訪問介護サービスの1つである買い物代行ですが、買い物代行には買えるもの、買えないものは決まっているなど注意点があります。
介護保険が適用されない買い物代行を依頼されるケースもあるため、悩まれている方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、買い物代行とは何か、買い物代行で買えるもの、買えないもの、介護保険適用外の買い物を頼まれた時の対処法などについて解説していきます。
目次
訪問介護の買い物代行とは、介護ヘルパーが利用者の代わりに買い物を代行するサービスです。
介護保険が適用されるため、ケアプラン(サービス計画書)に基づき、サービスは提供されます。
買い物代行の流れは、以下の通りです。
1.介護ヘルパーが利用者の自宅へ訪問する
2.買い物リストや代金を預かる
3.買い物リストをもとに買い物をする
4.購入した商品を利用者の自宅へ届ける
5.お釣りなどの精算する
訪問介護の買い物代行は、介護保険の生活援助に該当します。
生活援助とは利用者が日常生活を送る上で必要な家事などを援助するサービスです。
訪問介護の買い物代行には、買えるものと買えないものが存在しています。
利用者から依頼されても対応できない場合があるため注意しましょう。
トラブルを引き起こさないためにも、買えるものと買えないものの定義と具体例について、詳しく解説していきます。
訪問介護の買い物代行で買えるものは、以下の2つです。
・生活必需品
・薬の受け取り
この2点についてそれぞれ解説します。
参考:厚生労働省
買い物代行では、利用者が生活する上で最低限必要な生活必需品を買えます。
生活必需品とは、食料品や日常生活で使用する消耗品(石鹸やトイレットペーパー等)、台所用品などを示します。
薬の受け取りも、買い物代行の範囲内です。
しかし、ケアプランに基づいてサービスを提供する必要があるため、介護ヘルパーが担当できるのは薬の受け取りのみです。
介護保険は利用者に適用されるものであるため、本人が望む場合でも、ヘルパーが代理で医師の診察を受けたり、薬の処方を出してもらったりすることはできません。
一方、訪問介護の買い物代行で買えないものは、以下の3つです。上から順に解説します。
・利用者本人の援助にならないもの
・生活必需品ではない嗜好品など
・遠方での買い物やお歳暮等、日常生活の範囲外のもの
訪問介護の買い物代行では、利用者本人の援助にならないものは買えません。
利用者と同居する家族が使うものや食べ物などは買い物代行の範囲外です。
参考:厚生労働省
生活必需品ではない嗜好品は、訪問介護の買い物代行の範囲外です。
具体的に挙げると、酒やたばこ、雑誌などです。
本人が生活必需品だと感じているかという点ではなく、客観的に判断する必要があります。また、来客用のお菓子やお中元買い物なども範囲外のため注意しましょう。
遠方の買い物は、訪問介護の買い物代行の範囲外です。
なぜなら、利用者の日常生活の行動範囲内で援助することを基本としているからです。
近くの店舗では売っておらず、遠くの店舗へ行く必要がある場合には、市町村の判断により認められる場合もあります。
訪問介護の買い物代行で買えないものの具体例は、以下の通りです。
・お酒・たばこ・雑誌等の嗜好品
・来客用のお菓子やお中元等
・行事用の物品や食品等
・日常的にあまり利用しない店の買い物
上記のものには介護保険が適用されないため、買い物代行では買えません。
また、自宅訪問前の購入や遠方での買い物なども介護保険の適用外です。
判断に迷う場合は、利用者本人の援助になるのか、そして嗜好品などに分類されないかなどを客観的に考えるようにしましょう。
介護保険適用外の買い物代行をお願いされた時の対処法は以下の3つです。
①しっかりと断る
②上司に相談する
③自費サービスの利用を薦める
それぞれ解説します。
介護保険適用外の買い物代行の依頼を受けたら、しっかりと断りましょう。
なぜなら、あいまいな回答をすると、問題が解決しないまま先延ばしになってしまうからです。
