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居宅介護支援とは?3つのサービス内容から利用条件、申し込み方法について徹底解説!

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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「適切な介護サービスを受けたい」「どんなことをお願いしたら良いのかわからない」

在宅介護をおこなっている方はそのような悩みを持っている方が多いのではないでしょうか。

実は居宅介護支援を利用することにとり、要介護者が自宅での生活を継続するための徹底的なサポートを受けることができます。

本記事では、居宅介護支援のサービス内容や利用条件、また、サービス利用までの流れについて解説します。

居宅介護支援とは?

居宅介護支援とは、居宅での介護を望む介護保険利用者が適切な介護サービスを受けられるように、ケアマネージャーがケアプランの作成や介護サービス事業者との連絡・調整などを行う支援のことです。

介護保険サービスのひとつで、ケアマネジメントとも呼ばれます。

居宅介護支援の目的は、要介護者ができる限り自宅での自立した生活を継続できるようにサポートすることです。

また、日々の介護にあたる家族の負担を少なくするという意味でも大きな役割を持ちます。

そのため、利用者の心身の状態はもちろんのこと、生活環境や家族の意見も考慮しながら、最適な介護サービスが計画されます。

計画書、いわゆるケアプランの作成は、居宅介護支援のなかでも根幹をなす重要なものです。

そのほかにも、居宅介護支援には要介護認定の更新やさまざまな手続きの代行などといったサポートがあります。

要介護者と介護サービスをつなぐ架け橋のような存在として考えてもよいでしょう。

介護が必要でも可能な限り自宅での生活を続けたい、介護施設の待機人数が多くなかなか入所できない、無理なく家族の介護をしていきたい、そんな方々の支えとなる支援です。

居宅介護支援のサービス内容

介護支援と聞くと、デイサービスや訪問介護など、実際に介護を受けるサービスをイメージしがちです。

しかし、介護サービスを受けるまでの状況調査や話し合いも、居宅介護支援のサービス内容に含まれます。

居宅介護支援として行われるサービスには、次のようなものがあります。

  • 状況把握
  • 話し合い
  • ケアプラン作成
  • サービス利用開始

それぞれ詳しく解説します。

状況把握

適切な介護サービスを受けるためには、まずはケアマネージャーが要介護者の状況を正しく把握することが重要です。

ケアマネージャーは利用者の自宅を訪問し、本人の心身の状態や生活環境、または家族の介護力など、要介護者の状況を聞き取り調査します。

こうした状況把握により要介護者の生活課題を把握することを、アセスメントといいます。

訪問調査によって得られた情報や、主治医の意見書を基に、どのような介護が必要となるか、または現時点での課題などが検討されます。

話し合い

要介護者の現状や課題が明確になったら、具体的にどのような介護サービスを希望するのか、ケアマネージャーと要介護者本人、家族、サービス提供事業者やかかりつけの医師とで話し合いを行います。

この話し合いはサービス担当者会議と呼ばれ、介護の計画書となるケアプランを作成するにおいて開催が義務付けられているものです。

はじめて居宅介護支援を利用する場合など、どのような介護サービスがあるのか、どのような施設をどれくらいの頻度で利用できるのか、利用者やその家族に知識がないケースも少なくありません。

不安を解消してから介護サービスの利用にのぞめるよう、話し合いに先立って疑問点や意見などをまとめておくことも大切です。

ケアプラン作成

ケアプランとは、利用者が具体的にどのような介護サービスをどれくらいの頻度で利用するのか、または利用者が自宅での生活を継続するためにどのような目標を設定するのかをまとめた計画書のようなものです。

このケアプランがなければ、介護保険サービスを受けることはできません

ケアマネージャーは、要介護者の状況把握をした時点でケアプランの原案を作成しています。

原案をもとに、サービス担当者会議での家族やかかりつけ医の意見も踏まえて、最終的なケアプランを作成します。

なお、利用者の身体状況や生活環境は変化する可能性があるものです。

居宅介護支援サービス利用開始当初に作成したケアプランのままでは、内容が不充分となってしまうことも考えられます。

利用者の状況とケアプランの内容との間に開きが生じることのないように、ケアマネージャーは最低でも月に一度は利用者の自宅を訪問し、必要に応じてケアプランの見直しや更新を行います。

これをモニタリングといいます。

サービス利用開始

納得のいくケアプランが作成されたら、介護サービスを実際に提供する事業者と契約を結び、サービスを利用開始します。

居宅介護支援によって提供される介護サービスには、訪問系サービス通所系サービス短期入所系サービスの主に3つがあります。

訪問系サービスとは、介護福祉士や訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、入浴や排泄、食事などの介護を行うサービスです。

