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訪問介護における常勤換算とは?計算方法についても解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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介護事業所の人員基準が守られているかを確認するために、常勤換算という方法が用いられます。

訪問介護事業所の常勤換算は2.5人以上が必要と定められていますが、常勤換算をどのように求めるのかよく分からないという方もいるのではないでしょうか。

今回の記事では、訪問介護における常勤換算の計算方法、令和3年度の介護報酬改定における常勤換算の緩和などについて解説します。

訪問介護における常勤換算とは

常勤換算とは、介護施設で働いているのことです。

訪問介護においては、常勤換算2.5人以上が必要とされています。

介護施設では一定の質を保った介護サービスを提供するために、介護保険法によって人員基準が定められています。

しかし、同じ介護施設の従業員でも、正社員やパートなど、雇用形態によって労働時間は様々です。

そのため、単純に従業員の数を計算するだけでは、人員基準を正確に満たすか判断することができません。

そこで、雇用形態に関わらず労働時間で計算を行い、「常勤の従業員が何人働いているか」に換算して計算する必要があります。

これが、常勤換算の考え方です。

訪問介護の人員基準

介護施設を運営するにあたっては、適切なサービスを提供するために、一定数以上の人材を配置することが義務付けられています。

この制度が、人員配置基準です。

訪問介護施設においては、

・訪問介護員
・サービス提供責任者
・常勤管理者

の3つの職種を配置することが人員基準として定められています。

訪問介護員については、前述したように常勤換算で2.5人以上(サービス提供責任者を含む)の配置が必要です。

また、介護福祉士や実務者研修修了者など、下記の表に示すような資格要件のうちいずれかを満たすことも求められます。

サービス提供責任者は、常勤かつ専ら訪問介護業務に従事する職員のうちから1人以上配置します。

ただし、利用者の数が40人を超えるごとに、サービス提供責任者も1人追加で配置しなければなりません。

また、サービス提供責任者も、下記の表に示すような資格要件を満たすことが求められます。

常勤管理者は、管理職務に従事する常勤として、訪問介護事業所に1人の配置が必要です。資格要件などは特に必要ありません。

職務上支障がなければ、同一事業所内の他の職務や同一敷地内の他事業所の職務と兼務することも可能です。

参考:厚生労働省

 千葉県の例

職種

資格要件(いずれかを満たすこと)

配置基準

訪問介護員

介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修課程修了者、介護職員基礎研修課程修了者、旧訪問介護員養成研修1~2級課程修了者、看護職員(看護師・准看護師・保健師)など

常勤換算2.5人以上(サービス提供責任者含む)

サービス提供責任者

介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員基礎研修課程修了者、旧訪問介護員養成研修1級課程修了者、看護職員(看護師・准看護師・保健師)など

1人以上配置(利用者人数が40人を超えるごとに1人以上追加)

管理責任者

なし

管理職務に従事する常勤1人(同一事業所内の他の職務、同一敷地内の他事業所の職務との兼任可)

参考:千葉県

なお、表で示した資格要件は一例です。

自治体によって求められる資格要件が異なることがあるため、各市区町村の公式サイトなどを確認するようにしましょう。

人員基準に違反する場合、段階的に罰則が科されます。

最悪の場合、事業所としての指定取り消しなどの重い処分が科されることもあるため、基準を満たしているか定期的に確認することが求められます。

訪問介護の人員基準について、より詳しく知りたい方は、訪問介護の開業に必要な人員基準について計算方法など徹底解説!を参考にしてみてください。

常勤換算を計算する方法

常勤換算は、基本的に1ヵ月(4週間)の労働時間をもとに計算します。

計算式で示すと、次のようになります。

常勤換算人数 = 非常勤含む全介護職員の1ヵ月の勤務時間 ÷ 常勤者が1ヵ月間に勤務すべき時間

計算の手順としては、次の通りです。

1.常勤者の月の勤務時間を計算する

2.非常勤含む全ての介護職員の勤務時間を計算する

3.全ての介護職員の勤務時間を常勤の勤務時間で割る

下の表で示す従業員を有する訪問介護事業所を例として、常勤換算の計算方法を見ていきましょう。

なお、この訪問介護事業所において、所定労働時間は1日8時間×週5日=週40時間と定められているものと仮定します。

ただし、就業規則によって1週間の労働時間が32時間以下と定められている事業所の場合、常勤者の労働時間は週32時間として計算するので注意が必要です。

雇用形態

勤務体制

1ヵ月の勤務時間

Aさん

正社員(常勤)

1日8時間×週5日=40時間/週

160時間

Bさん

正社員(常勤)

1日8時間×週5日=40時間/週

160時間

Cさん

パート(非常勤)

1日6時間×週4日=24時間/週

96時間

Dさん

パート(非常勤)

1日6時間×週3日=18時間/週

72時間

Eさん

アルバイト(非常勤)

