この記事では、訪問介護における加算についてご紹介して参ります。
訪問介護の事業者向けに、各種加算と減算の要件や、優先的に取得するべき加算などについてまとめました。
<目次>
1.加算とは
2.訪問介護における加算・減算一覧
3.各種要件と解説
4.優先的に取得すべき加算
5.まとめ
加算とは、『ある一定の要件』を満たした場合、基本の単位数にプラスして算定が可能となるものです。
減算とは、『ある一定の要件』に該当した場合、基本の単位数にマイナスして算定をしなければいけないものです。
昨今の介護報酬の仕組みでは、『加算を取得する』ことで安定した収益を出す運営を行うことができるとされ、例えば処遇系の加算は取得しないと『全産業平均の賃金』に満たないといった特徴もあります。
加算は国が進めていきたい方向や、均衡を保つためのもの、また『訪問介護事業所』として備えるべき仕組みや制度を要件として創設され、反対に減算は仕組みや制度として無くしたい、評価できないと考えているものについて創設しています。
今後、国がどういった方向に進めていきたいかを知る為にも、加算・減算の要件を知る事はとても大切です。
ここでは、届出の必要がなく『都度算定が可能』な加算についてご紹介してまいります。
下記いずれかの理由により2人の訪問介護員が介護サービスの提供を行った場合に算定可能。
①利用者の身体的理由により1人の訪問介護員等による介護が困難と認められる場合
②暴力行為、著しい迷惑行為、器物破損行為等が認められる場合
③その他利用者の状況等から判断して、①又は②に準ずると認められる場合
【QA】
Q:同時に3人以上の訪問介護員等が1人の利用者に対して訪問介護を行った場合は、それぞれの訪問介護員等について訪問介護費を算定できるか。
A:同時に3人以上の訪問介護員等が1人の利用者に対して訪問介護を行った場合は、それぞれの訪問介護員等について訪問介護費を算定できない。2人の訪問介護員等に限り算定できる。(平15.4版 VOL2 問1)
夜間(午後6時から午後10時までの時間をいう。)又は早朝(午前6時から午前8時までの時間をいう。)に指定訪問介護を行った場合
利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合(半数を切る)においては、当該加算は算定できない。
深夜(午後10時から午前6時までの時間をいう。)に指定訪問介護を行った場合
利用時間が長時間にわたる場合に、加算の対象となる時間帯におけるサービス提供時間が全体のサービス提供時間に占める割合がごくわずかな場合(半数を切る)においては、当該加算は算定できない。
新規又は2カ月以上提供が無かった場合に訪問介護計画を作成した利用者に対し、サービス提供責任者が初回若しくは初回の指定訪問介護を行った日の属する月に介護サービスを直接提供した、又は同行した場合に算定可能。
※この場合の「二月」とは歴月(月の初日から月の末日まで)です。例えば、4月15日に利用者に指定訪問介護を行った場合、初回加算が算定できるのは、同年の2月1日以降に当該事業所から指定訪問介護の提供を受けていない場合です。
※初回加算は複数の事業所で算定が可能です。
居宅サービス計画に位置付けられていない、予定されていない日時に身体介護を、利用者又はその家族等から要請を受けてから24時間以内に行った場合に算定可能。
訪問介護事業所における事務処理(平21.3版 VOL69 問31)
・訪問介護計画は必要な修正を行うこと。
・介護記録等の必要な記録を行うこと。
ヘルパーの訪問時に利用者の状態が急変した際等の要請に対する緊急対応等は、算定対象外です。
厚生労働大臣が定める地域(平成24年厚生労働省告示第120号)に所在する指定訪問介護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く。)又はその一部として使用される事務所の訪問介護員等が指定訪問介護を行った場合。
厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号)に所在し、かつ、厚生労働大臣が定める施設基準(平成27年厚生労働省告示第96号)に適合する指定訪問介護事業所(その一部として使用される事務所が当該地域に所在しない場合は、当該事務所を除く。) 又はその一部として使用される事務所の訪問介護員等が指定訪問介護を行った場合。
厚生労働大臣が定める地域(平成21年厚生労働省告示第83号)に居住している利用者に対して、通常の事業の実施地域( 指定居宅サービス基準第29条第5号に規定する通常の事業の実施地域をいう。) を越えて、指定訪問介護を行った場合。
加算(Ⅰ)100単位(初回の指定訪問介護が行われた日の属する月)
サービス提供責任者が、指定訪問リハビリテーション事業所・指定通所リハビリテーション事業所・リハビリテーションを実施している医療提供施設の医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の助言に基づき生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成し、当該訪問介護計画に基づく指定訪問介護を行ったときに算定可能。
加算(Ⅱ)1月につき200単位(初回の指定訪問介護が行われた日の属する月以降3月の間)
利用者に対して、指定訪問リハビリテーション事業所・指定通所リハビリテーション事業所・リハビリテーションを実施している医療提供施設の医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、指定訪問リハビリテーション・指定通所リハビリテーション等の一環として当該利用者の居宅を訪問する際にサービス提供責任者が同行する等により、当該医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と利用者の身体の状況等の評価を共同して行い、かつ、生活機能の向上を目的とした訪問介護計画を作成した場合であって、当該医師、理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士と連携し、当該訪問介護計画に基づく指定訪問介護を行ったとき。(生活機能向上連携加算(Ⅰ)を算定している場合は算定不可)。
