介護事業支援の種類は数多くあります。そのなかでも、特に経営者が知っておきたい支援が、補助金や助成金の種類ではないでしょうか。介護事業所が利用できる補助金や助成金の一覧表を確認したい方も多いでしょう。
この記事では、2023年時点で介護事業所が利用できる補助金や助成金をまとめてご紹介します。この記事を読むことで、助成金や補助金の採用条件、支給限度額などがわかります。
近年、介護現場のデジタル化が推進されており、介護現場におけるICTやデジタル技術の導入を後押しする制度は数多くあります。介護現場のデジタル化を推進させるための補助金や助成金についてご紹介します。
介護ロボット導入活用支援事業補助金とは、介護ロボットの導入により介護職員の身体的負担を軽減し、業務の効率化を図ることを目的とした補助金です。
補助対象となるロボットは、経済産業省の「ロボット介護機器開発・導入促進事業」などのプロジェクトで採択されたものでなければいけません。補助額は、補助対象経費の2分の1以内で、介護ロボットは1台あたり最大100万円、見守り機器の導入に伴う通信環境整備の場合は、上限750万円となっています。
ICT導入支援事業補助金は、ICTの導入によって介護現場の問題解決に役立てるための補助金です。
補助対象は、介護ソフト(勤怠管理やシフト管理など)、セキュリティ対策費用、タブレット、スマートフォン、Wi-Fi機器の購入や設置費、運営経費などが含まれます。
補助上限額は事業所の規模によって異なり、1~10人は100万円、11~20人は160万円、21~30人は200万円、31人以上は260万円です。ただし、実施主体は都道府県であり、条件や補助金額は自治体によって異なる場合もあります。詳細な条件は、各自治体のホームページで確認するとよいでしょう。
IT導入補助金は、企業が自らの課題解決のためにITを導入する際の経費をサポートする助成金です。助成対象としては、クラウド利用料(最大2年分)、ソフトウェア購入費、導入関連費などが含まれます。
補助金額は、通常枠では5万円~150万円未満、セキュリティ対策推進枠では5万円~100万円、デジタル化基盤導入枠では最大350万円までです。補助率や対象経費は枠や類型によって異なるため注意しましょう。
参考: 一般社団法人 サービスデザイン推進協議会「IT導入補助金2023」
介護事業所で活用できる補助金の中でも、人材雇用に関する補助金や助成金は数多くあります。介護業界では、人材不足が問題視されているため、数多くの補助金や助成金を利用できます。
業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業主の生産性向上を目的とし、事業所内での最低賃金の引上げを支援する補助金です。
通常コースと特例コースの2つがあり、補助対象となるものは、生産性向上のための設備投資費用やコンサルティング導入費用などです。
さまざまな取り組みによって、最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その費用の一部が助成されます。補助金額は、事業場内の最低賃金の金額や引き上げた額、対象となった労働者数によって上限額が決定します。
働き方改革推進支援助成金は、従業員の労働時間改善を支援するための助成金です。助成対象となる費用は、外部専門家によるコンサルティング費用、労務管理用ソフトウェアや機器の導入費用などです。
成果目標の達成状況に応じて、取組の実施に要した経費の一部が支給され、改善した労働時間や賃金改善した従業員の人数などによって助成金額が異なります。
参考:厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」
雇用調整助成金は、経済的な理由で事業活動を縮小する事業主が、雇用の維持を目的として休業手当の一部を助成する制度です。
補助金額は、平均賃金額と休業手当の支払率、そして助成率に基づき計算されます。また、中小企業や大企業、業況や地域によって上限額が異なります。
キャリアアップ助成金は、派遣労働者や有期雇用労働者、短時間労働者の企業内でのキャリアアップを促進するための補助金です。キャリアアップの方法によって7つのコースに別れており、各コースで助成金額等の条件が異なります。
例えば「正社員化コース」の場合、有期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すると、中小企業で57万円、大企業で42万7,500円の助成金を受け取れます。
両立支援等助成金は、職業生活と家庭生活の両立を促進するための助成金です。主なコースには「出生時両立支援コース」「介護離職防止支援コース」「育児休業等支援コース」があり、各コースごとに助成対象や上限額が異なります。
例えば、育児休業等支援コースは働きながら育児をする労働者を支援する制度で、育休取得時に30万円、職場復帰時に30万円が支給されます。
人材開発支援助成金は、労働者のキャリアの職業能力開発を促進する目的で設けられた助成金です。
雇用保険適用事業所の事業主が対象で、労働組合などの意見を取り入れて事業内職業能力開発計画を作成し、労働者に周知していることが条件となります。補助金の限度額は、4つのコースと訓練メニューに応じて異なるため注意しましょう。
トライアル雇用助成金は、職業経験不足によって就職が難しい求職者に対して、約3か月間の試行雇用をした場合に受け取れる助成金です。
補助金の額は、支給対象者1人につき月額4万円ですが、対象労働者が母子家庭の母や父子家庭の父の場合は1人あたり月額5万円が上限となります。
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動が一時的に縮小された事業主が、在籍型出向を利用して労働者の雇用を維持する際の経費を支援する制度です。
助成対象となるものは、出向元・出向先事業主が負担する賃金や教育訓練に関する経費、出向契約書の整備費用や出向者を受け入れるための機器の整備などが含まれます。