1日5時間×週4日=20時間/週

80時間

①常勤者の月の勤務時間を計算する

まずは、常勤で働く介護職員の1ヵ月間の勤務時間を計算します。

常勤の所定労働時間は、施設や事業所の就業規則に基づいて定められています。

この訪問介護事業所では1日8時間、週5日の勤務時間が定められていると仮定したため、常勤者の月の勤務時間は8時間×5日×4週=160時間と計算できます。

②非常勤含む全ての介護職員の勤務時間を計算する

続いて、非常勤を含む全ての介護職員の1ヵ月間の勤務時間を計算します。

表をもとに全介護職員の勤務時間を合計すると、160時間+160時間+96時間+72時間+80時間=568時間と計算できます。

③全ての介護職員の勤務時間を常勤の勤務時間で割る

最後に、全ての介護職員の1ヵ月間の勤務時間を常勤の1ヵ月間の勤務時間で割ります。

①、②の手順により、全ての介護職員の勤務時間は568時間、常勤の介護職員の勤務時間は160時間と計算できました。

したがって、この訪問介護事業所における常勤換算人数は、568時間÷160時間=3.5人(小数点第2位以下切り捨て)と求められます。

訪問介護における常勤換算は2.5人以上が必要とされているので、この事業所は常勤換算人数の基準をクリアしていると判断できます。

常勤換算における有休や育休の取り扱い

常勤換算の計算においてつまずきがちなのが、有休や育休の取り扱いについてです。

介護職員の中に有休や育休を取得している人がいる場合、常勤者か非常勤者か、あるいは休暇期間の長さなどで計算が変わってくるため、注意しなければなりません。

まずは有休の取り扱いについてです。

常勤者であれば有休期間も勤務時間として常勤換算の計算に含むことができます。

しかし、非常勤者が有休を取得した場合、有休期間を勤務時間に含むことはできません。

出張の取り扱いについても同様に、常勤者は勤務時間として算入できますが、非常勤者は出張期間を勤務時間として計算することはできません。

育休期間や産休期間については、介護職員の雇用形態に関わらず、基本的に勤務時間として常勤換算の計算に含むことはできません。

これは、育休や産休は1ヵ月以上の長期休暇に該当するためです。

なお、常勤者が出張した場合は勤務時間として計算に含むことができると前述しましたが、出張が1ヵ月以上の長期間におよぶ場合も、常勤換算の計算から除外されます。

常勤者が育休明けに短時間勤務を行う場合、常勤換算の計算においては、非常勤介護職員と同様に実際の勤務時間を計算します。

ただし、次の3つの条件を全て満たす場合、常勤の所定労働時間を週30時間として計算することが可能です。

・就業規則等に育児短時間勤務職員の勤務時間を明確に定めている

・1に定められた育児短時間勤務職員の週当たり勤務時間が 30 時間以上である

・利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている

令和3年度介護報酬改定における常勤換算要件の緩和

慢性的な人手不足が問題視される介護業界において、職員の短時間勤務によって人員基準を下回ってしまうというリスクは軽視できるものではありません。

職員にとっても、短時間勤務制度を利用しにくいことから仕事と育児・介護などとの両立がむずかしく、結果的に離職を選んでしまうという状況があります。

このような現状を改善するために、令和3年度の介護報酬改定では常勤換算の方法が大きく改正されました。概要は次のようになります。

・「常勤」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による育児の短時間勤務制度を利用する場合に加えて、介護の短時間勤務制度等を利用する場合にも、週30時間以上の勤務で「常勤」として扱うことを認める。

・「常勤換算方法」の計算に当たり、職員が育児・介護休業法による短時間勤務制度等を利用する場合、週30時間以上 の勤務で常勤換算での計算上も1(常勤)と扱うことを認める。

・ 人員配置基準や報酬算定において「常勤」での配置が求められる職員が、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した場合に、同等の資質を有する複数の非常勤職員を常勤換算することで、人員配置基準を満たすことを認める。

この場合において、常勤職員の割合を要件とするサービス提供体制強化加算等の加算について、産前産後休業や育児・介護休業等を取得した当該職員についても常勤職員の割合に含めることを認める。

引用:厚生労働省

簡単にまとめると、「育児や介護によって短時間勤務となる場合でも週30時間以上の勤務があれば常勤として取り扱う」、「人員配置基準で常勤が求められる職員の産休や育休、介護休暇の際に複数の非常勤職員の常勤換算を認める」といった内容です。

これらは、訪問介護を含む全介護サービスに適用されます。

この制度の導入により、職員の短時間勤務が生じても人員基準を下回る可能性は小さくなると考えられます。

まとめ

訪問介護における常勤換算の計算方法について解説しました。

人員基準に違反したことにより、実際に指定取り消しの処分を科された介護施設も存在します。

経営者は常勤換算の計算方法を頭に入れておき、人員基準が満たされているか常に確認しておくことが重要です。