ここでは、あらかじめ指定権者へ届け出ることが必要である加算についてご紹介していきます。
特定事業所加算については、以下にまとめておりますのでご確認ください。
特定事業所加算(Ⅰ)~(Ⅴ):特定事業所加算
認知症専門ケア加算(Ⅰ):1日につき3単位
次に掲げる基準のいずれにも適合すること。
①事業所又は施設における利用者、入所者又は入院患者の総数のうち、対象の認知症の方(以下対象者)の占める割合が2分の1以上であること。
②認知症介護に係る専門的な研修を修了している者を、対象者の数が20人未満である場合にあっては1以上、当該対象者の数が20人以上である場合にあっては1に当該対象者の数が19を超えて10又はその端数を増すごとに1を加えて得た数以上配置し、チームとして専門的な認知症ケアを実施していること。
③当該事業所又は施設の従業者に対する認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議を定期的に開催していること。
【注意点】 ① 対象になる利用者は、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する利用者。
② 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合が2分の1以上の算定方法は、算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定すること。また、届出を行った月以降においても、直近3月間の認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合につき、毎月継続的に所定の割合以上であることが必要です。なお、その割合については、毎月記録し、割合が下回った場合は取り下げを行う。
③ 「認知症介護に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」(平成18 年3月31 日老発第0331010 号厚生労働省老健局長通知)、「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」(平成18 年3月31 日老計第0331007 号厚生労働省計画課長通知)に規定する「認知症介護実践リーダー研修」及び認知症看護に係る適切な研修を指すものとする。
④ 「認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議」の実施に当たっては、登録ヘルパーを含めて、全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループ別に分かれて開催することも可能。
認知症専門ケア加算(Ⅱ):1日につき4単位
次に掲げる基準のいずれにも適合すること。 ①イの基準のいずれにも適合すること。 ②認知症介護の指導に係る専門的な研修を修了している者を1名以上配置し、事業所又は施設全体の認知症ケアの指導等を実施していること。 ③当該事業所又は施設における介護職員、看護職員ごとの認知症ケアに関する研修計画を作成し、当該計画に従い、研修を実施又は実施を予定していること。
【注意点】
① 「日常生活に支障を来すおそれのある症状若しくは行動が認められることから介護を必要とする認知症の者」とは、日常生活自立度のランクⅢ、Ⅳ又はMに該当する利用者を指すものとする。
② 認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合が2分の1以上の算定方法は、算定日が属する月の前3月間の利用者実人員数又は利用延人員数の平均で算定すること。また、届出を行った月以降においても、直近3月間の認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上の割合につき、毎月継続的に所定の割合以上であることが必要である。なお、その割合については、毎月記録するものとし、割合を下回った場合は取り下げを行わなければならない。
③ 「認知症介護に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」(平成18 年3月31 日老発第0331010 号厚生労働省老健局長通知)、「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」(平成18 年3月31 日老計第0331007 号厚生労働省計画課長通知)に規定する「認知症介護実践リーダー研修」及び認知症看護に係る適切な研修を指すものとする。
④ 「認知症ケアに関する留意事項の伝達又は技術的指導に係る会議」の実施に当たっては、登録ヘルパーを含めて、全員が一堂に会して開催する必要はなく、いくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない。
⑤ 「認知症介護の指導に係る専門的な研修」とは、「認知症介護実践者等養成事業の実施について」、「認知症介護実践者等養成事業の円滑な運営について」に規定する「認知症介護指導者養成研修」及び認知症看護に係る適切な研修を指す。
処遇系加算については各種以下にまとめておりますのでご確認ください。
介護職員処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ):処遇改善加算
介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅱ):特定処遇改善加算
介護職員等ベースアップ等支援加算:介護職員等ベースアップ等支援加算
加算は、一定の要件を満たすことによって報酬が得られるものです。運営指導時には『要件を満たしているか』の確認が行われます。
要件をしっかり守り、守ったことが分かる様に書類に残す必要があります。