厚生労働省より介護保険最新情報Vol.1479「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」についてが令和8年3月13日に発出されました。
①これまで加算の対象外だった訪問看護や居宅介護支援等にも加算が新設され、介護職員だけでなく広く介護従事者全体へ柔軟に賃金を配分できるようになった
②介護従事者に対して幅広く月額1.0万円の賃上げが行われるとともに、生産性向上や協働化(ケアプランデータ連携システムの利用など)に取り組む事業所の介護職員には、さらに月額0.7万円の上乗せ措置が実施される
③申請時点でキャリアパス要件等の規程整備が間に合わない場合でも、令和8年度の特例要件を満たした上で「令和9年3月末までに整備する」と誓約すれば、申請時点から要件を満たしているものとして算定できる救済措置が設けられている

令和8年度に実施される制度改定(期中改定)の基本的な考え方、算定要件、事務手続き等についてまとめられています。
その中でも、実務上特に重要と思われる質問と回答の要点を5つ抜粋してご紹介します。
Q.賃金改善の対象者はどのように設定されますか?また、すでに年収が440万円以上ある職員も対象にできますか?
A.経験・技能のある介護職員の処遇改善を重視しつつ、事業所内での柔軟な配分が認められている場合、介護職員以外の職種も含めることができます。また、改善前の賃金がすでに年額440万円以上である職員であっても、賃金改善の対象に含めることが可能となっています。

Q.経営悪化などにより、賃金水準を引き下げることは可能ですか?
A.事業の継続が困難な場合など、合理的な理由に基づいて労使の合意を得る必要があります。また、個別の項目だけでなく賃金全体の水準が引き下げられる場合には、「特別事情届出書」の提出が求められます。ただし、状況が改善した場合は速やかに引上げ前の水準に戻す必要があります。
Q.前年度から職員の減少や入れ替わりがあった場合や、「年額440万円以上」に設定していた職員が途中で退職してしまった場合はどうなりますか?
A.職員の入れ替わり等により賃金総額が減少する場合、退職者が前年度に在籍していなかったと仮定して賃金総額を調整(推計)することが認められています。また、「年額440万円以上」の対象者が退職した場合でも、指定権者に合理的な理由を説明することで、算定要件を満たしたものとして取り扱うことが可能です。

Q.キャリアパス要件等を「令和7年度中に整備する」と誓約して加算を取得し、実際には整備できなかった場合は返還対象になりますか?
A.原則としては実績報告で報告できなければ返還対象となります。しかし、令和8年度の申請時に「令和8年度特例要件」を満たし、改めて「令和8年度中(令和9年3月末まで)に整備する」と誓約して加算を継続取得する場合は、令和7年度分の加算額の返還を求めないという柔軟な対応が示されています。
Q.令和8年度特例要件は4・5月の算定時から満たす必要がありますか?また、審査時にどのような資料が必要ですか?
A.特例要件は基本的に令和8年6月以降の要件ですが、4・5月の申請でキャリアパス要件等の「要件整備の誓約」を活用する場合は、特例要件を満たす(または誓約する)必要があります。審査にあたって資料の一律提出は求められませんが、システム使用画面のスクリーンショットなどの根拠資料を2年間保存し、求められた場合には速やかに提出できるようにしておく必要があります。
令和8年度の制度改定により、対象職種が介護職員のみならず広く介護従事者全体へ拡大したことで事業所内での柔軟な賃金配分が可能となり、職員全体のモチベーション向上や人材定着への好影響が期待されます。
一方で、上乗せ加算を獲得するためには「ケアプランデータ連携システム」の利用や生産性向上体制の構築など、新たな特例要件への対応が必要となるため、事業所における業務のICT化や協働化への移行が急務となります。
制度の変更点を的確に把握し、計画的な要件整備や適切な賃金改善を通じて、全職員がやりがいを持って働き続けられる魅力的な職場づくりを進めていきましょう。
◆原文はこちらからご確認ください。
介護保険最新情報Vol.1479 「介護職員等処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について(令和8年度分)」及び「介護職員等処遇改善加算に関するQ&A(第1版)」について