個人の生活機能を判定する要介護認定は7段階に分けられていて、日常生活において必要な介助内容は、各段階によって異なります。
要支援2では、デイサービスやショートステイなどの介護予防サービスを利用して、次の段階である要介護1へ移らないためのサポートが重要です。
この記事では、要支援2で利用できる介護予防サービスの種類と費用について解説します。
目次
要支援2は、7段階に分けられる要介護認定のなかで比較的軽度の状態です。
食事や排泄など日常生活において基本的には一人で行うことができ、理解力の低下もありません。
しかし、部分的に周囲の手助けや見守りなどのサポートが必要な状態です。
転倒のリスクも高まるため、立ち上がる際や歩行時には支えが必要なケースもあります。
参考:厚生労働省
要支援1と要支援2は、食事や排泄のほとんどを一人でできるという部分では同じです。
しかし、大きな違いとして身体機能の低下が挙げられます。
要支援2は足腰の筋力が弱っている状態で「立つ」「歩く」などの簡単な動作も不安定になりやすく、サポートが必要です。
具体的な例は、以下の通りです。
区分 | 特徴 |
要支援1 | ・日常生活に必要な能力がわずかに低下 ・浴室などの滑りやすい場所を歩く時や片足で立つなど複雑な動作はサポートが必要 ・部屋の片付けなどの家事を行う際は、部分的な見守りや手助けが必要 |
要支援2 | ・日常生活に必要な身体能力が低下 ・立ったり歩いたりなどの簡単な動作も支えが必要 ・家事を行う際は、見守りや手助けが必要 |
要支援2に判定されると「介護予防サービス」が利用できます。
介護予防サービスは要支援1~2の方に向けた介護保険サービスで、次の段階である要介護1へ移行を防ぐためのものです。
要支援2で利用できる介護予防サービスを、以下にまとめました。
サービス名 | 具体例 |
訪問型介護予防サービス | ・介護予防訪問入浴介護 浴槽付きの入浴車が自宅に訪問し、入浴を手助けするサービス ・介護予防訪問看護 看護師などの専門職が自宅に訪問し、主治医の指示に基づいた診療補助を行うサービス ・介護予防訪問リハビリテーション 作業療法士や理学療法士、言語聴覚士が自宅に訪問し、リハビリを行うサービス ・介護予防居宅管理指導 通院が難しい方の自宅へ医師や歯科医師、薬剤師などが訪問し、介護予防を目的とする療養上の管理や指導を行うサービス |
通所型介護予防サービス | ・日常生活支援総合事業(デイサービス) 利用者が日帰りで通って、健康状態のチェックや食事、レクリエーション、機能訓練などを行うサービス ・介護予防通所リハビリテーション(デイケア) 介護老人保健施設などに通い、日常生活のサポートやリハビリを受けるサービス |
入所型介護予防サービス | ・介護予防短期入所生活介護(ショートステイ) 数日間、日常生活のサポートを受けながら福祉施設に宿泊するサービス ・介護予防短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 医療ケアや機能訓練を受けながら、老人保健施設に宿泊するサービス |
多機能型介護予防サービス | ・介護予防を目的とし、通所介護や訪問介護、短期入所生活保護の機能を組み合わせた介護サービス |
地域密着型介護予防サービス | ・介護予防認知症対応型通所介護(デイサービス) 認知症の高齢者に向けて、日帰りで介護や機能訓練を行うサービス ・介護予防認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 認知症の高齢者が施設に入所し、介護や機能訓練を受けるサービス |
介護保険は、介護予防サービスの利用に対して保険給付される制度です。
所得に応じて1~3割の負担額が設定されていて、介護予防サービスの利用時にかかる費用を大幅に抑えられます。
ここではサービスに関する以下の情報をご紹介します。
①要支援2の介護保険の支給限度額
②要支援2のサービス利用時の費用例
③要支援2のサービス提供の頻度
この3点について解説していきます。
介護保険は、要介護認定ごとに区分支給限度額が定められています。
介護予防サービスを月にどのくらい利用するかは、支給される介護保険の金額に合わせて考えるのが基本です。
要支援2の場合、介護保険から給付される支給限度額は、1ヵ月当たり105,310円です。
利用した介護予防サービスの料金のうち、1~3割が自己負担額となります。
つまり、月に105,310円分の介護予防サービスを利用できて、自己負担額を1割で計算した場合は10,531円となります。
サービス利用料金の合計が105,310円を超えた場合は、超過分の料金が全額自己負担になります。
参考:厚生労働省
介護予防サービスにかかる費用は、単位数で表示されます。
1単位は約10円で計算しますが、厳密には地域ごとに異なります。
「運動器機能向上加算」「栄養改善加算」などサービス内容によって、単位が追加される場合があります。
サービス利用にかかる単位数について、いくつか例を挙げますので参考にしてください。
サービスの種類 | 利用回数 | 単位数 |
介護予防訪問入浴介護 | 1回 | 852単位 |
介護予防訪問リハビリテーション | 1回 | 307単位 |
介護予防通所リハビリテーション費 (介護老人保健施設) | 1ヶ月 | 3999単位 |
※要支援2の場合
デイサービスは、要支援1・2判定の方のみ月額利用が可能であるため、必要に応じて好きな回数を利用できます。
デイサービスの定額料金を活用し、訪問介護や短期入所を組み合わせるなど、利用者のニーズに合わせて利用頻度を自由に調整できます。
ショートステイを利用すると、介護者の負担軽減にも効果的です。
参考:厚生労働省
要支援2と要支援1のサービス利用回数は、どのくらい違いがあるのでしょうか。
サービスの利用回数は、以下の通りです。
ホームヘルパー | デイサービス | |
要支援1 | 週2回まで | 目安1~2回 |
要支援2 | 週3回まで | 目安2~3回 |
訪問介護員が利用者の自宅を訪問して介助を行う「ホームヘルパー」は自治体による利用回数の制限があります。
家事代行や病院の付き添いなどいくつものサービスを受けたい時は、利用時間の考慮が必要です。
しかし、一定の時間を超えると30分ごとに加算される事業所が多く、長時間の利用が気軽にできないという側面もあります。
要支援2の区分では、比較的元気な方が多いため、実際のデイサービスの利用回数は2〜3回が目安となっています。
要支援2は、食事や排泄など日常生活のほとんどを基本的に一人で行える状態です。
理解力の低下もありませんから一人暮らしは可能ですが、部分的に周囲の手助けや見守りなどのサポートが必要です。
また、転倒による骨折や、栄養管理が行き届かず低栄養や脱水などのリスクが高まります。
認知症や要介護への移行を予防するためにも、リハビリやデイサービスなどの介護予防サービスを活用して、身体機能のキープや改善を意識することが大切です。
安全で快適な生活を継続するために、介護予防サービスの利用を検討しましょう。
要介護認定において、要支援2は比較的軽度です。
しかし、生活機能維持のためには介護予防サービスの利用を積極的に検討しなければならない段階です。
また、要支援判定で日常生活のほとんどを一人でできる方でも、施設に入居して他の入居者と楽しく安全に暮らしているケースもあります。
介護予防サービスを検討する際に大切にしたいのは「本人の希望」と「必要なケアの見極め」です。