現在では在宅での生活を支える訪問介護、訪問看護のニーズが増加しています。介護・医療ケアは365日24時間常に必要になります。介護や看護のニーズは介護度が重くなるにつれて高まります。しかし、なかなか必要なタイミングでケアを受けることは、介護する家族の負担も大きくなり困難と言えます。
そこで、定期巡回・随時対応型訪問介護看護が役に立ちます。この記事では、定期巡回・随時対応型訪問介護看護についてサービス内容や費用負担について詳しく解説します。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、介護福祉士や看護師が要介護者の自宅を定期的に訪問し、必要に応じて随時対応をおこなう24時間体制の介護サービスです。
介護保険法における地域密着型サービスの1つとして2012年4月に創設され、サービス利用者は日中・夜間を問わずに訪問介護と訪問看護を一体的に受けることが可能になりました。
また、定期的な訪問だけでなく、随時必要なサービスを受けることが可能です。そのため、要介護状態であっても、出来る限り住み慣れた自宅でご本人の能力に応じた自立した日常生活を送るための支援を受けられます。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、要介護1〜5の方で、利用する事業所のある地域に住民票のある方が対象になります。厚生労働省の調査によると、要介護度別にみるサービス利用者の内訳は、要介護1が24.6%、要介護2が24.0%、要介護3が19.0%、要介護4が19.4%、要介護5が13.0%となっており、要介護1,2の方が過半数近くを占めています。
要支援1〜2の方は夜間対応訪問介護の対象にはならないこと、原則として住んでいる地域以外の施設・事業所のサービスは利用できない点に留意しましょう。また、訪問介護、訪問看護、夜間対応型訪問介護とはサービス内容が重複するため、それらのサービスをすでに利用している方は併用はできません。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービス事業所には「一体型事業所」と「連携型事業所」の2つの類型があります。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護の職員体制は以下の通りです。
職種 | 資格等 | 必要な員数 | |
訪問介護職員等 | 定期巡回サービスを行う訪問介護職員等 | 介護福祉士 |
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随時訪問サービスを行う訪問介護職員等 |
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看護職員 (随時対応サービスを行う職員) | 保健師 |
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オペレーター | 看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、介護支援専門員のうち、常勤1人以上 |
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計画作成責任者 | 看護師、介護福祉士、医師、保健師、准看護師、介護支援専門員のうち、1人以上 | ||
管理者 | 常勤、専従の者。他のサービス管理者との兼務も可能。 |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護で提供されるサービスは大きく分けて4つです。
必要に応じて4つのサービスを組み合わせながら利用していきます。
訪問介護員が定期的に利用者の居宅を巡回し、食事や排せつの介助などの身体介護、生活援助を行います。
1回の訪問は20分程度で、1日3〜6回程度の巡回が行われることがほとんどです。利用者ごとに訪問介護計画書(ケアプラン)を作成し、その内容に基づいてサービスを提供します。安否確認、健康チェック、見守りのみの場合もあります。
定期巡回以外の時間に緊急の対応が必要となった場合は、365日24時間対応のオペレーションセンターで対応を行います。
利用者にはケアコールという端末が支給されており、緊急時にはそれを用いて利用者本人やその家族がオペレーターに通報できます。
オペレーターは、通話内容や利用者の心身の状況、置かれている環境などを把握したうえで、必要な際には相談援助を行ったり、ヘルパーの訪問対応を指示したりします。
緊急時に利用者もしくは家族からケアコールで通報があった場合に、状況に応じて介護職員等が随時利用者の居宅へ訪問をします。利用者の安否を確認し、入浴介助や排せつ介助、食事提供といった身体介護を行います。
随時対応サービスと同様に、365日24時間の対応が可能なサービスですが、通報の状況をオペレーターが判断し、必要と判断された場合のみの対応になる点に留意しましょう。
訪問看護師が定期的に利用者の居宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助を行います。主に、健康状態の把握や病状の悪化防止・回復、療養生活に関する相談などの対応をします。
また、主治医の指示を受けた場合は病院同様の医療処置を自宅で実施することもあります。介護サービスのみの場合でも、初回のアセスメントや月1回のモニタリングを行います。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用する際には、以下の3つのサービスは利用できませんので、ご留意ください。
利用者の自己負担額は、事業所の類型や要介護度、訪問看護サービスを利用するかどうかによって異なります。1割負担の場合の1ヵ月あたりの基本料金を表にまとめましたのでご覧ください。
区分 | |||
一体型 | 連携型 | ||
訪問介護サービスを行う場合 | 訪問介護サービスを行わない場合 | ||
要介護1 | 7,946円 | 5,446円 | 5,446円 |
要介護2 | 12,413円 | 9,720円 | 9,720円 |
要介護3 | 18,948円 | 16,140円 | 16,140円 |
要介護4 | 23,358円 | 20,417円 | 20,417円 |
要介護5 | 28,298円 | 24,692円 | 24,692円 |
連携型で訪問看護を受ける場合には、訪問看護事業所において別途利用料の負担が必要です。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスを提供する事業所の所在地やサービス内容に応じて、負担額は異なります。詳しくは市区町村の窓口や地域包括支援センター、担当のケアマネージャーにご確認ください。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、地域密着型のサービスのひとつとして医療や介護が必要な要介護者の暮らしを24時間365日体制でサポートします。
定期的な訪問により、重度の要介護状態になっても、利用者の生活状況や体調の変化に対して対応してもらったり、専門的な職員からのケアを受けながら、自宅で生活することができます。施設への入所よりも自宅での生活を送りたい方はぜひ、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用をご検討ください。