介護系の資格の中では唯一の国家資格である介護福祉士。取得しておけば更新の必要もなく、日本全国どこでも介護福祉士として働けます。
こちらの記事では、そんな介護福祉士とはどんな仕事なのか?介護福祉士になるにはどうすればいいのか?などについて詳しくご紹介します。
また、併せて介護福祉士の国家試験についてもお伝えするので参考にしてみてください。
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目次
介護福祉士は、別名「ケアワーカー」とも呼ばれています。
介護系の資格にはいくつか種類がありますが、介護福祉士は唯一の国家資格であるためメリットも沢山あります。
介護福祉士は、厚生労働省により名称独占の国家資格であることが定められていて、資格を取得して登録された人しかその名称を使用できません。
資格保有者は介護のスペシャリストとして認められ、現場でも重要なポストを任される他に給与面でも資格手当がプラスされる場合が多いです。
介護系の仕事に携わるのであれば持っていて損はない資格と言えるでしょう。
介護福祉士は、介護の他に、利用者の家族に対する助言やリーダーとしてのマネージメントが主な仕事になります。具体的には以下の通りです。
利用者に対する仕事内容 | 食事・入浴・着替え・排泄・歩行などの補助 掃除・調理・洗濯・買い物などの生活援助 話し相手になる 近隣住人との交流を促す 介護に関する相談や助言をするなどのメンタルケア |
利用者の家族に対する仕事内容 | 介護方針の相談 自宅での介護に対する助言 介護用具の使い方の説明 |
介護スタッフに対する仕事内容 | リーダーとしての的確な指導 タスク管理 |
介護福祉士の収入も気になるところです。厚生労働省の発表によると介護福祉士の令和3年度の平均月収は328,720円でした。
ちなみに、令和2年度の平均月収は322,680円なので、前年度よりも約6,000円上がっていることがわかります。
平均月収から算出すると、手取りは額面の8割として約26万円(328,720円×0.8)、平均年収は約394万円(328,720円×12ヶ月)、平均手取り年収は約315万円(394万円×0.8)となります。
ちなみに、無資格の常勤介護職員の平均月収が約27万円なので、介護福祉士の方が6万円程高いです。
もちろん平均値からの算出であり勤務地や条件によっても異なりますのでご了承ください。
参考:厚生労働省
日本で少子高齢化が社会問題となっているのは周知の事実です。
それに伴い様々な問題が発生するため、介護業界は高まると見込まれています。
中でも介護福祉士は、これからますます多様化する介護の体制や、介護現場で働く人材の育成にも精通する立場として、重要な役割を担うことが期待されています。
また、介護福祉士は国家資格であり、一度取得したら更新する必要もなく、国内であればどこでも通用する社会的信用の高い資格でもあります。
将来性という観点からも、介護に関する仕事を選ぶのであれば、介護系の資格の中で最上位と言える介護福祉士の資格を取得するのは得策といえるでしょう。
公益社団法人社会福祉振興・試験センターによる2020年度の介護福祉士就労調査によると、福祉・介護・医療の分野で働く介護福祉士の約8割は高齢福祉関係の施設で働いています。
具体的には特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・デイサービス・訪問介護事業所などです。
高齢福祉関係以外では、障害者・障害児福祉関係や医療関係が主な勤務先となっています。
職場により仕事内容は異なりますが、介護福祉の資格があれば、訪問介護事業所において義務付けられている「サービス提供責任者」や障碍者福祉施設で「生活支援員」「職業指導員」などリーダー的な立場として就労することも可能です。
介護福祉士の資格は、国から認められた人材であることの証明です。
就職の際にも有利になりますし、待遇も良く収入面でも安定することが最大のメリットです。
その他にも、やりがいのある重要な立場の役職に就けるのもメリットとも言えます。
ヘルパーとして介護の仕事をする他にも、サービス責任者などの管理職に就任することも可能になります。
また、介護福祉士より上位とされる「認定介護福祉士」を目指す際にも必要です。
地位や収入の他に仕事の幅が広がるといったメリットがあれば、さらなるキャリアアップへのモチベーションアップにもつながります。
介護福祉士の資格を取得するには「養成施設ルート」「福祉系高校ルート」「実務経験ルート」の3つの方法があります。
以前は実務経験のみでも条件を満たせば、資格を取得する権利を得ることができました。
しかし、2016年以降は、これから紹介する3つの方法のいずれにおいても、介護福祉士になるためには国家試験に合格することが必須条件となりました。
各ルートそれぞれ条件等があり複雑ですが、以下で詳しくお伝えするのでご自身の環境や状況に応じた方法を選んでください。
