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運営基準

訪問介護事業所が知らないといけない『運営基準』とは~基準第9条から19条~

元山 ゆず香

監修者

介護福祉士

元山 ゆず香

大学を卒業後、特別養護老人ホームにて現場業務に従事。その後、福祉系大手企業に入社し、エリアマネージャーとして、施設介護事業・居宅介護事業・障害福祉サービス事業でのエリアマネジメント・行政対応を経験。また、法人本部に異動し教育部門・監査担当部門の部長を歴任。現在は全国の介護・障害福祉事業所の支援やセミナーの開催、DXO株式会社での介護関連事業の支援などを実施。

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本日は厚生省令にて定められている『運営基準』についての第一弾をご紹介して参ります!

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準とは

運営基準とは、厚生労働省が定めた『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の1部を指します。

◆指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成十一年三月三十一日)(厚生省令第三十七号)

全15章有り、訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハ、居宅療養管理指導、通所介護、通所リハ、短期入所生活介護、短期入所療養介護、特定施設入居者生活介護、福祉用具貸与、販売について事業を運営するためのルールが書かれています。

居宅介護支援は、平成30年4月から、居宅介護支援事業所の指定権限が都道府県から所在地市町村へ移譲されたため、各市町村で運用のためのルールが定められています。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準に定められたルールを守らず事業を運用すれば『基準違反』として行政処分を受ける事もあります。

『人員、設備、運営』の大きく3つの柱で構成されていますが、運営基準が1番ボリュームが多く、1番違反の多い項目ですので『運営基準』という言葉を耳にする機会が多いかと思います。

省令のため、記載されている文章はなじみのない表現が使われていたり、細かい部分が分からず認識を間違えてしまうという事も多々発生します。

ここでは、そんな間違いの無いよう運営基準を読み解き解説をしてまいります。

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準の構成 人員基準

第二章 第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)

第八条から第三十九条までで構成され、運営規定に盛り込むべき内容から管理者、サービス提供責任者の責務、訪問介護事業所として行わなければいけない業務が定められています。

運営基準違反は重大な違反行為であり、違反すれば『指定取り消し』等の重大な処分が下ることもあります。

『知らなかった』『認識を間違えていた』という理由ではその処分を免れることはできません。

介護事業を運営する経営者はもちろん、管理者、サービス提供責任者の方はしっかりと頭に入れて運営しましょう。

チェック

第9条(提供拒否の禁止)

指定訪問介護事業者は、正当な理由なく指定訪問介護の提供を拒んではならない。

原則として、利用申込に対して応じなければなりません。特に要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することは禁じられています。
また、利用者が特定のサービス行為以外の訪問介護サービスの利用を希望することを理由にサービス提供を拒否することも禁止されています。


提供を拒むことのできる正当な理由は下記3点です。
① 事業所の現員では、利用申込に応じきれない場合。

② 利用申込者の居住地が通常の事業の実施地域外である場合、

③その他利用申込者に対し、自ら適切な指定訪問介護を提供することが困難な場合。

第10条(サービス提供困難時の対応)

サービスを提供することが困難であると認めた場合は、居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者への連絡、適当な他の指定訪問介護事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければなりません。

第11条(受給資格等の確認)

利用の申込みがあった場合は、その者の介護保険被保険者証によって、被保険者資格、要介護認定・要支援認定の有無及び要介護認定・要支援認定の有効期間を確認します。
被保険者証に、認定審査会意見が記載されているときは、これに配慮して訪問介護サービスを提供するよう努めなければなりません。

介護支援専門員から提供されるものだけをもって『確認した』とは言えず、かならず訪問介護事業所として利用者に資格が有るかを確認する必要があります。

第12条(要介護認定の申請に係る援助)

要介護認定・要支援認定を受けていない者から利用申込があった場合には、要介護認定・要支援認定
の申請が、既に行われているかどうかを確認し、申請が行われていない場合は、利用申込者の意思を踏まえて、速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければなりません。
また、居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者を利用していない利用者に対しては、継続して保険給付を受けるためには、要介護認定・要支援認定の更新が必要となりますので、遅くとも要介護認定・要支援認定の有効期間満了日の 30 日前には更新申請が行われるよう、必要な援助を行わなければなりません。

第13条(心身の状況等の把握)

利用者に係る居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者が開催するサービス担当者会議、アセスメント等を通じて、利用者の心身の状況、その置かれている環境、他の保健医療サービス又は福祉サービスの利用状況等の把握に努めなければなりません。

アセスメント、サービス担当者会議の要点等でしっかりと記録を残しておきましょう。

第14条(居宅介護支援事業者等との連携)

サービスを提供するに当たっては、居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者その他保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければなりません。

また、サービスの提供の終了に当たっては、利用者又はその家族に対して適切な指導を行うとともに、当該利用者に係る居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者に対する情報の提供及び保健医療サービス又は福祉サービスを提供する者との密接な連携に努めなければなりません。

介護支援専門員に連絡しないまま、訪問介護事業所がサービス提供を開始する時間を居宅サービス計
画に位置付けられた時間帯から別の時間帯に勝手に変更していた場合は、この条文に違反している状態と判断されますので注意しましょう。

第15条(法定代理受領サービスの提供を受けるための援助)

利用者が要介護認定を受けていない場合は、認定を受ける方法を教えたり、居宅介護支援事業所の紹介をする等、必要な支援を行う事とされています。

第16条(居宅サービス計画に沿ったサービスの提供)

居宅介護支援事業者又は介護予防支援事業者が居宅サービス計画又は介護予防サービス・支援計画を作成している場合には当該計画に沿った訪問介護サービスを提供しなければなりません。

実地指導では、曜日、時間、内容が一致している訪問介護計画と介護記録の確認が入ることになります。

第17条(居宅サービス計画等の変更の援助)

利用者が居宅サービス計画又は介護予防サービス・支援計画の変更を希望する場合は、居宅介護支援事業者・介護予防支援事業者への連絡等、必要な援助を行わなければなりません。

サービスの曜日、時間、内容を勝手に変える事は基準違反ですが、利用者が希望する場合は計画を変更するための援助をすることとなっています。

第18条(身分を証する書類の携行)

訪問介護員等に身分を証する書類を携行させ、初回訪問時や利用者又はその家族から求められたときは、提示するように指導しなければなりません。

第19条(サービスの提供の記録)

訪問介護サービスを提供した際には、提供した具体的なサービスの内容等を記録しなければなりません。
また、利用者から申し出があった場合には、文書の交付、その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければなりません。

必ず交付する必要がない記録ではありますが、保存の必要はありますので注意しましょう。

まとめ

本日は、訪問介護事業を運営するにあたって必要不可欠な『指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準』の内、『運営基準』と呼ばれる第四節 運営に関する基準(第八条―第三十九条)についてご紹介して参りました!

次回は、引き続き同省令の第20条から解説して参ります!

お役立ち資料:運営指導対策にお悩みの方に

訪問介護事業所向けに、訪問介護事業所の運営基準についてまとめました。
事業所運営に不安を感じる方はぜひご利用ください。
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