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訪問介護における手順書とは?手順書作成におけるポイントと注意点!

訪問介護において手順書とは、どのような職員でもそれ1つあれば同じ業務が出来るようにするためのものです。

また、厚生省令においても管理者の責務として訪問介護員等に法令遵守のための必要な指揮命令を行う事が定められており、介護保険上で行ってはいけない支援を行わないためにも大変重要な書類です。

訪問介護における手順書とは

手順書は、法人や事業所によっては『指示書』や『訪問介護計画書別紙』等と、呼び名が違う事はありますが、『ご利用者個々に作成されるサービスごとの手順を示した書類』です。

訪問介護における手順書作成の目的や意義 3つの主なポイント

手順書を作成する目的や意義は主に以下の通りです。

  • 訪問介護計画書の目標達成のため
  • どの訪問介護員が訪問しても同じ介護サービス提供を行えるようにするため
  • 法令遵守のため

    訪問介護計画書の目標達成のため

    訪問介護計画書は、サービス提供責任者が作成を行う事が定められており、サービス内容についても同計画に書き記すことが必要です。

    サービス内容は身体・生活等の区分をはじめ、時間、曜日、訪問サービス予定者等を記載する必要がありますが、ご利用者ごとに定める目標を達成するためには、より細かくサービスの内容を記載し、ご利用者本人と訪問介護員が同じサービスを行う事を意識し目標を達成するという視点をもつことが重要です。

    このために、訪問介護計画書のサービス内容をより細かく記載するために存在するのが手順書です。

    どの職員が担当しても同じサービスを提供するため

    1人のご利用者には、複数名の訪問介護員が担当することがあります。また、予定していた訪問介護員が急遽休みを取った場合には、代わりの訪問介護員が急遽向かわなければいけません。

    このような場合、サービス提供責任者自身が代行できれば良いですが、必ずしもそうできるとは限らず、同行無しでサービスを担当せざる得ない場合もあり、代わりに入る訪問介護員は、『手順書』1枚をもって向かわなければいけないこともあります。

    また、残念ながら訪問介護員が急な退職になる場合には、十分な引継ぎなく違う訪問介護員に引き継がなければいけない場合もあります。

    このような時に、詳細な手順書が無いとご利用者様に大きなご負担を与えてしまうことになりますので、手順書は『誰が見ても、それ1枚でサービス提供が可能な状態である』ことを意識して作成を行いましょう。

    法令遵守のため

    指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年厚生省令第三十七号)の内、第28条管理者及びサービス提供責任者の責務の中に以下の文言が記載されています。

    指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者及び業務の管理を、一元的に行わなければならない。

    2 指定訪問介護事業所の管理者は、当該指定訪問介護事業所の従業者にこの章の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うものとする。

    3 サービス提供責任者は、第二十四条に規定する業務のほか、次に掲げる業務を行うものとする。

    一 指定訪問介護の利用の申込みに係る調整をすること。

    二 利用者の状態の変化やサービスに関する意向を定期的に把握すること。

    二の二 居宅介護支援事業者等に対し、指定訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況、口腔くう機能その他の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行うこと。

    三 サービス担当者会議への出席等により、居宅介護支援事業者等と連携を図ること。

    四 訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。

    五 訪問介護員等の業務の実施状況を把握すること。

    六 訪問介護員等の能力や希望を踏まえた業務管理を実施すること。

    七 訪問介護員等に対する研修、技術指導等を実施すること。

    八 その他サービス内容の管理について必要な業務を実施すること。

    引用:厚生労働省 

    運営指導ではこの厚生省令を遵守しているか否かが問われますが、この中で、『四 訪問介護員等(サービス提供責任者を除く。以下この条において同じ。)に対し、具体的な援助目標及び援助内容を指示するとともに、利用者の状況についての情報を伝達すること。』に対し遵守していると示す根拠資料が訪問介護計画書及び手順書となります。

    必ずしも『手順書』という名称を用いらなければいけないというルールにはなっていませんが、『具体的な援助内容を指示している』と示せる書類がなければいけません。

    手順書とセットで作成すべき書類3つ

    手順書は『サービス内容の手順を記す書類』です。ここで表現しきれないものについては、別紙として用意する等工夫を行うことで、より訪問介護員全員が困らずにサービス提供が可能になります。

    • 居室見取り図
    • 緊急時対応表
    • 訪問介護計画書

    法令遵守という意味合いのもとでは、手順書の作成目的は訪問介護計画書のサービス内容を『より細かく記すこと』にあります。

    手順書1枚をもって『訪問介護計画をたてた』ということにはなりませんので、手順書は必ず訪問介護計画書とセットであり、手順書は訪問介護計画書を補強するためのものという扱いになります。

    居室見取り図

    手順書に記すのは介護サービスの入室時から退出時におけるサービスの流れです。ここに物品等を記すことでも足りますが、見取り図内に物品を記してあげるほうが実際にご利用者の家で介護サービスを行うときに不必要な場所を探さずに済みます。

    緊急時対応表

    手順書は、通常の介護サービスの流れを記すものです。ここに記される緊急事態における対応は『事前に想定されるもの』であり、想定出来ている場合には重要な情報となりますのであらかじめ記載をしておくことが大切です。

    想定出来ない緊急事態に備え、普段服用している薬の情報や、かかりつけ医、アレルギーの有無等を記した『緊急時対応表』もしっかり用意をしておきましょう。

    訪問介護計画書

    計画書は、利用者やその家族に対し事前に訪問介護として提供する介護サービスに同意を頂くための書類です。

    この書類は、厚生省令にて作成・説明・同意を得ることが求められています。

    計画書はルールに沿って記入する必要があるので、詳しくは「訪問介護計画書の作成方法まとめ!書き方・目的・注意点は?」を参考にしてみてください。

    手順書・居宅見取り図等の実例

    [手順書]

    手順書は、入室から退出までの一連の行為について記載を行います。

    ご利用者その家その家の入室の仕方が有ったり、感染症対策におけるアルコール消毒等もしっかりと記載しましょう。

    また、特定事業所加算を取得されている法人・事業所では、サービス開始前にサービス提供責任者の指示を受ける必要があることに注意しましょう。

    [入室時の文例]

    ・指定時間の5分前に玄関前から事務所に入室連絡を行う

    ・インターホンを鳴らし返答が有ったら入室する

    ・キーボックスから鍵を取り出し入室する

    ・近所に知られたくないため『ヘルパーの〇〇です』ではなく自分の苗字を告げて入室する

    [作成の注意点]

    介護保険においては、実施できる支援は老計10号により定められています。

    ここに記載がある項目以外はケアプランに定めがあっても介護保険で行う事はできません。

    参考:老計10

    サービス内容の詳細は、ご利用者ごとに異なりますので、出来るだけ詳しくその詳細を書き記し、物の位置や緊急時における対応については手順書ではなく別紙に書き記してもよいでしょう。

    [居宅見取り図・緊急時について]

    まとめ

    実際の現場では、新型コロナウイルスや不測の自体によって予定されていた職員が介護サービスに行けなくなることが予想されます。

    このような場合にも、普段と同じような介護サービスを提供するためには、より細かい手順や実施内容、また緊急時における対応方法等も記載をおこなっておくことが大切です。