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居宅介護支援とは?サービス内容や利用方法をくわしく解説!

2024-10-01

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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現在介護認定を受けていなかったとしても、「将来的に介護サービスを利用することになるのでは?」と考える高齢者やその家族は多いです。そのような中で「居宅介護支援」をいう言葉を耳にする機会はあると思います。

しかし、居宅介護支援の言葉を知っていたとしても、どのようなサービスが受けられるのかは、分からない人も多くいます。居宅介護支援はケアマネジャーが利用者の心身の状況などに合わせて、介護サービスを受けるためのケアプランを作成し、介護サービスが適切に受けられるように事業所などと調整などをおこなってくれる支援です。

今回は居宅介護支援とは何かから、受けられるサービスを中心に紹介していきます。必要になったときに慌てなくてもよいように、居宅介護支援について理解し、適切な対応ができるよう準備をしておきましょう。

居宅介護支援とは

居宅介護支援とは、利用者がなるべく自宅での自立した生活が送れるよう、ケアマネジャーが利用者の心身や環境を考慮したうえで適切な介護サービスが受けられるようケアプランを作成します。

そして作成されたケアプランをもとに適切なサービスが受けられるよう、事業所や関係機関との調整や連絡をおこないます。居宅介護支援では特定のサービスや事業所に偏らないよう、公平中立におこなうことが定められています。

居宅介護支援の提供者|介護支援専門員(ケアマネジャー)とは

介護支援専門員は、要介護者及び要支援者に該当する人の相談から心身の状況に合わせて、訪問介護などの介護サービスを受けられるようケアプランの作成をおこないます。作成されたケアプランをもとに、各自治体やサービス事業者や施設等との連絡調整をおこなう人のことを介護支援専門員と呼びます。

また要介護者や要支援者の認定を受けた人が自立した日常生活を送るために必要な援助に関する専門的知識や技術を持つ者として介護支援専門員証の交付を受けたものとされています。

業務は大きく分けて居宅における業務と施設などにおける業務に分けられます。介護支援専門員は、保健医療福祉分野において実務経験が5年以上ある人や、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、実務研修課程を修了したうえで、介護支援専門員証の交付を受けることで取得ができます。

ケアマネジャーの所属の多くは居宅介護支援事業所

ケアマネジャーは主に介護施設や介護事業所で働いています。その中でも居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーを「居宅ケアマネジャー」、介護施設で働くケアマネジャーを「施設ケアマネジャー」とよんでいます。

ケアマネジャーの多くは、居宅介護支援事業所に所属しているため、ここでは居宅ケアマネジャーの仕事内容について触れていきます。

居宅ケアマネジャーは、要介護認定や要支援認定を受けた利用者が在宅で、最適な介護サービスを受けられるよう手配や手続きの代行をおこないます。利用者の自宅に出向き、アセスメントシートをもとに利用者や家族と面談し、どのような支援が必要か、抱えている問題や課題は何かをチェックします。そこからケアプランの原案を作成し、利用者や介護サービス事業者などの関係者とともに「サービス担当者会議」を開き、ケアプランの決定をおこないます。

利用者やその家族から同意を得たうえで、介護サービス事業者と契約を結ぶことで介護サービスがスタートします。その後も定期的に利用者の心身の状況について確認し、必要に応じてケアプランの修正などをおこないます。

居宅介護支援のサービス内容4つ

居宅介護支援で受けられるサービスは主に4つあります。ケアプランの作成、定期的なモニタリングとプランの見直し、介護に関する相談、要介護認定の手続きや更新の代行の4つから成り立っているため、それぞれを詳しく見ていきましょう。

1.ケアプラン(居宅サービス計画書)の作成

ケアプランは利用者の心身の状況や日常生活上のニーズ、家族の意向などを含めながらサービスの種類や回数を示した計画表になります。ケアプランはケアマネジャーによって作成されます。

「訪問介護を週に2回、通所介護を週に4回」など、利用者のニーズに合わせて立案されます。サービスを利用する当人やその家族が作成することも可能ですが、介護保険制度や介護サービスの内容を十分に理解していないと作成するのは難しいため、ケアマネジャーによりケアプランが作成されます。

2.定期的なモニタリングとプランの見直し

ケアプランは一度作成したらそれで終わりではなく、ケアマネジャーは定期的に利用者の自宅を訪問し、現在提供されている介護サービスがニーズに合っているか、サービスの品質に問題はないかなどの確認をおこないます。その際利用者の環境の変化等でケアプランの見直しが必要なときは、適宜修正をおこないます。

3.介護に関する相談

居宅介護支援事業所はケアプランを作成するだけの場所ではありません。介護保険に関する説明や要介護認定の申請手続きの代行、さらに住宅改修サービス利用までの段取りなど、利用者やその家族からの相談の受付もおこなっています。

4.要介護認定の手続きや更新の代行

居宅介護支援事業所では要介護認定の手続きや更新の代行をおこなっています。要介護認定とは、介護保険サービスを利用するにあたって必要な調査のことを指します。その他にも、すでに認定を受けた人の介護度の変更や更新にかかる手続きの代行もおこなっています。

居宅介護支援の利用方法

居宅介護支援はだれもが受けられるサービスではありません。サービスを受けるにはある条件を満たす必要があります。ではどのような条件があるのでしょうか。次から解説していきます。

