訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. その他
  3. ケアマネージャーの仕事とは?お客様の対象に要支援者は含まれる?

ケアマネージャーの仕事とは?お客様の対象に要支援者は含まれる?

2023-10-23

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

詳細プロフィール

続きを読む

ケアマネージャーの対象は要介護認定者ですが、その中に要支援者は含まれるのでしょうか?

今回は、ケアマネージャーの仕事内容だけでなく、実際に勤務する場所や、ケアマネージャーの対象者まで詳しく解説します。

ぜひ、最後までお読みください。

 

ケアマネージャーとは

正式名称は「介護支援専門員」と呼ばれており、職種が創設されたのは、2000年の介護保険法の施行と同時期です。

介護保険法(第79条第2項第2号)によると、「要介護者等からの相談に応じ、及び要介護者等がその心身の状況等に応じ適切な居宅サービス又は施設サービスを利用できるよう市町村、居宅サービス事業を行う者、介護保険施設等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識及び技術を有する者として政令で定める者」とされています。

 

参考:厚生労働省

 

つまり、要支援者・要介護者で介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成や市町村・サービス事業者・施設などとの連絡調整を行う、介護保険に関するスペシャリストです。

 

ケアマネージャーができた背景

ケアマネージャーができた背景を理解するには、「今後の国内における高齢化」を知ることが重要です。

現在日本は、平均寿命第1位を誇り、世界一の長寿国となりましたが、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会を迎えています。

日本人の平均寿命は戦後からほぼ一貫して延びており、女性は1984年に、男性は2013年に初めて80歳を突破しましたが、その後も伸び続け、女性の平均寿命は2050年には90年を超えると予測しています。

 

参考:内閣府

 

また、国内の高齢化率は「2025年問題」によって加速します。

2025年問題とは、2025年以降、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本が超高齢化社会になることで生じる問題のことです。

団塊の世代は1947〜1949年に生まれた世代のことで、国内においては約800万人の人口を有しています。

実際、総務省によると、2022年と2021年を比較した結果、65歳以上の高齢者人口は、3,627万人と約6万人の増加、総人口に占める高齢者人口の割合が29.1%とどちらも過去最高となっています。

 

参考:総務省

 

このように、世界中どこも経験していない「超高齢化社会」に対して即急な対応が必要になり、介護保険法が施行されるとともにケアマネージャーも設立されました。

 

ケアマネージャーが関わる対象者

要介護度の認定を受けた下記が対象者です。

 

  • 要支援1~2
  • 要介護1~5

 

ケアマネージャーの対象者は要介護だけでなく、要支援の方も対象ですが、どのような方でも要介護度を受けられるわけではなく対象者は下記です。

 

  • 65歳以上の方:第1号被保険者
  • 40歳~64歳までの方で16種類の特定疾病にかかってる方:第2号被保険者

 

厚生労働省によると特定疾病とは、心身の病的加齢現象との医学的関係があると考えられる疾病であって次のいずれの要件をも満たすものについて総合的に勘案し、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因し要介護状態の原因である心身の障害を生じさせると認められる疾病である。

 

  1. 65歳以上の高齢者に多く発生しているが、40歳以上65歳未満の年齢層においても発生が認められる等、罹患率や有病率(類似の指標を含む。)等について加齢との関係が認められる疾病であって、その医学的概念を明確に定義できるもの。
  2.  3〜6ヵ月以上継続して要介護状態又は要支援状態となる割合が高いと考えられる疾病。

 

このように定義していることから、下記の16種類の特定疾病にかかっている場合は、40歳〜64歳の場合でも介護保険サービスの対象者として認定されます。

 

  1. がん(医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがない状態に至ったと判断したものに限る)
  2. 関節リウマチ
  3. 筋萎縮性側索硬化症
  4. 後縦靱帯骨化症
  5. 骨折を伴う骨粗鬆症
  6. 初老期における認知症
  7. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
  8. 脊髄小脳変性症
  9. 脊柱管狭窄症
  10. 早老症
  11. 多系統萎縮症
  12. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
  13. 脳血管疾患
  14. 閉塞性動脈硬化症
  15. 慢性閉塞性肺疾患
  16. 両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

