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介護実習で目指すべき目標と実習内容~効果的な実習で介護技術を身に付けよう~

2024-11-26

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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介護実習は、介護職を目指す学生が現場での実践を通じて、知識や技術を深めるための大切な機会です。

実習を経験することで、教室で学んだ理論を実際の介護現場に当てはめることができ、利用者との接し方や、多職種との連携を体験することで実践力を養うことができます。

介護実習をより良い機会にするためには、事前に介護実習の目標を明確にすることが重要です。今回は介護実習の目標の立て方や、実際に介護実習ではどのようなことがおこなわれるかまで解説します。

介護実習での目標設定の仕方

介護実習での目標設定は、充実した実習を過ごし、自己成長するための重要な内容です。

まず、具体的な目標設定の仕方として、自分の得意な点と苦手な点を考えて、実習を通して、どのように成長したいのかを明確にすることで、目標が立てやすくなります。

次に、設定した目標を達成するために、具体的な行動計画を立てましょう。目標を設定する場合、多くは苦手な点を克服しようとしますが、必ずしも苦手な点を克服するだけでなく、得意な点をさらに成長させる視点で考えることが重要です。

介護実習でおこなう内容

実際の介護実習では、主に以下のような内容がおこなわれます。

利用者とコミュニケーションをとる

コミュニケーションは、利用者との信頼関係を築くために非常に重要です。コミュニケーションを積極的にとることで、利用者の顔と名前を覚えられるだけでなく、利用者それぞれの目標など多くの情報を得ることができます。

また、利用者にとっても、コミュニケーションをとることは多くのメリットがあります。

高齢者になると、人と会ったり色々なことを考える機会が減ることから、脳への刺激が少なくなると言われていますが、コミュニケーションをとることで、孤立感が軽減し、生活の質を向上する効果も期待できます。

介助業務の補助をおこなう

介護実習では、職員の助言やサポートを受けながら、排泄介助・食事介助・入浴介助などの全体的な介助業務の補助をおこないます。

学校の授業では、机上での理論などの学習や、健常者に対して介護業務の練習をおこないますが、現場での経験や、専門的な技術は、学校の授業では学ぶことはできません。

今まで学んできた知識を、実際の現場でも活用できるように、職員の助言やサポートをもらいながら、介助業務をおこない、わからない所や疑問点があれば積極的に質問しましょう。

利用者へレクリエーションをおこなう

レクリエーションは、身体機能向上・脳の活性化・コミュニケーション促進・QOL向上などを目的におこなわれます。介護実習の場合は、一緒にレクリエーションに参加したり、利用者のサポートに回ったりするだけでなく、自分でレクリエーションを企画して、実際におこなう場合もあります。

レクリエーションは、目的を意識しながら、身体を動かすレクリエーションや気分転換となるレクリエーションをおこなえば、利用者さんは楽しく、充実した時間を過ごせるはずです。

会議・カンファレンスへ参加する

実習施設先には、ケアマネジャー・看護師・介護士など、多職種の職員が関係していますが、会議・カンファレンスへ参加することで、それぞれの職種の役割や必要性や、連携の重要性について理解を深められます。

また、職員同士で利用者の情報を共有することで、今後の目標を明確にできるなど、より良いサービスの提供につながることが学習できるはずです。

介護実習を実施する狙いは2つある

介護実習では、介護現場の多くの内容を体験しますが、公益社団法人日本介護福祉士会が発表した「介護実習指導のためのガイドライン」によると、その中でも介護実習を実施する目的を以下の2つのように示しています。

実施する目的具体的な内容
1それぞれの介護現場において、対象者の生活を理解し、本人や家族とのコミュニケーションや生活支援を行う基礎的能力を習得する学習とする。

体の不自由な高齢者や障がい者など、1人1人の利用者に寄り添うことが重要です。
また、利用者だけでなく、家族とやりとりするケースもあるため、介護実習で、利用者の生活を理解するとともに、コミュニケーションの能力や、生活支援をおこなうための基礎的能力を養います。

2本人の望む生活の実現に向けて、多職種との協働の中で、介護過程を実践する能力を養う学習とする。介護サービスを提供する多職種が集まって今後のサービス提供を検討する「カンファレンス」や、「サービス担当者会議」に参加することで、現場における介護福祉士の理解の深まりや、多職種との連携など、介護を実践するために必要な能力を養います。

目的を実現するために、教育に含むべき事項が3つある

介護実習の目的を実現するために、以下の3つの事項を実習中に含めるべきとしています。

教育に含むべき事項留意点
1介護過程の実践的展開

介護過程の展開を通して対象者を理解し、本人主体の生活と自立を支援するための介護過程を実践的に学ぶ内容とする。

2多職種協働の実践

多職種との協働の中で、介護福祉士としての役割を理解するとともに、サービス担当者会議やケースカンファレンス等を通じて、多職種連携やチームケアを体験的に学ぶ内容とする。

3地域における生活支援の実践

対象者の生活と地域との関わりや、地域での生活を支える施設・機関の役割を理解し、地域における生活支援を実践的に学ぶ内容とする。

参考:厚生労働省「介護実習指導の内容とポイント」

介護福祉士を取得する場合は介護実習が必要

介護福祉士の資格を取得するには、以下のルートがあります。

  • 福祉系高校ルート:福祉系高校で学ぶ
  • 養成施設ルート:高等学校などを卒業した後に厚生労働省が認めた専門学校、短大、大学などの介護福祉士養成施設で学ぶ
  • 実務経験ルート:実務経験を積んだ後に研修を受ける