参考:厚生労働省
厚生労働大臣・文部科学大臣指定の学校や養成施設(大学・短期大学・専門学校等)を卒業後、国家試験を受けます。
学歴により養成施設に通わなければならない期間に違いがあり、普通科高校を卒業した場合は2年、福祉系大学・社会福祉士養成施設・保育士養成施設を卒業した場合は1年以上通うことで受験資格を得られます。
2016年以前は無受験で資格取得できましたが、改定後は受験が条件になりました。
ただし、2017年4月1日から2027年3月31日までは、経過措置により養成施設卒業年度の翌年から5年以内に限り無受験でも認められます。
しかし、取得後5年たっても介護福祉士として働くのであれば、この5年間の間に国家試験に合格するか、5年間介護の仕事を継続する必要があります。
厚生労働大臣・文部科学大臣指定の福祉系高校や福祉系特例高校を卒業後、国家試験を受けます。
こちらも年度によって受験内容が異なるので注意が必要です。
2008年以前に入学した場合は、資格を取得する条件として筆記試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
一方2009年以降に入学した場合は、筆記試験のみに合格すれば資格を取得できます。
また、卒業後9か月以上の実務経験(介護技術講習・介護過程・介護過程IIIを未受講の場合は国家試験時に実技試験有)を経てから筆記試験・実務試験の両方に合格すれば資格を取得できます。
③実務経験を活かして介護福祉士になる
介護職員として現場で3年以上実務経験を経てから受験する方法です。
受験条件は3年以上の実務経験(従事期間3年以上・従事日数540日以上)と実務者研修の終了です。
実務経験とは、高齢者・障害者・児童を対象とした施設での介護に関する業務であり、生活相談員や相談援助などの業務、また医師や看護師などは認められません。
実務者研修を終了するには、民間の資格学校や通信教育などで450時間にわたるカリキュラムを修了することが条件となります。
こちらは介護職員として働きながらでもクリアできるので、同時進行で進めてから受験することが効率の良い方法と言えます。
では、介護福祉士になるために避けては通れない国家試験とは一体どんなものなのでしょうか。
問題は4領域12科目(以下の表参照)と総合問題に分かれており、それぞれの領域についての知識や技術を問う問題が全125問(1問1点)出題されます。
人間と社会 | 人間の尊厳と自立 人間関係とコミュニケーション 社会の理解 |
介護 | 介護の基本 コミュニケーション技術 生活支援技術 介護過程 |
こころとからだのしくみ | 発達と老化の理解 認知症の理解 障害の理解 こころとからだのしくみ |
医療的ケア | 医療的ケア |
なお、2023年1月実施の試験より、出題基準が変更されます。
これには、制度改正や社会的状況を踏まえ介護福祉士の養成課程を見直す意図があり、リーダーシップ・フォロワーシップと、認知症ケア・地域ケア・介護過程の学力アップをはかるためとされています。
参考:厚生労働省
介護福祉士の国家試験を受けるためには、3つのルートごとに満たさなければいけない受験資格があります。
ルート | 受験資格 |
養成施設ルート | 介護福祉士養成施設(2年以上もしくは1年以上)を修了していること |
福祉系高校ルート | 2008年以前に福祉系高校に入学し、旧カリキュラム履修後に卒業していること 2009年以降に福祉系高校に入学し、新カリキュラム履修後に卒業していること 特例高校に入学して、卒業翌日以降9か月以上(従事日数135日以上)介護業務に従事していること |
実務経験ルート | 3年以上の介護等の業務に従事(従業期間3年以上もしくは従業日数540日以上)し、実務者研修または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修を修了していること(実務経験として認められない施設や事業での従事は年数や日数を満たしていても受験資格には相当しないので注意が必要) |
介護福祉士の国家試験は、原則として1年に1回実施されます。
郵送またはインターネットからの申し込みが可能ですが、初めて受験する方は受験資格を証明する書類の提出が必要となるためインターネットでの申し込みはできません。
筆記試験 | 2023年1月29日(日) 午前の部:10時~11時50分 午後の部:13時45分~15時35分 |
実技試験 | 2023年3月5日(日) |
合格発表 | 2023年3月24日(日) |
結果は記載した住所に届き、合格していたら合格証書と資格登録に関する書類が届きます。
厚生労働省と試験センターにて合格者番号が発表されますし、公益財団法人社会福祉振興・試験センターのホームページ上でも確認できます。
参考:厚生労働省
