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直近のネットニュースで取り上げられている高齢者住宅の入居者に過剰介護で「囲い込み」横行という話題についてご紹介していきます。
高齢者住宅の入居者に過剰介護で「囲い込み」横行、自治体の4割が把握…読売調査
目次
このニュースでは、高齢者向け住宅の入居者に、過剰な介護サービスを使わせて利益をあげる「囲い込み」と呼ばれる不適切な行為が問題になっているという事が取り上げられています。
これに対し所管する都道府県などに読売新聞がアンケート調査を実施したところ、約4割が事業者による囲い込みを把握しているにも関わらず、約9割の自治体が立ち入り調査を計画通りに実施できておらず、チェックが追いつかないという課題について問題提起しています。
調査は7~8月、全国で約27万人が暮らすサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が2011年度の制度創設から10年になるのに合わせ、所管する都道府県や政令市など129自治体にアンケート形式で実施され、対象の全自治体が回答しています。
調査では囲い込みについて、通報や苦情などを通じて51自治体が「把握している」と回答しており、「併設事業所の介護サービスしか使わせない」(47自治体)、「介護保険で定められた限度額ぎりぎりまでサービスを使わせる」(35自治体)を挙げており、囲い込みについては利用者の自立を妨げる過剰介護につながりやすく、介護給付費の増大を招いて保険料上昇の要因にもなるため、厚生労働省が自治体に指導の徹底を求めている所です。
平成30年の介護報酬改定において、訪問介護における生活援助中心型サービスについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、通常の利用状況からかけ離れた利用回数となっているケアプランについて、市町村への届出を義務付け、そのケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検討を行うこととされています。
生活援助中心型サービスについては、利用者において様々な事情を抱える場合もあることを踏まえて、利用者の自立支援にとって、より良いサービスとするため、介護支援専門員の視点だけではなく、多職種協働による検討を行い、必要に応じて、ケアプランの内容の再検討を促すこととなりました。
これに加え、令和3年10月から
ケアマネ事業所ごとに見て、
①区分支給限度基準額の利用割合が7割以上
かつ
②その利用サービスの6割以上が訪問介護サービス
市町村からの求めがあった場合には、当該指定居宅介護支援事業所の居宅サービス計画の利用の妥当性
を検討し、当該居宅サービス計画に訪問介護が必要な理由等を記載するとともに、当該居宅サービス計画を市町村に届け出なければならないとされています。
厚労省発:居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証について(報告)
また、これだけでなく『高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検』についても明示されており、高齢者向け住まい以外のケアプラン検証は『地域ケア会議』で必要性が検討されるのに対し、高齢者向け住まい等で実施されるケアプラン点検は、『市町村』の介護給付費適正化担当部署が行うことにも注意しなければならず、『検証』と『点検』という言葉を使い分けられている事にも着目しなければいけません。
介護保険最新情報:vol1009 居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について
公正中立が義務付けられている居宅介護支援のケアプランに対しても厳しい指導が続いています。
この検証・点検は、『不必要な支援を認めない』という介護給付費適正化の一環であり、この流れは今後も厳しくなってくることが予想されます。
『自社居宅介護支援に頼らず売り上げをあげていく』『施設内のご利用者だけに支援を絞らず売り上げを確保していく』ことは訪問介護事業において急務であり、厳しい実地指導が来る前に自ら介護支援内容を適正化すべきと言え、サ高住だけでなく自社居宅介護支援を併設する訪問介護事業所も『囲い込み』と言われてしまうような自立支援の妨げとなる支援は行うべきではありません。
自立を支援することが我々介護に従事するものの役割であり、質の高い介護を提供していくことが大切です。