な生活習慣で体の状態を改善できる総合的なケアが受けられるのが、施設で認知症ケアを受けるメリットと言えます。
認知症になり、何事に対しても興味がなくなり、塞ぎ込むようになることも珍しくありません。しかし、その状態が長く続いてしまうと認知症の進行を早めることにも繋がります。
老人ホームでは、日々レクリエーションや各種イベントがおこなわれており、これらのイベントに参加することにより利用者の活動意欲を引き出すことが可能です。
認知症の症状は緩やかに進行していくものですが、施設に入居したから進行が早くなるとは限りません。認知症は進行していくものですから、万全のケアが整った施設に入居しても症状が緩やかに進行することもあれば、そうでないこともあります。
環境や人間関係が自分にあっている場合は、1週間ほどで慣れる方もいれば、数ヶ月経っても慣れない人もいます。中には、施設のルールや習慣に合わせて生活をすることが難しく帰宅願望が強い人もいます。まずは、家族からも定期的に訪問して顔を合わせて触れ合ったり、利用者本人の意思を確認しておくことも大切です。
老人ホームは亡くなるまでの入居を保証している訳ではありません。認知症が原因で昼夜を問わず歩き回ったり、職員が対応できなくなった時や、暴力や暴言、大声を出すなど、他の入居者に被害が及ぶようなことがあると退去勧告をされることもあります。他にも、入居後に身体状態に変化があり、施設での対応が困難になったり、長期入院で介護施設での生活ができなくなったりする場合も退去をしないといけない場合もあります。
老人ホームの費用は基本的には本人の貯金から支払います。貯金が足りない場合は不動産の売却や賃貸物件に出すなどして費用を捻出する必要があります。
施設に入居する費用がない場合は行政による公的な控除、補助制度があります。
認知症を発症すると家族や本人はこれからの生活に不安を抱くことは少なくありません。利用者が今までと違う性格になったり、一人歩きや深夜と昼夜が逆転してしまったりと悩まれる方は多いです。
しかし、認知症対応型の老人ホームでは認知症介護に詳しい介護職員やスタッフが在籍しているので安心して生活を送ることができます。家族にとって利用者と離れることは辛い選択にもなります。精神的に辛くなる前に、選択肢の一つとして認知症対応型の老人ホームについて調べておくことも大切です。