令和7年度の補正予算(令和7年12月16日成立)により、「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業」が実施されることになりました。
物価高騰や他産業との賃金格差による人材流出を防ぐための「緊急的対応」として政府が決定したもので、
令和8年6月には処遇改善加算の報酬額をあげることが決定していますが、これを待たずに補助金として私たち事業所に対し実施されるものです。
2月に入り、続々と都道府県が申請について詳細を案内し始めている為、情報収集に注意が必要です。
令和8年1月21日付で厚生労働省より介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)が発出されました。国から都道府県にあてているものであるため、一部介護事業所にとっては必要のない設問も有りますが、以下の通り解説します。
引用:厚生労働省介護保険最新情報「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」Vol.1462令和8年1月21日の送付について

令和7年度 介護分野 処遇改善補助金 Q&A 問1~問7

令和7年度 介護分野 処遇改善補助金 Q&A 問8~問17
(答)本補助金は、全額を賃金改善又は職場環境改善に充当することとする補助金であり、債権譲渡することは適当ではない。このため、債権譲渡等により、国保連合会に登録されている口座に本補助金を振り込むことが適当でない介護サービス事業所等に対する本補助金の支払いについては、債権譲渡を行っていない介護サービス事業所等の介護給付費等の振込先口座又は介護サービス事業者等の口座に直接支払(振込)を行うこととする。
解説:権利の譲渡(ファクタリングなど)を使用している場合の考え方に関する問いです。
「この補助金を受け取る権利」を他社に売ったり譲ったりしてはならないとされています。
このため普段、介護報酬を債権譲渡(ファクタリングなど)している事業所であっても、この補助金だけは「事業所の口座」に直接振り込まれることに注意が必要です。
(答)補助金の申請は介護サービス事業所等が所在する都道府県ごとに行う必要がある。同一都道府県内に所在する介護サービス事業所等について、同一の計画書を用いて、法人単位で申請することができる。都道府県ごとに振込先の指定方法等が異なる場合もあることから、補助金の計画書は各都道府県から示されたものを用いること。
解説:「同じ都道府県にある事業所」なら、法人としてまとめて申請できます。
まとめて申請できる例: 東京都にあるA施設とB施設をまとめて、法人が一括申請する。
まとめて申請できない例:東京都のA施設と、神奈川県のB施設をまとめる。(都道府県が違うとルールや振込先が違うため、県ごとに申請が必要です)
(答)事業計画書の提出時点で休廃止することが明らかになっている介護サービス事業所等については、本補助金の交付対象外とする。ただし、事業計画書の提出時点では見通せなかった事情等により介護サービス事業所等が休廃止することになった場合については、休廃止することが明らかになった時点で速やかに都道府県に届け出ることとする。
解説:「これから閉めることが決まっている事業所」は対象外となります。
申請時点で休廃止が決まっている場合: 補助金は交付されません。
申請した後で急に決まった場合: 申請時点では継続予定だったが、予期せぬ事情で休廃止することになった場合は、すぐに都道府県へ連絡(届出)する必要があります。
(答)当該介護サービス事業所等の職員に変更がないなど、介護サービス事業所等が実質的に継続して運営していると認められる場合は可能である。その際は、実施要綱8(4)の記載のとおり、都道府県に届出を行うこと。
解説:合併や事業譲渡、サービスの種類の変更(地域密着型→通常型など)があった場合でも、補助金はもらえるか?という問いです。返答としては、スタッフや業務が変わっていなければ、そのまま受給が可能です。
条件:運営法人やサービス名が変わっても、「働いている職員が変わらず、実質的に同じ運営が続いている」状態であれば受け取ることが可能としています。都道府県へ変更の届出が必要になりますので、どのように譲渡されたら可能であるか、詳細は問い合わせましょう。
(答)貴見のとおり。既に計画書を都道府県に提出しており、計画書提出時点で想定していた使途をやむを得ず変更する必要がある場合であっても、事務負担を鑑み、都道府県への計画書の再提出を一律に求めないこととする。
解説:最初に「職場環境改善(研修や採用費など)」に使う予定で計画書を出していた場合に、後から「賃金改善」に使いたくなった場合等、変更が可能かを解いています。
返答としては「可能である」示されており、計画書の再提出も不要となります。
柔軟な対応: 現場の状況に合わせて、環境改善用のお金を賃金改善に回すことは認められています。
事務負担軽減: 計画書を書き直して再提出する必要はありません。最後の実績報告書で「賃金改善に使いました」と正しく報告すれば可能です。
(答)同じ経費について、複数の補助金による補助を受けることは認められないが、両方の活用(※)は可能。
※ 例えば、本事業による賃上げ等の金額への上乗せや、本事業の支援対象者や対象経費を広げる横出しとして交付金を活用するといった方法が考えられる。
解説:自治体などがやっている別の補助金(中小企業の賃上げ支援など)と、今回の補助金を両方使ってもいいか等、複数の補助金を受け、それらすべてを賃金改善に充てて良いのかを解いています。
返答としては可能だと示されていますが、以下のような場合は認められないとされています。
認められない例:全く同じ1万円の支出に対して、両方の補助金から1万円ずつ(計2万円)もらうことはできません。(例えば研修費について2重で補助金を受け、両方の実績報告に同じ支出分を2重計上する等)
認められる例: 今回の補助金で月6,000円アップし、別の補助金を使ってさらに月3,000円アップ(合計9,000円アップ)というような、同じ支出でも上乗せする形であれば可能だとしています。