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経口維持加算

居宅療養管理指導における薬局の算定要件や点数を紹介!算定できない場合についても詳しく解説!

野田 晃司

著者

作業療法士

野田 晃司

専門学校を卒業後にリハビリテーション病院の回復期病棟に勤務。その後、複数の介護事業所を運営する会社に入社。2箇所のデイサービス立ち上げを経験後、会社役員兼デイサービス管理者として約8年間従事。デイサービスのSNS発信が注目され、テレビや新聞などのメディアから取材を受ける。その経験をもとに多方面で講演会やセミナーの講師として活動中。Webライターとしても活動し、数多くの記事を執筆している。

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近年の高齢者社会では、認知症高齢者の増加により、医療機関の負担軽減を目的とする在宅医療の重要性が高まっています。特に、高齢者の認知機能や記憶力、身体機能の低下により、薬の自己管理が困難な方の支援は重要な課題です。

居宅療養管理指導は、服薬管理の観点から、高齢者の健康維持を図るために非常に重要な役割を果たす加算のひとつです。

この記事では、居宅療養管理指導とはなにか?薬局の薬剤師の役割と算定時の注意点について解説します。

居宅療養管理指導とは?

居宅療養管理指導は、薬剤師が利用者の自宅を訪問し、服薬指導や管理をおこなった際に算定できる加算です。特に、利用者の服薬管理や健康維持において、重要な役割を担っています。ここでは、居宅療養管理指導の概要や算定要件などについて詳しく解説します。

居宅療養管理指導の概要

居宅療養管理指導は、薬剤師が患者の自宅を訪問し、薬の服用方法や副作用の確認、薬の保管指導などをすることで算定できる加算です。患者の療養環境を整え、薬の適切なサポートなどをおこない、医療の質を高めることを目的にしています。

薬剤師が居宅療養管理指導を算定するには、患者ごとのニーズに応じた計画的なサービスを提供するために、医師やケアマネジャーと連携し、計画的に指導を進めることが求められます。

居宅療養管理指導の対象者

居宅療養管理指導を受けられる対象者は、医師が在宅医療を必要性と認めた患者です。基本的には65歳以上の高齢者で要介護1から5までの認定を受けた人が対象となります。

また、40歳以上で、特定疾病に該当する患者も対象に含まれます。例えば、がんや特定の神経疾患の診断を受けた場合は、65歳未満であってもサービスを利用できます。居宅療養管理指導は、薬剤師だけでなく、以下の職種でも算定できます。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士
  • 歯科衛生士

居宅療養管理指導の算定要件と単位数

居宅療養管理指導を算定するには、いくつかの要件を満たす必要があります。まず、医師の指示に基づき、利用者の状態に応じた指導計画の作成が必要です。この計画をもとに、医療機関やケアマネジャーと情報の連携をおこないます。

指導の頻度は、通常6日以上の間隔を空けて月2回までですが、がん末期患者や麻薬投与中の患者に関しては、週2回かつ月8回まで算定できます。また、オンラインを活用した服薬指導も、条件を満たせば算定対象となります。

詳細な算定要件については、以下の通りです。

薬剤師の配置場所項目単位数(1回あたり)
病院又は診療所の薬剤師単一建物居住者が1人の場合566
単一建物居住者が2~9人の場合417
単一建物居住者が10人以上の場合380
薬局の薬剤師単一建物居住者が1人の場合518
単一建物居住者が2~9人の場合379
単一建物居住者が10人以上の場合342
情報通信機器を用いておこなう場合46

居宅療養管理指導での具体的な業務内容

居宅療養管理指導では、薬局の薬剤師が患者の自宅を訪問し、服薬方法や副作用の確認、多剤投与の確認などをおこないます。さらに、家族に対して薬の保管方法や嚥下補助剤の提案、服薬カレンダーの提供なども重要な業務のひとつです。

特に、終末期医療の方に対しては、麻薬管理や無菌調整、栄養管理といった業務も求められます。ただ支援をおこなうだけでなく、担当のケアマネジャーや訪問看護師との情報共有も重要です。多職種連携を通じて、包括的な療養支援をおこない、患者の医療サービスの質向上を目指しています。

薬剤師の居宅療養管理指導における2024年以降の変更点

2024年の介護報酬改定では、居宅療養管理指導の基本報酬の引き上げや新たな加算の創設などの変更がありました。ここでは、2024年介護報酬改定で変更された薬剤師の居宅療養管理指導について詳しく解説します。

基本報酬が1単位上昇

2024年の改定により、居宅療養管理指導の基本報酬が1単位引き上げられました。改定による影響は、単一建物居住者の人数と役職に関係なく、すべてのケースで1単位の増加となります。この改定に伴って、薬剤師がおこなう居宅療養管理指導も、すべて基本報酬が1単位上昇しました。

薬剤師の配置場所項目改定前改定後
病院又は診療所の薬剤師単一建物居住者が1人の場合565単位566単位
単一建物居住者が2~9人の場合416単位417単位
単一建物居住者が10人以上の場合379単位380単位
薬局の薬剤師単一建物居住者が1人の場合517単位518単位
単一建物居住者が2~9人の場合378単位379単位
単一建物居住者が10人以上の場合341単位342単位
情報通信機器を用いておこなう場合45単位46単位

