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令和4年度 行政処分・監査について

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、令和4年3月31日に通知された、介護保険施設等運営指導マニュアルをもとに『行政処分』『監査』についての注意点等と、これに至らないための適正運営についてご紹介してまいります。

監査とは

監査方針

令和4年3月31日に介護保険最新情報にて通知された、介護保険施設等の指導監督について(通知)
の送付についての中に監査についての指針が示されています。

介護保険最新情報:Vol.1061令和4年3月31日介護保険施設等の指導監督について(通知)

監査対象となる介護保険施設等の選定基準

監査対象となる介護保険施設等の選定基準

監査は、下記に示す情報を踏まえて、指定基準違反等又は人格尊重義務違反の確認について必要があると認める場合に立入検査等により行うとされています。

1 要確認情報

下記6項目に該当し、必要がある場合。

(1)通報・苦情・相談等に基づく情報
(2)市町村が、高齢者虐待防止法に基づき虐待を認定した場合又は高齢者虐待等により利用者等の生命又は身体の安全に危害を及ぼしている疑いがあると認められる情報
(3)国民健康保険団体連合会、地域包括支援センターへ寄せられる苦情
(4)連合会・保険者からの通報情報
(5)介護給付費適正化システムの分析から特異傾向を示す介護保険施設等
(6)法第115条の35第4項の規定に該当する報告の拒否等に関する情報


2 運営指導における情報

運営指導にて介護保険施設等において認めた(その疑いがある場合を含む。)指定基準違反等及び人格尊重義務違反があった場合。

監査方法・監査の流れ等

監査方法・監査の流れ等

1 指定又は許可の権限がある介護保険施設等に対する監査
(1)実施通知
都道府県知事又は市町村長は、次に掲げる事項を文書により、監査開始時に通知する。運営指導を実施中に監査に移行した場合は、口頭により当該事項を含め監査を実施する旨通告してから開始する。
① 監査の根拠規定
② 監査の日時及び場所
③ 監査担当者
④ 監査対象介護保険施設等の出席者(役職名等で可)
⑤ 必要な書類等
⑥ 虚偽の報告又は答弁、検査忌避等に関する罰則規定


(2)情報提供等
都道府県知事又は市町村長は、監査の実施に当たっては、事前に、関係する保険者及び監査の対象が指定地域密着型サービス事業者等又は指定地域密着型介護予防サービス事業者等の場合は当該事業者を指定している全ての市町村長に情報提供を行い、必要に応じ同時に監査を実施する等の連携を図るものとする。

行政上の措置

算定要件

行政上の措置


監査の結果に応じて自治体は、以下の行政上の措置をとることができるとされています。


(1)勧告
介護保険施設等に指定基準違反等の事実が確認された場合、当該介護保険施設等に対し、期限を定めて、文書により基準の遵守等の措置をとるべきことを勧告することができるほか、当該期限内にこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。


(2)命令
介護保険施設等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該介護保険施設等に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命令することができるほか、命令をした場合には、その旨を公示しなければならない。なお、命令した場合は、当該介護保険施設等に対し期限内に文書により指摘に対し、とった措置について報告を求める。


(3)指定の取消し等
都道府県知事又は市町村長は、指定基準違反等又は人格尊重義務違反の内容等が有る場合においては、当該介護保険施設等に係る指定を取り消し、又は期間を定めてその指定の全部若しくは一部の効力の停止をすることができる。


(4)設備の使用制限等
都道府県知事は、介護老人保健施設又は介護医療院が療養室等の設備や条例で定める施設を有しなくなったとき、又は設備及び運営に関する基準に適合しなくなったときは、当該施設の開設者に対し、期間を定めて、その全部若しくは一部の使用を制限し、若しくは禁止し、又は期限を定めて、修繕若しくは改築を命ずることができる。


(5)変更命令
都道府県知事は、介護老人保健施設又は介護医療院に係る施設の管理者が当該施設の管理者として不適当であると認めるときは、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、当該施設の管理者の変更を命ずることができる。


(6)業務運営の勧告、命令等
都道府県知事は、介護老人保健施設又は介護医療院において基準違反の事実が確認された場合、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、文書により基準を遵守すべきことを勧告することができるほか、これに従わなかったときは、その旨を公表することができる。
また、正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該施設の開設者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命令することができる。また、命令をした場合には、その旨を公示しなければならない。
なお、勧告又は命令をした場合は、当該施設の開設者に対し期限内に文書によりとった措置について報告を求める。


(7)許可の取消し等
都道府県知事は、介護老人保健施設又は介護医療院における指定基準違反等又は人格尊重義務違反の内容等が、法第104条第1項各号、法第114条の6第1項各号のいずれかに該当する場合においては、当該施設に係る許可を取り消し、又は期間を定めてその許可の全部若しくは一部の効力の停止(以下「許可の取消等」という。)をすることができる。


(8)その他
監査の結果については、文書により通知する。なお、上記(1)~(7)に該当する場合はそれらの通知に代えることができる。また、上記(1)~(7)に該当しない、改善を要すると認められた事項については、その旨を通知し期限を定めて報告を求めるものとする。

経済上の措置

 

経済上の措置

(1)不正利得となる返還金の徴収の要請
都道府県知事又は市町村長が取消処分等(命令を除く。)を行った場合に、当該介護保険施設等が偽りその他不正の行為により介護報酬の支払いを受けている場合には、その支払った額につきその返還させるべき額を不正利得とし、当該支払いに関係する保険者に対し、当該不正利得の徴収を行うよう要請するものとする。


(2)返還金の徴収方法
上記(1)の不正利得については、当該返還させるべき額に100分の40を乗じて得た額を併せて徴収するものとする。

 

まとめ

令和4年から変わる指導ですが、守るべきルールに変更はありません。

文書削減からスタートした指導の変更ですが、パソコン上での書類確認がメインになってくることに特に注意が必要で、これまで以上に遅延なく、第三者が見てわかりやすい書類を作成していく必要があります。

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