「契約外のため購入できません」など、申し訳ない気持ちとあわせて、実施できない理由を伝えることをおすすめします。
しっかりと断ろうとしても納得していただけない場合もあります。
一人で解決することが難しい場合には「持ち帰って相談いたします」と伝えることをおすすめします。
また「一度相談します」とその場を収め、電話で相談する方法も有効です。
上司やケアマネジャーなどと相談し、利用者への対応を検討しましょう。
介護保険適用外の買い物代行を依頼された場合に、自費サービスを薦める方法もあります。自費サービスの運営元は、主に民間企業です。
介護保険は適用されないため、利用者が全額負担する必要があります。
しかし、生活必需品ではない嗜好品などの購入や、利用者本人の援助にならないサービスなども依頼できるため、どうしてもという利用者の方にはおすすめです。
注意点として、介護保険適用サービスと自費サービスは同時に利用できません。
しかし、以下のように利用することは可能です。
・介護保険適用サービスの前後に自費サービスを連続で利用する
・介護保険適用サービスを一旦中断して自費サービスを利用する
上記のような利用方法を混合介護と呼びます。
介護保険適用サービスと自費サービスの両方の良いところどり出来るような利用方法を、利用者の方に説明すると良いでしょう。
訪問介護の買い物代行でトラブルを防ぐために、以下の3点に注意しましょう。
①お金をしっかりと管理する
②買うもののメモをとる
③食材などが本当に必要か確認する
上から順に解説します。
訪問介護の買い物代行を行う場合には、お金をしっかり管理するようにしましょう。
なぜなら、お釣りの不足などの金銭トラブルに発展する可能性があるからです。
金銭トラブルを防ぐためにも、以下のような対策を講じましょう。
また、法人によって管理ルールが異なりますので、所属する法人のルールに沿いましょう。
・代金のみを受け取る(財布を丸ごと受け取らない)
・用意した封筒や財布に受け取った代金のみを入れて管理する
・精算時には利用者と一緒にレシートを確認しお釣りを返金する
・買い物代行で購入する際に介護ヘルパーカードにポイントを付与しない
お金の取り扱いには細心の注意を払うようにしましょう。
訪問介護の買い物代行を行う場合は、買うもののメモをとるようにしましょう。
また、商品名が分かるものは伺い、対象の商品がなかった場合の対応なども相談しておくと認識の相違などが起こりにくくなります。
訪問介護の買い物代行を行う前に、依頼された食材などが本当に必要であるか確認するようにしましょう。
なぜなら、買い物を終えてからその食材が冷蔵庫にあったなどのケースが考えられるからです。
本当に必要な食材などを購入するためにも、しっかりと確認してから買い物へ行かれることをおすすめします。
訪問介護の買い物代行に関するQ&Aをまとめました。
原則日常生活の範囲内で買い物を行うため、交通費がかかる場面は多く想定されていませんが、訪問介護の買い物代行にかかった交通費は、利用者が負担する場合が多いです。
しかし、交通費の支払いについて、介護保険制度では明確に定められていません。
介護事業所との行き違いを起こさないようにするためにも、事前に確認しておくことをおすすめします。
参考:福島県
訪問介護の買い物代行でかかっても良い時間の目安は、往復時間と買い物時間を含めて30分以内です。
利用者の日常生活の行動範囲内にあるスーパーなどを利用できます。
遠方で買い物をしたい場合には、自費サービスの利用を検討するよう利用者の方に伝えましょう。
お菓子は、生活必需品でない嗜好品に含まれます。
そのため、訪問介護の買い物代行では買えません。
お菓子などの嗜好品を買いたい場合には、自費サービスの利用を検討するよう利用者の方に伝えましょう。
今回の記事では、訪問介護の買い物代行について解説しました。
訪問介護の買い物代行では、買えないものが何かをしっかりと確認し、介護保険内のサービスになるように注意しましょう。