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訪問介護の生活援助とは?時間はどのくらい?なくなる?など疑問について徹底解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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訪問介護はホームヘルパーなどが要介護者の自宅を訪れて支援を行うサービスで、身体介護と生活援助、通院等乗降介助に分類されています。

今回の記事では家事などを行う生活援助について、利用条件や具体的な支援内容、訪問介護員ができることとできないことなど詳しく解説します。

訪問介護とは

訪問介護とは、介護福祉士やホームヘルパーなどが要介護者の自宅を訪問して、生活を支援するサービスです。

訪問介護で提供されるサービスは、支援の内容によって以下の3つに分けられています。

①身体介護:入浴や排泄、食事介助など利用者の身体に接触して行われる

②生活援助:調理や洗濯、掃除などの家事を行って日常生活を支援する

③通院等乗降介助:通院のときに車の乗り降りなどを介助する

参考:厚生労働省

いずれのサービスも介護の専門知識をもった訪問介護員によって提供され、利用者が自宅で自立した生活を送ることを支援します。

訪問介護に関してさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

【2022年最新版】訪問介護とは?サービス内容や受け方、費用についてご紹介!

訪問介護の生活援助とは

訪問介護の生活援助とは、要介護者本人や家族が家事をするのが難しい場合に訪問介護員が自宅に伺って、日常生活の支援を行うサービスのことです。

提供されるサービスには掃除や洗濯、料理などの家事や、衣服の整理、日用品の買い物などがあります。

身体に直接接触する身体介護以外で利用者が日常生活を営むことを支援するサービスが、生活援助とされています。

生活援助の利用者の条件

訪問介護の生活援助が利用できるのは、要介護1〜5の認定を受けている方です。

要支援認定を受けている方は介護予防訪問介護という形でサービスを受けることができます。

要支援の方が利用できる介護予防訪問介護は市区町村が実施主体で、要支援1の場合は週に2回まで、などの利用制限があります。

訪問介護員に必要な資格

訪問介護員として働くためには以下のいずれかの資格が必要です。

・介護福祉士

・実務者研修

・介護職員初任者研修

・生活援助従事者研修

・その他訪問介護員2級相当以上

生活援助従事者研修は訪問介護の中でも生活援助を専門として行うことのできる資格です。

訪問介護は基本的に1人で利用者の家に行くため、緊急時も対応できなければいけません。

そのためサービスを提供するには専門的な知識を学び、上記のような資格を習得する必要があるのです。

訪問介護の資格について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

訪問介護に必要な資格3選!メリット・費用・取得方法をご紹介

訪問介護の生活援助の具体的な内容

訪問介護員が行うことのできる生活援助の具体的な内容を説明します。

掃除

利用者が利用している部屋の中やトイレ、机の上などの清掃や整理を行います。

掃除用具は利用者の家の物を使用し、利用者の家族が使用しているスペースは掃除を行えません。

ゴミ出し

ゴミの収集日に合わせてゴミをまとめ、収集所まで持って行きます。 

地域によってはごみ収集所の掃除当番が決まっている場合もあるため、必要時は収集所の掃除も行います。

買い物代行

利用者が必要な分の生活必需品や食品の買い物を代行します。

買ったものの確認やお釣りの確認も含まれます。

食事作り

利用者の食事の一般的な調理、配下膳、後片付けなどを行います。 

必要時は食材の買い出しに行き、調理器具や食器の片付けまでを支援します。

なお、おせちなどの行事食や誕生日のためのごちそうなど、特別な調理は行うことができません。

調理用具や皿、食器用洗剤などは全て利用者の自宅のものを使います。

薬の受け取りサービス 

慢性の病気などで受診済みの場合や訪問診療で薬が出された場合などに、薬局に処方箋を持っていき薬を受け取り、支払いを行います。

訪問介護の生活援助でできることとできないこと

訪問介護の生活援助では、利用者本人の自立支援に当たらないことや医療行為は行えないことになっています。

訪問介護員ができることとできないことは明確に決まっていますので、しっかり理解し区別しましょう。 

利用者の本人の自立支援にあたらないこと

利用者本人の自立支援にあたらないことは、訪問介護では行うことができません。

利用者以外を援助する行為や、本来は利用者自身ができる家事などを行う行為は自立支援にはあたらないとされます。

利用者以外の援助とは、家族の分の食事作りや洗濯、利用者が使わない居室の掃除、お客様の対応などが挙げられます。

また、利用者が現在のADLで達成可能な家事などを訪問介護員が行うことも、自立の妨げになってしまうため行えません。

訪問介護の生活援助はあくまで利用者本人のためであり、本人ができない部分を補う援助なのです。

医療行為に該当すること

訪問介護員は医師や看護師などの医療従事者ではないため、医療行為に該当することは行うことができません。

医療行為に該当することとしては、褥瘡の処置や血糖測定 、インスリン注射、ストーマパウチの取り替えなどが挙げられます。