2つの新加算が創設

2024年の介護報酬改定では、在宅医療の多様なニーズに応えるために新たな加算が2つ追加されました。以下に、各加算の条件や注意点について解説します。

医療用麻薬持続注射療法加算

医療用麻薬持続注射療法加算は、在宅で医療用麻薬の持続注射療法を受けている患者やその家族を対象に指導した場合に適用されます。具体的な業務内容としては、麻薬の投与状況や残液の状況、適切な保管管理や取り扱い方法の指導などです。また、副作用の有無や鎮痛効果を確認し、薬学的管理指導を実施します。

医療用麻薬持続注射療法加算の算定要件と単位数は以下の通りです。

算定要件単位数
  • 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること
250単位/回

疼痛緩和のために、厚生労働大臣が定める特別な薬剤の投薬がおこなわれている利用者に対して、必要な薬学的管理指導をおこなっている場合に算定する加算との併算定はできないため注意しましょう。

在宅中心静脈栄養法加算

在宅中心静脈栄養法加算とは、在宅で中心静脈栄養法をおこなっている患者を対象に、薬剤師が自宅を訪問し、指導をおこなう際に適用される加算です。この加算の対象業務には、患者の状態や輸液製剤の投与や、保管方法、配合変化の防止に関する指導が含まれます。

在宅中心静脈栄養法加算の算定要件と単位数は以下の通りです。

算定要件単位数
  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第39条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けている又は、同法第39条の3第1項の規定による管理医療機器の販売業の届出をおこなっていること。
150単位/回

オンライン算定のルールが緩和

2024年の介護報酬改定では、オンライン服薬指導に関するルールが緩和され、初回から情報通信機器を用いた居宅療養管理指導の算定が可能になりました。また、訪問診療において交付された処方箋以外の処方箋に係る情報通信機器を用いた居宅療養管理指導についても算定可能です。

また、単位数についても変更がありました。

改定前の単位数改定後の単位数
情報通信機器を用いた服薬指導の算定は45単位/回(月1回まで)46単位/回(月4回まで)

さらに、算定要件として、以下の2つの要件も削除されているため注意しましょう。

  • 診療報酬における在宅時医学総合管理料に規定する訪問診療の実施に伴い、処方箋が交付された利用者であること。
  • 指定居宅サービス介護給付費単位数表の居宅療養管理指導費)を月に1回算定していること。

薬局が居宅療養管理指導を算定する際の注意点

居宅療養管理指導を算定する際には、訪問間隔の制限や処方箋なしでの算定ができないなどの条件があります。こうした細かい条件を理解したうえで算定しなければ、加算を算定できない可能性があるため注意しましょう。ここでは、薬局が居宅療養管理指導を算定する際の注意点について解説します。

訪問の間隔は6日以上空ける

居宅療養管理指導の算定は、基本的に月4回まで算定可能で、特定の条件(がん末期患者や麻薬投与を受けている場合)は、最大で月8回まで増やすことが可能です。

ただし、訪問間隔には制限が設けられています。一度訪問してから、次の訪問まで最低6日以上空けなければいけないため注意しておきましょう。

提供時間が他のサービスと被らないようにする

居宅療養管理指導の提供時間は、他の訪問サービス(訪問看護、訪問リハビリテーションなど)と重複しないように調整しなければなりません。同じ時間に複数のサービスが提供されると、どちらも算定できなくなるため、注意しましょう。

介護保険サービスは、原則ケアプランどおりにサービスを提供しているため、ケアマネジャーが各サービスの提供時間を管理しています。しかし、薬局は自分たちで訪問スケジュールを慎重に管理し、他のサービス提供事業者と密に連携することが求められます。特に、ケアマネジャーと密に連携してサービスを提供しましょう。

また、患者やその家族との事前調整も重要です。特に複数のサービスが必要な患者の場合、スケジュール調整に十分な時間を確保するようにしましょう。

処方箋なしでの算定はできない

居宅療養管理指導を算定するためには、医師の処方箋が必須です。処方箋は、患者の薬剤管理や指導内容を医師の診療計画に基づいておこなうことを保証するもので、算定の根拠となります。

薬剤師は、処方箋に記載された内容をもとに、服薬指導や薬の管理を実施し、その結果を記録します。また、指導後は、訪問内容や指導結果を処方医に報告するとともに、ケアマネジャーにも必要な情報を提供する必要があります。この報告を怠ると、算定が認められない可能性があるため注意しましょう。

まとめ:薬局で居宅療養管理指導を算定する際は細かいルールに注意する

居宅療養管理指導は、利用者の服薬管理や健康維持のために重要なサービスです。薬局で居宅療養管理指導を算定する場合、訪問回数や頻度、サービス提供のタイミングなどの細かいルールが決まっているため注意しましょう。

特に、2024年の介護報酬改定で、基本報酬の上昇や加算の新設などの変更点がありました。オンライン服薬指導に関するルールが緩和されたポイントや、医療用麻薬持続注射療法加算の新設など、介護報酬改定の変更点にも注意して、慎重に加算を算定しましょう。

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