この記事では、令和4年3月24日(木)に開催された令和3年度の処遇改善等調査結果についてご紹介します。
目次
「特定処遇改善加算」を取っている施設・事業所で、常勤として月給制で働いている介護職員の給与の平均は、昨年9月時点で月32万3190円となっており、前年同月と比較して7780円高くなっているという結果になりました。
介護福祉士の給与をみると、キャリア・軽々年数が長くなるにつれて上がっていく傾向が表れており、最も高い勤続10年以上は平均で月35万5010円でした。
処遇改善加算を取っていないところも含めた全ての施設・事業所については、常勤・月給で働く介護職員の給与の平均は、昨年9月時点で月31万5640円で、特定処遇改善加算を取っているところとの差は7550円という結果になりました。
第34回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会(web会議)資料
介護業界内だけで考えると、確実に右肩上がりで賃金は上がってきています。
この背景には、『処遇改善加算の取得』が大きくかかわってきており、処遇系加算はもともと『全産業と並べること』を目的に作られています。
今年度現在は
全産業平均(20年は月額35万2000円)と比較すると全産業平均は下回る結果となっており、今回の調査報告での特定処遇改善加算の取得率は全体の68.3%という結果も踏まえると、介護業界の賃金を全産業と並べていくためには、『処遇系加算の取得』が必須であると言えます。
給与等の引き上げ以外の処遇改善状況を職場環境等要件の各区分別にみると、
・入職促進に向けた取組のうち、「法人や事業所の経営理念やケア方針などの明確化」が 72.9%
・資質の向上やキャリアアップに向けた支援のうち、「研修の受講支援等」が 75.2%
・両立支援・多様な働き方の推進のうち、「有給休暇が取得しやすい環境の整備」が 84.6%
・腰痛を含む心身の健康管理のうち、「事故・トラブルの対応マニュアル等の作成等」が 84.4%
・生産性向上のための業務改善の取組のうち、「業務手順書の作成等」が 76.9%
・やりがい、働きがいの醸成のうち、「職員の気づきを踏まえたケア内容等の改善」が 86.2%
となっています。
令和 2 年度 介護従事者処遇等調査結果・介護労働実態調査結果によると、有給休暇の取得率は一般職で50.4%で、その取得日数は7.6日です。上記取り組みの中でも上位を占める取り組みであるものの、一方で経営者や管理者の休みが削られているといった課題があることにも留意しなければいけません。
加算は、2040年に向けて国が進めていきたい施策や取り組みを要件とし、私たち事業所を国が望む状態にもっていけるよう誘導しています。
一方で、減算は減らしたいと思っているものに対し施策を講じているものとなります。
加算を積極的に取得することが、人材不足解消や、安定した経営のために必要と言っても過言ではない状況は、しばらく続くことと想像されます。