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訪問看護とは?基礎知識から利用の流れまで徹底解説|福祉関係者向け

2024-09-11

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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訪問看護は、利用者や家族のみで生活をしていくことが困難になった場合、その人らしい生活が送れるように支援をおこなう仕事です。地域の病院の医療機関や訪問看護ステーションから、主治医の指示により看護師が利用者の自宅に医療的ケアをおこないます。

しかし、訪問看護は実際に利用している人しかわからないことが多く、実際に利用したい人も足踏みをされている方も多いです。この記事では訪問看護のサービス内容や費用について詳しく解説をしています。気になる方はぜひ、参考にしてみてください。

目次

訪問看護とは

訪問看護は、疾病や負傷により居宅生活を継続して療養を受ける状態にある利用者に対して、その利用者居宅において看護師等がおこなう療養上の世話または必要な診療の補助をおこないます。

サービス提供は、病院や診療所と訪問看護ステーションの両者からおこなうことが可能です。

介護予防訪問看護とは

介護予防訪問看護とは自宅での療養生活を支えるサービスと言われています。

医師の指示に基づき、看護師等が利用者の居宅を訪問し、健康チェック、療養上の世話または診療所の補助をおこないます。要介護状態になることをできる限り防ぐ(予防する)、あるいは状態がそれ以上悪化しないようにすることを目的としています。高齢者の利用者の持っている能力に応じ、自立した生活を営むことができるようにする役割があります。

精神科訪問看護とは

精神訪問看護とは、精神疾患を抱える利用者や精神的な理由でサポートが必要な利用者の居宅に訪問し看護を提供します。

利用者の症状や状況によってサポート内容も異なります。利用者の家族への支援も並行して実施し、利用者を取り巻く環境全体を整えていく役割があります。

訪問看護を利用する条件とは

訪問看護は年々必要とする利用者の数も増えています。しかし、誰でも支援を受けることが出来るというわけではありません。以下では、訪問看護サービスを受けるための条件について介護保険と医療保険のそれぞれでまとめています。ぜひ、参考にしてみてください。

介護保険で訪問看護が受けられる対象者

介護保険で訪問看護を受けるには条件があります。介護保険利用の申し込みには、まず利用者が地域包括支援センターやかかりつけの医者や訪問看護ステーションに連絡をする必要があります。

介護保険で訪問看護を利用するには、2つの条件があります。以下では詳しく解説をしてありますので参考にしてみてください。

1)65歳以上の要支援・要介護認定を受けている方

介護保険の訪問介護の対象者は65歳以上の利用者(第1号被保険者)で要支援や要介護と認定された方になります。

2)40~64歳の16特定疾病に該当するかつ要支援・要介護認定を受けている方

40歳以上65歳未満の方(第2号被保険者)や16特定疾患の対象者で、要支援や要介護と認定された方が対象になります。

16特定疾患とは、以下の通りです。

  1. がん末期
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靭帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗しょう症
  6. 初老期のおける認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病
  8. 骨髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

医療保険で訪問看護を受けられる対象者

医療保険で訪問看護を受けるには介護保険より条件が多いです。以下では、それぞれの条件について解説をしているので参考にしてみてください。

1)40歳未満の方

医療保険で訪問看護を受けるには40歳未満である必要があります。しかし、40歳を超えても65歳までは継続して支援を受けることが可能です。

2)40~64歳の16特定疾病に該当しない方

上記で挙げた16特定疾患に該当しない方である必要があります。

3)要支援・要介護認定を受けていない方

65歳以上の方は、要支援・要介護認定に該当せず、介護保険を利用していないことが条件になります。

4)要支援・要介護に認定されているが、厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)に該当する方

厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)に該当する疾病種類は、以下の通りです。

厚生労働大臣が定める疾病(別表第7)
末期の悪性腫瘍プリオン病
多発性硬化症亜急性硬化症全脳炎
重症筋無力症ライソゾーム病
スモン副腎白質ジストロフィー
筋萎縮性側索硬化症脊髄性筋萎縮性症
脊髄小脳変性症球脊髄性筋萎縮性症
ハンチントン病慢性炎症性脱髄性多発神経炎
進行性筋ジストロフィー症後天性免疫不全症候群
パーキンソン病関連疾患頸髄損傷
多系統萎縮症人工呼吸器を使用している状態

