夜間見守り型の訪問介護は、2006年から地域密着型サービスとして開始されました。
このサービスを上手く利用することで夜間における介護の負担を大きく減らすことができます。
今回は、夜間見守り型の訪問介護の仕事内容・メリットだけでなく、どのような方が利用できるのか、どれくらいの費用が必要なのかまで詳しく解説します。
目次
夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービスのことです。
日本は、1970年に「高齢化社会」に突入し、その後も1994年に高齢社会、2007年に超高齢社会へと突入しました。
参考:内閣府
参考:総務省
今後も高齢者率は高くなると予測されており、団塊の世代の方が全員75歳となる2025年には、75歳以上の人口が全人口の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が全人口の約35%となると予測されています。
参考:厚生労働省
老老介護が増えたことなどの問題から、夜間における介護ニーズが高まり、2006年から地域密着型サービスとして始まりました。
参考:厚生労働省
夜間見守り型の訪問介護は下記の3つが主な仕事内容です。
ケアマネージャーが作成したケアプランによって定められた時間帯に、ホームヘルパーが定期的に1回の訪問につき約30分程度、居宅を巡回するサービスとなっており、下記のようなサービスを行います。
・排泄介助
・おむつ交換
・寝返り介助
・安否確認 など
利用するにあたっての注意点としては、利用者以外の方に対するサービスは受けられない点です。そのため、家族の家事といった利用者以外に対するサービスや、窓ふき、草むしりなど日常生活に支障がでないサービスについては、対応することができません。
夜間に体調が悪くなってしまった、家の中で転んでしまったときなどの緊急時において、利用者・家族から連絡を受けたホームヘルパーが訪問し対応するというサービスです。
随時訪問サービスに対応している事業所は、主治医・訪問看護ステーションなどと連携をしている事業所も多く、緊急事態が生じても迅速に対応することができます。
随時対応・訪問サービスも定期巡回サービスと同じく、1回の訪問につき約30分程度が目安となっており、サービス提供時間内であれば何回も利用できますが、1回利用するごとに費用が発生する点に注意が必要です。
利用者からの通報を受けた際、オペレーターが通報内容をもとにして対応を判断することをオペレーションサービスといいます。
オペレーターは、看護師・ケアマネージャー・介護福祉士などの資格を取得している専門職が努めるため、通報内容に応じて、利用者に対して適切な指示出し、ホームヘルパーの派遣、救急車の手配などが可能です。
オペレーションセンターは、利用者約300人に対して1ヶ所設置されるため、利用者が少ない事業所で、ホームヘルパー自身が対応できる場合には、オペレーションセンターを設置しない場合もあります。
夜間見守り型の訪問介護を利用することによるメリットは多くありますが、その中でも今回は主要な3つのメリットについて解説します。
在宅で介護を行うことは、家族にとって大きな負担になります。その中でも、夜間の介護になると、日中と比較しても精神的・身体的の負担はより高くなります。
そのような状況になると、利用者自身が気を遣ってしまったり、家族の睡眠不足につながったりする場合もあります。
しかし、夜間見守り型の訪問介護を利用し、トイレ介助やオムツ交換などを目的に定期的な訪問が行われることで家族の介護負担を軽減できるはずです。
また、老老介護の場合では、体力が必要な介護に対する負担が大きくなってしまうため、老老介護の方にも有効的なサービスです。
「平成29年(2017年)国民生活基礎調査」の結果によると、18歳未満の児童がいる世帯のうち、核家族世帯は82.7%となっており、ほとんどの家庭が自らの両親と別居しています。
そのように、高齢かつ一人暮らしをしている方の場合、夜間見守り型の訪問介護は安否確認のサービスもあるため、別居している家族も安心です。
また、急に体調悪化した場合においても、随時訪問サービスによって緊急時におけるオペレーションセンターへの連絡もできるだけでなく、家族にも連絡がいくようになっているため、遠方に住んでいてもすぐに状況を把握することができます。
参考:厚生労働省
オペレーションサービスを行っている事業所であれば、緊急時用ボタンである 「ケアコール端末」 を押すだけでオペレーションセンターに連絡できます。
夜間は家族が同居している場合でも、日中と比較すると、緊急時でも周囲が気付きにくい状態になります。家族に助けを求められない状態だが、ケアコール端末を押すことはできるような場合においても、緊急事態であることを通報できるのは大変便利です。
その他にも、一人暮らしで近くに家族がいない場合においても、夜間の緊急時でも簡単な方法で助けを求めることができる点は大きなメリットになります。
夜間見守り型の訪問介護は多くのメリットがあるサービスですが、利用できる方・利用時間などは決められています。
ここでは、夜間見守り型の訪問介護の利用に関する下記の情報について解説します。
夜間見守り型の訪問介護は、地域密着サービスになるため、利用する事業所と同一市区町村に住んでいる人を対象としています。
また要介護認定で要介護1〜5に認定された人のみが利用できるため、自立要支援1・2の方は利用することができません。
夜間とは午後10時〜午前6時までを含む時間帯のことをいいます。
そのため、多くの事業所は、午後10時〜午前6時までの時間帯を含んだ午後6時〜午前8時までを利用できる時間帯としている事業所がほとんどです。
夜間見守り型の訪問介護の料金は、オペレーションセンターサービスの有無で異なります。
・オペレーションセンターを設置している場合
項目 | 料金 |
月額基本料金 | 1,013円 |
定期巡回サービス(1回あたり) | 379円 |
随時訪問サービス(1回あたり/ヘルパー1人) | 578円 |
随時訪問サービス(1回あたり/ヘルパー2人) | 778円 |
日中のオペレーションサービスの実施 | 610円 |
・オペレーションサービスセンターがない場合
項目 | 料金 |
月額基本料金 | 2,751円 |
参考:厚生労働省
利用者の費用負担は原則1割で、介護度ごとに料金は分けられておらず、利用回数ごとに料金が加算されるシステムですが、ケアコール端末・オペレーションサービス費用が別途請求されることはありません。
夜間見守り型の訪問介護は、老老介護が増加している近年において、重要性が高まっているだけでなく、今後の高齢化社会を考えると、その需要はより高くなります。
両親が遠方に住んでいるので、定期的に安否確認をして欲しい、同居している家族にせめて夜間くらいはゆっくりして欲しいなど、さまざまな希望に対して柔軟に対応できるサービスとなっています。