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実地指導

令和8年度(2026年度)の障害福祉サービス等報酬改定 概要と介護事業への影響

投稿日: 2026-02-17

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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通常、障害福祉の報酬改定は令和6年度、9年度……と3年おきです。しかし、令和8年度に割り込む形で修正が入った背景には、「爆発的な事業所数の増加」「給付費(予算)の膨張」があります。

特に、就労継続支援B型や放課後等デイサービスなどは、一部の地域で「コンビニより多い」と言われるほど増えました。

今回の改定は、今後制度を安定して運営していくために「メリハリ」をきかせていくための第一歩と言えます。

1. 管理者・経営者が直面する「数字」のリアル

今回の改定で最も大きなトピックは、「新規事業所の基本報酬引き下げ」と「就労B型の評価基準見直し」です。

1. 新規参入への「逆風」と既存店へのプレッシャー

令和8年6月以降に新しく開設される事業所には、現行より1%〜3%程度低い報酬単価が適用される案が出ています。これは「高利益が見込める」という安易な参入を防ぐための施策です。

既存の事業所は直接の単価ダウンを免れるという措置が検討されていますが、安心はできません。周辺の報酬体系が変われば、いずれ「比較」の対象になり得ます。

2. 就労継続支援B型の「3,000円の壁」

就労B型の基本報酬は、利用者に支払う「平均工賃」によって区分が決まります。今回の改定では、この区分判定の基準額が一律3,000円引き上げられる見込みです。

例:これまで平均工賃15,000円で「区分2」だった事業所が、基準が上がったことで「区分3(より低い単価)」に落ちてしまう可能性があります。

これは、経営者にとって「工賃を上げ続けなければ、報酬が下がる」という、非常に厳しいことを意味します。

参考:令和8年度における臨時応急的な見直し

2. 現場職員が感じる「変化」と「本音」

このところ、「報酬改定」と聞くと私たちは「また書類が増えるの?」「給料は変わらないの?」という思いが浮かぶようになってしまいました。

国は導きたい方向に加算を準備し、減らしたい、調整したいものには減算を用意し私たちを国が目指す方へと誘導しています。

基本報酬があまり変わらない中で、安定した運営をしていくためには加算を取得し、より質の高い支援を行うことが求められています。

1. 求められる「専門性」のハードルアップ

物価は上がっているのに基本報酬は変化がありません。その分、加算が創設されこれを取らなければ安定した運営は難しい仕組みになっています。

加算には「要件」が存在し、これらを満たすことが出来なければ算定は出来ません。

要件を守り、質の高い支援がおこなえる専門性のある事業所、従業員でなければいけないのが今の仕組みです。

2. 「処遇改善加算」

一方で、国は「他産業に負けない賃上げ」も掲げています。令和8年度には処遇改善加算のさらなる拡充も議論されていますが、これも「加算」ですので前項の通り「要件」を満たす必要があります。

また、処遇改善加算には制度設計や毎年の計画及び実績の届出、毎月の分配計算等、事務作業に多くの時間を要します

処遇改善加算の歴史を知る私たちからすると、令和6年度の改定で1本化されたはずが、今回また複雑になってしまうのではないかと、どうしても不安がよぎります。

3. 介護事業所への「波及効果」と3つの直撃要因

障害福祉の報酬引き下げや基準厳格化は、介護保険サービスを運営する法人にとっても他人事ではありません。
特に「共生型サービス」や「処遇改善」の面で、強い相互作用が生まれます

1. パソコンは苦手が通じない

令和8年度改定の目玉の一つは、「生産性向上(ICT活用や業務改善)」が処遇改善加算の算定要件として本格的に組み込まれることです。障害福祉で検討されている「事務の効率化を条件とした加算維持」の流れは、介護保険分野でもさらに加速します。「ITは苦手だから」という理由は、もはや経営上のリスク(減収要因)に直結する時代に突入してしまいます

2. 「共生型サービス」の戦略見直し

現在、介護保険の事業所が障害福祉サービスも提供する「共生型」が増えていますが、障害側の基本報酬が抑制されることで、「高齢者と障害者をセットで支える」というビジネスモデルの収益性が再考を迫られます可能性があります

特に、新規で共生型を立ち上げる場合、前述の「新規事業所への単価抑制」が適用される懸念があり、慎重なシミュレーションが必要です。

3. 事業所の二極化

障害報酬が一部低下することで、障害福祉分野から介護分野へ、あるいはその逆への人材流動が起きる可能性があります。しかし、国が目指しているのは「福祉全体の賃上げ」です。報酬が下がった分を「専門性の高い支援が出来る事業所」「加算取得が可能である」事業所だけが、良い人材を確保し続けられるという、二極化がより鮮明になることが予測されます。

4. 介護事業所が備えるべき準備

介護と障害、制度は異なりますが、動いているお金の出どころ(税金と保険料)は密接に関係しています。

1.  介護現場での「実務」への影響

「混合介護・支援」の複雑化:報酬体系が変わることで、同じ施設内で高齢者と障害者が混在している場合、区分判定や請求事務が複雑になることが想定されます。

重度化対応の強化:障害報酬が「重度対応」を重視する方向に舵を切るため、介護保険側でも「医療的ケア」や「重度認知症」への専門的な支援を強化していくことが必要となる可能性が高いです。

2. 加算の取得

障害分野と同じく、介護分野でも報酬の仕組みは同じです。国が広めたい、向かいたいという方向には加算が準備され、今後はこれを取得していかなければ安定した事業所の運営は難しくなります

3.法令遵守

質の高いサービスを提供できる事業所が求められることは間違いありませんが、その前に基準をしっかりと守ることが必要です。加算の要件を満たした運営が出来ていても、事業所が当たり前に行うべきルールが守られていなければ、事業を運営することはできません。

これまでより更にしっかりと運営できる基盤を整えましょう。

5. 最後に

令和8年度の改定は、確かに厳しい数字が並ぶかもしれません。しかし、介護も障害福祉も、私たちの仕事の根幹である「目の前の人の生活を守る」という価値は、報酬単価がいくらになろうと変わりません。

「国が下げるから仕方ない」と諦めるのではなく、「どうすればこの仕組みの中で、自分たちの誇りと生活を守れるか」を前向きに検討していく。この改訂をそんなきっかけに、なるように情報の収集をしていきましょう!

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