介護職員初任者研修に興味があり、どんな研修なのか知りたい方は多いのではないでしょうか?
介護職員初任者研修は、介護に携わる方が知っておくべき知識や技術を学ぶための研修です。
取得するための要件などは一切必要ありません。介護について学びたい気持ちがあれば、どなたでも取得できます。
介護職員として働く場合、「無資格者と比較して給与額が高い」、「転職に有利」などのメリットが多いのも特徴です。
また条件を満たせば費用の助成を受けられるため、制度についての正しい知識を身につけてからの受講をおすすめします。
この記事では、介護職員初任者研修とはなにか、介護職員初任者研修を受講する4つのメリット、介護職員初任者研修のカリキュラム、介護職員初任者研修の取得方法などについて紹介します。
介護職員初任者研修に興味をお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。
介護職員初任者研修とは、介護職として働くための基礎的な知識や技術を習得できる研修です。
介護や医療分野について座学で学んだり、オムツ交換や歩行介助などの実技も演習で学んだりします。
「これから介護職として活躍したい」と考えている方に最適な資格です。
以前は、同等の資格として「ヘルパー2級」と呼ばれるものがありました。
2013年に現在の「介護職員初任者研修」へとリニューアルされたのです。
主な変更点は、ヘルパー2級では義務付けられていた施設実習がなくなり、代わりに修了時の確認テストが設けられたことです。
確認テストについての詳細は後述しますが、あくまで内容を理解しているか把握するためのものです。
けっして難しいテストではないので、真面目に受講していれば心配はないでしょう。
介護職員初任者研修を取得するメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
具体的には、以下のようなメリットがあると考えられます。
介護職員初任者研修を取得するメリット
・介護の基本的な知識が身につく
・職に困らない
・給料をアップさせられる
・キャリアアップの土台を作れる
それでは詳しく解説します。
介護職員初任者研修を取得することで、介護の基本的な知識を身につけられます。
高齢者との接し方から始まり、からだのしくみなど医療知識についても学ぶのです。
また介護保険制度の仕組みやサービスの種類、オムツ交換などの介護技術についても学習します。
「これまで全く介護に関わったことがない」方でも介護初任者研修を受講すれば、基本的な介護の知識や技術を身に付けられます。
これらの知識や技術は、介護職員としてだけでなく、高齢者の方と接する時や家族の介護が必要になった場合にも役立ちます。
介護職員初任者研修を取得していれば、職に困ることはありません。
介護業界の人手不足は深刻です。厚生労働省によると2022年5月、介護職の有効求人倍率は3.41倍でした。
これは1人の求職者に対して、3社以上の求職があることを意味します。
これからも少子高齢化は進行し、人手不足の状況は続くと考えられています。
今後も人手不足が予想される介護施設にとって、介護職員初任者研修を取得している人材は、積極的に採用したい存在です。
また介護職員初任者研修は、全国共通の資格であり他府県への転職にも有利です。
子育てなどで数年間ブランクがあったとしても、介護施設の求人数は多いため職探しに困ることはありません。
参考:厚生労働省
介護職員初任者研修を取得すると、給料をアップさせられます。
介護業界では、所有する資格によって資格手当などが支給されるケースが多いからです。
以下の厚生労働省資料を見ると、無資格者に比べ平均給与額が月25,290円高いことが分かります。
保有資格 | 介護職員の平均給与額 |
保有資格なし | 275,920円 |
介護職員初任者研修 | 301,210円 |
実務者研修 | 303,230円 |
介護福祉士 | 329,250円 |
参考:厚生労働省
また無資格者が訪問介護員(ヘルパー)の業務に就くことは、介護保険法で禁止されています。
給料アップだけでなく、働き方の選択肢を増やすためにも資格取得は有効です。
介護職員初任者研修の取得は、キャリアアップの土台になります。
介護職員初任者研修を基礎として現場経験を積み、さらなる上級資格を目指すことが可能です。
介護職が初任者研修の後に取得する資格の一つに「介護福祉士」があります。
ちなみに、介護系唯一の国家資格である介護福祉士を受験するためには、「介護福祉士実務者研修」の取得が必要です。
「介護福祉士実務者研修」(450時間)を受講する際、介護職員初任者研修を取得していれば130時間の受講時間が免除されます。
また介護施設によっては、正職員になるために資格所有を条件にしている場合もあります。
介護職員初任者研修は、介護職としてキャリアアップするための土台となるのです。
ここでは介護職員初任者研修を取得するための条件やカリキュラムについてご紹介します。
介護職員初任者研修に受験資格はありません。
介護について学びたい気持ちがあれば、どなたでも受講可能です。
これまで介護に関わったことのない方に加え、すでに無資格で介護職として働いていて「もう一度、基礎から勉強したい!」と受講される方もいます。
