本記事では、障害者総合支援法における重度訪問介護の特定事業所加算について、他の特定事業所加算との違いを交えてご紹介いたします。
重度訪問介護における特定事業所加算の要件
重度訪問介護における「特定事業所加算」とは、他の特定事業所加算と同じく障害程度区分の高い利用者や支援が困難な場合においても、質の高い介護サービスを積極的に提供し、厳しい算定条件を満たす運用を実施している事業所に対して支払われる加算です。
障害程度区分の重いご利用者様や、喀痰吸引等の実施が必要なご利用者様のサービスに積極的に取り組み、人材教育に力を入れていること等が要件に組み込まれています。
重度訪問介護における加算の種類と加算割合は以下の通りです。
特定事業所加算Ⅰ:ご利用者の総単位数プラス20%
特定事業所加算Ⅱ:ご利用者の総単位数プラス10%
特定事業所加算Ⅲ:ご利用者の総単位数プラス10%
人材要件
- 介護福祉士の割合が30%以上であること
- 介護福祉士+実務者研修修了者(または介護職員基礎研修者、ヘルパー1級修了者)の職員の割合が50%以上従事していること
- 前年度若しくは算定日が属する月の前3月間におけるサービス提供時間のうち、常勤の従業者によるサービス提供時間の占める割合が40%以上であること。
- すべてのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、又は5年以上の実務経験を有する実務者研修修了者、介護職員基礎研修修了者、若しくは1級課程修了者であること。
- 1人を超えるサービス提供責任者を配置することとされている事業所にあっては、常勤のサービス提供責任者を2名以上配置していること。
重度者等対応要件
前年度又は算定日が属する月の前3ヶ月間における指定居宅介護の利用者(障害児を除く)の総数のうち、障害支援区分5以上である者及び喀痰吸引等を必要とする者の占める割合が50%以上であること。
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体制要件
- 介護職員に対する計画的な研修の実施
職員すべての個別の研修計画を策定し、実施していることが求められます。
- 定期的な会議の開催
利用者に関する情報やサービス提供にあたっての留意事項の伝達等、介護員等の技術指導を目的とした会議を定期的に開催します。登録ヘルパーを含めた、すべての介護従事者が参加する会議を開催することが必要です。
- 文書等による指示及びサービス提供後の報告
サービスの提供に当たっては、サービス提供責任者が、当該利用者を担当する従業者に対し、毎月定期的に当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書等の確実な方法により伝達すること。
またサービス提供終了後、担当の介護員等からの適宜報告を受ける事も求められます。
- 定期的な健康診断の実施
事業主費用負担により、少なくとも1年以内ごとに登録ヘルパーも含めた全職員に、1回は実施しなくてはいけません。
- 緊急時等における対応方法の明示
緊急時等における対応方針、緊急時の連絡先及び対応可能時間帯等を記載した文書(重要事項説明書等)を利用者に交付し、説明を行う必要があります。
- 熟練した従業者による新任者同行研修の実施
新規に採用したすべての従業者に対し、熟練した従業者の同行による研修を実施していること。
- 夜朝、日中、深夜すべての時間帯のサービス提供の実施
サービス提供に当たり、常時、従業者の派遣が可能となっており、現に深夜帯も含めてサービス提供を行っていること。
加算別取得条件
特定事業所加算Ⅰ:体制要件①~⑥、人材要件、重度者要件すべてに適合すること
特定事業所加算Ⅱ:体制要件①~⑥、人材要件①または②+③のいずれかに適合すること
特定事業所加算Ⅲ:体制要件①~⑥、重度者要件に適合すること
居宅介護との違い
居宅介護における特定事業所加算との大きな違いは、下記4点です。
- 日中だけでなく、夜朝、深夜帯を含めたすべての時間帯のサービスを実施している実績がいる
- 伝達(指示)・報告は月に1回以上あれば良い(サービス提供ごとでなくても構わない)
- 重度者の割合は半数以上なくてはならない
- 加算『Ⅳ』が無い
介護保険法の特定事業所加算との違いは、『熟練した従業員による新任者同行研修の実施』ですが、居宅介護との違いは上記3つが挙げられます。
特に注意しなければいけない点は、すべての時間帯にサービスを提供している実績が必要な事です。
夜間、深夜、早朝の時間帯についてもサービスが提供されていることだけでなく、運営規程において規定する営業日及び営業時間において、土日、祝日、お盆、年末年始を含めた年間を通して時間帯を問わずに従業者の派遣が可能となっている事業所であることが必要です。
届出を行った月以降においても、土日、祝日、お盆、年末年始を含めた年間を通して、時間帯を問わずにサービスを提供していることが必要であり、サービスが提供できない場合については、加算の取り下げを申請しなければいけません。