介護福祉士の国家試験の合格率は、毎年誤差はあるものの平均して70%くらい(令和元年度:69.9%・令和2年度:71%・令和3年度:72.3%)です。
国家試験といえば合格率が10%を切る難易度が高いものもあるので、比較的難易度は低く合格率は高いと言えます。
難易度にもよりますが、筆記試験・実技試験共に総合点の60%程度が合格基準となります。満点で125点なので、75点以上は取らないと合格ラインとは言えません。
ただし、合格基準点を満たしていても0点の科目があると不合格になります。すべての科目において満遍なく知識を持っていることが条件となるので、しっかりした準備が必要です。
参考:厚生労働省
合格後は、介護福祉士として働くための登録申請をしなければいけません。申請に必要なものは以下の通りです。
・登録申請書
・9,000円(登録免許税)の収入印紙の原本
・3,320円(登録手数料)の振替払込受付証明書の原本
・介護福祉養成施設の卒業証明書の原本
・戸籍抄本の原本・戸籍の個人事項証明書の原本・本籍を記載した住民票の原本のいずれか1通
卒業証明書に記載された名前と合格時の名前が違う場合は、申請の際に旧姓から現在の名前までが記載されている戸籍抄本が必要となります。
また、実務試験ルートでの受験で申し込み時に「実務者研修修了見込み」とした場合、合格後に実務者研修修了証明書を提出しなければ無効となってしまうので気をつけてください。
こちらでは、介護福祉士に関するよくあるQ&Aをまとめましたので、是非参考にしてください。
介護士との違いはいくつかありますが、一番の違いは介護福祉士が国家資格であることです。
介護士とは、介護業務に携わる人全般の名称であり、資格の有無は関係ありません。
それに伴い、給料や待遇にも差が出ます。
また、仕事内容にも違いはあります。
日常生活の支援などを行うのは一緒ですが、介護福祉士の場合は専門的なスキルを有しているため、リーダー的な役職に就くケースが多いです。
利用者やその家族の相談に乗ったり、アドバイスをしたり、さらに、介護職員に対しての指導を任されるなど、業務範囲が広くなります。
結論からいうと、介護福祉士の資格を持っている方が給料は高くなります。
前出の通り、介護福祉士と保有資格なしの介護士の平均月収には約6万円も差があります。
介護事業所は、介護福祉士を多く雇えば雇うほど加算を受けられるので、その分介護福祉士に還元されます。
給与体制は事業所によってそれぞれですが、そもそも基本給や賞与額にも差があり、介護士には支給されない資格手当も大きな差と言えます。
介護福祉士の資格は福祉系の資格試験の中では合格率が高く、独学でも取得を狙えます。
とはいえ、それなりの努力は必要です。
自分のペースで勉強を進めることができるのが独学のメリットですが、介護福祉士の国家試験は科目も問題数も多いので、効率の良い勉強法を確立しても期間は半年くらいあった方が安心です。
書店やネットで様々な参考書が販売されているので、まずは自分に合うものをみつけるのがポイント。
何冊も購入する必要はなく、1冊を何度も繰り返し解いて定着させ、仕上げに過去問で実力を試すのを繰り返すのがおすすめの勉強法です。
介護福祉士の国家試験は学歴を問わず受験できるので、受験資格を満たせば中卒であっても取得できます。
その場合は、前出の3つのルートの中で「実務経験ルート」が一番の近道です。他の2つのルートは高卒以上が条件となるので、一旦高校に入学して卒業してから始めなければいけません。
実務経験とは、3年間介護業務に従事していることと介護福祉士実務者研修を修了することが条件です。
高校に通う代わりに介護事業で3年間働けば、現場で学ぶことも多く日々働きながら受験勉強ができるので一石二鳥。
また、介護福祉士実務者研修も、学歴を問わず未経験から受講できます。
合格率が高い国家試験とはいえ100%受かるわけではなく、合格率から見ると毎年3割程度の方が落ちていることになります。
ただし、落ちたからといってもう二度とチャンスがないわけではありません。
また翌年に国家試験を受けることができるので、落ちた原因をしっかりと把握し、改善してから2回目の試験に臨むことが重要です。
例えば、落ちた試験の問題を振り返って自身の苦手分野を知ったり、新たにスクールや通信講座などを始めてみるのもおすすめです。
また、介護現場で働きながら取得を目指す場合は、現場では身につきにくい知識を重点的に勉強して強化する方法もあります。
介護福祉士以外に取得した方がいい資格については、以下の記事を参考にしてください。
介護職員初任者研修とは?無料で受ける方法や働きながら取得する方法について徹底解説!
介護福祉士実務者研修とは?取得方法や難易度、期間について徹底解説!
介護の仕事に携わるのであれば、介護福祉士を目指すことはおすすめです。
介護福祉士の国家資格を取得すれば、就職にも有利ですし収入的にも安定が望めます。
何よりも、仕事の幅が広がりやりがいを感じられる職業なので、ぜひご紹介した情報を参考にしてみてください。