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訪問看護料金は医療保険を使うとどのくらい?料金の助成制度も紹介

2024-10-02

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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現在介護保険サービスを受けている状況の時、医師やケアマネジャーから訪問介護だけではなく訪問看護も受けた方がよいといわれたら、どうしてよいか分からなくなるでしょう。医師などの勧めであれば訪問看護を受けるべきだと考えるでしょうが、そのような場合に気になるのは費用面だと思います。

訪問看護も訪問介護同様に介護保険サービスを受けることができると考えてしまいますが、訪問看護は医療保険が該当するため、介護保険サービスは使えません。医療保険が使えるといわれたとしても、詳細な料金まで詳しく分からなくて不安になることもあるでしょう。

そこで今回は訪問看護にかかる費用や医療保険について詳しく解説していきます。

医療保険の訪問看護料金にかかわる3つの費用

医療保険による訪問看護料金の基本は、次にあげる3つの合計で計算されます。

  • 訪問看護基本療養費(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)
  • 訪問看護管理療養
  • 加算

3つの中で必ず発生する費用は基本療養費と管理療養費の2つです。ここから健康保険証を利用し1~3割負担の金額がかかるのが一般的とされています。また、加算については加算の種類や事業所によって算定されるものが変わります。こちらも基本的には健康保険証の負担割合が適用されます。

1.訪問看護基本療養費

訪問看護基本療養費(Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ)の料金の一例を表にまとめてみました。次からそれぞれの詳しい内容についてみていきます。

金額(円)
訪問看護基本療養費(Ⅰ)週3回まで5,550
週4日以降6,550
訪問看護基本療養費(Ⅱ)2名まで週3回まで5,550
2名まで週4日以降6,550
3名まで週3回まで2,780
3名まで週4日以降3,280
訪問看護基本療養費(Ⅲ)入院中の外泊時に訪問した場合、1回のみ8,500

訪問看護基本療養費Ⅰ

訪問看護基本療養費(Ⅰ)は、同一建物居住者以外の利用者に対して、訪問看護をサービスを提供したときに算定される療養費のことを指し、「イ・ロ・ハ・ニ」に分類されます。これらは訪問看護サービスを提供する職種により異なります。下記にそれぞれの内容をまとめていきます。

イ:保健師、助産師、看護師が訪問看護サービスを提供
ロ:准看護師が訪問看護サービスを提供
ニ:理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が訪問看護サービスを提供

最後は、専門の研修を受けた看護師が所属する訪問看護ステーションが算定できる療養費となっています。

訪問看護基本療養費Ⅱ

訪問看護基本療養費(Ⅱ)は、同一日に同一建物居住者である利用者に対し、訪問看護サービスを提供した場合に算定されます。該当する利用者が「2人」もしくは「3人以上」により、算定する額が異なります。

ここでも「イ・ロ・ハ・ニ」に分類ができますが、内容は訪問看護基本療養費(Ⅰ)で解説した内容と同じです。

訪問看護基本療養費Ⅲ

訪問看護基本療養費(Ⅲ)は、在宅療養に向けて外泊している入院患者のうち、厚生労働省が定める状態の利用者に対して、訪問看護サービスを提供したときに算定される療養費のことをいいます。

対象者は「厚生労働大臣が定める末期の悪性腫瘍などの疾病等」と「特掲診療科の施設基準等別表第八(在宅悪性腫瘍等患者指導管理などが該当)」「そのほか在宅医療に備えた一時的な外泊にあたり、訪問看護が必要であると認められたもの」です。

2.訪問看護管理療養費

訪問看護管理療養費には、機能強化型1~3と機能強化型以外という類型があります。さらに月の初日か2日目以降の訪問日かによっても算定料が異なります。また、提供する訪問看護サービスの内容や利用者の状況等に応じて、訪問看護管理療養費に加えて算定できる「加算」もあります。

まず、訪問看護管理療養費の主な算定料の一例を表にまとめてみました。

訪問看護管理療養費の類型算定料(円)
月の初回の訪問日 機能強化型以外7,670
月の初回の訪問日 機能強化型113,230
月の初回の訪問日 機能強化型210,030
月の初回の訪問日 機能強化型38,700
月の2日目以降の訪問日 訪問看護管理療養費13,000
月の2回目以降の訪問日 訪問看護管理療養費22,500

次に訪問看護管理療養費の算定要件を以下にまとめてみました。

  • 安全な提供体制が整備されていること
  • 主治医に訪問看護計画書・訪問看護報告書を書面または電子的な方法で提出していること
  • 主治医との連携を確保していること
  • 指定訪問看護の実施に関する休日、祝日等も含めた計画的な管理を継続して実施していること