 

参考:厚生労働省

 

要介護度の決め方

要介護度は「自立」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の8段階に分かれ、日常生活を過ごすにあたって、どれくらいの介助を必要とするかで介護度が変わります。

 

下記が具体的な身体状況と介護にかかる時間の目安です。

 

区分

心身状態

介護にかかる時間

自立

日常生活に支援・見守りの必要がない。

要支援1

基本的な日常生活は自分で行えるが、一部動作に見守りや手助けが必要。

25分以上32分未満

要支援2

筋力低下があり歩行・立ち上がりが不安定なため、介護が必要になる可能性が高い

32分以上50分未満

要介護1

日常生活や立ち上がり、歩行に一部介助が必要。認知機能低下が少しみられる。

要介護2

要介護1よりも日常生活動作に介助を要し、認知機能の低下もより低下している。

50分以上70分未満

要介護3

日常生活において、全体的に介助が必要。立ち上がりや歩行には杖・車椅子などを使用している。認知機能が低下しているため見守りが必要。

70分以上90分未満

要介護4

要介護3以上に介助が必要で、思考力や理解力の低下も著名

90分以上110分未満

要介護5

日常生活において全て介助が必要で、コミュニケーションを取るのも難しい。

110分以上

 

参考:厚生労働省

 

要介護認定を受けたら、それぞれの介護度で定められた支給限度額の範囲内で利用可能です。

 

支給限度額内であれば、使った介護保険サービスの費用のうち1~3割を自己負担する形となり、要介護度が高くなればなるほど必要となるサービスも増えるため、支給限度額も高くなっています。

 

区分

区分支給限度額

要支援1

5,032単位

要支援2

10,531単位

要介護1

16,765単位

要介護2

19,705単位

要介護3

27,048単位

要介護4

30,938単位

要介護5

36,217単位

 

参照:厚生労働省

 

ケアマネジャーになるには?

ケアマネージャーになるためには、下記のステップを踏む必要があります。

 

  1. 受験資格を得る
  2. 試験に合格する
  3. 実務研修
  4. 登録・交付申請

 

1.受験資格を得る

受験資格を得るには、一定の実務経験が必要であり下記の2つのルートがあります。

 

  • 法定資格を保有して、その業務で通算5年以上かつ900日以上従事している
  • 定められた相談援助業務を通算5年以上かつ900日以上行っている

 

上記のいずれかのルートでケアマネージャーの受験資格を得られます。

なお、法定資格は下記です。

 

医師

薬剤師

保健師

助産師

看護師

准看護師

歯科医師

歯科衛生士

理学療法士

作業療法士

社会福祉士

介護福祉士

視能訓練士

義肢装具士

言語聴覚士

あん摩マッサージ指圧師

はり師

きゅう師

柔道整復師

栄養士

精神保健福祉士

 

また、相談援助業務は下記です。

 

  • 支援相談員:介護老人保健施設
  • 生活相談員:特定施設入居者生活介護、介護老人福祉施設
  • 相談支援専門員:障害者総合支援事業
  • 主任相談支援員:生活困窮者自立相談支援事業

 

2.試験に合格する

試験は毎年10月上旬〜中旬に実施され、その試験に合格する必要があります。

ケアマネージャーの合格率の低さからも難易度の高さが理解できるはずです。

 

年度

合格者数

受験者数

合格率

第25回(2022年度)

10,328人

54,406人

19.0%

第24回(2021年度)

12,662人

54,290人

23.3%

第23回(2020年度)

8,200人

46,415人

17.7%

 

参考:厚生労働省

 

なお、ケアマネージャーの試験は、「介護支援分野」が25問、「保健医療福祉サービス分野」が35問からなる全60問の出題で問題は5肢複択となり、合格割合はおよそ70%程度となっています。

下記が各年度の合格基準点です。

 

年度

合格基準点

第25回(2022年度)

介護支援分野:18点

保健医療福祉サービス分野:26点

第24回(2021年度)