令和5年度までは予算が組まれていますが、令和6年度については、今後の新型コロナウイルス感染症の状況等を踏まえつつ継続するか判断されるようです。
参考:厚生労働省「産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)」
労働移動支援助成金は、事業規模の縮小などで離職を余儀なくされる労働者への再就職支援を行った事業主を対象とした補助金です。
具体的には、再就職支援を職業紹介事業者に委託する場合や、再就職のための訓練を教育訓練施設に委託する場合などが対象となります。
現在、再就職支援コースと早期雇入れ支援コースの2つが用意されており、各コースごとに助成金の限度額が異なります。
参考:厚生労働省「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」
中途採用等支援助成金は、中途採用の拡大やUIJターン採用を促進するための助成金です。
中途採用拡大コースとUIJターンコースの2つがあり、支給対象者への賃金の支払いや募集・採用パンフレットの印刷代などが助成対象となります。
中途採用拡大コースの助成金額は、中途採用率の拡大で50万円、45歳以上の中途採用率の拡大で100万円となっています。
UIJターンコースの助成金額は、中小企業で1/2の助成率で最大100万円、中小企業以外で1/3の助成率で最大100万円です。
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(中途採用拡大コース)」
参考:厚生労働省「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」
人材確保等支援助成金は、魅力的な雇用の創出を通じて、人材の確保と定着を目的とする助成金です。
この助成金には複数のコースがあり、介護事業所に適用しやすいものとして「雇用管理制度助成コース」「介護福祉機器助成コース」「人事評価改善等助成コース」「外国人労働者就労環境整備助成コース」が挙げられます。
例えば、介護福祉機器助成コースの場合、介護福祉機器の設置や整備費用などが対象となります。助成金額は、導入費用の最大20%(生産性要件を満たした場合は35%)で、最大150万円が助成金として受け取れます。
特定求職者雇用開発助成金は、高年齢者や障がい者などの就職困難者を継続的に雇用する事業主が利用できる助成金です。
ハローワークなどの紹介を受けた従業員を、雇用保険の一般被保険者として継続的に雇用する事業主が対象となります。補助金額は、労働者の種別や勤務時間に応じて異なります。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
65歳超雇用推進助成金は、高齢者が意欲と能力のある限り働くことができる生涯現役社会を実現するための助成金です。「65歳超継続雇用促進コース」「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」「高年齢者無期雇用転換コース」の3つのコースが用意されています。
助成金を受ける条件として、定年の引上げや定年の廃止、66歳以上の継続雇用制度の導入などがあり、助成金の上限金額は各コースごとに異なります。
介護事業所で利用できる補助金や助成金の多くは、ICTやデジタル化に関するものと雇用に関するものが多いようです。ただし、デジタル化や雇用に関係しない補助金も複数あります。
新規事業を立ち上げる直前や、事業承継をする際など、利用できるタイミングが限られたものが多いので、利用できるタイミングで積極的に活用するとよいでしょう。
小規模事業者持続化補助金<一般型>は、制度変更(働き方改革、被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入など)に対応するための取り組みにかかる経費を補助する制度です。
機械装置費や開発費などが補助対象となり、補助金額は通常枠で最大50万円、特別枠で最大200万円です。特別枠での採用条件には、賃金引上げ枠や卒業枠、後継者支援枠、創業枠などがあり、それぞれ特定の条件を満たす必要があります。
参考:全国商工会連合会「小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック」
事業再構築補助金は、新型コロナウイルスの影響や経済社会の変化に対応するために新しい事業展開や業態転換を目指す中小企業を支援する補助金です。日本国内に本社を持つ、一定の条件を満たした事業主が対象となります。
補助率は、中小企業で1/2、中堅企業で1/3で、従業員数に応じて補助金額が異なります。例えば、従業員数20人以下の場合は100万円~2,000万円、従業員数21~50人の場合は100万円~4,000万円です。
業種や事業規模に応じて複数の「枠(コース)」が設定されており、それぞれに独自の条件があります。また、一度交付決定を受けた事業者は、特定の枠を除いて再度申請することは原則できないため注意しましょう。
参考:事業再構築補助金事務局「事業再構築補助金 公募要領 (第11回)」
この記事では、介護事業所が利用できる補助金や助成金について解説しました。現在、数多くの介護事業支援が提供されており、全国の事業所が積極的に利用しています。
補助金や助成金は、こちらから応募しなければ受け取れません。そのため、どういった補助金や助成金があるのか知っていなければ、受け取れない可能性が高くなるでしょう。補助金や助成金を最大限活用するためには、まずは知ることが大切です。
この記事を参考に、各補助金や助成金の情報を調べて、使えるものがあれば積極的に申請することをおすすめします。
介護事業者向けに個別研修計画の目的と要件、ポイントについて事例をもとに詳しくまとめました。
<目次>
1.研修実績の要件を満たすには
2.研修計画書の例
3.個別の目標・カリキュラムの例
4.未履修者に対するオンライン研修動画の活用
5.対応漏れによる返還事例