これらを満たすことにより、訪問看護管理療養費は算定されます。

3.各種加算

各種加算は同意した人もしくは対象者のみ算定されます。ここでは各種加算とその算定料の例を表にまとめてみました。

金額(円)

24時間対応体制加算

月に1回加算(同意のある人のみ)

5,400

特別管理加算(Ⅰ)

月に1回加算(対象者のみ)

5,000

特別管理加算(Ⅱ)

月に1回加算(対象者のみ)

2,500

難病等複数回訪問看護加算

1日の2回目

4,500

1日の3回目以降

8,000

緊急訪問看護加算

緊急訪問したときに1日1回加算

2,650

複数名訪問看護加算

看護師、理学療法士等、週に1回のみ

4,300

看護助手、週に3回まで

3,000

夜間・早朝訪問看護加算

18~22時、6~8時まで

2,100

深夜訪問看護加算

22~6時

4,200

ターミナルケア療養費

対象者のみ1回

2,000

長時間訪問看護加算

90分以上訪問した場合

5,200

訪問看護情報提供療養費

同意のある人のみ月に1回

1,500

交通費

1回の訪問につき

300

その他加算

退院時共同指導加算など

500~6,000

医療保険の訪問看護料金にかかわる公費負担医療制度とは

公費負担医療制度とは、社会福祉や公衆衛生の向上を目的とし、法律に基づいて医療費の全額もしくは一部を国や各自治体が負担する制度のことをいいます。この制度は次の5つから成り立っているため、それぞれを簡潔に見ていきましょう。

  1. 社会的弱者の救済:生活保護を受けている人や児童や幼児などの社会的弱者に対して、医療費の全額や一部を負担することで、経済的な負担を軽減し健康的な生活をサポートする。
  2. 障害者等の福祉:障害を抱えた人や、病気やケガで障害を負った人に対して福祉の向上を目指し、医療費を全額もしくは一部を補助することで必要な医療サービスを提供し、障害による制約の軽減や社会福祉の支援をおこなう。
  3. 難病・慢性疾患の治療研究および助成:難治性の病気に苦しむ人に対して治療研究や助成がおこなわれ、原因不明や治療方法が確立していない難治性の病気に対して支援をおこなう。
  4. 健康被害等に対する補償:戦時中の軍人たちや原爆被害者、公害や中国残留邦人など、特定の健康被害に見舞われた人々に対して補償をし、被害者やその家族に経済的な支援をおこない、社会的な安定の促進をおこなっている。
  5. 公衆衛生の向上:感染症や自傷・他害の恐れがある疾病に関して補助をおこない、結核などの感染症の予防策などを通して、社会全体の健康を守り、公衆衛生の向上に寄与する。

この5つを柱とし、公費負担医療制度は成り立っています。

医療保険の訪問看護を受ける条件

医療保険を利用して訪問看護を受ける場合、介護保険を利用して訪問看護を受ける時と同様に受ける条件が定められています。次からそれぞれの条件を簡単に見ていきましょう。

40歳未満の方

40歳未満でも訪問看護を利用することができ、その条件は医師が訪問看護の必要性を承認した人が利用できます。また、40歳未満の医療保険の加入者と妊産婦や乳幼児を含む家族も該当します。

40歳以上の要支援や要介護認定されていない方

末期がんなど16特定疾病の対象であったとしても、要支援・要介護に該当しない人が利用できます。

40歳以上65歳未満の16特定疾病患者以外の方

医師が訪問看護の必要性を承認した人や、末期がんなど16特定疾病の対象ではない人が該当します。

厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する方(介護保険利用中の方も含む)

厚生労働大臣が定める疾病等(別表7)に該当する人も、医療保険の訪問看護を受けることができます。これには介護保険利用中の人も含まれます。

該当する疾病は次にあげる20の疾病です。

  • 末期の悪性腫瘍
  • 多発性硬化症
  • 重症筋無力症
  • スモン
  • 筋萎縮性側索硬化症
  • 脊髄小脳変性症
  • ハンチントン病
  • 進行性筋ジストロフィー症
  • パーキンソン病関連疾患
  • 多系統萎縮症
  • プリオン病
  • 亜急性硬化症全脳炎
  • ライソゾーム病
  • 副腎白質ジストロフィー
  • 脊髄性筋萎縮症
  • 球脊髄性筋萎縮症
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  • 後天性免疫不全症候群
  • 頸髄損傷
  • 人工呼吸器を使用している状態

主治医から特別訪問看護指示書が交付された場合(介護保険利用中の方も含む)