居宅介護支援を利用できる方

居宅介護支援を受けるには、要介護1~5の認定を受けている人もしくは、要支援1または2の認定を受けていることが条件です。では、それぞれの違いについてみていきましょう。

要介護1~5の認定を受けている方(居宅介護支援)

居宅介護支援の対象者となるのは、自宅などで生活を送っている高齢者で要介護1~5と判定を受けた人です。要介護1とは、日常生活の動作は一人でおこなえるものの、運動機能や認知機能の低下がみられることから、一部介助が必要な状態です。身体能力や認知能力の低下により、より介護の必要性が高くなると、介護度も重くなっていきます。

要支援1または2の認定を受けている方(介護予防支援)

要支援1もしくは2に該当する人は、基本的に居宅介護支援を受けることができません。代わりに介護予防支援のサービスが受けられます。介護予防支援は介護予防のためのケアマネジメントであり、各自治体により設置されている地域包括支援センター勤務のケアマネジャーが役割を担っています。

ただし、地域包括支援センターが介護予防支援業務を居宅介護支援事業所に委託している場合であれば、要支援1・2の人も居宅介護支援を受けることができます。また利用を検討している場合は、居宅介護支援事業所に確認することをおすすめします。

居宅介護支援を利用するまでの流れ

居宅介護支援を受けるには大きく分けて5つの手順を踏むことになります。最初におこなうのは各自治体から要介護認定を受けることです。要介護認定を受けたら、居宅介護支援事業所のリストの中から事業所を選び、ケアプランの作成を依頼します。

ケアプランの作成を依頼した居宅介護支援事業所と契約を結び、担当のケアマネジャーを決め、最後にケアマネジャーがケアプランを作成し、ケアプランに沿って介護サービスを利用することになります。

居宅介護支援サービスは自己負担なしで利用可能

居宅介護支援サービスを受ける時に気になるのが、自己負担額はいくらかという点です。居宅介護支援サービスに関する費用は、全額介護保険制度から給付されるため、利用者の自己負担はありません。

なぜ自己負担がないのかというと、自己負担額が発生する場合、サービス利用に踏み切れず、必要とするサービスが受けられないことで重症化する可能性が出てきます。このような事態を防ぐために、居宅介護支援にかかる費用は全額介護保険制度からの給付となりました。

信頼できる居宅介護支援事業所をみつける4つの基準

信頼できる居宅介護支援事業所を見つけるには、重視したい4つの基準があります。ここでは重要な4つの基準についてそれぞれ見ていきます。

1.居宅から近い

居宅介護支援事業所は各自治体からの指定を受けた専門事業所であり、地域包括支援センターや各自治体の介護保険課で連絡先のリストをもらうことができます。事業所の中から一つを選択しないといけないため、悩むことになるでしょう。どこに依頼するか悩んだときは、利用者の自宅の近くの事業所を選ぶとよいでしょう。

自宅の近くの事業所であれば地域の介護や福祉の事情に通じている場合が多いため、きめ細やかな対応が期待できます。

2.特定事業所加算を算定している

特定事業所加算とは、質の高いケアマネジメントをおこなっている事業所に対して上乗せされる介護報酬のこと。具体的には専門性の高い人材の確保、職員研修の実施、事業所間連携などが評価の対象となります。

特定事業所加算はいくつかランクがあり、どのランクであったとしても加算を受けるためには、通常よりも人材配置を充実させなくてはいけません。きめの細かいサービスを提供するためには、ケアマネジャーの人員確保及び人材充実は重要です。

人材が充実しているかの指標として、特定事業所加算を算定しているかの確認は大切です。

3.併設されている施設によって決める

サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームなどの施設が、居宅支援事業所を自社で設立している場合があります。しかし、併設されているからといって、入居者がそこの介護保険サービスを利用しなければならないということはありません。ケアプランに沿って、必要なサービスを必要なだけ受けることが重要です。

利用者のためになるサービスを提供するには、ケアマネジャーの存在は大きいです。ケアマネジャーは利用者の目線に立ったサービスを提供するために、公正で誠実な対応が求められます。

4.ケアマネージャーとの相性を見極める

より良い介護サービスを受けるためには、ケアマネジャーとの相性を見極めなくてはなりません。ケアマネジャーは介護以外にも生活の深い部分にもかかわってくるため、信用できる人かどうかが重要です。

ケアマネジャーの選び方のポイントをまとめてみました。

  • 専門的な知識を持っている
  • どんな話でも親身になって聞いてくれる
  • 連絡がつきやすく、返信が早いこと
  • 家族の希望を理解しながら、冷静に判断してくれる
  • 説明が分かりやすい
  • 守秘義務を守ってくれる

専門知識が豊富だからといって、よいケアマネジャーとは限りません。人として安心して相談などができる人を選ぶようにしましょう。

居宅介護支援でよりよい在宅生活を送りましょう

居宅介護支援を受けることで、要介護状態であったとしても、自宅で自立した生活を送ることができるようになります。なぜかというと適切な介護サービスを受けることで利用者だけではなく、家族にもゆとりが出るからです。

居宅介護支援を必要な時に受けることで、家族の介護疲れの軽減も見込めるため、必要な状況が来たときは、積極的に支援を受けるようにしましょう。

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