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介護記録について徹底解説!わかりやすい例文や使ってはいけない言葉についても紹介!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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介護記録(支援経過記録)は介護職員にとっては必要不可欠なもので、質の高い介護を行うのに重要な役割を担っています。

「介護記録(支援経過記録)の書き方がわからない」「介護記録(支援経過記録)の内容がいつも同じになってしまう」などの悩みを持っている方も多いと思います。

今記事では、効果的な介護記録(支援経過記録)とはなにか、その目的、書き方、例文、コツについて解説します。

介護記録(支援経過記録)とは?

介護記録(支援経過記録)は、介護サービスをおこなっていくにあたっての記録です。

手書きの場合やパソコンやタブレット端末を使うなど記録の方法は施設によって異なります。

介護保険法によって、介護サービスを行なっている場合は介護記録(支援経過記録)の作成が必須となります。

介護記録(支援経過記録)の4つの目的

「介護記録(支援経過記録)」介護記録(支援経過記録)の目的は以下の4点です。

情報共有のため
②事故が発生した際の証拠のため
③介護サービスの品質向上のため
④利用者やそのご家族とのコミュニケーションのため

一つずつ解説していきます。

①情報共有のため

職場のスタッフの中で情報を共有させることで、利用者へ的確な介護サービスを提供することができます。

情報は利用者の名前や家族構成、疾患などの個人情報はもちろんですが、現在の体温や脈拍など身体の細かな状態の情報も記載します。

また、事故やトラブルがあった場合に記載することもあります。

介護記録(支援経過記録)は医師や看護師、医学療法士などの他の職種の方とのスムーズな連携のためにも必要です。

②事故が発生した際の証拠のため

介護記録(支援経過記録)は状況や状態、原因や事故後のスタッフの対応方法などを証明するツールになります。

万が一訴訟が起きた際に証拠にもなるので、介護記録(支援経過記録)は正確に記載しておくことが必要です。

③介護サービスの品質向上のため

介護記録(支援経過記録)は記載の内容をもとに振り返りや分析を行うことによって、自社の介護サービスの改善に繋がります。

介護記録(支援経過記録)を詳細に記録することによって「新たなケアプラン」の作成に役立てることも可能です。

④利用者やそのご家族とのコミュニケーションのため

介護記録(支援経過記録)は患者さんのことを深く理解し、ご家族との円滑なコミュニケーションをとるためのツールとも言えます。

介護記録(支援経過記録)を詳細に取ることにより患者さんのご家族からの質問にもきちんと答えられ、利用者の普段の様子やエピソードまで伝えることができます。

円滑なコミュニケーションが、患者さんのご家族、利用者本人との信頼関係構築につながります。

介護記録(支援経過記録)を書く時の4つのポイント

介護記録(支援経過記録)を書く時のポイントは下記の4つです。

①「5W1H」を意識
②情報源を明確にする
③主観的な表現は避ける
④上から目線を連想する表現を避ける
⑤簡潔にまとめる

それぞれ解説していきます。

①「5W1H」を意識

「5W1H」は「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」を意識することで相手に具体的に分かりやすく伝えることができます。

介護記録(支援経過記録)では「いつ」を表現する場合、曖昧な時間帯の表現をおこなうのではなく「11:00」や「11:00〜12:00」といったように具体的に記載しましょう。

表記は24時間表記で記載するようにしましょう。

「誰が誰に何を言ったのか?」「誰が誰に何をしたのか?」などの主となる人物と受ける側の人物がはっきりわかるように記載しましょう。

 ②情報源を明確に

誰が介護記録(支援経過記録)を読んでも情報源がどこなのかをわかるように記載が大切です。

③主観的な表現は避ける

主観的な表現を避けて実際起きたことを客観的かつ正確に記載することを心がけましょう

④上から目線を連想する表現を避ける

患者さんに対して「上から目線」と思われるような表現は避けるようにしましょう。

例をあげると、「〇〇させる」「ボケ症状」「しつこい」「わがまま」「物分かりが悪い」などです。

言い換えるとしたら「すすめる」「認知症状」「粘り強い」「ご自身の意見を持っている」「じっくり覚える性格」などとなります。

常に上から目線にならない表現を心がけるようにしましょう。

⑤簡潔にまとめる

介護記録(支援経過記録)は簡潔にまとめましょう。

ダラダラと長い文章になると何を伝えたいのかがわからなくなってしまいます。

あくまで介護記録(支援経過記録)は誰が読んでもわかるように書く必要があるため「読み手のわかりやすさ」を意識して簡潔にまとめましょう。

思ったことをそのまま書き込むのではなく、内容を簡潔にまとめてから記入するのがおすすめです。

わかりやすい介護記録(支援経過記録)の例文

わかりやすい介護記録(支援経過記録)の例文をまとめたので、是非参考にしてください。

①食事の場面での介護記録(支援経過記録)の例文

18:00 食事開始。

食事は自力で食べている中3分の1ほど残していた。スタッフからの声かけで残りも完食。

食事時は、右手でフォークを持ち自分で口に運び食べている。

右上側にある小鉢のおかずを召し上がったが、左に配置されていた小鉢に対しては手を付けていなかったため、「こちらは食べられませんか?」と小鉢を見せて正面に移動させると「ありがとう」と一言言った後召し上がった。

