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介護リフォームで失敗しないための費用相場や助成金をわかりやすく解説

2024-06-25

介護リフォームとは、介護が必要になった家族のために、バリアフリーを意識したリフォームをおこなうことです。介護リフォームをおこなうことは、なるべく自宅で生活をしたいという家族の希望に応えることができますし、訪問介護サービスを使う際のヘルパーの介護のしやすさにも繋がります。

しかし、リフォームとなると多額の費用がかかるイメージがあり、どのくらいのお金が必要になるのかと不安に感じる方もいらっしゃいますよね。また、一度リフォームをおこなうと簡単に元に戻すことはできないため、失敗したくないと考える方がほとんどだと思います。

そこで本記事では、介護リフォームを行う際のポイントについて詳しく解説します。玄関・トイレ・お風呂などよくリフォームが行われる場所の費用相場や、活用できる助成金まで詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。

介護リフォームとは?

介護リフォームとは、高齢者や介護が必要な人々が自宅で安全かつ快適に生活できるように住宅を改修することです。主な目的としては、要介護者の安全性確保や自立支援、また介護者の負担軽減などがあげられます。

リフォームを行うポイントとしては、室内外の段差をなくすことやスロープの設置、廊下や階段、トイレ、浴室などへの手すりの設置をおこなうことなどが一般的です。また、要介護者の状況によっては、車椅子での生活に対応できるよう広い通路の確保や浴室の改造なども重要です。

介護リフォームをすべきか迷ったら

介護リフォームをすべきか迷ったら国土交通省が公開している「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針」を参考にしてみることをおすすめします。高齢者が居住する住宅の設計に係る指針では、高齢者が住居で生活するにあたって配慮すべきポイントとその基準が紹介されています。

介護リフォームがよくおこなわれる箇所について一部抜粋して紹介するので参考にしてみてください。

部屋リフォーム要否の基準
玄関
  • 出入り口の幅が800mm以上ある
  • くつずりと玄関外部の高低差が20mm以下
  • くつずりと玄関土間の高低差が5mm以下
  • 上がりかまち部の昇降や靴の着脱のための手すりがある
トイレ
  • トイレ空間の短辺が1,300mm以上もしくは、便器後方の壁から便器先端までの距離に500mmを加えた値以上である
  • 段差がない
  • 立ち座りのための手すりがある
お風呂(浴室)
  • 出入り口の幅が600mm以上ある
  • 出入り口の段差が20mm以下もしくは高低差が120mm以下かつまたぎ高さが180mm以下
  • 浴室への出入り、浴槽への入浴を補助するための手すりがある

参考:国土交通省「高齢者が居住する住宅の設計に係る指針

介護リフォームをすべき箇所と費用相場

自宅に要介護者がいる場合、自宅のすべてをリフォームしたいと考える人も多いと思いますが、フルでリフォームするとなると多額の費用がかかりますし、工期も長くなることが考えられます。

そこで以下では、介護リフォームをおこなう際にまず検討したい、リフォームすべき箇所について紹介します。

玄関の介護リフォームをする際のポイントと費用相場

まず、検討すべきは玄関のリフォームです。玄関は段差があることが一般的で、介護をする側・される側どちらにとっても負担になります。

玄関の介護リフォームを検討する場合、まずは以下の4つのポイントを改修することを検討してみましょう。

1.玄関までのスロープを用意する

玄関に至るまでの屋外に段差がある場合はスロープに変更することを検討してみましょう。段差からスロープになることで歩行がしやすく、幅によっては車いすでの通行も可能になります。もし、スロープの設置が難しい場合は、各段差を150mm以内に抑えるよう意識してみましょう。

2.ドアを引き戸にする

引き戸とは扉を横にスライドさせて開閉するタイプの扉です。一般的に玄関は開き戸であることが多いですが、開き戸は屋外に向けて引いて開けることが多いため、帰宅時にドアを鍵で当ててから一歩下がり扉を開くことになります。

動いたり移動したりすることが困難な要介護者にとっての負担を減らせるでしょう。

3.出入り口を広くする

玄関の出入り口を広くすることで介助者が介護をしやすくなったり、車いすのまま通行できたりといったメリットがあります。

4.手すりを設置する

手すりを設置することで段差での転倒を防止することが可能です。靴を履いたり脱いだりする際にも役立つでしょう。

なお、玄関の介護リフォームにかかる費用の相場はポイント別に以下の通りです。

ポイント費用相場
玄関のスロープ設置
  • 手すりなし
    20万円程度
  • 手すりあり
    40万円程度
ドアを引き戸に変更30万円程度
手すりの設置5万円程度

※費用の相場はあくまでも目安です。
 対応内容や対応状況によって変動する可能性があります。

トイレの介護リフォームをする際のポイントと費用相場

トイレはスペースが狭く、補助をおこなうことが難しいため介護リフォームの優先度は高いといえます。主に以下の3つのポイントを意識してリフォームを検討することをおすすめしますが、寝室の近くにトイレそのものを増設するなど、作り直してしまう方がスムーズに進む場合もあります。