看護師などの医療関係者が訪問し、療養上必要な医療行為を行う訪問看護も、訪問系サービスに含まれます。

通所系サービスとしてあげられるのが、通所介護と通所リハビリテーションです。

通所介護、いわゆるデイサービスでは、利用者は通所介護施設に通い、日帰りで食事や入浴、レクレーションなどの介護サービスを受けます。

一方、通所リハビリテーション、いわゆるデイケアは、リハビリや機能回復訓練などの医療的なケアに特化したサービスです。

通う施設も病院や介護老人保健施設となり、理学療法士や作業療法士など、専門家の指導を受けることができます。

短所入所系サービスは、ショートステイとも呼ばれます。

利用者は短期的に介護施設に入所し、日常生活の介護や機能訓練などのサービスを受けます。

介護者である家族が体調を悪くした場合や、用事で家を数日間空ける場合、あるいは介護の負担を軽減することを目的として利用されるサービスです。

居宅介護支援の利用条件

居宅介護支援は誰でもサービスを受けられるわけではありません。

居宅介護支援を利用するには介護保険制度に沿った条件があるため、確認しておきましょう。

要介護1以上であれば利用可能

居宅介護支援を受けるには、要介護1以上の認定を受けている必要があります

要介護度は、心身の状態によって8段階に区分が分けられており、要介護認定によってどの程度であるかが判断されます。

要介護区分心身の状態の目安
非該当(自立)自分で日常的な動作を行うことができ、支援は必要ない
要支援1日常動作のほとんどを自分で行うことができるが、介護予防のために部分的に見守りや社会的支援が必要
要支援2日常生活の一部に部分的な介助が必要 支援により要介護にいたらず、現状の維持や改善が期待できる
要介護1排泄や入浴に部分的な介助が必要 立ち上がりや歩行に不安定さがみられ、一人での外出が困難
要介護2食事や排泄、入浴に部分的もしくは全体的な介助が必要 一人での立ち上がりや歩行、起き上がりが困難
要介護3食事や排泄、入浴、衣服の着脱などに全体的な介助が必要 立ち上がりや歩行、起き上がりに介護を要する 認知機能の低下がみられる
要介護4日常生活の全般にわたって動作能力が低下し、食事や排泄、入浴、衣服の着脱などに全体的な介護が必要 認知機能がさらに低下し、意思疎通が困難
要介護5日常的な動作をする能力がさらに低下し、介護がなければ生活が成り立たない 認知機能が著しく低下し、意思の伝達が困難