なお、喀痰吸引や経管栄養は医療行為ですが研修を受けた介護職員は一定の条件下ならば実施できる場合があります。

訪問介護の生活援助でできることとできないことのまとめ表

訪問介護の生活援助で、訪問介護員ができることとできないことを以下の表にまとめました。 

自治体によってサービスの提供範囲が異なることがありますので、判断に迷った場合は担当のケアマネージャーや自治体にお問い合わせください。

介護の内容

できること

できないこと

掃除

・利用者の部屋やトイレなどの掃除

・ゴミ出し

・利用者が利用していない部屋の掃除

・草むしり

・庭木の手入れ

・換気扇の掃除などの大掃除

・窓拭き

洗濯

・利用者本人の洗濯から収納

・必要時アイロンがけ

・家族の衣類などの洗濯やアイロンがけ

調理

・利用者の食事の一般的な調理

・食事の配膳、後片付け

・利用者以外のための調理

・おせちなど行事食の調理

買い物

・近隣店舗での生活必需品や食品の購入

・遠方の店での買い物

・タバコやお酒など嗜好品の購入

・ お客様のための買い物やお歳暮の購入

外出支援

・通院同行

・選挙や納税の同行

・お墓参りや法事への同行 

・お金の引き出し代行

・美容院への同行

その他

・薬の受け取り

・衣服の整理

・衣服の補修 

・住民票の代行取得

・医療行為にあたるもの

・ペットの世話

・引っ越しの準備

・来客の対応

・車の洗車や給油

訪問介護の生活援助を提供できる上限回数

介護保険の生活援助は、提供可能な回数の上限が決まっています。

介護度別の生活援助を提供できる上限回数は以下の通りです。

介護度

要介護1

要介護2

要介護3

要介護4

要介護5

回数

27回

34回

43回

38回

31回

参考:厚生労働省

1回の訪問介護で身体介護と生活援助をどちらも行う場合は、上記の回数に含まないことになっています。

また、これ以上の回数は利用できないという制限ではありません。

ケアプランによって上限回数以上の生活援助が必要であると判断される場合は届出を行い、追加で提供できることもあります。

訪問介護の生活援助の単位数

訪問介護の生活援助の単位数はサービスの提供時間で決まり、以下のように定められています。

・20分以上45分未満:183単位

・45分以上:225単位

参考:厚生労働省

ただし同一日に複数回訪問する場合は、訪問の間隔に関する「2時間ルール」に注意が必要です。

2時間ルールとは訪問と訪問の空き時間が2時間未満だった場合、所要時間が合算される仕組みのことです。

例として30分間の生活援助を1日に2回行ったときの単位数を考えます。

1.訪問の間隔が2時間以上空いている場合:183(単位)×2(回)=366単位

2.訪問の間隔が2時間未満の場合:30分+30分で60分の援助を1回行ったとみなされ、225単位

上記の通り、同じ60分のサービス提供であっても2時間ルールが適応されるかどうかで単位数が異なりますので注意してください。

例外として、看取り期と緊急時訪問介護加算が算定される場合の訪問は、間隔が2時間未満であっても所要時間を合算しなくても良いことになっています。(合算も可能)

訪問介護の生活援助に関するQ&A

訪問介護の生活援助に関するよくある質問をとその答えをまとめました。

訪問介護の生活援助がなくなるって本当ですか?

令和5年2月現在、訪問介護の生活援助がなくなることは決定されていません。

ただし要介護1・2の方が利用する訪問介護の生活援助に関しては地域支援事業に移行することが検討されています。

地域支援事業へ移行することで、全国一律であるサービスの種類や内容などは地域の実情にあわせて効率的な基準にすることができるようになります。

要支援の方に対する訪問介護は、2018年にすでに地域支援事業に移行済みです。

参考:財務省

同居家族がいても訪問介護の生活援助を受けられますか?

同居家族がいる方は、やむを得ない事情がある場合に限り生活援助を受けられます。

やむを得ない事情とは、同居家族が未成年や高齢者であったり、日中に就業や学業で不在であったり、障害や疾病で家事を行うことが困難であったりする場合などです。 

生活援助の利用対象かどうかは、家族の状況を確認する必要がありますのでケアマネージャーにご相談ください。

ただし同居家族がいると生活援助は利用できないと定められている市区町村もありますので、利用の可否も含めて確認が必要です。

参考:厚生労働省

訪問介護の生活援助の時間はどのくらいですか?時間制限はありますか?

生活援助の時間は提供されるサービスで異なりますが、60分以内と定められている事業所が多いようです。

ただし生活援助だけでなく、身体介護も同時に行われる場合はこの限りではありません。 

また、生活援助の単位数は20分以上45分未満と45分以上で区分けされています。

訪問介護の生活援助は1日に2回利用できますか?

1日2回以上も利用可能です。

ただし同一日に複数回訪問介護を利用するときは、訪問の空き時間に関する2時間ルールに注意が必要です。

2時間ルールに関してはこちらで説明しています。

まとめ

訪問介護の生活援助は、要介護者が日常生活を営むために専門の資格を持った訪問介護員によって提供されるサービスです。

同居家族がいる方は、家族が家事を行うことができないやむを得ない事情がある場合に利用することができます。

食事作りや掃除などの家事を支援しますが、家族のための家事や利用者が現在の身体能力でできることは行えません。

自治体によって決まりが異なる場合がありますので、不明な点は担当のケアマネージャーや自治体に確認しましょう。