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居宅療養管理指導に係る2021年介護報酬改定の改定内容を徹底解説!

「親が離れて暮らしているので、問題なく過ごせているのか心配」「家で介護しているが色々な悩みがある」など自宅で介護を行っていると、このような悩み・不安を抱く方も多いのではないでしょうか。

そのような時は「居宅療養管理指導」を上手く活用することで、大きく介護の負担を減らすことができます。

今回の記事では、居宅療養管理指導の利用条件や、居宅療養管理指導のメリット・デメリット、2021年の介護報酬改定で改定された居宅療養管理指導のポイントなどについて詳しく解説します。

居宅療養管理指導とは

居宅療養管理指導は、介助量が多くなった結果、要介護認定を受けた状態になった場合においても、できる限り現在の能力のままでも自宅で、自立した生活を過ごせるように通院が難しい方に対して、下記の医療従事者が訪問し、療養上の指導・健康管理・アドバイスなどを行います。

・医師・歯科医師
・薬剤師
・歯科衛生士
・管理栄養士
・看護師

なお、居宅療養管理指導のサービス内容は訪問する職種によって変わります。

医師・歯科医師が行う居宅療養管理指導

医師や歯科医師が、自宅へ訪問して健康・精神的な問題の有無、また自宅内における療養環境の確認をし、医学的管理・歯科医学的管理を継続的に行います。

医師・歯科医師が行うため、医学的な指導のみをイメージするかもしれませんが、その範囲に留まらず、利用者・家族に対して、自宅内で介護を行うにあたっての注意点・介護方法などについての指導・助言も行います。

また、介護職との連携を行うために、ケアマネージャーなどの居宅介護支援事業者に対して、ケアプランを作成するにために必要な情報も提供するなど幅広い範囲で指導を行います。

薬剤師が行う居宅療養管理指導

薬剤師は、医師・歯科医師の指示に基づいて、服薬管理・指導を行います。薬剤師の居宅療養管理指導は、薬局の薬剤師だけでなく、病院・診療所で働いている薬剤師も行うことができます。

高齢者の場合、1つの医療機関ではなく、複数を受診している場合もあるため、薬を飲み忘れてしまうことがよくあります。

そんな方々に対して、居宅療養管理指導で訪問する薬剤師は、医療機関から処方された薬を1つずつ確認して、内服ミスを防ぐために薬を一包化する・飲みやすいように錠剤から粉剤へ薬の形状を変えるなどの指導・助言を行います。

近年、薬の飲み忘れに対する「残薬」は大きな問題となっており、2013年度に厚生労働省が行った「薬局の機能に係る実態調査」の中で残薬に関する調査を行っています。

その結果から「残薬を持っている患者さんが頻繁にいる」と答えた薬局が17.1%、「ときどきいる」が17.1%となっていました。また、患者さん自身にも残薬の有無を確認したところ、残薬が「大量に余ったことがある」が4.7%、「余ったことがある」が50.9%だったことも分かっています。

また、日本薬剤師会が行った調査によると、75歳以上で自宅にいる患者さんへの調査を行った結果、残薬の総額は475億円以上になる可能性があります。

処方された通りに薬を飲まなければ、治療効果が減少するなどの問題があることからも、居宅療養管理指導における薬剤師の役割の重要性が分かります。

歯科衛生士が行う居宅療養管理指導

歯科衛生士が行う居宅療養管理指導の目標は、「口から食べる楽しみ」を支援することです。

そのため、歯科衛生士は、訪問歯科診療を行った歯科医師の指示指示に基づいて、利用者の自宅を訪問し、口の中・入れ歯の清掃方法を指導します。

その他に、歯科医師が作成した「訪問指導計画」に基づいて行われる摂食・嚥下機能に関する指導も行います。

管理栄養士が行う居宅療養管理指導

管理栄養士は、栄養管理に関する情報提供・指導・助言を行うため、医師の指示に基づいて、摂食・嚥下機能・食形態にも配慮した栄養ケア計画の作成、食事相談を行います。

具体的な内容としては、食事中にむせ込みがよく見られる方に対して、食事形態の工夫を具体的に説明する、低栄養の方に対する栄養指導などがあります。

低栄養とは、食欲の低下・食事の食べにくさなどの理由から少しずつ食事量が減ってしまった結果、身体を動かすために必要なエネルギー・筋肉・たんぱく質などが不足した状態のことをいいます。

低栄養の有無として、体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割った値で表すBMI(Body Mass Index)を使用し、BMIの理想値は22といわれています。

しかし、厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査」によると、高齢者の低栄養傾向は、年齢を重ねるごとに強まり、90歳以上では男性の29.4%、女性の37.5%が低栄養傾向であるとのことです。

低栄養状態が継続すると、肺炎・褥瘡などが発生する危険性が高まるといわれているため、管理栄養士が栄養ケア計画を作成し、継続的に指導することは非常に重要です。

また、低栄養の方以外にも、糖尿病の方に対するカロリー制限、慢性腎臓病の方への塩分・たんぱく質制限など、それぞれの疾患に合わせた指導も行います。

居宅療養管理指導についてくより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

居宅療養管理指導とは?利用方法やメリットを詳しく解説!

