この記事では、令和4年度から実施されている運営指導(実地指導)についてご紹介させて頂きます。
運営指導(実地指導)対策のためのチェックリストをまとめました。
<項目>
1.人員基準
2.設備基準
3.介護報酬改定
4.運営基準
目次
これまで実地指導と呼ばれていた行政が行う指導が、令和4年度から『運営指導』という名前に名称変更されました。
関連通知はこちらから 厚労省発介護保険最新情報:
Vol.1061介護保険施設等の指導監督について(通知)の送付について
Vol.1062介護保険施設等運営指導マニュアルについて(通知)の送付について
今年度行われる指導の内容は以下2点の通りです。
①集団指導
介護報酬請求の内容、制度改正内容及び指導事例等に基づく指導内容について、年1回以上、一定の場所に集めて講習等の方法により行われる指導(令和4年よりオンライン・動画配信も可能)
②運営指導
運営指導は次内容について、原則、実地に行われる指導。
1:介護サービスの実施状況指導個別サービスの質に関する指導
2:最低基準等運営体制指導(オンライン可能)
3:報酬請求指導(オンライン可能)
集団指導はこれまで、講習会のような形で事業所が一同に集まり実施されて来ました。
新型コロナウイルスの流行を受け、1部行政ではオンライン上で集団指導が行われていましたが、令和4年度からはこれが公に認められることとなりました。
事業所側の注意点は、『オンラインになっても出席したことを報告すること』です。
講習会形式の集団指導では必ず出欠席がとられ、欠席した場合は優先的に実地指導事業所として選定されるという特徴がありました。
オンラインに変更後もこのルールを変わらず運用している自治体が多く存在しており、これまでと変わらずオンラインで行われる集団指導に出席していない場合は『優先的に運営指導に入る』ということに注意が必要です。
また、オンラインで集団指導が実施される場合、多くの自治体で視聴しただけでは『出席』とみなされず、『レポート用紙』『参加報告書』『運営状況点検書』等、資料を提出することを義務付けているということにも注意が必要です。
【集団指導】
指導対象:許可、指定を持つすべての事業所
実施頻度:年1回以上
実施通知:都道府県知事及び市町村が、原則2カ月以上前に集団指導の日時、場所、出席者、指導内容等を文書により通知する。
指導方法:介護給付等対象サービスの取扱い、介護報酬請求の内容、制度改正内容及び高齢者虐待事案をはじめとした過去の指導事例等に基づく指導内容について、一定の場所に集めて講習等の方法により行う。又はオンライン等(オンライン会議システム、ホームページ等。以下同じ。)の活用による動画の配信等による実施も可能。
運営指導は、これまで『実地指導』として呼ばれていたものが名称を変更して実施されることとなった指導です。
毎年度自治体ごとにどのような意図を持ち何を重点的に、何件、どこに指導に入るか等を計画として定めて実施されます。
実施頻度:
①3年に1回以上:居宅サービス(居住系サービスに限る。)地域密着型サービス(居住系サービス又は施設系サービスに限る。)又は施設サービス事業所
②6年に1回以上:①以外の事業所
指導通知:原則1月前までに次に掲げる事項を文書にて通知する
1)運営指導の根拠規定及び目的
2)運営指導の日時及び場所
3)指導担当者
4)介護保険施設等の出席者(役職名等で可)
5)準備すべき書類等
6)当日の進め方、流れ等(実施する運営指導の形態、スケジュール等)
運営指導で準備する書類等:
①原則前年度から直近の実績に係る期間を指定
②自治体が既に保有している申請書類等の文書の印刷は求めない
③PCで管理されている場合は、画面上で確認する
④利用者ファイルの確認対象は原則3名以内(居宅介護支援事業は、介護支援専門員1人あたり 1 名~2名の利用者についてその記録等を確認)
今回の改定目的は、以下3点です。
〇3年に1回・6年に1回は委託業者を使用してでも実施する