参考:厚生労働省「訪問看護 (参考資料)

5)特別訪問看護指示書を月2回交付されている方

特別訪問看護指示書を月2回交付されている方も対象になります。特別訪問看護指示書は利用者の主治医が診療に基づき、急性増悪により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護が必要であることを認め、訪問看護ステーションに対して交付する指示書になります。

特別訪問看護指示書は月2回交付されていていることの条件の他にも以下2つの条件があります。

  1. 気管カニューレを使用している者
  2. 真皮をこえる褥瘡の状態にある者

    訪問看護を利用できる回数

    訪問看護は利用できる回数は利用する事業所によっても異なりますが、制度としてはどうなのかと気になる方も多いです。以下では、訪問看護の利用回数について気になることについて解説をしています。ぜひ、参考にしてみてください。

    介護保険の場合は上限なし

    介護保険の訪問看護では訪問回数に上限はありません。

    しかし、介護保険で給付される金額は要介護度に応じた支給限度額が決まっているため、支給限度額を超えると、費用の全額を利用者の自己負担として請求することになります。

    訪問看護の2時間ルールに注意

    介護保険の訪問看護で同一の利用者に同日に2回以上の訪問をおこなう場合は、訪問と次の訪問の間を2時間空けなければいけません。そのルールを守らないと、1回の訪問として訪問時間を通算し、報酬を算定する必要があります。

    ただし、緊急時の場合や20分未満の訪問の場合、看護師と理学療法士など違う職種が訪問する場合は、それぞれの訪問として算定は可能です。

    医療保険の場合は原則週3日まで

    医療保険が適用となる訪問看護では、基本的に1日1回、週3回が訪問回数の上限となっています。ただし、特定の疾病や状態にある利用者に対しては、1日1回以上、週3回以上の訪問回数が認められています。

    厚生労働大臣が定める状態等(別表第7,8)に該当、特別訪問看護指示書が交付されている場合は週4日以上の利用が可能

    厚生労働大臣が定める状態等(別表第7,8)それぞれに該当する症状は以下の通りです。

    厚生労働大臣が定める状態等(別表第7)
    末期の悪性腫瘍プリオン病
    多発性硬化症亜急性硬化症全脳炎
    重症筋無力症ライソゾーム病
    スモン副腎白質ジストロフィー
    筋萎縮性側索硬化症脊髄性筋萎縮性症
    脊髄小脳変性症球脊髄性筋萎縮性症
    ハンチントン病慢性炎症性脱髄性多発神経炎
    進行性筋ジストロフィー症後天性免疫不全症候群
    パーキンソン病関連疾患頸髄損傷
    多系統萎縮症人工呼吸器を使用している状態

     

    厚生労働大臣が定める状態等(別表第8)
    在宅悪性腫瘍患者指導管理または在宅気管切開患者指導管理を受けている気管カニューレもしくは留置カテーテルを使用している
    以下の指導管理を受けている状態在宅自己腹膜灌流指導管理
    在宅血液透析指導管理在宅酸素療法指導管理
    在宅中心静脈栄養法指導管理在宅成分栄養経管栄養法指導管理
    在宅自己導尿指導管理在宅人工呼吸指導管理
    在宅持続陽圧呼吸療法指導管理在宅自己疼痛管理指導管理
    在宅肺高血圧症患者指導管理人口肛門または人口膀胱を設置している状態
    真皮をこえる褥瘡の状態在宅患者訪問点滴注射管理指導料を算定している

    参考:厚生労働省「訪問看護 (参考資料)

    訪問看護でできること・できないこと|訪問看護のサービス内容を解説

    訪問看護は今後も必要となる支援です。しかし、なんでもできるという訳ではありません。以下では、訪問看護にできることを詳しく解説しています。ぜひ、参考にしてみてください。

