訪問介護、通所介護などお役立ち情報・書式が満載

  1. HOME
  2. 介護保険法
  3. 介護報酬
  4. 厚生労働省が行った2018年の介護報酬改定を徹底解説!

厚生労働省が行った2018年の介護報酬改定を徹底解説!

介護報酬とは、厚生労働省により算定される、介護サービス事業所に支払われる利用料金のことです。

そして介護報酬改定とは、介護報酬が3年に1度、加算減算され、新しい基準に変わることを意味しています。

今回の記事では、2018年の介護報酬の改定内容について詳しく説明していきます。

介護施設の利用者の負担額と、介護施設の収入に直接関わっている重要な内容になっています。

是非参考にしてください。

目次

介護報酬改定とは

2018年の介護報酬改定について解説する前に、そもそも介護報酬改定とは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

介護報酬改定とは?2021年の改定内容や何年ごとに行われるかなどについて徹底解説!

2018年介護報酬改定の概要

指針としては、2025年問題に向けた、在宅ケアへの以降と、それに伴うサービス内容の向上となっています。

施設介護だけではまかなうことができない、深刻な人材不足と設備不足を、地域の住民や、地域のシステムでカバーしていくという方針です。

2018年介護報酬改定の4つの柱

2018年の介護報酬改定の4つの柱は、

①地域包括ケアシステムの推進
②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現
③多様な人材の確保と生産性の向上
④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保」

となっています。

①地域包括ケアシステムの推進

地域包括ケアシステムとは、介護の連携する領域を、医療や介護サービスだけにとどまらず、地域住民を主として、様々な分野へ拡大する考え方です。

主な目的としては、人員不足や労働負担でひっ迫する施設での介護を、地域全体で行うことで解消することと、予防の観点からそもそも介護者を減少させることです。

具体的には、24時間定期巡回・随時対応型訪問看護や市町村が設置している地域包括ケアセンターの運営があげられます。

24時間定期巡回・随時対応型訪問看護は、地域で生活する高齢者が安心して生活できるための訪問型のシステムです。

地域包括ケアセンターは、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員によって地域の健康の保持、地域の包括的な福祉の増進をはかるものです。

②自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現

自立支援・重度化防止のための介護サービスの増進を目的としています。

具体的には、根拠に基づいたケアや、リハビリテーションの強化、褥瘡防止への取り組み等が挙げられます。

介護領域での支援はすべて、自立支援のための行為です。

自立することが目的で支援を行っていますが、現実としては高齢者の介護度は徐々に上がっていきます。

しかし、少しでも長く自立の状態を保ち、介護認定されたとしても重度化を少しでも緩やかにすることで、日本全体の介護への負担を軽減しようとしています。

③多様な人材の確保と生産性の向上

多様な人材の確保とは、訪問介護において、身体介護は有資格者が行い、生活支援においては別途研修等を行い、支援の幅を広げるなどといったことです。

生産性の向上には、ICTを用いることによるコミュニケーションの簡略化、介護ロボットを用いることによるマンパワーの補助等があります。

人材不足解消の観点では、定期巡回の負担を防犯カメラによる見守りで解消したり、質の向上をはかることを推進しています。

④介護サービスの適正化・重点化を通じた制度の安定性・持続可能性の確保

住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅等の、収益の高いサービスについての基本報酬の縮小、福祉用具の商品の価格設定の上限設定などが該当します。

福祉用具に関しては、利用者が正しい情報の中から必要なサービスを選ぶことができるように全国平均の価格も併せて提示することが義務となりました。

また、大規模通所介護が減算の対象になり、基本報酬の対象も2時間から1時間に変更になりました。

通所介護の長時間利用も減算の対象となり、地域密着型通所介護の進出を後押ししています。

2018年介護報酬改定の事業所ごとの主な改定内容

2018年の介護報酬改定では、ほとんどの介護サービスにおいて加算が引き上げられました。

注目すべきは、地域密着型老人福祉施設や、訪問系サービスの引き上げ率です。

地域包括システムもスタートし、介護といえば家族介護か入所施設という考え方から、地域で在宅の高齢者を支える介護に移行しています。

通所介護、訪問系サービス、老人福祉施設の改定内容は、この考え方を後押しする内容となっています。

2018年介護報酬改定における通所介護の改定内容

「自立支援介護を重視する機能訓練」と「アウトカム評価の創設」が2018年の介護報酬改定での通所介護におけるポイントです。

多くのデイサービスが機能訓練指導員を配置することができるようにするため、鍼灸師も研修を受ければ機能訓練指導員の要件を満たすとされました。

機能訓練指導員を採用することができない事業所にも救済策として、外部のリハビリ専門職と連携し、機能訓練のマネジメントを行うことも加算の対象とする「生活機能向上連携加算」もはじまりました。

また、利用者のADLを改善したことが認められた事業所が該当する「ADL維持等加算」が設置され、デイサービスでの機能訓練のレベルの向上に対する支援が進められています。

