サービス管理責任者とは、障害者への福祉サービスを提供する事業所に配置される専門職です。
通称「サビ管」とよばれるこの職種は、障害者へのサービスの質向上のために障害者総合福祉法により配置が義務付けられています。
サービス管理責任者になるには、実務経験要件や研修修了要件の両方を満たさなければなりません。
今回の記事では、実務経験の要件や研修終了要件、研修の申し込み方法などについて解説します。
目次
5年以上の相談業務 | 8年以上の直接支援業務 | 国家資格での3年以上の業務+3年以上の相談支援業務又は直接支援業務 | |
具体的な経験 | ・支援事業施設 ・公的な相談機関 など | ・保険・医療機関 ・特別支援学校 など | ・社会福祉士 ・介護福祉士 など |
資格取得までの最短年数 | 7年 | 10年 | 5年 |
サービス管理責任者になるためには、実務経験が要件のひとつになります。
障害者サービスや公的な相談機関でどのくらいの期間、どのような職種に従事していたかが、実務経験の要件として具体的に定められています。
なお、都道府県によって実務経験の内容や対象事業所が異なる場合があるので、ご自身の都道府県の最新情報を確認しておきましょう。
次の①から⑤の機関にて相談支援業務に従事していた場合、実務経験として認められます。
①地域生活支援事業、障害児相談支援事業、身体・知的障害者相談支援事業の従事者
②児童相談所、身体・知的障害者更生相談所、精神障害者社会復帰施設、福祉事務所、発達障害者支援センターの従業者
③障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、精神保健福祉センター、救護施設、更生施設、介護老人保健施設、介護医療院、地域包
括支援センターの従業者
④障害者職業センター、障害者就業・ 生活支援センターの従業者
⑤特別支援学校の従業者
⑥病院、診療所の従業者(社会福祉主事任用資格者、介護職員初任者研修に相当する研修の修了者、①から⑤に掲げる業務に1年以上従事した者)
社会福祉主事任用資格をもっていなくても、下記の①〜⑥の事業所で直接支援業務に従事した期間が8年以上あれば、実務経験としての要件を満たすことになります。
なお、社会福祉主事任用資格、介護職員初任者研修、保育士などの資格があれば、直接支援業務の実務経験は5年以上に緩和されます。
①障害者支援施設、障害児入所施設、老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、病院・診療所の療養病床の従業者
②障害福祉サービス事業、障害児通所支援事業、老人居宅生活支援事業の従事者
③病院、診療所、薬局、訪問看護事業所の従業者
④特例子会社、重度障害者多数雇用事業所の従業者
⑤特別支援学校の従業者
医療や福祉分野の国家資格による3年以上の業務経験に加えて、相談支援業務または直接支援業務に3年以上従事していれば実務経験の要件を満たすことができます。
対象となる国家資格は、医師、薬剤師、看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、柔道整復師、管理栄養士、精神保健福祉士などです。
サービス管理責任者になるには、実務経験の要件を満たすだけでは不十分です。
障害サービスの基礎知識や個別計画の作成、地域支援といった専門的な研修を修了し、幅広い知識を身につけることが研修修了の要件となります。
対象となる研修としては、「相談支援従事者初任者研修の一部」と「サービス管理責任者研修」の二つです。
相談支援従事者初任者研修は、相談支援専門員が障害のある人に地域を基盤としたより質の高いサービスを提供、実践できるような内容で構成されています。
研修時間は講義や演習、実習をあわせて42.5時間とボリュームがありますが、サービス管理責任者になるのであれば、そのうち11.5時間の講義部分を受講するのみで研修修了要件を満たすことができます。
相談支援従事者初任者研修を受講するには、次の条件を満たす必要があります。
・指定相談支援事業所において相談支援専門員として業務に従事している(またはその見込み)
・指定重度障害者等包括支援事業所においてサービス提供責任者として業務に従事している。(またはその見込み)
参考:厚生労働省
サービス管理責任者研修には3つの種類があり、対象者や実務経験に応じた内容で実施されています。
この章では、それぞれの研修内容や特徴をまとめて紹介します。
基礎研修はサービス管理責任者に必要な障害サービスに関する基本的な内容が身につくプログラムです。
受講要件としては、相談業務ルート、直接支援ルート、資格保有ルートによって実務経験の年数が異なるので、あらかじめ確認が必要です。
実践研修は基礎研修を修了したあとに受講するより実践的なプログラムで、研修時間は14.5時間設定されています。
この実践研修を修了すればサービス管理責任者として事業所で従事することが可能となります。
2019年度の研修内容改定により、サービス管理責任者は5年ごとに更新研修を受講することが義務付けられました。
目的はサービス管理責任者としてのスキルの維持と質向上を図ることです。
基礎研修を修了しても、すぐに実践研修を受けることはできません。
実践研修を受講するには、個別支援計画の原案作成や相談支援をおこなう2年以上のOJT(実務経験)が必要となります。
そのため、基礎研修は2年のOJTが必須となったことから必要な実務経験年数よりも 2年はやく受講開始することができます。
たとえば相談支援業務の経験は5年が要件ですが、基礎研修は相談支援業務の実務経験3年の段階で受講可能となります。
そして基礎研修後に2年OJTを終えたとき、受講者は相談支援業務を合計5年経験したとみなされるのです。
研修を申し込む方法は、都道府県の障害福祉担当課または研修を実施する委託先の団体となります。
それぞれのホームページに申込要綱や書式などが掲載されていますので、確認しましょう。
各都道府県によって受講できる定員や申込期間が異なりますので、早めにチェックしておくことをおすすめします。
サービス管理責任者になるためには、業務に従事した年数や資格によって年数が異なりますが、どの場合においても実務経験と研修の受講が必要です。
なるべく早くサービス管理責任者になりたい場合は、実務要件を満たす2年前から基礎研修を受けるとよいでしょう。
またOJTの段階から個別支援計画の作成など一部の業務に従事できるので、正式にサービス管理責任者として配置された時からスムーズに業務出来ることにもつながります。
相談支援ルート | 直接支援ルート | 資格保有ルート |
相談支援業務の経験が5年以上 | 直接支援業務の経験が8年以上 | 特定の資格保有者としての相談支援・直接支援業務の経験が5年以上 |
↓ | ||
基礎研修(実務要件に2年満たない時から受講可能) | ||
↓ | ||
OJT(一部の業務が可能) | ||
↓ | ||
実践研修 |
参考:東京都福祉保健局
サービス管理責任者は、障害のある方への支援の要となる存在です。
今回の記事を読んで、サービス管理責任者に興味が湧いたのであれば、是非チャレンジしてはいかがしょうか。