高齢になると介護が必要になってきます。
要支援1と認定された場合、どのような給付を受けられるのでしょうか。
介護予防サービスについて費用や利用頻度、認定を受けたら気を付けるべきことを見ていきましょう。
目次
要支援1とは、介護保険法で定められている要介護認定区分のランクの1つです。
要介護認定区分は非該当、要支援1と2、要介護1から5の合計8区分のランクがあり、要介護5に近づくにつれ、介護が必要な度合いが上がっていきます。
要介護認定区分は、どのくらい介護に手間がかかるのかを図る目安で一次判定されます。
二次判定で有識者により最終的に判定されますが、要支援1は非該当に次ぐ2番目のランクになるため、まだ常時介護が必要なく、自分のことは自分でできるレベルの状態だと判断できます。
要支援1では以下の介護予防サービスを利用することができます。
訪問型介護予防サービス | ・介護予防訪問介護 ・介護予防訪問入浴介護 ・介護予防訪問看護 ・介護予防訪問リハビリテーション |
通所型介護予防サービス | ・介護予防通所介護 ・介護予防通所リハビリテーション ・介護予防認知症対応型通所介護 |
入所型介護予防サービス | ・介護予防短期入所生活介護 ・介護予防短期入所療養介護 |
その他の介護予防サービス | ・介護予防特定施設入居者生活介護 ・特定介護予防福祉用具販売 ・介護予防福祉用具貸与 |
地域密着型介護予防サービス | ・介護予防認知症対応型通所介護 ・介護予防小規模多機能型居宅介護 ・介護予防認知症対応型共同生活介護 |
自分のことは自分でできるレベルではあるものの、現在の状況を保つ必要があります。
ここでは、それぞれの介護予防サービスについて解説していきます。
訪問型の介護予防サービスは、ヘルパーや訪問看護などが利用可能です。
主には自宅に看護師や介護スタッフが訪問し、利用者の状態が悪化していないかなどを観察したり自宅での生活で困難なことをサポートします。
訪問入浴も自宅での浴槽では入浴が難しい方の自宅に、移動式の浴槽を持ち込んで入浴を行います。
訪問リハビリテーションでは、体の動きが悪くならないように予防的なリハビリテーションを提供します。
介護予防通所介護(デイサービス)や介護予防通所リハビリテーション(デイケア)では自宅での生活が継続できるように、週に数日通って、認知機能の低下を予防したり体を動かして筋力低下を予防する運動を行ったりします。
デイサービスやデイケアでは、友人ができたりすることもあるため、お互いに励まし合える環境が作れるでしょう。
また自宅から外に出ることで引きこもりの予防にもなります。
引きこもると筋力や認知機能の低下を急速に早めるため、とても効果的と考えられます。
要支援1の段階では、複雑な家事などは難しくてもある程度のことであれば、独力での日常生活を継続することができます。
しかし、家族の長期間の留守やレスパイト(家族の介護疲れを軽減する)目的で、短期的に入所して介護を受けることも可能です。
早期から利用することで介護度が上がってもスムーズに利用継続することができます。
介護予防特定施設入居者生活介護はケアハウスと言われ、家族の支援が難しい方などが入所することができます。
他の利用者と共同で生活し、身の回りのことは自身で行うため在宅に近い状態で過ごすことができるでしょう。
介護予防福祉用具販売や貸与は、貸与できるものと購入によるものに分けられます。
またベッドなどは要支援1では貸与するのに介護保険が利用できないなど制約があるため、ケアプランの担当作成者に確認してみましょう。
地域密着型のサービスは社会参加を目的に地域と交流を持ちながら生活することのサポートが役割となります。
介護予防認知症対応型通所介護は認知症を患っている方でも通いやすく、1日の利用者数が少なく設定されています。
また介護予防認知症対応型共同生活介護も、9人1ユニットで形成されており、認知症の知識を持ったスタッフがいるため安心して生活を送ることができるように配慮されています。
介護予防小規模多機能型居宅介護では、訪問と通所、宿泊のサービスを同じスタッフが対応します。
自宅での様子や泊まったときの様子などもわかるため本人やその家族にとっても安心でしょう。
参考:厚生労働省
要介護度の区分では、そのランクによって支給限度額基準が定められています。
要介護認定区分ごとの支給限度額基準は下記リンクから確認できますので、参考にしてください。
参考:厚生労働省
ここでは、サービス利用時の費用の例やサービス提供の頻度を解説します。
要支援1の場合、令和4年度時点で月々の支給限度額は5,032円(1割負担の場合)です。
さまざまなサービスを利用すると、手厚い支援が受けられる反面、金額も上がっていきます。
もし支給限度額を超えてしまった場合、超過分は自費負担となってしまいます。
計画作成者も支給限度額を超えないようにサービスを調整していますが、要望が多いと超過してしまう可能性があるため注意しましょう。
どうしても支援が必要な場合は、要支援1ではない場合もあるため、区分変更などの考慮が必要です。
介護予防訪問介護や介護予防訪問看護など、予防給付として現物支給される場合には利用料が発生します。
要支援1ではどの程度の利用料が発生するのでしょうか、以下は費用の例になります。
介護予防訪問看護 | 448円/回 |
介護予防訪問入浴 | 852円/回 |
介護予防訪問リハビリテーション | 307円/回 |
介護予防訪問看護の場合には448円/回、介護予防訪問入浴は852円/回、介護予防訪問リハビリテーションは307円/回と決まっています。
利用者の状態により加算や減算、支給限度額に入らない加算などがあります。
要支援1では手厚いサービスが必要なケースは稀であるため、料金については各事業所に問い合わせてみましょう。
サービス利用時の頻度はケアプランを作成する際に、それぞれのサービスがどの程度必要かを判断します。
サービスを組み合わせ、要支援1の5,032円を超えないようにしましょう。
例えば、1回30分の訪問看護のみの利用であれば、月に11回入れる計算ですので、週に2回程度の訪問となるでしょう。
これに介護予防訪問介護や介護予防通所介護などが入ると、訪問看護の回数を減らして調整することになります。
参考:厚生労働省
要支援1の認定を受けたら、今後介護を必要とする可能性が増したということです。
このまま何もせずに暮らしていると、身体の機能や認知機能が低下していき介護が必要となる場合があります。
介護を予防する観点で気を付けるべきことは以下の通りです。
①適度な運動や健康的な食事
②介護予防サービスを積極的に利用する
それぞれについて詳しく説明していきます。
介護を予防するためには、適度な運動や健康的な食事は欠かせません。
適度な運動は体力や筋力の維持に役立ち、良質な睡眠を確保する役割があります。
また運動による骨への刺激で骨折を防いだり、脳への刺激で認知機能の低下を予防できます。
健康的な食事は、身体の基礎となるタンパク質やミネラル、エネルギー源などの補給が大切です。
バランスの取れた食事を規則正しい時間に行うことで、体内環境を整えることができます。
これまで紹介してきた介護予防サービスを利用することで、さらに予防することができます。
自分だけで管理することは難しいため、看護師や理学療法士、作業療法士、介護スタッフなど専門職からアドバイスをもらいましょう。
また介護予防サービスでは、サービス計画も介護状態を予防するように立てられています。
体が動きにくい、食事が噛みにくい、夜眠れないなど心配事などがあるときにはしっかりと相談し、計画を立ててもらいましょう。
要支援1は介護が必要になる一歩手前です。
そのため、しっかりと予防することで、介護が必要になることを防ぐこともできます。
専門職のアドバイスや健康管理のもと、自分らしい生活が長続きするよう、サービスを積極的に活用していきましょう。