居宅療養管理指導の利用条件

居宅療養管理指導は、希望すればだれでも利用できるわけではなく、要介護1以上の要介護度認定を受けている必要性があるため、基本的には65歳以上の高齢者となります。

ただ、40〜64歳の場合でも、下記の厚生労働省が定める16疾病に該当して要介護認定を受けている場合は対象となります。

16種類の特定疾患

ガン末期

関節リウマチ

筋萎縮性側索硬化症(ALS)

後縦靭帯骨化症

骨折をともなう骨粗しょう症

初老期における認知症

パーキンソン病関連疾患

脊髄小脳変性症

(SCD)

脊柱管狭窄症

早老症

多系統萎縮症

(MSA)

糖尿病神経障害・腎症・網膜症

脳血管疾患

閉塞性動脈硬化症

慢性閉塞性肺疾患

両側の膝関節または股関節に著しい変形をともなう変形性関節症

ただ、例外として、要介護認定がされていない場合でも、自力で通院するのが難しいと医師・歯科医師が判断した場合には、居宅療養管理指導が利用できる場合もあります。

居宅療養管理指導のメリット

居宅療養管理指導を利用することにより、主に以下の2つのメリットがあります。

・家族の負担を軽減できる
・必要なサービスが受けられる

家族の負担を軽減できる

今までは、医学的な対応をしてもらうためには、医療機関などへの通院が必要で、通院が困難な場合は家族などの介護が必要でした。

しかし、居宅療養管理指導を利用すれば、自宅にいながら健康に関する指導を受けることができ、通院の必要性がなくなるため、家族にとって大きな介護負担の軽減につながります。

必要なサービスが受けられる

自宅で介護を行うには、家族の存在が重要ですが、多くの介護者が悩み・ストレスを持っています。

厚生労働省が発表した「平成28年 国民生活基礎調査の概況 介護の状況」によると、約70%の方が、介護に関する悩み・ストレスがあり、要介護度が上がるほど深刻度が増します。

しかし、居宅療養管理指導を利用することにより、悩みの内容によっては、医師・歯科医師が必要な専門職に指示を出すことができるため、各専門職の指導・アドバイスをピンポイントで聞くことができます。

また、ケアマネージャーなどの居宅介護支援事業者と連携するため情報を必ず提供するため、その都度、身体の状態に適した介護サービスが受けられるようになります。

居宅療養管理指導のデメリット

居宅療養管理指導には、以下の2つのように少なからずデメリットもあります。

・回数制限がある
・医師・歯科医師の指示が必要

回数制限がある

居宅療養管理指導は、何回も繰り返し利用できるわけではなく、下記のように利用可数が制限されています。

・医師・歯科医師:2回/月
・管理栄養士:2回/月
・薬剤師(病院所属):2回/月
・薬剤師(薬局):4回/月
・歯科衛生士:4回/月

上記のように、訪問する職種によって1ヶ月あたりの利用回数が決められているため、計画的に利用する必要があります。

医師・歯科医師の指示が必要

居宅療養管理指導は医師・歯科医師が必要と判断された場合のみ利用が可能になるため、薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士など、他の職種がサービスの必要性を感じても開始することができない点には注意が必要です。

居宅療養管理指導にかかわる2021年介護報酬改定の4つのポイント

介護報酬改定は、3年に一回の頻度で制度を見直すことになっており、近年では2021年に介護報酬改正が行われ、居宅療養管理指導に関しては、下記の4つのポイントが見直されました。

①基本報酬の改定

介護報酬はサービス・地域によって細かくは変わるものの、概ね1単位=10円で計算します。なお、2021年介護報酬改定において、居宅療養管理指導の単位は下記のように変更されています。

指導する職種

2021年改定前

2021年度改定後

医師

単一建物居住者が1人

509円

514円

単一建物居住者が2人~9人

485円

486円

単一建物居住者が10人以上

444円

445円

歯科医師

単一建物居住者が1人

509円

516円

単一建物居住者が2人~9人

485円

486円

単一建物居住者が10人以上

444円

440円

薬剤師
医療機関所属

単一建物居住者が1人

560円

565円

単一建物居住者が2人~9人

415円

416円

単一建物居住者が10人以上

379円

379円

薬局所属

単一建物居住者が1人

509円

517円

単一建物居住者が2人~9人

377円

378円

単一建物居住者が10人以上

345円

341円

管理栄養士

単一建物居住者が1人

539円

544円

単一建物居住者が2人~9人

485円

486円

単一建物居住者が10人以上

444円

443円

歯科衛生士

単一建物居住者が1人

356円

351円

単一建物居住者が2人~9人

324円

325円

単一建物居住者が10人以上

296円

294円

上記の値段は、1割負担の金額になります。

介護保険の負担割合は、「合計所得金額」「65歳以上の方の世帯人数」によって決まります。以下の場合を除き65歳以上の方の多くは1割負担です。

自己負担割合

負担割合

合計所得(年間)