ちなみに福祉系の高等学校など、介護職員初任者研修がカリキュラムに含まれていて、卒業時に取得できる場合もあります。
介護職員初任者研修を取得するには、以下130時間の講習受講が必要です。
【介護職員初任者研修の研修科目及び研修時間数】
項目 | 時間数 |
職務の理解 | 6 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9 |
介護の基本 | 6 |
介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6 |
老化の理解 | 6 |
認知症の理解 | 6 |
障害の理解 | 3 |
こころとからだのしくみと生活支援 | 75 |
講義の振り返り | 4 |
合計 | 130 |
※上記とは別に、筆記試験による修了評価(1時間程度)が実施されます。
またスクールによっては、土日あるいは夜間に集中して講義を行うコースが用意されています。
仕事をしながら講義を受ける方も、スケジュールを合わせることが可能です。
介護職員初任者研修の受講費用は、4〜10万円前後が相場です。
スクールや地域によって多少前後します。
また時期によっては、割引キャンペーンが実施されることもあるようです。
次章では、介護職員初任者研修の取得費用を安くする方法について紹介します。
介護職員初任者研修の取得にかかる費用を抑えるために、どのような方法があるのでしょうか?
介護職員初任者研修の取得費用を安くする方法
・ハローワークの職業訓練を無料で受講する
・特定一般教育訓練給付金制度を活用する
・初任者研修助成金制度を活用する
それでは詳しく解説します。
ハローワーク主催の職業訓練なら、国が費用を負担してくれるので無料で受講できます。
テキスト代1〜2万円は自己負担が必要です。
ただし求職者支援制度に基づいているため「雇用保険の受給資格がない」、「ハローワークに求職申込みをしている」などの条件が必要です。
さらにハローワーク主催の職業訓練は常時開催されておらず、定員に上限もあります。
希望者多数の場合には、選考試験を受け合格しなければなりません。
受講期間については、一般のスクールが1〜2か月程度なのに対し、ハローワーク開催は3か月程度と少し長目です。
無料で受講できるメリットは大きいですが、条件や開催期間などの制限があります。
希望する就職時期やタイミングを考慮して受講を検討する必要があります。
特定一般教育訓練給付金制度を活用すると、受講費用の40%(上限20万円)が支給されます。
2019年に、早期のキャリア形成や再就職支援を目的として制定されました。
この制度を利用するためには「雇用保険の被保険者である期間が3年以上(初回利用なら1年以上でよい)」、「講座がスタートする1か月前までにハローワークで手続きする」ことが必要です。
詳しくは、受講を検討しているスクールや最寄りのハローワークに問い合わせされることをおすすめします。
初任者研修助成金制度は、研修に必要な費用の一部または全額を地方自治体が負担してくれる制度です。
給付の条件や内容は、地方自治体によって異なりますが、以下に主な特徴を示します。
・対象期間が指定されている
・補助を受ける地方自治体の介護施設で勤務している人のみ利用可能
・補助を受けられる人数が決まっている(予算の制限がある)
以下は、東京都中野区における事例です。制度活用の参考にしてください。
東京都中野区の助成金について
助成の額 | 本人が負担した受講費用の全額または90,000円のうち、いずれか低い額 |
対象者 | 1.2021年4月1日以降に研修を修了したこと 2.研修修了日から3か月以内に以下の区内の介護保険施設や介護サービス事業所に、介護職員として就労していること 3.他に本事業の申請に係る研修費用に対する助成を受けていないこと |
募集定員 | 先着20名 |
参考:中野区公式
介護職員初任者研修の取得にかかる期間は、通学の頻度により異なります。
1〜4か月の期間でカリキュラムを組むスクールが多いようです。
以下に通学のペースと取得に必要な期間を示しますので、参考にしてください。
介護職員初任者研修の取得にかかる期間
1週間の通学回数 | 資格に必要な期間 |
週1回 | 約4か月 |
週2回 | 約2か月 |
週3回 | 約1.5か月 |
週4回 | 約1か月 |
スクールや受講コースにより異なります。詳細はスクールにお問い合わせください。
介護職員初任者研修カリキュラムでは、総仕上げとして1時間の筆記テストが定められています。
テスト問題の内容は、スクール独自のものです。
難易度は決して難しいものではなく、合格率は限りなく100%に近いと言えます。
なぜなら確認テストは、「落とすためではなく、内容を確認するためのもの」だからです。
講座を受講し、テキストの内容が理解できていれば心配する必要はありません。
合格点は70点程度に設定されることが多いようです。
万一合格点を下回ったとしても、再試験が用意されています。
間違ったところを復習して挑めば、合格することは難しくないでしょう。
介護職員初任者研修以外の資格について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
介護職員初任者研修とは?無料で受ける方法や働きながら取得する方法について徹底解説!
