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介護保険最新情報 Vol.1009 居宅介護支援事業所単位で抽出する ケアプラン検証等について

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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本記事では
介護保険最新情報、Vol.1009居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等についてご紹介していきます。

介護保険最新情報:vol1009 居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証等について

新たなケアプラン検証とは

令和3年10月開始 新たなケアプラン検証

10月から始まる新たなケアプランの検証の仕組みについて、対象範囲を定める基準が14日に告示されました。

自治体などによるケアプランの点検・検証の対象となる居宅介護支援事業所の基準は、「区分支給限度額の7割以上」かつ「利用サービスのうち、訪問介護の割合が6割以上」であることを厚生労働省が説明しています。

今回告示されたのは具体的なルールで、以下のケアプランを作っている事業所をターゲットとしていく方針が、正式に決められたことになり、適用は来月1日からとなります。

また、これだけでなく『高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検』についても明示されており、高齢者向け住まい以外のケアプラン検証は『地域ケア会議』で必要性が検討されるのに対し、高齢者向け住まい等で実施されるケアプラン点検は、『市町村』の介護給付費適正化担当部署が行うことにも注意しなければならず、『検証』と『点検』という言葉を使い分けられている事にも着目しなければいけません。

ケアプラン検証とは

平成30年の介護報酬改定において、訪問介護における生活援助中心型サービスについては、利用者の自立支援・重度化防止や地域資源の有効活用等の観点から、通常の利用状況からかけ離れた利用回数となっているケアプランについて、市町村への届出を義務付け、そのケアプランについて、市町村が地域ケア会議の開催等により検討を行うこととされています。

生活援助中心型サービスについては、利用者において様々な事情を抱える場合もあることを踏まえて、利用者の自立支援にとって、より良いサービスとするため、介護支援専門員の視点だけではなく、多職種協働による検討を行い、必要に応じて、ケアプランの内容の再検討を促すこととなりました。

これまでのケアプラン検証

これまで届出の対象となっていた訪問介護の種類は、生活援助中心サービスであり、届出の要否の基準となる回数は、要介護度別の全国平均利用回数+2標準偏差(2SD)の回数を算出したうえで、要介護度別に最大値となる月の回数を用い、要介護状態区分に応じてそれぞれ1月あたり以下の回数とされています。

要介護1:27回

要介護2:34回

要介護3:43回

要介護4:38回

要介護5:31回

新たなケアプラン検証(居宅事業所単位)

これまでの生活援助の回数が多いケアプランの届出義務に加え、以下に該当するケアプランの届出が義務化されます。

ケアマネ事業所ごとに見て、
①区分支給限度基準額の利用割合が7割以上
かつ
②その利用サービスの6割以上が訪問介護サービス

市町村からの求めがあった場合には、当該指定居宅介護支援事業所の居宅サービス計画の利用の妥当性
を検討し、当該居宅サービス計画に訪問介護が必要な理由等を記載するとともに、当該居宅サービス計画を市町村に届け出なければならないとされています。

厚労省発:居宅介護支援事業所単位で抽出するケアプラン検証について(報告)

検証の流れ

 

 

 

 

検証の流れ

市町村が、上記の要件が設定された帳票を、国民健康保険団体連合会より受領します。

市町村は、受領した帳票を活用し、居宅介護支援事業所へ要件に該当する居宅介護支援事業所のケアプランのうち、個々に見て最も訪問介護サービスの利用割合が高いものなどで、介護度別に1件ずつ以上を指定し、当該ケアプランの第1表(居宅サービス計画書(1):基本的な事項)、第2表(居宅サービス計画書(2):長期目標・短期目標、サービス内容等)及び第3表(週間サービス計画表)の届出を依頼する。※必要に応じてアセスメントシートも届け出る必要があります。

居宅介護支援事業所は、指定されたケアプランについて、当該ケアプランの利用の妥当性を検討し、当該ケアプランに訪問介護が必要な理由等を記載し、当該ケアプランを市町村に届け出る必要があります。
※理由等については、ケアプラン第2票(居宅サービス計画書(2))の「サービス内容」に記載することで足りる