〇コロナが終息しなくても、オンライン上で画面を繋いで実施する(延期や中止はなくなる)
〇指導の際はPC上での確認がメインになる
〇集団指導は動画がメインになり、資料は自分たちで用意する
これまで指導なのか、監査なのかわかりにくい点があった。事務的なミスなのか、悪質なものなのかを判断するため、指導中に疑義がある場合は確認のために監査へ切り替えていくことを推奨。
〇これまで以上に抜け、漏れがない様に書類を整備していくこと
※作成日が一覧で並んだ場合、抜け、漏れは一目瞭然になる
〇適正な時期での書類更新が確認できること
※更新履歴も、ログも使用しているシステムでは分かるようになります
〇これまで対面時に『書面』で示していた書類も、『PC』で確認する様になる
今回の改定は、もともと取り組まれていた『文書削減』の取り組みの1つとして進んでいたものです。
例えば運営規程や体制届等は変更届等の提出を通して行政に提出しており、改めて指導の場で準備して提出を要するものでは有りません。
また、昨今はパソコンの使用を行うことが当たり前となっており、定められた書類を手書きで行うということが少なくなってきています。
介護給付費請求書をはじめとする書類について、パソコン内で保管を行っている場合はパソコンの中を確認するということが介護保険最新情報のマニュアル内に記載されています。
令和4年度に入り、全国的に運営指導(実地指導)の数が前年度に比べて増加しています。また、近頃は第7波が話題となっていますが、多くの自治体で昨年、一昨年ように『中止』『延期』にはなっていないことに注意が必要です。
下記、弊社へご相談頂いている中の事例としてご紹介をさせて頂きます。(日数をはじめ、自治体ごとに大きく異なることにご注意ください)
①新規開設1年未満・指定更新(6年)に1回(居住系は3年に1回)
②前年度の運営指導で特に指摘事項の多かった事業所
③前年度の集団指導不参加の事業所
④高齢者向け住宅併設
⑤老人福祉法施設併設
⑥虐待等の通報があった事業所等
運営指導マニュアルの通り、多くの自治体で1カ月以上前に通知が届いており、現在弊社にご相談頂いている中では、事前提出資料の提出までの最短では14日、最長では56日と自治体により大きな差が有る為注意が必要です。
平均で2.57時間と、午前または午後どちらかで実施される割合が多いのが特徴です。
1日かけて実施される場合は、併設事業所を午前、午後分けて確認に入るということが多くなっています。
令和3年度の改定事項に対する進捗確認が多く、運営体制の確認や、法令に関する指導周知を目的としている印象です。
また、介護報酬算定部分に疑義があれば詳細の確認が入り、従来通り算定誤りであれば返還を求められる指導が入ることには変わり有りませんので注意が必要です。
【運営状況点検書を元にヒアリングが入る】
年1回実施が定められている点検表をもとに、(書式は自治体任意)守れているか、その根拠を示す書類が有るかの提示が求められています。
多くは従来通り、あらかじめ印刷準備した書類を確認されていますが、2割程度にパソコン上での確認が入っている状態で、今後はパソコン上での確認が増えていく見込みです。
令和4年に入り、『実地指導がオンライン化する』『実地指導がなくなる』等という噂が業界内で騒がれましたが、ふたを開けると『原則実地にて行う』ということが明記されており、これまで通りの指導が行われる予定です。
令和3年と違うのは、これまで新型コロナウイルスの影響で延期や中止になっていた指導が、『オンラインを使ってでも開催する』ということに変更することになるということです。
また、この指導にまつわる取り組みの発端は『文書削減』ですので、自治体の確認の仕方は『PCを直接見る』という形に変更することにも注意が必要で、これまで以上に第三者にわかりやすく、遅延や漏れなく作成できる環境の整備が必要になってきます。
今一度、介護事業所運営のためのルールを再確認し、適正な運営に努めていきましょう。