介護福祉士実務者研修とは?取得方法や難易度、期間について徹底解説!
ここでは、介護職員初任者研修に関するよくある質問について紹介いたします。
介護職員初任者研修は、独学では取得できません。
なぜなら介護職員初任者研修のカリキュラムには、座学に加えて介護技術の実技演習が含まれているからです。
衣服の着脱やオムツ交換、歩行介助などの実技演習は、スクールにて学習します。
ただし座学の分野については、通信講座を採用しているスクールもあります。
自宅にてテキストを読み、用意された課題に回答する形式です。
通信講座では自宅学習する分、通学日数は少なくてすみます。
通学する日数を少なくしたい方は、「通信講座+実技研修」を採用しているスクールがおすすめです。
条件やタイミングが合えば、介護職員初任者研修を無料で受講できます。
無料で受講する方法は、2つあります。
まず1つは、ハローワークの職業訓練として受講する方法です。
「雇用保険の受給資格がない」、「ハローワークに求職申込みをしている」などの条件が必要です。
常に開講されているわけではありませんので、ハローワークに問い合わせされることをおすすめします。
もう1つは、初任者研修助成金制度を活用する方法です。
市町村などの地方自治体が、受講の費用を負担してくれる場合があります。
ただし地方自治体によっては、費用の一部しか助成を受けられない場合もあります。
詳しくは、自治体への問い合わせが必要です。
介護職員初任者研修を働きながら取得することは可能です。
受講コースには様々な種類があり、働きながら受講する方へ向けたものもあります。
土日や夜間のみ開催されるコースもあるので、自分のライフスタイルに合った講座を選ぶことが可能です。
また通信講座を採用しているコースなら通学日数が少ないので、働きながらの資格取得を検討している方におすすめです。
介護職員初任者研修を取得することは、決して難しいことではありません。
介護の経験や知識がない方でも、130時間の講義を受講すれば取得可能です。
講義の中では、介護分野に加えて、医療分野や実技についても学びます。
初めて聞くことも多くあり、最初は戸惑うかもしれません。
しかし各分野のスペシャリスト達が、講師として分かりやすく丁寧に教えてくれます。
現役の介護職・医療職として働く講師も多く、現場に関するリアルな話も聴けるでしょう。
130時間の研修が修了する頃には、ひと通りの基礎知識を身につけられているはずです。
資格取得のためには、研修の最後に実施される確認テストに合格しなければなりません。
確認テストは、研修の内容が理解できているかを問うものです。研修内容を理解していれば、決して難しいものではありません。
確認テストは各スクールが独自に作成しており、合格ラインは70点程度のことが多いようです。もしも不合格になったとしても、研修の中で再試験を受けられます。
追加料金なども必要ありません。
間違った問題を見直して受験すれば、合格は難しいものではないでしょう。
介護職員初任者研修は、介護の経験や知識がなくても受講でき、基本的な知識・技術を学べます。条件が合えば、受講費用の助成を受けることも可能です。
この記事を参考にして介護職員初任者研修を受講し、介護職としての一歩を踏み出していただければ幸いです。