これらのルートの中で、福祉系高校ルートと養成施設ルートでは、介護実習が必修科目となっています。具体的な期間は、学校によって期間などは異なりますが、2〜5週間の介護実習を3〜4回程度おこなうのが一般的です。

介護実習をおこなっている介護施設一覧

  • 通所介護
  • グループホーム
  • 障害者支援施設
  • 介護老人保健施設
  • 特別養護老人ホーム など

施設ごとでの介護実習の目標例

介護実習はそれぞれの施設によって目標は異なります。ここでは、施設ごとでの介護実習の目標例を紹介します。

介護施設実習目標
通所介護
  • 通所介護のサービス内容や利用者の状態を理解する
  • 通所介護での介護職の仕事内容を理解する
  • リハビリテーションの内容と方法を知る
  • 利用者の基本的な介護内容を見学・体験する
  • 他職種連携の重要性を学ぶ
グループホーム
  • 施設の概要と利用者の1日の生活リズムを知る
  • 認知症に対する具体的な介助内容と方法を知る
  • 利用者の基本的な日常生活援助について学ぶ
  • 多職種連携の重要性を学ぶ
障害者支援施設
  • 障害者支援施設の概要と、その施設での生活を理解する
  • 利用者とコミュニケーションをとり、生活支援の課題や生活支援の内容を考える
介護老人保健施設
  • 施設の概要と利用者の1日の生活リズムを知る
  • リハビリテーションの内容と方法を知る
  • 利用者の基本的な介助について見学・ 体験する
  • 他職種連携の重要性を学ぶ
特別養護老人ホーム
  • 利用者の状況に応じた基本的な介助を習得する
  • 医療的ケアの内容、役割を学ぶ
  • 施設の概要を知る
  • 利用者の情報収集やアセスメントの方法を学ぶ

介護実習で注意するべきポイント

介護実習は、介護職に必要な知識・技術を学習できる重要な機会ですが、実習先の介護施設や利用者に対して迷惑をかけることがないよう、以下の内容は最低限注意しましょう。

身だしなみに気を付ける

介護施設の業務をおこなうにあたり、ふさわしい身だしなみを意識しましょう。具体的には、スタッフや利用者から違和感を持たれないように、ポロシャツやTシャツ、スラックス、ジャージは動きやすさと清潔感を兼ね合わせた身だしなみになります。

また、髪の毛が長い場合は1つにまとめたり、アクセサリーを外すなど、利用者の安全を最優先に考えて身だしなみを整えましょう。

介護実習には積極的に参加する

介護実習の期間は、長いように思えますが、非常に短いため、この短期間の中でいかに知識や技術を学ぶかが重要です。そのため、実習期間を1日も無駄にしないように、積極的に実習に介護実習へ参加しましょう。

また合わせて、実習先の介護施設は、忙しい業務時間の合間を使って指導してもらっているという意識を持つことも重要です。

実習生も1人の介護職員であることを自覚する

実習生といっても、介護施設の中で業務をおこなっているため、1人の介護職員とみなされます。そのため、学生であるという立場に甘えず、自分の行動や発言には責任を持ちましょう。

今後、必要とされる介護福祉士像とは?

厚生労働省は、今後求められる介護福祉像は以下のように示しています。

  1. 尊厳と自立を支えるケアを実践する
  2. 専門職として自律的に介護過程の展開ができる
  3. 身体的な支援だけでなく、心理的・社会的支援も展開できる
  4. 介護ニーズの複雑化・多様化・高度化に対応し、本人や家族等のエンパワメントを重視した支援ができる
  5. QOL(生活の質)の維持・向上の視点を持って、介護予防からリハビリテーション、看取りまで、対象者の状態の変化に対応できる
  6. 地域の中で、施設・在宅にかかわらず、本人が望む生活を支えることができる
  7. 関連領域の基本的なことを理解し、多職種協働によるチームケアを実践する
  8. 本人や家族、チームに対するコミュニケーションや的確な記録・記述ができる
  9. 制度を理解しつつ、地域や社会のニーズに対応できる
  10. 介護職の中で中核的な役割を担う

引用:厚生労働省「介護実習指導の内容とポイント」

上記の10項目と合わせて「高い倫理性の保持」が示されています。

これらの内容から、今後の介護福祉士の仕事は、介護施設の中で介護業務だけでなく、活躍の場は多方面に広がると予測されているため、それぞれの場所で対応できる介護福祉士が求められていることがわかるはずです。

介護実習の目標を明確して介護技術を効果的に高めよう

介護実習は、実際の介護現場を通じて介護職に必要な知識や技術を学ぶ貴重な機会になりますが、その効果を最大限に引き出すためには、実習前に目標を明確に設定することが重要です。

介護実習の目標を明確にすれば、自分の得意な点と苦手な点を整理でき、苦手克服だけでなく、得意分野をさらに伸ばすことができます。今回の内容をきっかけに、介護実習の目標を明確にして、介護技術を効果的に高めるきっかけにしましょう。

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