介護支援分野:14点

保健医療福祉サービス分野:25点

第23回(2020年度)

介護支援分野:13点

保健医療福祉サービス分野:22点

 

参考:東京都保健福祉局

 

3.実務研修

試験に合格しただけではケアマネージャーとして働けず、ケアマネージャーの実務研修を受ける必要があります。研修時間は、国が定めたカリキュラムであるため、全国で共通しており通常は前期・後期に分けて87時間となっており、下記のような研修が実施されます。

 

  • 介護サービス計画の作成
  • モニタリングの実施

 

研修が実施される時期は都道府県により異なるため注意が必要です。

 

4.登録・交付申請

ケアマネージャーの実務研修を修了すると研修修了証明が受け取れるため、3ヵ月以内に各都道府県でケアマネージャー資格の登録申請を行います。

また、登録申請と同時に交付申請も可能です。

交付申請を行うと、各都道府県知事からケアマネージャーの資格である「介護支援専門員証」が交付されます。

 

ケアマネージャーの仕事内容

下記のような仕事内容があります。

 

  • ケアプランの作成
  • 利用者さん・家族さんの対応
  • サービス事業者との連携・調整

 

ケアプランの作成

主な仕事は、要支援・要介護の方へのケアプラン作成です。

ケアプランは、「介護サービス計画書」とも呼ばれており、介護を必要とする人が適切な介護サービスを利用できるように、各利用者さんの心身の状態や、家庭の状況を考えて、介護保険で使用するサービスの種類や内容などを決める計画書となっており、要支援・要介護の認定を受けた方が介護保険サービスを利用したいときに必須となる書類です。

ケアマネージャーは、ケアプランの原案ができたら、利用者さんと家族さんに説明し、希望に沿ったものになっているかを確認します。

その後、問題がなければ、利用者さんと家族さんが同席のもとで、介護サービス提供事業者の担当者と主治医などの関係者を集めた「サービス担当者会議」を開き、ケアプランを完成させ、契約をしてサービスが開始されます。

サービスが開始されても、ケアマネージャーの役割は続いており、定期的に利用者さん宅へ訪問し、提供するサービスに不都合がないかをチェックして、ケアプランが常に最適なものになるよう努めます。

 

利用者さん・家族さんの対応

介護サービスを利用する利用者さんや家族さんからの、介護にかかわる相談にも対応します。

ケアマネージャーは定期的に利用者さん宅へ訪問して、ケアプランのチェックを行いますが、その際に利用者さん・家族さんが日常生活で困っていることはないかなどの聞き取りを行うことも重要です。

介護に関わる悩みを持つ方の多くは高齢者となり、中には伝えたいことをうまく伝えられない場合もあります。

また、ケアマネージャーは気付いているものの、本人や家族さんが気付いていない場合も多くあります。

そのようなさまざまな場面においても、ケアマネージャーは、細かい表情・動作・言葉などから情報を捉えて、ニーズを的確に把握するスキルが必要です。

 

サービス事業者との連携・調整

利用者さんや家族さんから得た情報をもとに、介護サービス事業者への連絡・調整を行うのもケアマネージャーの仕事です。

介護サービスは非常に多くの種類があるため、利用者さんや家族さんだけで現在の自分にとって必要なサービスを判断して申し込みまで進めることは非常に困難です。そのため、ケアマネージャーは情報をもとに、適切なサービスを選択する必要があります。

また、場合によっては、現在利用しているサービス事業者に対しても、利用者さん・家族さんの代わりに要望やクレームなども入れる必要があります。

ただ、全て利用者さん・家族さんの言う通りに動くのではなく、利用者さんとサービス事業者の間に立って連絡・調整することが重要です。

 

ケアマネージャーの勤務場所

下記に勤務場所は分かれます。

 

  • 居宅介護支援事業所
  • 施設・入居系
  • 地域包括支援センター

 

居宅介護支援事業所

要介護認定者に対して、自宅で自立した生活を送るために、居宅サービス計画書(ケアプラン)の作成やサービス調整を行う事業所のことで、介護サービスを受ける方だけでなく、その家族も対象者です。

