2022年(令和4年度)に臨時の介護報酬改定が行われ、収入を3%程度(月額平均9,000円相当)引き上げるために、介護・障害福祉職員の処遇改善が行われました。
今回の記事では、2022年の介護報酬改定について解説していきます。
目次
介護報酬改定は、賃金・物価の下落傾向や介護事業者の経営状況などを踏まえたうえで、 介護職員の処遇改善や、介護職員の安定的な確保を目的に、3年に1度行われます。
2021年に3年に1度の改定が行われましたが、コロナ禍による経済状況を鑑みて、2022年にも臨時で介護報酬改定が行われました。
2022年の介護報酬改定では、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を踏まえて、介護職員の収入を3%程度(月額9000円相当)引き上げることを目的として、ベースアップ等支援加算が新設されました。
令和4年2月から始まった「介護職員処遇改善支援補助金」が9月末で終了し、それに代わって10月より、「介護職員等ベースアップ等支援加算」へと移行しました。
改定前 | 改定後 |
「介護職員処遇改善補助金」 ・・・介護事業所に対して補助金として年額で支払われる | 「介護職員等ベースアップ等支援加算」 ・・・対象事業所に対して介護報酬として支払われる |
従来の補助金等は、全額を賞与に充てたりすることもできましたが、今回の改定では月額の給与改善に重点が置かれているため、基本給、または毎月決まって支払う手当による支払いが求められます。
加算対象となるのは介護職員となっていますが、事業所の判断で介護職以外の職員(例:看護師・理学療法士・事務職など)の処遇改善にも充てることが認められています。
介護職員等ベースアップ等支援加算の算定要件は下記の2つです。
1.処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれかを取得している事業所
2.加算額の2/3はベースアップ等に使用する
上記1に関しては、改定前の「介護職員処遇改善支援補助金」と同じです。
2022年介護報酬改定でのポイントは、2のベースアップ等に使用するということです。
上記でも述べたように、あくまでも月額での加算、つまり、基本給または毎月の手当ての引き上げを行うことが重要です。
単位数は、介護サービスの種類ごとに介護職員数に応じて設定された一律の加算率を介護報酬に乗じて算出されます。
介護職員等ベースアップ等支援加算のサービス種別加算率は下表の通りです。
サービス種類 | 加算率 |
訪問介護 夜間対応型訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 2.4% |
(介護予防)訪問入浴介護 通所介護 地域密着型通所介護 | 1.1% |
(介護予防)通所リハビリテーション | 1.0% |
(介護予防)特定施設入居者生活介護 地域密着型特定施設入居者生活介護 | 1.5% |
(介護予防)認知症対応型通所介護 | 2.3% |
(介護予防)小規模型多機能型居宅介護 看護小規模多機能居宅介護 | 1.7% |
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 | 2.3% |
介護老人福祉施設 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護 (介護予防)短期入所生活介護 | 1.6% |
介護老人保健施設 (介護予防)短期入所療養介護(老健) | 0.8% |
介護療養型医療施設 (介護予防)短期入所療養介護(病院等) 介護医療院 (介護予防)短期入所療養介護(医療院) | 0.5% |
介護職員等ベースアップ等支援加算の対象外となる介護保険サービスは下記の通りです。
・訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導
・福祉用具貸与
・介護予防訪問看護
・介護予防訪問リハビリテーション
・介護予防居宅療養管理指導
・介護予防福祉用具貸与
・居宅介護支援
・介護予防支援
対象事業所であっても、処遇改善加算(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)のいずれかを取得していない事業所は対象外になります。
介護職員等ベースアップ等支援加算の申請・報告・交付方法は下記の通りです。
1.申請
各事業所から、都道府県等に処遇改善計画書等にて、介護職員等の月額の賃金改善計画を提出します。
(職員個々人の賃金改善額の記載はしません。)
申請の様式・記入例はこちら
2.交付方法
都道府県から各事業所へ介護報酬として支払われます。
3.報告
賃金改善期間後に、処遇改善実績報告書にて計画の実績として、月額の賃金改善額の総額等を提出します。
(職員個々人の賃金改善額の記載はしません。)
参考:厚生労働省
ここで、要件が満たされていない場合は、加算分を返還しなければなりませんので、注意が必要です。
2022年の介護報酬改定では、介護職員等ベースアップ等支援加算が新設されました。
介護職員等ベースアップ等支援加算を算定することで、介護人材をしっかりと確保し、より質の高い介護サービスを目指すことが出来ます。
今後の介護報酬改定についてもしっかりと理解し、事業所経営に活かしていくことが重要です。