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計画

特定事業所加算の要件を満たす研修計画の立て方・書式・事例

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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特定事業所加算の取得に求められる体制要件を満たすには「個別の研修計画策定・実施」を適切に行うことが必要です。本記事では、研修計画策定のポイントを、個別研修と全体研修に分けて解説します。

研修計画の立て方

研修計画策定のポイント

研修計画策定のポイントを、個別研修と全体研修に分けて解説します。

  • 個別研修の策定ポイント
    個別研修は、職責、経験年数、勤続年数、所有資格及び本人の意向等に応じて個別に策定さする必要があります(経験年数や職責等で職員をグループ分けして作成しても良いとされています)
    これは、個別研修の目的が、所属する職員個々の質を向上させることにあるからです。
    また、全職員が年に1回以上の研修を受講する必要があるため、毎年度計画を立てることが必要だと言えます。
  • 全体研修の策定ポイント
    一方で、全体の研修計画では、特定事業所加算を取得していない場合でも、訪問介護事業所が『実施しなければいけない研修』が、いくつか存在します。
    例えば、
    感染症予防のための『感染症予防研修』
    食中毒予防のための『食中毒予防』
    高齢者虐待防止法における『虐待・身体拘束』
    等の研修が該当します。

    これらの基本的な研修は、訪問介護事業所として特定事業所加算を取得している、していないに関わらず『発生させないための必要な措置を講じる』ために必要であることから、基本的な知識として全体研修に位置付けるべきものとされます。


このような違いから、個別の研修計画と全体の研修計画は分けて実施しなければいけないものとして取り扱われます。

個別研修計画の事例と書式

個別研修計画は、以下の項目で構成されます。

・名前
・個人目標
・研修目標
・研修内容
・実施時期等(内部研修・外部研修それぞれ)
・備考

書式例と策定の具体例はこちら(特定事業所加算の研修計画例)より資料請求いただけます。

 

研修計画の作成時期

新たに加算を算定するにあたっては、加算取得の届出を行うまでに、加算開始月から当年度末までの計画を策定してください。

また、次年度以降も加算を継続する場合は、少なくとも次年度が始まるまでに次年度の計画を定めておく必要があります。

注)厚生労働大臣が定める基準(平成27年3月23日厚労告第95号)の居宅介護支援では、“研修を実施していること”としていますが、訪問介護と同様に、“実施又は予定していること”と理解してください。

 

特定事業所加算申請時や実地指導時に確認される書類

研修

ここで、特定事業所加算申請や実地指導の時に確認が求められる書類について、確認しておきましょう。
自治体により多少の違いはありますが、体制要件を満たす運用・環境であることを確認するため、主に以下の書類の提出を求められます

【確認を求められる書類】
・全体研修の年間計画
・個別研修の年間計画
・全体研修の実施状況がわかるもの
・個別研修の実施状況がわかるもの
・全体 / 個別それぞれの研修資料
・全体 / 個別それぞれの研修参加票
・全体 / 個別それぞれの研修参加記録(研修受講票や研修受講感想記録 / 受講記録等)

特定事業所加算における個別の研修計画と実施は、
『全体研修とは別の、個別に立てられた研修計画があり、その計画にそった研修が実施されているか』
がポイントになります。

そのため、申請時の提出書類や実地指導では、個別の研修計画と実施状況の確認の他に、『全体の研修計画と実施状況』が確認されるという事を覚えておかなければなりません。

実地指導の指摘事例

研修計画において、実地指導での指摘事例は以下のようなものが挙げられます。

・所属している職員全員の計画を策定していなかった(勤務形態一覧表に氏名が記載されている職員はすべて必要)
・策定している年間個別研修計画に位置付けられた研修が、基本的な研修であった(特定事業所加算取得にあたっては、個別具体的な計画を立て実施しなければいけない)
・計画された研修を実施した記録の確認が取れなかった
・全体で実施される研修と同様の研修が位置付けられており、個別具体的な研修計画といえない
・研修計画に、具体的な実施時期等必要な項目の記載がない

研修計画以外の指摘事例はこちらを参考にしてください。

実地指導での指摘事例|特定事業所加算要件の項目別

 

運用するための課題と解決方法

体制要件である研修計画を正確に運用していくためには、職員ごとに計画を策定し『研修が実施されたか、目標に対しての評価があるか』が大きなポイントになって来ます。

必ずしも目標を達成することが必要ではなく、『目標に対して実施した結果』である評価が出来ているかがポイントとなります。

また、個別研修で実施されるべき研修は『基礎的な研修ではなく』『介護の質をあげるためのもの』でなければならず、基礎的な研修を実施しただけでは算定要件は満たしません。

【個別研修の例】

良い事例

①スーパービジョンにおけるスーパーバイザーとしての研修
②ファシリテーターとなる為の研修
③ユマニチュードの修得研修
④ボディメカニクスを利用した介助の修得研修

上記のように、基本的な研修や資格取得時に習得するものではなく、応用やより質を高めるための研修でなければいけません。

悪い事例

①“○○の理解”、“○○の基礎”、“○○について”等

資格取得時の学習範囲と重なっており、特定事業所加算の趣旨と合致していることが読み取れない場合があります。専門性を高めるために何をどのレベルまで向上させたいか、明確にする必要があります。
また、基本理念や基礎的な部分の復習、接遇研修など社会人として広く一般的なマナーを身につけるものなどは、通常の研修として行うべきものと考えられるものではいけません。

②“介護保険法の改正について”“倫理について”

業務を遂行するために必要な情報、研修であり特定事業所加算の趣旨とは合致しないとみなされます。
また、“○○事例検討会の出席”などは修得予定の目標に合致するかが曖昧な場合が有り、特定事業所加算等の研修として相応しいと言えない場合があります。

不正なく運用するには?

研修計画の策定、実施の要件を満たす運用をしていくためには、以下3点に注意する必要があります。

①要件を満たす研修計画を策定する
②研修が実施されたかの管理を行う
③評価が適正な時期に行われたか管理をする

研修の計画を策定し、実施しても『基本的な研修』では算定要件を満たしません。また、計画が策定されていても、『実施』されなければ算定要件を満たしません。

算定要件を満たす運用を行うためには、計画を間違わず策定し、確実に実施されたかの管理を行い評価を行う事が大切です。

さいごに

介護業界を取り巻く法律や介護報酬は、毎年の様に改正が入り、新たな法律も続々と施行されています。

法律だけでなく『高齢者虐待』『カスタマーハラスメント』という言葉も業界に進出し、平成30年度には厚生労働省が介護現場におけるハラスメント対策マニュアルを作成しました。

〇厚生労働省:介護現場におけるハラスメント対策マニュアル

全体で実施しなければいけない研修は毎年の様に変わり、求められる訪問介護員の技術も変化してきた昨今ですが、ご相談頂く皆様へ常に最新の情報や研修資料をご提供できるように、私たちも毎日の調査や準備が欠かせないと考えています。

常に新たな研修資料を用意し、皆様が全体研修、個別の研修どちらも無理なく実施できる環境を準備しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください!

お役立ち資料:加算取得を目指す方へ

介護事業者向けに個別研修計画の目的や要件、ポイントについて、事例をもとに詳しくまとめました。
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