④届出を受けた市町村は、順次、地域ケア会議等を活用して、多職種の視点から、届出のあったケアプランについて議論を行うことになります。

⑤地域ケア会議等での多職種の議論において届出のあったケアプランについて見直しが必要であるとされた場合、居宅介護支援事業所は、地域ケア会議等での検証結果を踏まえ、検証対象のケアプランについて再検討を行うとともに、事業所内において同様・類似の内容で作成しているケアプランの内容についても再検討を行います。
なお、検証対象のケアプラン及び同様・類似の内容のケアプランについて再検討とそれに基づく見直しが行われない場合は、それらのケアプランは、引き続き、地域ケア会議等での検証の対象となり得ることに注意が必要です。

新たなケアプラン点検(高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検)

高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための指導については、「高齢者向け住まい等における適正なサービス提供確保のための更なる指導の徹底」において、都道府県における家賃等の入居契約の内容の確認をし、その情報等をもとに、市町村の介護給付費適正化担当部署における高齢者向け住まい等に併設等している(隣接、近接や同一法人や系列法人など関連があると考えられるものを含む。)居宅介護支援事業所におけるケアプランの点検を強化するよう通知が出ています。

 

高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は、介護給付適正化事業の一環として市町村において実施されるもので、市町村が設定する要件に該当する高齢者向け住まい等併設等居宅介護支援事業所の介護支援専門員が令和3年 10 月1日以降に作成又は変更したケアプランのうち、市町村が必要と判断したものについては、ケアプランを指定し、居宅介護支援事業所に対し提出を求めることと明示されました。

抽出対象の居宅介護支援事業所の要件

要件は市町村ごとに設定が可能ですが、要件設定項目は次のとおり。
①区分支給限度基準額の利用割合
②利用サービス種類(注)とその利用割合
(注)区分支給限度管理対象サービスは全て選択可(組合せは2つまで。)
※帳票上、各ケアプランの利用者について、要介護認定時の居住地が高齢者向け住まい等であるかどうかを確認する

点検の流れ

市町村が、要件を定めます。

市町村は居宅介護支援事業所へ要件に該当する居宅介護支援事業所のケアプランのうち、令和3年 10 月1日以降に作成又は変更したケアプランのうち、市町村が必要と判断したものについては、ケアプランを指定し、居宅介護支援事業所に対し提出を求めます。

居宅介護支援事業所は、指定されたケアプランについて、当該ケアプランの利用の妥当性を検討し、当該ケアプランに訪問介護が必要な理由等を記載し、当該ケアプランを市町村に届け出る必要があります。
※理由等については、ケアプラン第2票(居宅サービス計画書(2))の「サービス内容」に記載することで足りる

④届出を受けた市町村は、順次、届出のあったケアプランについて点検を行うことになります。

また、この点検は高齢者向け住まい等対策のケアプラン点検は介護給付適正化事業の一環として実施するものであるため、市町村のノルマともいえる介護給付適正化事業におけるケアプラン点検の実施件数に含まれます
なお、高齢者向け住まいには、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等が該当しますが、未届の住宅型有料老人ホームも当然に該当しますので、届出の有無に関わらず点検の対象となることにも注意が必要です。

さいごに

居宅介護支援と併設する訪問介護事業所や通所介護事業所に対しての指導が年々厳しくなってきているのと同様、公正中立が義務付けられている居宅介護支援のケアプランに対しても厳しい指導が続いています。

この検証・点検は、『不必要な支援を認めない』という介護給付費適正化の一環であり、この流れは今後も厳しくなってくることが予想されます。

『自社居宅介護支援に頼らず売り上げをあげていく』『施設内のご利用者だけに支援を絞らず売り上げを確保していく』ことは訪問介護事業において急務であり、厳しい実地指導が来る前に自ら介護支援内容を適正化すべきと言えます。