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訪問介護の小規模M&Aの事例

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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この記事では、 訪問介護の小規模M&Aの事例についてご紹介をします。

訪問介護を始めとした小規模M&A

訪問介護のM&A

昨今『後継者不在』『人手不足』が原因で休業、廃業を行う法人が増えています。また比例するように訪問介護事業者による人手の確保を目的としたM&Aも増加しています。

これまで介護業界では、人手不足の解消にM&Aという手段は選択されていませんでした。『会社を売る』という選択肢はあまり選ばれず個人間での譲渡、『利用者と職員を他事業所に口利きをして振る』という事が選ばれてきました。

これは一見良い様に思えますが、昨今では専門家の立ち会わない譲渡(口約束)に『取り決め不足が多い』ことが原因によるトラブルが増加し、問題にもなっています。

事業所と利用者、経営者と従業員で契約が結ばれていることと同様に事業の引継ぎにおいても書面による契約取り交わしが必要として見られてきており、M&Aが増えてきているのが現状です。

訪問介護の人材不足

介護業界は全産業の中で圧倒的に新規・有効求人数が多く、3.6社に対し1の求職者しかいない状況です。

全産業を見ても有効求人倍率は1%台にとどまっており、失業率を上回る介護サービスの3%代は異常とも言え、特に居宅系サービスの求職者に絞ればより求人倍率は高くなり、今後も人材不足が解消される見込みは立っていません。

訪問介護の小規模M&Aの事例

中小事業者同士のM&A事例

そういった背景から訪問介護事業所のM&Aについては人で獲得を目的として、以下の事例のように赤字の事業所においても成約に至るケースが多くなっています。

売手事業者:訪問介護事業、地域生活支援事業

従業員:6名 売上:60万円(単月) 原価:130万円(単月) 
経常利益:△70万円 借入200万円
売却希望額:200万円

社長・管理者は兼任しており、サービス提供責任者と5人の非常勤職員で運営。開設にあたっては介護業界経験が長かったため大きな心配なくスタートさせた。
開設から半年たったころ、一緒に開設にあたったサービス提供責任者が退職し、それからは社長兼管理者が1人で運営をしていたが、売上は伸び悩んでいた。相談相手もおらず、借入が増えてしまい仲介業者へ相談に至った。

 

買手事業者:居宅介護支援、訪問介護、障害者総合支援法(居宅・重度)

従業員:12名(常勤6名 非常勤6名)

買手企業については、人さえいれば売上げが伸ばせるという考えを持っていた。採用に苦労しており、人で確保の手段として、訪問介護の売却案件があれば情報が欲しいと、仲介会社へ依頼していた。
継続して雇用が見込まれる社長兼管理者が40代、新たに採用したサービス提供責任者も40代という事もあり譲受を前向きに検討。

結果:M&Aにあたり直前まで利益改善と法令書類を整えたうえで、売手の希望条件での譲渡に至る。

まとめ

    介護職員の採用単価は週1の非常勤に70万円というようなデータも出ています。数百万円でまとまった従業員数を確保でき、ご利用者の引き続きの利用も見込むことができるM&Aについては大手企業だけの戦略ではなく中小企業においても取り組まなくてはならなくなってきています。

    また譲渡を検討される場合、まずは自事業所の価値を正しく把握し、その価値を理解してもらえる買手を見つけることも大切になります。

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