訪問介護は、身体介護・生活援助・通院等乗降介助など利用者のニーズや生活スタイルに応じて柔軟にサービスを提供できるため、訪問介護をうまく利用することで、利用者・介護者ともに介護負担が大きく軽減できるはずです。
今回は、訪問介護の基本的なサービス内容や料金体系、費用負担軽減の方法などを紹介しますので最後までお読みください。
目次
訪問介護の月額料金は一定ではなく、サービス分類や利用時間によって異なります。
訪問介護は以下の3つのサービスに分類され、それぞれのサービスは利用時間によって発生する料金が異なります。
サービス内容 | 介助時間 | 料金 |
身体介護 | 20分以内 | 1,630円 |
20分以上30分未満 | 2,440円 | |
30分以上1時間未満 | 3,870円 | |
1時間以上 | 5,670円 | |
以降30分増し | 820円 | |
生活援助 | 20分以上45分未満 | 1,790円 |
45分以上 | 2,200円 | |
通院等乗降介助 | 1回につき | 970円 |
※1単位あたり10円で算出します。
基本的にかかる料金以外に、サービス内容によっては以下の料金が追加で必要になる場合があります。
サービス内容 | 料金 |
2人の訪問介護員等による場合 |
|
夜間若しくは早朝の場合又は深夜の場合 |
|
特定事業所加算 |
|
緊急時訪問介護加算 | 1回につき+1,000円 |
介護保険での利用者負担割合は、1割の場合がほとんどですが、以下のように所得によっては、利用者負担割合が変わる場合があります。
所得区分 | 自己負担割合 |
以下の1.2.の両方を満たす方 1.65歳以上で本人の合計所得金額が220万円以上 2.本人を含めた同一世帯の65歳以上の方の年金収入と、その他の合計所得金額が、
| 3割 |
以下の1.2.の両方を満たす方で3割負担とならない方
| 2割 |
2割負担、3割負担の対象とならない場合 | 1割 |
訪問介護などの介護保険でのサービスは、要介護度によって利用できるサービスの量が決まっています。介護保険でのサービスにおいて、1ヵ月あたりの利用限度額が以下の通りです。
要介護度 | 利用限度額 |
要支援1 | 50,320円 |
要支援2 | 105,310円 |
要介護1 | 167,650円 |
要介護2 | 197,050円 |
要介護3 | 270,480円 |
要介護4 | 309,380円 |
要介護5 | 362,170円 |
※1単位あたり10円で算出します。
生活援助は、利用者の自立支援や要介護度の進行を防止する目的があるため、利用限度額以内であれば、無制限に利用できるわけではなく、要介護度別に以下のように利用回数の上限が決まっています。
要介護度 | 基準回数(1ヵ月) |
要介護1 | 27回 |
要介護2 | 34回 |
要介護3 | 43回 |
要介護4 | 38回 |
要介護5 | 31回 |
なお、要支援1・2の場合は、介護予防・日常生活支援総合事業の対象となり、訪問介護は利用できません。
訪問介護など介護保険のサービスにおける自己負担額は1〜3割となっていますが、それでも、利用者の負担が重くなり過ぎないため、以下のように所得に応じた措置があります。
1つ目の措置は、高額介護サービス費です。この措置は、1ヵ月の自己負担額の合計が高額になったときに適用される措置で、個人の所得や世帯の所得によって決まっている月々の負担額上限を超えた金額が介護保険から支給されます。
なお、月々の負担額上限は以下の通りです。
区分 | 対象者 | 利用者負担上限額(月額) |
第1段階 | 1.生活保護を受給している方等 | 1.15,000円(個人) |
2.15,000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合 | 2.15,000円(世帯) | |
3.市町村民税世帯非課税の老齢福祉年金受給者 | 3.24,600円(世帯) | |
第2段階 | 市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円(世帯) |
第3段階 | 市町村民税世帯非課税で第1段階及び第2段階に該当しない方 | 24,600円(世帯) |
第4段階 | 1.市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満 | 1.44,400円(世帯) |
2.課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1,160万円)未満 | 2.93,000円(世帯) | |
3.課税所得690万円(年収約1,160万円)以上 | 3.140,100円(世帯) |
高額介護合算療養費制度は、8月1日〜翌年7月31日までの期間において、医療保険と介護保険の自己負担の合算額が高額になった場合に、自己負担額を軽減する制度のことで、申請をすることによって負担額の一部が払い戻されます。
なお、自己負担限度額は以下の通りです。
70歳以上 | 70歳未満 | |
年収約1,160万円以上 | 212万円 | |
年収770万~1,160万円 | 141万円 | |
年収370万~770万円 | 67万円 | |
~年収約370万円 | 56万円 | 60万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 | 34万円 |
市町村民税世帯非課税 | 19万円 |
ここでは、訪問介護を利用した際の費用の例について紹介します。
要介護 | 要介護3 |
自己負担割合 | 1割負担 |
訪問介護の内容 | 入浴時において全面的な介助が必要 |
利用サービスの内容 | 30分以上1時間未満の身体介護を週に3回利用 |
3,870円×3回/週×4週/月=46,440円
1割負担:4,644円
要介護 | 要介護1 |
自己負担割合 | 1割負担 |
訪問介護の内容 | 定期的な掃除・洗濯・買い物を希望 |
利用サービスの内容 | 45分以上の生活援助を週に2回利用 |
2,200円×2回/週×4週/月=17,600円
1割負担:1,760円
要介護 | 要介護4 |
自己負担割合 | 2割負担 |
訪問介護の内容 | 自宅内で全般的な介助が必要 |
利用サービスの内容 | 30分以上1時間未満の身体介護を週4回、45分以上の生活援助を週2回利用 |
3,870円×4回/週×4週/月=46,440円
2,200円×2回/週×4週/月=17,600円
46,400円+17,600円=64,040円
2割負担:12,808円
訪問介護は、高齢者や障がいを持つ利用者が住み慣れた自宅で快適な生活を送るための支援サービスで、身体介護・生活援助・通院等乗降介助にわかれます。
利用料金は、サービス内容や利用時間、所得に応じた負担割合によって異なりますが、高額介護サービス費や高額医療・高額介護合算療養費制度など、必要な支援を受けながら費用を抑えられる仕組みが整っています。
実際に、訪問介護を効果的に利用するためには、ケアマネジャーが作成したケアプランが必要になるため、自立した生活の維持や自宅での介護負担の軽減を希望する場合は、訪問介護の利用を1度検討しましょう。