目の前に出すと気づいた様子だったので、左に配置されていた小鉢には気づいてなかった可能性。

次回の食事時は本人の視界に入る食器の配置にする。

18:30 食事終了。

②排泄の場面での介護記録(支援経過記録)の例文

9:00 ベット上にてリハビリパンツを脱ごうとしている。

確認すると便失禁(水様便)大量にあり。パッドから漏れあり、シーツまで汚染していたので清掃し交換をおこなった。

「ごめんなさい」というため「お腹が冷えてしまいましたね」と会話。

9:30 トイレに案内後再度少量の排便(軟便)あり。

12:00 居室にいたため昼食の声をかけたところ「朝は本当にごめんなさい」と謝り動かない。

「下剤が効きすぎたせいですよ」と会話。

③入浴の場面での介護記録(支援経過記録)の例文

11:00 お風呂が空きましたと声をかけるが、「今日は入りたくない」と断られる。

浴室の椅子のことで相談があると話して脱衣所へ誘導。「濡れては大変なので」と話して洋服を脱いでもらう。

11:30 洗髪をおこなうが、左手のみで洗うため、右耳など一部介助を実施。

洗身時、右胸に引っかいた跡が10×10cmあり。湯船に入ると鼻歌を歌い機嫌は良い様子。

鼻歌を歌い終わるとスムーズに上がった。

部屋に戻った後も笑顔で鼻歌を歌っていた。

④行動・活動の場面での介護記録(支援経過記録)の例文

11:00 〇〇保育園の園児の皆さんが15名敬老会で慰問に来られる。

Aさんは最前列右側に座り園児たちの歌を笑顔で見ていた。途中でハンカチで涙をぬぐっていた。

園児たちが帰ったあと、ご自身の2人いるお孫さんの話しを笑顔でたくさんしてくださった。

⑤睡眠の場面での介護記録(支援経過記録)の例文

22:00 巡回時、掛け布団をかけないで寝ておられた。

同室者数人も同じように掛け布団をかけないで寝ていたためエアコンの温度を1度下げて調整。

掛け布団をAさんとCさんにかけて退室。

23:00 再度巡回。

掛け布団もそのままで寝苦しい様子もなし。

同室者で全員しっかりと眠れている様子。

⑥認知症の方の介護記録(支援経過記録)の例文

11:00 ホールのテレビで卓球の試合の放送が始まると、突然母校の校歌を歌い始めた。

画面に映っている選手に「もっとこうしろ」とアドバイスのようなことも何度も発言。

昔に卓球の監督をされていたことを思い出したのかもしれない。

12:00 テレビ中継後は、Bさんに卓球のアドバイスをしていた。

Aさんの表情としては非常にいきいきとしていた。

よりよい介護記録(支援経過記録)を残すための3つのコツ

よりよい介護記録(支援経過記録)を残すためのコツは下記の3つです。

①便利な表現をストックする
②細かくメモを行う
③テンプレート化する

それぞれ解説していきます。

①便利な表現をストックする

便利な表現をストックしておくと、言葉を選びに迷うことがなくなるので作業効率が上がります。

先輩や同僚といった他者の介護記録(支援経過記録)を参考にするのもおすすめです。

何種類かの場面で使える表現を紹介します。

表現カテゴリ
気分を表す表現イライラして
悲しそう
元気がない
イキイキと
ソワソワした様子
顔色や顔の状態を表す表現腫れぼったい
むくんでいる
血色が良い
ほてっている
青白い
睡眠の様子を表す表現うつらうつら
寝言を言っている
いびきをかいて
ぐっすり
すやすや
呼吸の様子を表す表現早い
荒い
浅い
ハァハァ
ゼェゼェ
傷を表す表現すり傷
切り傷
ひっかき傷
刺し傷
裂き傷
食事の場面の表現ぱくぱく
ペロリ
咀嚼が激しい

②細かくメモを行う

1日の終わりに介護記録(支援経過記録)を記載しようとしてもなかなか覚えられないため正確性にかける上に時間もかかってしまうので、その都度何かあった際はすぐにメモをする習慣を身に付けましょう。

常にメモは持ち歩き、時間と事例を具体的に記載しておくことがおすすめです。

③テンプレート化する

テンプレート化をすることで、職員によって表記にズレが出ず、情報共有をスムーズに行えたり、不適切な表現を避けることができます。

介護記録(支援経過記録)のテンプレート化については、こちらの記事を参考にしてください。
介護記録をテンプレート化するべき!その理由と書き方について徹底解説!

介護記録で使ってはいけない言葉とは?

介護記録で使ってはいけない言葉は下記の5つです。

①侮蔑的な言葉
②命令のニュアンスがある言葉
③専門的な言葉
④医学的な言葉
⑤主観的な言葉

詳しくはこちらの記事で解説しています。
介護記録における禁止用語・使ってはいけない言葉は?その理由と正しい用法をご紹介

介護記録(支援経過記録)でよく使われる「傾眠」とは?

傾眠は、意識障害の一種で、周囲からの軽度の刺激で意識を取り戻す状態のことです。

傾眠は介護現場においてよくみられる症状のため、介護記録(支援経過記録)に記されることも多々ありますが、具体的に傾眠が生じる原因・対処方法まで詳しく理解している方は多くいません。

傾眠についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
介護記録で使われる「傾眠」とは?原因や対処法など徹底解説!

介護記録(支援経過記録)におけるsoapとは?

介護記録(支援経過記録)におけるsoapとは、

Subject(主観的データ)
Object(客観的データ)
Assessment(アセスメント)
Plan(介護計画)

の頭文字をとったものです。

soapを意識して介護記録(支援経過記録)を記入することで、より質の高い介護サービスへとつなげることが出来ます。

介護記録(支援経過記録)におけるsoapについては、こちらの記事で詳しく解説います。
介護記録におけるsoapとは?ポイントや例文を徹底解説!

まとめ

今記事では、効果的な介護記録(支援経過記録)の意味や目的、書き方についてご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

介護記録(支援経過記録)は介護職員にとっては必要不可欠なもので、質の高い介護を行うのに重要な役割を担っています。

是非上手に介護記録(支援経過記録)を取って、介護サービスとしての質向上に努めてみてください。