2割

280万~340万円未満

3割

340万円

また夫婦の場合は、合計所得が年間346万円以上で2割、463万円以上で3割負担になります。

②多職種連携の推進

2025年問題への対策として、できる限り人生の最期まで住み慣れた地域で自分らしく生活し続けられるための体制を整える「地域包括ケアシステムの構築」が推進されています。

地域包括ケアシステムは、できる限り自宅での診療・介護が継続して行えるように、地域全体が連携して医療・介護サービスを提供する仕組みです。これには、病院・介護事業者の負担を軽減しつつ医療費を抑制する狙いがあります。

それと共に、「予防」の観点も重視しており、医療・介護など地域全体で協力しながら日常的に高齢者の状態を確認できる環境を作ることができれば、病気が重症化する前に適切な医療を提供できます。

そのため、医師・歯科医師等に対して、必要に応じて医学分野だけでなく、居宅要介護者の社会生活面においての課題にも目を向けて、それに関わる情報を介護支援専門員などに提供することが求められています。

③薬剤師による情報通信機器を用いた服薬指導の評価

薬剤師による居宅療養管理指導について、訪問による対面での指導だけでなく、新たにテレビ電話など情報通信機器を用いた服薬指導の評価が可能となりました。

この改定の理由として、医療・介護分野において、今まで以上に介護人材の不足が懸念されている中で、現場の職員を疲弊させることなく介護を提供し続けるためです。

今回の改定により、薬剤師の生産性向上が期待されます。

今までは、自宅へ訪問することによって往復の移動時間が長くなり、その間の店舗対応が手薄になってしまうという問題点がありました。そのため、店舗の営業終了後に居宅療養管理指導を行っている場合が多くありました。

しかし、薬剤師による情報通信機器が認められたことにより、店舗対応をしながらでも、効率よく居宅療養管理指導を行えるようになります。

一方で、実際に対面することによって得られる情報が不足する懸念もあります。生活環境・バイタルサイン・正確な残薬の種類や数量などは、実際に訪問することで得られる情報もあるため、それらの情報をオンライン上でどのように収集するのかが重要です。

居宅療養管理指導における薬剤師についてより詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

居宅療養管理指導における薬局の算定要件や点数を紹介!算定できない場合についても詳しく解説!

 ④居宅療養管理指導の居住場所に応じた評価の見直し

サービス提供にかかる移動時間、滞在時間などに関して、より実態を踏まえた評価へという観点から、単一建物居住者の人数に応じた評価について、下記のような見直しが行われました。

指導する職種

2021年改定前

2021年度改定後

増減

医師

単一建物居住者が1人

509単位

514単位

+5単位

単一建物居住者が2人~9人

485単位

486単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

444単位

445単位

+1単位

歯科医師

単一建物居住者が1人

509単位

516単位

+7単位

単一建物居住者が2人~9人

485単位

486単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

444単位

440単位

-4単位

薬剤師
医療機関所属

単一建物居住者が1人

560単位

565単位

+5単位

単一建物居住者が2人~9人

415単位

416単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

379単位

379単位

±0単位

薬局所属

単一建物居住者が1人

509単位

517単位

+8単位

単一建物居住者が2人~9人

377単位

378単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

345単位

341単位

-4単位

管理栄養士

単一建物居住者が1人

539単位

544単位

+5単位

単一建物居住者が2人~9人

485単位

486単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

444単位

443単位

-1単位

歯科衛生士

単一建物居住者が1人

356単位

351単位

-5単位

単一建物居住者が2人~9人

324単位

325単位

+1単位

単一建物居住者が10人以上

296単位

294単位

-2単位

上記の表から分かるように、単一建物居住者が1〜9人の住宅・施設では単位が加算されたものの、単一建物居住者が10人以上の施設では減算が行われています。

まとめ

今回は、2021年介護報酬改定後の居宅療養管理指導について紹介いたしました。

2025年問題などから、医療機関・施設などでなく、自宅で過ごす方が多くなることが予測されるため、居宅療養管理指導の重要性は今まで以上に高くなるでしょう。

今回の内容をしっかり理解したうえで、どのように運営をしていくのか、戦略的に考えることが重要です。

お役立ち資料:最新の介護報酬改定内容を確認したい方へ

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