主には、ケアプランの作成や、作成したプランに基づいて介護保険サービスなどを提供する事業者との連絡や調整だけでなく、介護保険請求・要介護認定の調査員などの業務も行います。

対象者は、基本的に在宅の方ですが、「在宅」と見なされる住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者さんに対してもケアプランの作成を行います。

また近年では、ケアプランやケアマネジメントの質の向上が課題となっており、2021年度より居宅介護支援事業所の管理者の要件を、主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)に限る方針がとられました。

 

施設・入居系

介護施設で働くスタッフの勤務先は、介護老人保健施設・特別養護老人ホーム・介護医療院・介護付有料老人ホームなどで、主な仕事内容は要介護1以上で施設へ入居している方に対してのケアプラン作成です。

居宅介護支援事業所の場合は、さまざまな事業所のサービスを組み合わせてケアプランを作成しますが、施設の場合は、施設内で行われているサービスを組み合わせて、日常生活に必要な介護・看護・リハビリの計画を立てます。

また、施設によっては、ケアマネージャーの仕事のみを行っている方もいますが、多くの場合は、ケアマネージャーと介護職・生活相談員・介護事務などの業務を兼務しています。

 

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、基本的に市町村が設置しており、2005年の介護保険法改正に伴って設立された公的機関です。

主な仕事内容は、65歳以上の高齢者の方に対して、保健師・社会福祉士・主任ケアマネージャーなどの専門職がチームを組んで、高齢者の相談に応じたり、福祉の案内を行ったりすることで、介護が必要な状態にならないことを目的としたケアプランを作成します。

主任ケアマネジャーは居宅介護支援事業所・施設・入居系でも勤務できますが、地域包括支援センターなど公的機関で働けるのは主任ケアマネジャーのみです。

 

居宅介護支援事業所と施設・入居系の違い

各勤務場所の違いをまとめると下記です。

 

下記が居宅ケアマネ・施設ケアマネの簡単な違いです。

 

居宅介護支援事業所

施設・入居系

職場

居宅介護支援事業所

特別養護老人ホーム

介護老人保健施設

介護医療院

介護付有料老人ホーム

など

仕事内容

ケアプランの作成・更新

ケアプランの作成・更新

介護業務

事務業務

など

兼務

なし

あり

担当件数

35人以内

100人以内

 

比較の中で最も大きな違いは、利用者さんの受け持ち担当数です。

施設・入居系のケアマネージャーが担当する利用者さんは、ケアマネージャー1人に対して、利用者は最大100人までですが、居宅介護支援事業所の場合は、ケアマネージャー1人に対して、利用者上限は35人までとなっています。

件数だけ比較すると、施設・入居系の最大利用者の方が居宅介護支援事業所より約3倍多くなっていますが、自分が勤務している施設内の利用者だけになるため移動などの負担はありません。

しかし、居宅介護支援事業所の場合は、利用者の上限が35人以内と施設・入居系より少ないものの、利用者さん宅への定期的な訪問が必要であるため、利用者数の差による負担は差がないのが一般的です。

 

参考:厚生労働省

まとめ

今回は、ケアマネージャーの仕事内容と、対象者に要支援者は含まれるかを紹介しました。

ケアマネージャーは要介護だけでなく要支援の方に対しても、適切なケアプランを作成する必要があります。

ただ、勤務場所は、「居宅介護支援事業所」「施設・入居系」「地域包括支援センター」に分かれます。

この中で「施設・入居系」の場合は、入居者が要介護1以上になるため、対象とはなりませんが、「居宅介護支援事業所」「地域包括支援センター」で勤務する場合は、要支援の利用者さんも多くいるため、要支援の利用者さんを対応する機会は多い傾向です。

近年では要介護認定者が増加していますが、今後、国内は今まで以上に高齢化率が高くなるため、要介護認定者のより増加が予測されるためケアマネージャーの重要性はますます高くなると予測されます。

 

カテゴリ・タグ