特別訪問看護指示書が交付された場合も、医療保険の訪問看護を受けることができます。

特別訪問看護指示書は次にあげる3つに該当する場合、1ヵ月に1回交付されます。

  • 急性感染症等の急性増悪期
  • 末期の悪性腫瘍等以外の終末期
  • 退院直後で週4日以上の頻回の訪問看護の必要がある場合

次にあげる2つに該当する場合は、1ヵ月に2回まで交付されます。

  • 気管カニューレを使用している状態
  • 真皮をこえる褥瘡がある状態

特別訪問看護指示書とは

特別訪問看護指示書は主治医が疾病の急性増悪等により頻回の訪問が必要と判断したときに交付されます。この交付を受けた利用者に対し訪問看護は、14日間医療保険適用となります。

特別訪問看護指示書による指示がある有効期間内は、週に4日以上の訪問が可能となります。

医療保険を使用した訪問看護で受けられるサービス

訪問看護では次の8つのサービスを受けることができます。

  1. バイタル測定・健康状態の管理:血圧、脈拍等のバイタルサインの測定、呼吸状態や体重変化の観察など全身の健康状態を観察する。それにあわせてアドバイスなどのサポートもおこなう。
  2. 医療処置:点滴管理や医療的カテーテルの管理等の医療的処置を施し、利用者の症状や状態の悪化を防ぎ、快適な生活が送れるように支援。
  3. お薬の管理・相談:処方薬を確認し、適切に服用できているかを確認。また副作用などがないかの確認もおこない、必要時には医師に連絡をおこなう。
  4. 療養生活の相談・支援:自宅療養は利用者だけでなくその家族も不安を抱えることが多い。そのため様々な不安や疑問などを訪問看護時に相談することができる。
  5. 身体の衛生管理・日常生活の支援:入浴等の衛生管理から、排便コントロールや医療的カテーテル管理などの日常生活の支援をおこなう。
  6. 終末期ケア・緩和ケア:苦痛や倦怠感の緩和をおこなうだけではなく、心のケアなどもおこなう。
  7. 医療機関との連携:訪問看護事業所だけではなく、医療機関との連携をおこない、利用者が安心して自宅療養できるようサポートをおこなう。
  8. リハビリテーション:リハビリが必要だと医師が判断した場合、自宅にリハビリ専門スタッフが訪問し、適切な支援が受けられる。

医療保険の訪問看護料金に関するよくある質問

ここでは訪問看護に関する質問に答えていきます。主な質問は3つあるため、それぞれみていきましょう。

訪問看護の料金は医療保険と介護保険のどちらが安いですか。

まず介護保険で訪問看護を受けた場合、サービスを単位で計算します。大体の場合、1単位は10~12円くらいです。これに通常の訪問看護の時間や初回加算などを加えると、1割負担の人で1ヵ月4,000円程度になります。ただし使える単位数は介護度によって決まっているため、注意が必要です。

一方医療保険で訪問看護を受けると、基本療養費で5,550~6,550円かかります。これに管理療養費(月の初日7,400円、2日目以降2,980円)がプラスで算定されます。それに他の加算が追加されますが、1週間に1回1時間のサービスを受ける場合は、1割負担の人で1ヵ月4,400円程度になります。こちらは高齢医療制度などで上限が定められているため、一定以上の料金は請求されません。

1ヵ月の料金を比較すると、医療保険の方が若干高いですが、あまり大差がない事が分かります。

医療保険の訪問看護料金の平均はどのくらいですか。

65~74歳の平均訪問看護料金は99,000円です。75歳以上で114,000円となっています。ここから医療保険の自己負担分の金額が請求されます。65~74歳で自己負担額を3割とすると、29,700円になります。75歳以上を1割負担とすると、11,400円となります。

訪問看護を医療保険で受けたいのですが、限度額認定証は使えますか。

使用できます。限度額認定証を提示すると、一定額以上の請求をされることはありません。訪問看護は1~3割負担であったとしても高額になる可能性があります。そのため、一定額以上請求されない限度額認定証を取得しておいた方が、経済的な負担も少なくなります。

医療保険での訪問看護料金を事前に把握しサービスを受けられる準備をしましょう

医療保険で訪問看護を受けると、確実に請求される金額プラスで加算額が請求されます。しかし、限度額認定証を活用することで一定額以上の請求はありません。訪問看護の料金だけをみると、負担が大きく感じます。利用者が快適な生活を送るためには重要です。医療保険での訪問看護を受けるために必要な金額はこの記事で解説しましたので、この記事を参考に訪問看護に備えておきましょう。

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