介護福祉士とは、介護士として技術や専門性が高い事を証明する国家資格です。介護福祉士養成学校に通学することの他、実際の介護現場で経験を積むことによりその受験資格を得ることが出来ます。
介護福祉士の合格率は近年70%代を超えることもあり、挑戦しやすい資格とも言えます。
介護福祉士の受験日は筆記試験が毎年1月頃、実技研修が毎年3月頃となっており、申し込みの期日は毎年9月上旬となっています。
介護福祉士の受験者は女性が7割程度いると言われており、受験には実務経験が必要であることから就労しながら試験を受けている方が多いため、自分のライフスタイルに合った勉強方法を見つけることが合格への近道だと言えます。
目次
介護福祉士は、直接介護分野で唯一の国家資格であり、試験に合格し、登録を行った人だけが名乗れる名称です。
直接介護系の資格には、初任者研修(訪問介護員1級相当)やその上に位置する実務者研修(訪問介護員2級)等が有りますが、いずれも国家資格では有りません。
また、介護業界の最上位と言われる『介護支援専門員(ケアマネージャー)』は公的資格であり、国家資格では有りません。
介護業界で初めて働く場合に、多くの方が取得されるのが『初任者研修』または『実務者研修』という資格で、これは旧訪問介護員資格2級・1級相当に該当します。
この取得の後、実務経験を3年程経て介護福祉士の国家資格を取得するというキャリアプランを描かれる方が多く、介護福祉士は実務経験が一定年数必要であること、介護に関する知識を要していることが必要になるため、直接介護系資格の最上位資格と言えます。
介護福祉士は国家資格であり、士業です。
士業とは、特に福祉業界における士業は、業務が対象者の生命、身体、精神、生活に直接かかわることとなり、公共の安全にも重大な影響を与えるため、社会的責任の大きな士業として資格の取得に経験年数やこれに準ずる勉学を義務付けています。
これらを経て資格の取得、登録に至った介護福祉士は、確かな知識やスキルを有するものであると明確に証明されます。
介護福祉士は前項のように『確かな知識とスキル』を有しています。このため、資格保持者である場合は多くの法人で資格手当が準備されています。
この手当の有無は法人により差がありますが、多くの法人では1万円から数万円程度の差が出ることとなっています。
法人内で設定されている役職のうち、直接介護職の上位に位置する役職の条件として掲げられることが多いのが『介護福祉士』です。
例えば事業の管理者等がこれに責任者等がこれに該当し、『介護福祉士』には介護に関するスキルだけでなくマネジメント等、みんなのお手本となることが望まれています。
試験は『公益財団法人社会福祉振興・試験センター』が実施しています。
例年9月初旬に申し込みを終了し、筆記試験は1月、実技試験は3月に実施されます。試験の合格者は、合格通知の到着後、合格通知とともに届いた登録の案内に沿って登録を行い、これが受理されて初めて『介護福祉士』となることが出来ます。
申し込み期日:令和4年9月9日(金曜日)
筆記試験:令和5年1月29日(日曜日)
実技試験:令和5年3月5日(日曜日)
申し込み期間:令和5年8月上旬から9月上旬
筆記試験:令和5年1月下旬
実技試験:令和5年3月上旬
①人間の尊厳と自立、 ②人間関係とコミュニケーション、 ③社会の理解、 ④介護の基本、 ⑤コミュニケーション技術、 ⑥生活支援技術、 ⑦介護過程、 ⑧こころとからだのしくみ、 ⑨発達と老化の理解、 ⑩認知症の理解、 ⑪障害の理解、 ⑫医療的ケア、 ⑬総合問題
介護等に関する専門的技能
18,380円
令和5年3月24日(金曜日)14時
合格基準は、以下の通りと定められています。
次の2つの条件を満たした者を筆記試験の合格者とする。
1:問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
2:1を満たした者のうち、以下の試験科目11科目群すべてにおいて得点があった者。
①人間の尊厳と自立、介護の基本
②人間関係とコミュニケーション、コミュニケーション技術
③社会の理解
④生活支援技術
⑤介護過程
⑥こころとからだのしくみ
⑦発達と老化の理解
⑧ 認知症の理解
⑨障害の理解
⑩医療的ケア
⑪総合問題
※ 配点は、1問1点の125点満点
合格基準は、以下の通りと定められています。
課題の総得点の60%程度を基準として、課題の難易度で補正した点数以上の得点の者を実技試験の合格者とする。
出題の基準は以下の通りとされています。
試験の申込みにあたっては、実務経験をもとに試験を受ける場合には『実務経験証明書』の提出が必要となります。
実務経験証明書は、実務経験を積んだ法人に対して『実務経験証明書』の作成依頼を行う事になりますので、試験の申込みに十分な余裕をもって作成依頼を行う必要があります。
(同じ期間に複数の事業所に所属している方が実務経験証明書に加えて、提出するものです)
証明書を作成する事業者(法人)の方向け
実務経験証明書作成支援ツール、従業期間計算表をご利用ください
実務経験証明書、従事日数内訳証明書のみを提出しても、受験申し込みをしたことにはなりませんのでご注意ください。