    訪問看護でできること

    健康状態の管理

    血圧、脈拍、血中酸素濃度、血糖値の測定などのバイタルサインの測定や呼吸状態、体重変化の観察、むくみの確認など利用者の病気や状態に合わせた健康状態を管理します。

    療養生活の相談・アドバイス

    自宅での療養は利用者や家族も不安を抱えることが多いです。家族が抱える不安や疑問を訪問看護師に相談することで、適切なアドバイスや支援を受けることができます。

    リハビリテーション

    継続したリハビリが必要だと医師が判断した場合は、自宅でリハビリを受けることができます。自宅での療養は身体機能が低下してしまう可能性もあるため、より安全な日常生活を送るためには身体機能の維持、回復、肺炎や床ずれなどの予防が必要です。

    自宅へ理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門スタッフが訪問するため、適切な支援やアドバイスが受けられます。

    点滴や注射、褥瘡(じょくそう)の処置などの医療ケア

    訪問看護師は医師の指示のもと、医療処置、看護サービスを受けることができます。具体的には、注射、点滴などの刺入部の消毒、点滴管理、医療的カテーテルの管理、呼吸器の管理、痰の吸引の処置やガーゼ交換などがおこなえます。

    このように自宅での適切な処置をおこなって症状、状態の悪化を防ぎ、快適な生活が送れるように支援ができます。

    服薬管理

    訪問看護師は処方されている薬を確認して、適切なタイミングで服薬しているかを確認します。また、お薬が効きすぎていないか、副作用はどうかなど、お薬による身体の変化なども観察し、必要時は担当医へ連絡するなどのサポートをおこないます。

    清潔ケアや排泄ケア

    生活をする上で必要な衛生管理、日常生活支援をおこないます。具体的には、入浴や手浴、足浴、爪切り、整容などの衛生管理、排便コントロールや導尿カテーテルなどの医療的カテーテル管理などの日常生活支援をいいます。必要時は訪問介護を併用してぬうよくする場合もあります。

    終末期ケアや緩和ケア

    医師の指示のもと、利用者のケア、苦痛や倦怠感の緩和をおこないます。また、本人だけでなく家族の心のケア、不安や悩みに対する相談もおこないます。

    医療機関や多職種との連携

    利用する訪問看護の事業所のみだけではなく、医療機関と連携をしながら治療を継続していきます。医療機関と連携して情報共有をおこなうことで、幅広い視点での質の高いケアをおこなうことが可能です。

    訪問看護でできないこと

    買い物

    訪問看護師は買い物の支援ができません。もし支援が必要な場合は訪問介護事業所に相談する必要があります。

    洗濯や掃除、調理などの家事

    訪問看護師は家事支援全般をおこなうことができません。家事支援が必要な場合は担当ケアマネジャーに相談すると、支援計画を組んでいただけます。

    病院への受診同行(事業所により自費対応)

    病院への受診同行は、事業所により本人や家族が依頼した際に、保険外(自費)で受診同行をしてもらえるようなサービスをおこなっている。

    訪問看護の提供には「訪問看護指示書」が必要

    訪問看護を提供するには、主治医の判断やケアプランの作成が必要となります。

    訪問看護指示書とは、指定された訪問看護サービスを提供する際に、主治医から交付される文書を指します。

    訪問看護は介護保険と医療保険のいずれかを利用できますが、保険制度を定めている介護保険法や健康保険法には「主治医による指示での文章でなければならない」と記されています。訪問看護指示書の有効期限は主治医が交付してから6ヵ月になります。

    訪問看護の利用までの流れ(介護保険利用の場合)

    利用者が介護保険を使って訪問看護を受ける場合は、まず初めに要介護認定を受ける必要があります。以下では要介護認定~介護保険における訪問看護利用までの流れについて解説をしていきます。

    介護保険の申請(介護保険の対象となる場合)

    訪問看護を利用するためには、自治会の介護保険担当窓口に介護保険の申請をおこないます。

    申請書は本人または代理人が署名する必要があります。仮に訪問看護が医療保険となっても、福祉用具のレンタルや訪問介護の利用には介護保険の申請が必要になるケースが多いです。

    今現在、介護保険のサービスが必要ない場合でも、必要になった場合にスムーズに導入ができるので申請しておくこともオススメです。

    要介護認定の申請・審査・要介護度の判定

    要介護の申請には、本人または代理人が市区町村に申請をします。

    その後、市長区村の職員が自宅を訪問し、心身の状況に関する調査をおこない、コンピュータによる1次判定がおこなわれます。同時に主治医に意見書を作成してもらい市長区村の職員に渡し、2次判定に進み要介護度の判定結果通知が自宅に届きます。