要介護状態とは、日常生活での基本的な動作が困難で、周りの介護を要する状態です。

また、認知症の場合、思考力や理解力など認知機能の低下がみられることもあります。

区分により程度の差はありますが、介護がなければ日々の生活がむずかしいことから、居宅介護支援の対象となります。

介護認定で「要支援」、あるいは「非該当」と判定された場合は、居宅介護支援を受けることはできません

要支援1~2の方は予防支援が利用できる

要支援とは、基本的には一人で日常生活を送ることができるものの、部分的な介助が必要な状態を指します。

介護認定で要支援1~2の判定を受けた場合は、居宅介護支援を受けることはできませんが、介護予防支援という形でサポートを受けることが可能です。

介護予防支援は、要介護状態になるのを防ぐ目的で提供されるサービスです。

介護予防支援でも、居宅介護支援と同様に、ケアマネージャーによって利用者の状況に応じたケアプランが作成され、ケアプランに沿った介護予防サービスが受けられます。

ただし、居宅介護支援事業所ではなく、地域包括支援センターからサービスが提供されるという違いがあります。

また、ケアマネージャーの訪問頻度も3ヶ月に1回以上と、居宅介護支援と比較すると少なくなります。

居宅介護支援の費用はかからない

介護保険で訪問介護やデイサービスなどを利用した場合、所得に応じて利用料金の1~3割が自己負担となります。

しかし、居宅介護支援を利用する際に、利用者の自己負担はありません。居宅介護支援にかかる費用のすべてが介護保険から給付されるためです。

ケアマネージャーにケアプランの作成を依頼する場合や、介護サービスの調整を行う場合でも、利用料金はかかりません。

これは、要介護者ができる限り自宅で自立した生活を送るために、居宅介護支援がとても重要な役割を担うことを示しています。

費用を気にせずに介護サービスを利用できることは、介護を必要とする人にとって大きなメリットです。

居宅介護支援の申し込みまでの流れ

居宅介護支援は次のような手順で申し込むことができます。

  1. 住んでいる地域から要介護認定を受ける
  2. 居宅介護支援を依頼する事業所を選ぶ
  3. 契約
  4. ケアマネージャーの就任

順番に詳しく見ていきましょう。

①住んでいる地域から要介護認定を受ける

前述のように、居宅介護支援を利用するには要介護1以上の認定を受けている必要があります。

要介護認定を受けるには、まずは住んでいる市区町村の介護保険窓口に申請をしなければなりません。

本人の申請がむずかしい場合は、家族が申請を行うことも可能です。

「介護保険要介護・要支援認定申請書」を申請すると、市区町村の職員やケアマネージャーなどの認定調査員が自宅を訪問し、認定調査が行われます。

認定調査で確認されるのは、要介護者の身体機能や生活機能、認知機能、社会生活への適応、現在の生活環境、特別な医療に関する項目などです。

認定調査と同時に、かかりつけ医が意見書を作成します。

認定調査での結果や主治医の意見書をもとに、コンピューターが一次判定を、さらに、保健や医療、福祉分野の専門家からなる介護認定審査会で二次判定を行います。

このような流れで要介護度が認定され、要介護1 以上と判定されると、居宅介護支援を受けることができるようになります。

要介護認定の結果が届くのは、申請してから30日以内が目安です。

②居宅介護支援を依頼する事業所を選ぶ

要介護認定で要介護1以上の判定を受けたら、利用する居宅介護支援事業所を決定します。

多くの市区町村では、要介護認定通知と合わせて居宅介護支援事業所リストが送付されます。

リストがない場合や事業所の選択に迷う場合は、市区町村の介護保険課や地域包括支援センターが窓口となっているため、相談してみるとよいでしょう。

事業所を選ぶポイントのひとつが、自宅との距離です。

自宅の近くにある事業所であれば、住んでいる地域の介護施設を把握している、緊急時でもすぐに対応してもらえるなどのメリットがあります。

特定事業所加算を受けているかどうかも確認したいポイントとなります。

特定事業所加算とは、質の高いケアマネジメントを提供している事業所を評価するための加算のことです。

特定事業所加算を受けている事業所を選ぶことができれば、より細やかな介護サービスを受けることが期待できます。

また、事業所によっては訪問介護やデイサービス、ショートステイなどほかの介護サービスを併設している場合もあります。

事業所と同系列の施設を優先的に利用できるケースもあるので、利用したい施設やサービスなどから事業所を選ぶのもひとつの方法です。

③契約

依頼する居宅介護支援事業所が決まったら、契約書を交わして契約を結びます。

契約を結ぶことで、居宅介護支援のサービスを受けられるようになります。

原則として、事業所との契約は利用者本人が行わなければなりません

ただし、認知症などにより利用者本人に判断力がない場合などであれば、家族などが代理として契約を結ぶことができます。

事業所は途中で変更することも可能です。ただし、解約方法は事業所によって異なるため、事業所を変更する場合は契約書をよく確認したうえで進めるようにしてください。

④ケアマネージャーの就任

居宅介護支援事務所と契約を結んだら、担当のケアマネージャーを選定します。

ケアマネージャーは介護支援専門員ともいい、介護保険法で規定されている専門職です。

ケアマネージャーは要介護認定申請における書類作成の代行やケアプランの作成、サービス提供事業者との調整、または利用者や家族の相談にのるなど、介護生活におけるさまざまな業務を行います。

今後の介護生活が円滑に進むかどうかはケアマネージャーとの信頼関係によって左右されるといっても過言ではありません

事務所が担当のケアマネージャーを選任することが一般的ですが、利用者側が担当を選定することもできます。

「経験豊富な人がいい」「なんでも相談しやすい人がいい」「医療分野に詳しい人がいい」などの希望があるのであれば、事前に事業所に伝えておくとよいでしょう。

また、周囲に居宅介護支援を受けている人がいるのであれば、ケアマネージャーの情報などを聞いてみるのも参考になります。

ただし、実際に居宅介護支援を利用してからでないと、ケアマネージャーとの相性はわからないことも考えられます。

事例は多くないですが、ケアマネージャーと良好な関係が築けず、充分な介護サービスが受けられないと不安に思う場合は、ケアマネージャーを変更することも可能です。

どうしてもケアマネージャーとの相性が合わないと感じるのであれば事務所に相談するようにしましょう。

まとめ

居宅介護支援の内容や利用条件などについて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。

居宅介護支援の要点は

  • 居宅介護支援とは介護保険サービスのひとつで、要介護者が自宅での自立した生活を継続できるようサポートするための制度
  • ケアマネージャーが作成したケアプランに従って、訪問介護や通所介護、短期入所など必要に応じた介護サービスを受けることができる
  • 要介護認定で要介護1以上の判定を受けた人が利用でき、費用は全額保険適用となるため自己負担はない

であり、要介護者が心身の状態に適した介護サービスを受けるためになくてはならないサービスです。

要介護者はもちろん、日々の介護にあたる家族にとっても、居宅介護支援はとても大きな支えとなります。

介護生活にはなにかと不安がともないますが、自身や家族に介護が必要になった場合は居宅介護支援を利用することで、無理なく自宅での介護生活を続けることができるでしょう。