所属していた施設・事業所が廃業(閉鎖)した場合や、施設・事業所先の文書保管期間経過等の理由で記録が処分された場合等、「実務経験証明書」の提出が困難な受験申込者は、受験申込者自身が用意・手配することになります。
法人が存在した記録、役職の分かる記録、雇用保険や年金の働いていた期間を証する記録等を用意することとなりますので、こちらについても早めの手続きを行う必要があります。
合格率は年々上昇しています。
第1回の合格率は23.2%と低めでしたが、その後の合格率は第3回から50%前後を記録するようになり、第24回では60%を超え、近年は合格率が70%を超える年がでてきました。
しっかりとテキストと過去問題集に取り組むことで1回で合格できる方も多く、チャレンジしやすい資格だと言えます。
ただし、当然のことですが『勉強をしなければ受からない』資格ですので、しっかりと試験勉強を行いましょう。
試験問題
試験問題
全体的に『実践』を想定した事例のような出題と、各科目ごとの知識を問う問題が多く、多くの受験者は事例を想定した問題は解くことが可能です。
力を入れて取り組むべき勉強は、事例を想定していない知識を問う問題です。特に『発達と老化の理解』『認知症の理解』『障害の理解』『こころとからだのしくみ』『医療的ケア』は出題数も多く、実践を想定した事例のような出題よりも知識を問う設問が多くなっています。
特にこの科目については、テキストを確認して過去問題を解くようにしましょう。
介護福祉士試験は受験資格ルートが多岐にわたる事から、自分自身が受験資格が有るのか、無いのか判断に迷う方が多くいます。
認識の相違で受験してしまった場合は、合格となってもその取消に至る可能性がありますので、判断に迷った場合はしっかりと確認し、また必要に応じて問い合わせを行う事も大切です。
以下は試験センターの公開しているQ&Aをまとめたものですので、事前にしっかりと確認の上試験合格までのスケジュールを立てましょう。
平成28年度から実務経験だけでは受験ができなくなっており、原則的に『実務者研修』の終了が介護福祉士国家試験の受験資格になっておいます。また、実務経験3年以上で介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(3号研修を除く)を修了していれば受験できます。(この場合、実技試験は免除となります。)
介護福祉士を受験する際に肝となる『初任者研修』『実務者研修』ですが、まずはこのいずれかの資格取得を行い実務経験を積んでいくことで介護福祉士受験までの期間を最短で行うことができます。
①実務者研修終了⇒介護現場で実務3年⇒介護福祉士受験
②初任者研修終了⇒介護現場で3年+実務者研修終了⇒介護福祉士受験
実務者研修の標準的な研修時間が450時間、6ヵ月と定められていますが、すでに取得している資格によって受講する科目が免除されるため、必要な学習期間が異なります。
例として初任者研修を取得している方は、最短で約4ヵ月(自宅学習+通学8~10日間)で実務者研修を取得できます。無資格の場合は、6ヵ月の期間が必要となります。
初任者研修の受講項目と時間数はどの学校も共通ですが、平日コースや土日コースなどの開講コースの違い、通学・通信の学習方法の違いによってスケジュールが変わります。最短1ヶ月から半年程度かかる場合もあります。
介護福祉士国家試験対策は、一般的に「独学」「通信講座」「通学(スクール)」の3つがあり、それぞれメリットデメリットが有ります。
就労しながら試験勉強を行われる方も多く、受験者の7割が女性であるため自分のライフスタイルに合った勉強方法を選択することがとても大切です。
メリット
●費用が1番安い ●自分で勉強のスケジュールを立てられる
デメリット
●モチベーション維持が難しい ●自己管理が必要 ●不明点を聞ける相手を探す必要がある
独学のメリットは、参考書や問題集は高くても3,000円程度であり、インターネットやアプリを使えば無料で対策することも可能です。介護福祉士国家試験を受けるには、受験手数料として18,380円かかるため、できるだけ節約したいと考えている方には1番おすすめです。
メリット
●効率よく勉強できる ●スマホやPCがあれば手軽に受講できる ●試験対策が可能
デメリット
●独学と比べ費用がやや高くなる ●モチベーション維持が難しい
通信講座は、自宅で講師の解説を聞きながら勉強できます。わからないことがあれば、メールやチャットで質問できる場合が多く、ひとりで抱え込むという心配もありません。また、パソコンやスマホがあればどこでも受講できるので、隙間時間に勉強することも可能です。
ただし、独学よりは費用がかかり、多くの学校では2万円~5万円ほどかかるようです。また、通信講座もひとりで勉強することになるため、モチベーションの維持が難しいという側面もあります。
メリット
●わからないことがあればすぐ質問できる ●仲間と顔を合わせれるためモチベーション維持が可能
デメリット
●費用が1番高い ●通学する日程調整を行う必要がある
通学の受験対策講座は、通信講座同様、講師による授業を受けられるため、効率よく勉強ができます。また、わからないことをその場で聞くことができるます。また、同じ目標を持つ仲間たちと同じ教室で勉強することでモチベーションも続きやすいです。
短期講座で3万円~7万円前後、長期講座では20万円弱かかることもあります。