    ケアプランの作成

    利用者の要介護、要支援の等級が決まった後にケアマネジャーが利用者に合ったケアプランを作成します。
    ケアプランは利用者や家族が望む支援をケアマネジャーが支援計画を作ることをいいます。

    訪問看護ステーションの選択

    訪問看護ステーションを選択する時は、事業所の信頼性やサービスの提供範囲などを考慮することが重要です。

    訪問看護ステーションとの利用契約

    利用者本人が自身に合った訪問看護ステーションを見つけた場合は、事業所に連絡をして契約の手続きを始めます。利用開始日についても相談をすることが可能です。訪問看護ステーションは利用者の情報やケアプランを確認し、訪問看護のスケジュールや具体的なサービス内容を確認します。

    訪問看護利用開始

    訪問看護スタッフは、定期的に訪問して医療処置や健康管理、健康相談などをおこないます。訪問看護の頻度や内容は、主治医の発行した訪問看護指示書とケアプラン・利用者の状態に基づき調整されます。

    訪問看護の評価・ケアプランの見直し

    利用者や家族とのコミュニケーションを通じて、訪問看護の効果や満足度を評価し、必要に応じてケアプランの見直しやサービスの調整をおこないます。定期的なサービスの見直しは、利用者のニーズに適切に対応するために重要なものになります。

    訪問看護の単位数と利用料金の目安

    介護保険を利用する場合

    訪問看護の単位数と利用料金は2024年度の介護報酬改定により単位数に変更がありました。以下では、単位改定があった後と料金についても記載しています。ぜひ、参考にしてみてください

    訪問看護ステーション

    分類単位料金
    20分未満314単位

    月額の1割(所得に応じて2から3割)
    ※月の支給額限度額を超えたサービス分は自己負担

    30分未満471単位
    30分以上60分未満823単位
    60分以上90分未満1,128単位
    理学療法士等による訪問294単位

    参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について

    病院・診療所

    分類単位料金
    20分未満266単位
    • 料金の負担割合は、訪問看護ステーションと同様
    • 訪問管理療養費がかからないため、訪問看護ステーションより低額になることがある
    • 訪問看護以外の料金と合わせての支払いになる
    30分未満399単位
    30分以上60分未満574単位
    60分以上90分未満844単位

    参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について

    定期巡回・随時対応型訪問介護看護と連携する場合

    分類単位料金
    定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスと連携する場合2,961単位
    • 介護保険の場合は1割(所得に応じて2から3割)
    • 連携型の場合は、訪問看護ステーションの報酬も定額報酬になる
    • 医療保険の場合の場合は2から3割

    参考:厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について

    医療保険を利用する場合

    医療保険が適用となる訪問介護を利用する場合、訪問看護基本療養費Ⅰ、訪問看護基本療養費Ⅱ、訪問看護基本療養費Ⅲに分けられて金額が定められています。

    訪問看護基本療養費Ⅰ

    職種週3日まで週4日以上
    看護師等5,550円6,550円
    准看護師5,050円6,050円
    理学療法士等5,550円5,550円

    専門の研修を受けた看護師による訪問(1回につき)12,850円

    訪問看護基本療養費Ⅱ

    職種同一建物の人数週3日まで週4日目以降
    看護師等1人または2人5,550円6,550円
    3人以上2,780円3,280円
    准看護師1人または2人5,050円6,050円
    3人以上2,530円3,030円
    理学療法士等1人または2人5,550円5,550円
    3人以上2,780円2,780円

    専門の研修を受けた看護師による訪問(1回につき)12,850円

    訪問看護基本療養費Ⅲ

    一時外泊時の訪問看護利用(1回)8,500円

    訪問看護を適切に提供して利用者や家族のQOLを向上させましょう

    訪問看護は自宅で暮らす利用者にとって、日常生活を継続させるために大切なサービスです。今後は2025年問題で高齢者の人数が増えていく世の中となり、医療・介護保険における様々な制度を理解することは事業所の運営には欠かせません。適切に訪問看護を提供することで、利用者や家族のQOLを上げるためにも、ぜひ理解を深めておきましょう。

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