1.ドアを引き戸にする

玄関同様にトイレも開き戸であることが多いです。移動の負担を減らすためにも、引き戸への変更を検討しましょう。

2.洋式トイレへ変更する

和式トイレは身体への負担が大きく、また介助も難しい形式のトイレとなります。そのため、和式便所を利用している場合は、洋式トイレへの変更をおすすめします。

3.手すりを設置する

トイレでは立ったり座ったりといった動きが必ず発生します。手すりを設置することで、立ったり座ったりの補助になったり、転倒防止につながったりします。

なお、トイレの介護リフォームにかかる費用の相場はポイント別に以下の通りです。

ポイント費用相場
ドアを引き戸に変更5万円程度~
洋式トイレに変更30万円程度
手すりの設置3万円程度~

※費用の相場はあくまでも目安です。
 対応内容や対応状況によって変動する可能性があります。

お風呂場の介護リフォームをする際のポイントと費用相場

お風呂場は介助するにはスペースが狭く、また、段差が多かったり滑りやすかったりと事故も発生しやすいスペースといえます。

お風呂場の介護リフォームを検討する場合、まずは以下の4つのポイントを改修することを検討してみましょう。

1.浴室の拡張をおこなう

お風呂場が狭い場合、浴室の拡張を検討しましょう。介助者と要介護者が同人┗入室することを考えると、2名以上が入室できる広さが必要です。

2.手すりを設置する

お風呂場は段差が多く、立ったり座ったりの動作が多く発生します。浴室への入室用、浴槽への入浴用など、用途に応じた複数箇所の設置を検討しましょう。

3.滑りにくい床材に変更する

床材を変更し転倒事故を防止します。

なお、お風呂場の介護リフォームにかかる費用の相場はポイント別に以下の通りです。

ポイント費用相場
浴室の拡張100万円程度~
手すりの設置1万円程度~
床材の変更5万円程度~

※費用の相場はあくまでも目安です。
 対応内容や対応状況によって変動する可能性があります。

介護リフォームに利用できる補助金はある?

介護リフォームをおこなう際には、多くの補助金や税制優遇措置を利用することができます。これらの補助金を活用することで、費用の負担を軽減し、安全で快適な住環境を整えることができます。以下に、代表的な補助金制度を紹介します。

介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費

介護保険制度には、要介護者を対象に自宅を改修する際に利用できる「居宅介護(介護予防)住宅改修費」という補助制度があります。補助金の上限は20万円で、利用者の負担割合に応じて、実際に支払う金額は変動します。

制度を利用できる介護リフォームには以下があげられます。

  • 手すりの設置(廊下・階段・浴室・トイレ・玄関)
  • 段差解消のための敷居の平滑化、スロープ設置、浴室床のかさ上げ等
  • 滑り防止および円滑な移動のための床材の変更(畳・じゅうたん・板材等)
  • 扉の取り替え(開き扉・引き戸・折り戸等、ドアノブ交換等)
  • 洋式便座等への便器の取り替え
  • 上記の住宅改修に付帯して必要となる改修

なお、申請には、ケアマネジャーのアドバイスを受け、必要な書類を揃えることが求められます。

住宅特定改修特別税額控除

住宅をバリアフリーに改修する際には、所得税の控除を受けることができる「住宅特定改修特別税額控除」が利用可能です。

この制度は、手すりの設置、段差の解消、トイレや浴室の改修など、一定のバリアフリー改修工事に対して、工事費用の一部を所得税から控除するものです。最大で200万円の改修費用に対して控除が受けられます。

なお、控除を受けるためには、工事完了後に税務署で確定申告を行い、必要な書類を提出する必要があります。

市区町村独自の補助金

多くの市区町村では、独自の介護リフォーム補助金制度を設けています。これらの補助金は、自治体によって内容や支給額が異なりますが、高齢者や障がい者が安全に暮らせる住環境を整えるための改修工事に対して支給されることが一般的です。

例えば東京都千代田区では、介護予防住宅改修等給付として要介護者を対象としていなくても、介護保険居宅介護(介護予防)住宅改修費と同形式の補助金を給付しています。

お住まいの地域で利用できる補助金がないか、必ず確認してからリフォームを進めるようにしましょう。

参考:千代田区「高齢者福祉住環境整備

介護リフォームで失敗しないためのポイント

介護リフォームは、住環境を高齢者や介護が必要な方に適したものにする重要なプロセスです。失敗を避けるためには、以下のポイントに注意することが重要です。

本当に必要なリフォームのみおこなう

介護リフォームでは、本当に必要な箇所のみを改修することが重要です。不要なリフォームをおこなうと、予算をオーバーしたり使い勝手の悪化につながったりする可能性があります。

将来的なことは一旦考えず、まずは必要最低限の改修を計画しましょう。

介護に知見のあるリフォーム業者を選ぶ

介護リフォームを成功させるためには、介護に詳しいリフォーム業者を選ぶことが重要です。介護リフォームには、専門的な知識と経験が求められます。

福祉住環境コーディネーターなど介護に関する資格を持っている業者や、過去に多くの介護リフォームを手掛けている業者を選ぶと安心です。業者の選定にあたっては、実績や口コミを参考にすることをおすすめします。

リフォーム業者の相見積もりをおこなう

複数のリフォーム業者から見積もりを取り、比較検討することも大切です。相見積もりを行うことで、適正な価格やサービス内容を把握することができます。

見積もりを依頼する際には、同じ条件で各業者に見積もりを出してもらい、価格だけでなく、提案内容やサービスの質も比較しましょう。透明性の高い業者を選ぶことで、トラブルを避けることができます。

ケアマネジャーに相談する

介護リフォームを行う前に、ケアマネジャーに相談することも重要です。ケアマネジャーは、利用者の生活状況や介護の必要性に詳しく、最適なリフォームのアドバイスをしてくれます。

また、補助金や助成金の情報についてもケアマネジャーから得られる場合があります。ケアマネジャーとの連携を密にし、適切なリフォーム計画を立てましょう。

専門家に相談し、後悔のない介護リフォームを

介護リフォームは、要介護者の生活のためにおこなうことが求められますが、ただ闇雲におこなっても、予算をオーバーしたり追加の対応が必要になったりすることが考えられます。

適切な介護リフォームをおこなうためにも、専門家であるケアマネジャーに一度相談のうえ検討することをおすすめします。

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