2018年介護報酬改定における訪問介護の改定内容

「資格要件の緩和」と「基本報酬の引き上げ」が2018年の介護報酬改定の訪問介護におけるポイントです。

専門的な身体介護は有資格者が担い、生活支援に関しては、別途研修を行うことで、支援の幅を広げる狙いがあります。

専門職が生活支援までをまとめて行っていた現状を改善し、専門職は専門分野のみを担当し、生活支援においては別途フォローするという形態です。

高齢者の自宅での生活を支える訪問介護は、これからの介護業界を支えていく大きな柱となるため、基本報酬の引き上げは介護報酬改定のたびに引き上げられています。

2018年介護報酬改定における通所リハビリテーションの改定内容

「医療職との連携の促進」「リハビリテーションマネジメント加算」が2018年の介護報酬改定の通所リハビリテーションにおけるポイントです。

医療職との連携の促進に関しては、コミュニケーションの効率化を目的としています。

医師との会議はICTを活用することが推奨されており、そうすることで、多忙な医師が多くのリハビリ職に指示や情報共有を行えるようにすることが狙いです。

リハビリテーションマネジメント加算に該当する場合、通所リハビリテーションの運営を安定させることができます。

2018年介護報酬改定における訪問リハビリテーションの改定内容

「基本報酬の改定」と「リハビリテーションマネジメント加算」が2018年の介護報酬改定の訪問リハビリテーションにおけるポイントです。

リハビリテーションマネジメント加算は、リハビリテーションを行うにあたって、

・医師の指示を受けていること
・3か月毎にリハビリテーションの計画を更新すること
・介護支援専門員を通して、その他の支援員に介護の工夫などをアドバイスすること

これらが算定要件となります。

加えて、通所リハビリテーションと同様に、リハビリテーションマネジメント加算も追加されました。

2018年介護報酬改定における介護老人福祉施設、介護老人保健施設の改定内容

「基本報酬の改定」と「褥瘡マネジメント加算」が老人保健施設と、2018年の介護報酬改定の介護老人保健施設におけるポイントになります。

どちらの施設形態も、基本報酬は増加しました。

中でも介護老人福祉施設の中でも地域密着型ユニット介護を行っている施設では、要介護度1でプラス19単位、要介護度5でプラス28単位となりました。

これは、地域に密着した個別ケアの推奨が目的です。

褥瘡マネジメント加算は、従来のように褥瘡が出来てしまったら対応するのではなく、事前に計画を立て、褥瘡ができることを防止する事が狙いです。

2018年介護報酬改定における短期入所生活介護の改定内容

「看護体制の充実」と「生活機能向上連携加算」が2018年の介護報酬改定の短期生活入所介護におけるポイントになります。

看護体制の充実は、常時医療行為が必要な利用者や、それ以外の利用者でも看護師が常駐していたほうが安心できるという利用者の受け入れを増やす目的があります。

生活機能向連携加算は、短期入所生活介護であっても、自立に向けてのアプローチを、外部のリハビリテーションの専門職と連携し行うことを推進しています。

短期生活介護ではリハビリテーション職の採用が難しい現状の改善策となっています。

2018年介護報酬改定における福祉用具貸与の改定内容

「貸与価格の上限設定」と「複数商品の提示の義務化」が2018年の介護報酬改定の福祉用具貸与におけるポイントになります。

貸与価格は、運営会社によって決定されるため、設定価格に大きな差がありました。今回の改定では、商品ごとに全国での平均値を算出し、適正価格と上限額が設定されました。

商品の全国平均の提示、類似する商品の提案も義務化され、今まで関与が少なかったケアマネージャーへ福祉用具貸与計画書を提出しなければならなくなりました。

2019年・2021年・2022年の介護報酬改定

2019年・2021年・2022年の介護報酬改定とは何か詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。

2019年の介護報酬改定の改定内容を徹底解説!

令和3年・2021年度介護報酬改定の情報まとめ!注目ポイントは?

【令和4年度】2022年の介護報酬改定について徹底解説!改訂内容とは?

2018年の介護報酬改定に関するQ&A


リハビリテーション加算の要件に、医師の指示により実施するとあります。これは、利用者へのリハビリテーション実施時、毎度その場に医師も同席する必要があるということでしょうか。

A.利用者へのリハビリテーション実施時、その場に医師が同席する必要はありません。

医者は事前に診察を行い、事前にリハビリテーションを行う職員に指示をし、職員はそれに則って実施することで問題ない。

また、多くの場合は「医師の指示書」として事前に確認書類が準備されます。

定期巡回をサポートするIT機器にはどのようなものが該当しますか。

A.定期巡回の回数を減らすことができるもの、実際に介助を行う時間が減少するもの、ヒヤリハットや介護事故の防止に務めるためのものが該当します。

例えば、深夜の見守り機器や、コミュニケーションの円滑化をはかるためのインカム等が挙げられる。

介護ロボットの多くは、「任せていいのか不安」「慣れていないから使いにくい」という理由で導入直後に成果を感じることは稀です。

しかし、使っている中で使用方法にも慣れ、任せられる領域をコントロールすることができるようになれば、徐々に全体で有効に活用されて行きます。

専門職の配置が加算の対象になっている場合、常勤で配置している職員が欠勤した場合、配置の対象になりますか。

A.加算の対象にはなりません。

常時配置していた専門職だとしても、実働に基づいて算定されるため、常勤であっても「配置予定」はカウントしません。

例えば、理学療法士を常勤で配置していて、休みの場合、出勤した日数や時間のみ加算の対象となります。

また、シフトでは出勤する予定で欠勤したのであっても、同じように加算の対象にはなりません。

まとめ

介護報酬は、介護業界の拡大によって、全体として加算傾向にあります。

2025年問題を目前に、地域包括介護、介護予防、生産性の向上等、介護業界には課題が多く残る中、3年に一度しかない介護報酬の改定をしっかりと理解し、対応していく必要があります。